企業兼大株主日工東証プライム:6306】「機械 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

(1)経営の基本方針

 当社は2019年度に「10年後に日工グループがありたい姿(ビジョン)」を描いたうえで、長期(10年)の基本方針を策定しました。この方針の達成に向けて、3年ごとの中期経営計画を作成しています。

①長期基本方針について

 当社グループは2030年ビジョンの中で、メーカーとして技術力・製品力の日工ブランドを維持・強化しつつ、サービスビジネスを拡張させることで、経済価値として売上高600億円、営業利益60億円(営業利益率10.0%)を目指しています。また、社会・環境価値は4つのマテリアリティのうち環境価値に関わる「カーボンニュートラルの実現」と「資源循環型社会の確立」、社会価値に関わる「人財育成と働きがいの向上」を挙げています。経済価値と社会・環境価値を同時に引き上げることで、企業価値の向上を目指します。

2030年ビジョン達成へのプロセスを進める上で、2024年度迄は「内部投資フェーズ」と位置づけており、人的資本や知的資本への先行投資を積極化し、製造資本へも高水準の設備投資を続けることとします。具体的に、カーボンニュートラルへの対応が必要なAP事業領域の社員増強59名を始めとして、日工単体で145名の人員増(過去3年間は69名増)をはかります。研究開発費においても、AP事業領域の環境対応新製品、遠隔化・自動化サポートなどを始めとして、25億円強(同12億円弱)を予定しています。

2024年度以降は「内部投資フェーズ」から、先行投資が具現化する「ビジネス拡大フェーズ」を想定しています。国内の新サービス、システムが収益拡大に繋がるとみておりカーボンニュートラルにむけた環境対応新製品もお客様のニーズが増えてくると予想しています。海外AP事業もASEANへの展開が先行投資を終えて、本格的な収穫期を迎える見込みです。内部的にも運転支援センター開設や本社工場の組立集中による生産体制の見直しが寄与すると考えています。

②長期基本方針(ビジョン)達成のための重要な経営課題

 日工グループは新たに策定した2030年ビジョンに伴い、持続的に企業価値創造するためのマテリアリティ(重要課題)を見直しました。経営理念に掲げる「広く社会から信頼され、お客様とともに発展する“ソリューションパートナー”となることを使命に自己変革する」ことを念頭にして、マテリアリティを解決することが、2030年ビジョンにある日工グループが目指す姿「高い技術に裏打ちされたプラント設備・環境機器製品のトップメーカー」「且つ、運用・保全サービスによる顧客の経営パートナー」につながります。今後はマテリアリティでKPI(重要業績評価指標)を設定して実効性を高めると同時に、取締役会でのモニタリングも必要と考えています。

 日工グループのマテリアリティは、社会課題や業界環境の変化をもとにした2030年ビジョンの目指す姿から、ステークホルダーと日工グループが企業価値を上げるために重要度が高いと想定する、

1.「カーボンニュートラルの実現」

2.「資源循環型社会の確立」

3.「新たな顧客価値の創造」

4.「人材育成と働きがいの向上」

 の4つです。2023年に位置づけを少し変更しました。位置づけ変更のポイントは、4.「人材育成と働きがいの向上」を2023年4月から開始された新人事制度の効果も含めて、マテリアリティマップの最も右側に移動し、日工グループの企業価値向上で重要度を高めたことです。「カーボンニュートラルの実現」は引き続き、最も重要なマテリアリティであり、この達成なくして日工グループの長期的な企業価値向上はありえません。また、顧客の経営パートナーになるには「新たな顧客価値の創造」はマテリアリティとして妥当であり、強みを持つメンテナンス・サービス事業でDXやAIなど使いながら、お客様の満足度向上に繋げます。

③長期(10年)基本方針 5つのポイント

 長期計画の前提となる当社を取り巻く事業環境につきましては、当社グループに関係の深い建設関連業界は今まで民間建設投資が大幅に増加するなど総じて堅調に推移してきました。今後も2021年度に始まりました防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策などを背景に好調に推移していくと思われます。しかし、長期的にはこうしたプロジェクトも一服が見込まれます。このため、当社では既存事業における収益基盤強化と成長余地が大きい海外売上の確立、カーボン・ニュートラルに向けた製品開発への取組、既存プラントにおけるメンテナンスのサブスクリプションなどの新しいビジネスモデルへの取組、さらには新規分野を伸ばすことが中期経営計画の達成に必要と考えております。

