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【東証スタンダード:7192】「その他金融業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営の基本方針
当社グループでは、「住宅産業の課題を解決する」という経営理念のもと中小住宅事業者への経営支援を事業目的に定めております。住宅産業のなかでも、注文住宅の建設プレイヤーは中小住宅事業者が半数を占めており、DX投資も遅れがちになっております。また、注文住宅はオーダーメイドであるゆえに生産工程が多層・複雑で高コストという課題を持っています。当社グループでは、住宅分野に特化したローン・保険・保証等の金融サービスにITを融合させ、住宅産業のDX化や中古住宅流通活性化のための仕組みづくりを推進しております。
経営方針としては以下の8つを掲げております。
・顧客幸福に繋がらないことは行わない
・メジャーは目指さない。カテゴリーキラーとしてインディーズであり続ける
・資産は人財
・強くて優しい人と組織であり続ける
・革新的であり続ける。住宅産業を再定義し続ける
・最大のモラル(人格)と最小のルール
・バッド情報ファースト。体裁より中身
・サービスが先、利益は後。健全な投資は短期利益より大事
(2)目標とする経営指標
当社グループでは、ステークホルダーへの責任を果たすためには、増益により投資を継続し、持続的に成長していくことが肝要であるとの価値観から、増収よりも増益に重きを置いております。また当社グループでは、各セグメント及び各サービスによって粗利率が異なり、売上をセグメント共通の指標にしづらいといった側面(注)もあるため、最重要指標を「営業利益」としております。
(注)住宅金融事業の主力サービスである住宅ローンは融資手数料のみを売上として計上し、住宅瑕疵保険等事業の主力サービスである住宅瑕疵(かし)保険は原価を含む総額表示にて計上し、住宅アカデメイア事業の主力サービスである住宅保証サービス等は売上から原価を差し引いた純額表示にて計上している等の差異があります。また、業績への貢献度が最も高い住宅ローンの粗利率が高いことから、連結損益計算書においては、営業収益が小さく相対的に利益率が高くなる傾向にあります。
(3)2025年3月期経営戦略
当社グループでは、恒常化するインフレや米国での金融危機等により、不透明感が極めて高い経営環境であることから中期的な見通しが非常に難しいと認識し、1カ年での見通しとして、「2025年3月期経営戦略」を策定、推進しております。2025年3月期通期においては、短期的な視点での「オンリーワン戦略の推進」及び中長期的な視点での「未来への種まき」の2軸にて、持続的な成長を目指します。
① オンリーワン戦略の推進
当社グループでは、1棟の住宅に住宅ローン、保険や保証等の複数サービスをワンストップで販売・提供する、積上げ型のビジネスモデルに強みを持っており、今後も商品の多角化や住宅事業者へのコンサルティングに力を入れることで、付加価値を高め、縮小市場のなかでの生き残りを図ります。
住宅金融事業においては、住宅金融というニッチな分野に特化し、多様な金融機関との提携による新商品開発及びポートフォリオの多角化を進め、住宅建設・販売分野における「金融オリジネーター」のポジションを目指します。また金融代理店を軸とした販売チャネルの増強を行い、コンサルティングによる問題解決能力を強化し、当社グループの基幹事業として、営業力を高めてまいります。
住宅瑕疵保険等事業及び住宅アカデメイア事業においては、住宅事業者の経営課題解決企業としてのポジションをさらに高めるために、住宅事業クラウドシステム「助っ人クラウド」を無償提供することで、住宅事業のDX化や経営合理化の支援を行います。それとともに、シナジーが見込める企業との提携・連携を推進し、住宅事業者に寄り添った専門性の高い商品開発を行い、ワンストップで提供することで、収益積上げを推進してまいります。
② 未来への種まき
