日本トリム 【東証プライム:6788】「電気機器」 へ投稿
企業概要
当社グループは、事業を拡充していくためには科学的エビデンスが不可欠であるとの考えのもと、ウォーターヘルスケア事業におきましては、水を電気分解して得られるアルカリ性で水素を豊富に含んだ「電解水素水」の研究及びそれを生成する「整水器」等の機器開発を行っております。また、医療関連事業では、電解水素水を血液透析に応用した「電解水透析」に関する研究並びに機器開発を、再生医療関連事業におきましては、「さい帯血」や「さい帯」等の周産期組織由来の細胞を利用した新しい医療の実現を目指した共同研究等を実施しております。
(1) ウォーターヘルスケア事業
① 飲用分野
電解水素水は、医療効果の認証を得ている「胃腸症状の改善」だけでなく、溶存する水素の抗酸化作用による様々な効果が期待されております。昨年4月に開設いたしました神戸大学との共同研究講座「エッセンシャルヘルスケア科学共同研究講座」を始め、理化学研究所、東京大学、東北大学、早稲田大学等と、電解水素水の効果とその機序解明とともに新たな事業シーズ探索を目的とした共同研究を引き続き進めております。
本年1月に、東北大学大学院医学系研究科、聖路加国際病院とともに、2006年から行ってきた電解水素水による包括的腎臓病対策研究の成果に関する総説論文を出版社MDPI(本社:スイス)の「Antioxidants」誌にて発表しました。また、高知大学医学部、高知県須崎市とは、電解水素水の日常飲用がメタボリックシンドロームとその予備群の内臓脂肪の目安となる腹囲を減少させることに関する論文を同誌に発表いたしました。さらに3月には理化学研究所と、電解水素水の抗酸化、抗炎症、鎮痛効果、抗疲労効果、抗細胞死効果、抗糖尿病効果、抗腫瘍効果といった多様な利点に関するこれまでの研究成果をもとにした総説論文を同誌に発表しております。
現在、新たに4報の論文を投稿中、2報を投稿準備中です。
② 農業分野
農業分野では、農作物の栽培に電解水素水を応用することにより、生産効率向上、抗酸化性や糖度の高い機能性作物生産への寄与、「還元野菜®」のブランド化など高品質・高付加価値農業の実現に向けて取り組んでおります。
農作物栽培に関する電解水素水の効果については、その機序解明を目的に、遺伝子レベルでの解析を行う共同研究を理化学研究所と推進しております。効果の機序を明らかにし、国内のみならず世界にも目を向け、農業分野事業拡大に向けて精力的に研究開発に取り組んでまいります。
(2) 医療関連事業
① 電解水透析分野
電解水透析では、昨年6月に「第68回日本透析医学会学術集会・総会」(会場:神戸国際会議場)において開催いたしましたランチョンセミナー「電解水透析~New Discovery~」が、透析治療に関わる医師や臨床工学技士などが立ち見も含め360名以上が出席されるなど、大きな注目をいただきました。
本年7月7日には、「電解水透析の臨床導入から15年、~電解水透析 第2章始動~」というテーマで第1回電解水透析研究会・学術集会が開催される予定です。電解水透析に関する認知、理解がさらに進み、電解水透析普及促進の大きな後押しになるものと考えております。
電解水透析は、多くの透析患者が最も苦しんでいる疲労感を抑制することができる新規治療法として期待されており、そのエビデンスをさらに強固なものとすべく、新たな臨床研究にも取り組んでおります。疲労感の抑制は、透析患者の家庭復帰や社会復帰に繋がり、QOL改善によるWell-beingの実現は、社会的、経済的にも大変大きな意義があります。引き続き、臨床データを蓄積していくとともに、今後、当システムの医療機器化や海外展開も視野に、更なる開発を推進してまいります。
② 再生医療分野
再生医療分野では、ステムセル研究所において、「さい帯血」や「さい帯」等の周産期組織由来の細胞を利用した再生医療、細胞治療の新たな治療法や製品、サービスの開発を目的とした研究開発に取り組んでおります。
「さい帯血」を用いた再生医療分野につきましては、国内では高知大学医学部附属病院小児科において脳性麻痺児に対する臨床研究が順調に進んでおります。大阪公立大学大学院医学研究科発達小児医学教室を中心としたグループでは低酸素性虚血性脳症(HIE)児に対する臨床研究も引き続き進められております。また、同グループとは昨年6月に「自閉症スペクトラム障害に対する自家臍帯血有核細胞を用いた治療法の開発」を開始することを決定し公表、2024年の臨床研究開始に向け準備を進めています。米国においては、FDA認可のもとデューク大学で進められている脳性麻痺児等へのさい帯血投与プログラムへ、ステムセル研究所でさい帯血を保管されている方々が参加されるケースが増加しており、その結果も良好です。
「さい帯」を用いた研究開発につきましては、大阪大学大学院医学系研究科スポーツ医学教室と設立した「運動器スポーツバイオメカニクス学講座」において、新たな半月板治療法の開発を推進しております。また、東京大学医科学研究所付属病院セルプロセッシング・輸血部及び東京大学医学部附属病院ティッシュ・エンジニアリング部との小児形態異常等の先天性疾患に対する治療法の開発も、引き続き推進しております。
(3) 製品開発
上記の様々な研究成果を反映して、水の質をより高めるための機能向上は勿論、業務用機器、電解水透析用機器、農業用機器始め、新たな事業開拓を目指した製品、技術開発にも取り組んでおります。また、再生医療分野でも独自の技術によるユニークな製品開発に取り組んでまいります。
このように、当社グループでは、電解水素水の機能の解明、普及促進への後押しとなるエビデンスの取得、並びに農業分野、電解水透析分野、再生医療分野等での新たな事業軸の構築に向け、研究開発及びより高機能な製品開発に注力し、更なる企業価値向上に取り組んでおります。
以上の結果、ウォーターヘルスケア事業における研究開発費は218百万円、医療関連事業における研究開発費は15百万円となりました。
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