 これらを踏まえて、長期経営計画での基本方針は以下となります。

 イ. 国内の収益基盤の強化は全部門のレベルアップにより製品力を向上させて、現状一桁の国内売上高営業利益率を10%にする。

 ロ. 海外売上の確立は実績を積み上げているタイ、インドネシアにおいて攻め方を変えて強化する。

 ハ. 新規事業の推進はM&Aだけでなく現在取り組んでいる新規事業に対して経営資源を投入、柱とすべく10年後に100億円の売上を創出する。

 ニ. 働き方改革の実践は当社製品でお客様の働き方改革に貢献できるような製品を展開し、当社においては労働生産性を高めて余力を作り、新規領域に投入する。

 ホ. 以上の結果として、10年後に時価総額500億円以上、ROEで10%以上を目指す。また配当性向を60%以上とし、株主還元も強化する。

④長期目標を達成するに当たっての経営者の認識

 長期経営目標を達成するにあたり、当社の価値創造プロセス(=ビジネスモデル)との関連性を示しつつ、コアとなる4つの技術、すなわち混練、加熱、制御、搬送で参入障壁の高い独自技術(=競争力の源泉)をより強化させることが重要と考えております。これらは強固な財務基盤や顧客ニーズに応える研究・開発体制、ソリューションパートナーとしての顧客企業からの信頼、調達先とのパートナーシップ、代理店・協力工事店との協働に支えられています。

 国内のアスファルトプラント(AP)関連事業は、顧客の8割が大手舗装会社で固定化しており、アスファルト合材製造量も4,000万トンをやや下回った水準が続くと考えられます。当面の国内需要は、1980年代に製造されたAPの更新需要に支えられた高原横這いの状況が続くと予想されますが、中長期的には成長余地が大きい海外事業の拡大が不可欠と見ています。国内の当社APシェアは8割程度(国内メーカーは他1社)ですが、リサイクル合材をメインに差別化したVPシリーズの拡販、カーボン・ニュートラルに向けた製品開発への取組、慢性的な人手不足を抱える顧客への遠隔化・自動化による工場運営のサポートサービス、などのビジネスモデル刷新を進めてまいります。海外は主力の中国に加えて、現地法人を設立、工場を新設したタイを起点としたASEANの顧客基盤の拡大を目指します。

 国内のコンクリートプラント(BP)関連事業は、生コンクリートの工場数が2015年末の3,396箇所から2023年末には3,054箇所へ減少、中期的にも工場数の減少が予想されます。市場は成熟化しており、競合2社と静態シェアが拮抗した状況にあります。当社の強みである自社製操作盤による最適なプラントの保守運用、運営状況の把握による生コン工場のトータル管理やプラントの標準化を推進することが、シェアアップと収益確保に寄与するものと考えています。加えて、プラントの集約化に伴う遠隔地域での需要や災害復興など向けにモバイルBPの拡販をおこない、地場ゼネコンに向けても新しい需要の創出をおこないます。

 また、世界的に気候変動リスクへの対応が叫ばれる中、日工グループの事業内容は社会や環境課題と深い関係があります。現在稼働する国内アスファルト合材工場全体から排出されるCO2は年間約130万トンであり、日本の年間CO2排出量10億トンの0.1%に相当します。日工グループは2050年にCO2排出量実質ゼロを目指すことを経営方針として明確に打ち出しており、プラント製造時に自社で排出するCO2だけではなく、販売先の日工製プラントが稼働時に排出するCO2を含めてカーボン・ニュートラルを達成できるよう顧客企業様と緊密に連携していきます。

 最後に株主様からお預かりした資金を最大限活用して、その期待に応えるため、資本コストを全社で共有し、それを上回るリターンを上げることも重視いたします。この結果として、2029年度末には株式の時価総額500億円以上、ROE8%以上をKPIとして目指します。また成長投資と株主還元を同時に強化し、配当性向60%を継続致します。これらが中長期の企業価値向上に欠かせないと考えております。