住宅事業者を取り巻く経営環境は厳しさを増しており、消費者の住宅購買力低下の影響により受注が減少する一方で、ウッドショック後も続く建材の高騰、建設2024年問題による人件費増加や省エネ基準適合化等を原因とした建設コストの増加が顕著となっております。その結果、住宅事業者の財務内容が悪化し、与信低下から建材流通の停滞に及ぶ等、業界全体に影響が出始めております。
当社グループではこれらの問題解決のために、中小住宅事業者の生産性改善、消費者の住宅購買力に見合った住宅商品開発、建材流通における複雑な多重構造の解消、工事請負モデルという商習慣の見直し等が必要であると考えており、そのためのサービス開発およびソリューション提供こそが当社グループの中長期的な成長の鍵になると考えております。
そこで当社グループでは住宅産業のゲームチェンジャーを目指し、住宅産業BIM(Building Information Modeling)、ステーブルコイン等の電子マネー等と当社グループの信用補完サービス「つなぎローン」「完成保証」等と住宅事業クラウドシステム「助っ人クラウド」等を融合することにより、住宅事業者の与信と切り離された建材流通が可能となる「新しい材工分離モデル」のプラットフォームを開発してまいります。プラットフォーム利用者へサービスを提供することで、当社グループサービスの販売拡大に繋げ、将来的なマネタイズを図ってまいります。
③ 2025年3月期連結業績予想
当社グループの2025年3月期連結業績は、見通しとして営業収益7,256百万円、営業利益1,081百万円、経常利益1,081百万円、親会社株主に帰属する当期純利益723百万円を見込んでおります。
(4)対処すべき課題
当社グループは、住宅産業の課題解決を行うことで、持続的成長と企業価値向上を目指しております。
① 当社グループが認識する住宅産業の課題
デフレからインフレへと経済が大きく変わり、当社グループのターゲットである「注文住宅の建設工事を行う中小規模の住宅事業者」を取り巻く経営環境も厳しさを増しております。
ウッドショック後も建設資材価格は高止まりを続けており、加えて、建設2024年問題による人件費増加や、省エネ基準適合化による建設コスト増などを原因として、住宅事業者の財務内容が悪化し与信低下するケースが多発し、建材流通が停滞する事態となり、住宅業界全体に大きな影響が及んでいます。一方消費者側も、住宅価格の上昇に実質所得が追い付かず、購入意欲に影響が出始めており、住宅建設・販売の事業モデルそのものが従来のままでは成立しにくい状況へと進んでおります。
住宅事業者への経営支援を事業目的としている当社グループでは、事業成長の鍵は、住宅産業が抱える課題を解決するソリューション提供にあると考えております。当社グループの強みである金融とITを融合し、住宅事業支援となる住宅金融サービスや保険・保証サービス、コスト削減や生産性向上のためのクラウドプラットフォーム等の開発に力を入れることで、これらの課題解決に取り組んでまいります。
② 当社グループの持続的成長における課題
当社グループは、住宅事業者の経営支援を行うことにより差別性を高め、住宅金融サービスの販売につなげております。現在、注文住宅市場が縮小する等厳しい経営環境にありますが、当社グループの顧客である住宅事業者の経営支援ニーズも高まっていることから、当社グループにとってはチャンスでもあると考えております。
当社グループにとっては、住宅事業者の課題を解決するソリューションを提供できるかどうかが、中長期的な当社グループの業績に影響します。そこで、当社グループでは新たな商品やソリューションの開発を重要な経営課題と位置付け、商品開発への積極的で健全な投資や人材の育成、企業文化の醸成等に力を入れております。また、住宅産業における様々な企業と提携・連携を進め、ネットワークを活用した営業も推進してまいります。
これらの取り組みにより、1軒の住宅に対し多くのサービスを販売するクロスセルを推進し、1社の取引先から何度も申し込みを頂くリピート販売ができるクラウドの仕組み構築にも力を入れ、1軒の住宅当たり・1社の住宅事業者当たりの単価を上げ、収益力向上に努めてまいります。
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