< 日工のビジネスモデル >

 日工グループ統合レポート2023

(2)中期経営計画のセグメント別見通し

 当連結会計年度よりはじまりました中期経営計画(2022~2024年度)の2年目は、売上高、利益項目ともに対前年比増となりましたが計画未達に終わりました。国内事業は回復基調となり製造請負関連事業、破砕機事業が大きく伸長したものの中国の景気落ち込みによる販売低下などにより未達となりました。

 中期経営計画である2022年度から2024年度における各セグメントの財務目標は次のとおりです。

※AP=アスファルトプラント、BP=バッチャープラント(コンクリートプラント)

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 ①アスファルトプラント事業の収益性向上

 道路舗装業界は、昨年同様原材料費並びにエネルギーコストの高騰が続き、一部改善されたものの、価格転嫁の途上にあり、厳しい状況が続いております。そのような環境の中、当社はGX(グリーントランスフォーメーション)対応の中温化合材普及などに伴う対応設備の開発、市場投入を推進するとともに、引き続き、水素バーナ、バイオマス燃料バーナなど脱炭素製品の開発や市場投入を行い、収益性を改善してまいります。さらに、ユニット化した生産効率の高い新型アスファルトプラントの販売比率を上げることで、収益を改善してまいります。

 ②コンクリートプラント事業の国内シェア拡大

 生コン業界は、出荷量が減少する中で、電力や原材料、輸送コストなどのコストアップ分を経済産業省、国土交通省、生コン議員連盟の協力を得て適正に価格転嫁し物価資料の掲載価格などにも反映されたことにより好調に推移しており、今後も継続的な需要を見込むことができます。

 コンクリートプラントのトップメーカーとして更なるシェアを拡大するため、生コン工場におけるトータル管理、プラント支援センター、モバイルプラントの拡販、プレキャストの高い要求水準を満たす製品開発によって差別化を図ってまいります。

 また、引き続き経済産業省及びNEDO等による『グリーンイノベーション基金事業/CO₂を用いたコンクリート等製造技術開発プロジェクト』にも積極的に参画してまいります。

 ③メンテナンス事業の安全対策

 当社では年間1000件以上のプラント工事に携わる中、安全対策を最優先事項としております。労働災害撲滅に向けプラント安全対策プロジェクトを立ち上げ、安全対策マニュアルや注意喚起動画の制作、見直しを進めております。

 その取り組みのなかで、昨年は作業管理アプリ「みまもり君」を開発しリスクアセスメントの強化を図りました。

 当社社員だけではなく、工事協力店やお客様にも安全衛生のサポート業務を展開しており、さらなる信頼性の向上に努めてまいります。

 ④海外市場の深耕

 タイにおけるリサイクル合材の普及が始まり、リサイクル装置の市況が活性化しております。日本のリサイクル技術は世界トップレベルであり、リサイクル合材普及に向けてタイ政府や民間会社と積極的に関わっております。新型リサイクル設備を市場に投入する事によりタイにおけるシェアを拡大し、タイでのトップメーカーを目指してまいります。

 ⑤新規発展領域の拡充

 国内砕石プラントの多くが老朽化による更新時期を迎え、扱いやすい自走式破砕機の需要が増加しております。この需要に応えるべくモバイルプラント事業部では、在庫管理体制や人員の強化、積極的な販促イベントを行い更なる事業規模拡大に取り組んだ結果、事業規模が2年で2倍に成長いたしました。2024年度も積極的な販促イベントによる更なるシェア拡大を目指してまいります。

 また、製造請負事業の強化のためM&Aを実施し、2022年3月に宇部興機株式会社を、2023年7月に株式会社松田機工を当社グループに迎えました。本社工場での製造請負事業は20年以上にわたる実績から信頼を積み重ね、2023年度は近年最高の受注を獲得いたしました。

 2024年度以降もグループ連携を強化し、高収益な事業として注力いたします。

 ⑥環境負荷低減への取り組み

 「脱炭素社会」の実現に向け、アスファルトプラント用燃料として、天然ガス、各種バイオマス燃料、アンモニア、水素などを利用できる燃焼装置、技術の開発を進めております。これらの低・脱炭素燃料については既存燃料と比べ、コスト、流通量の面で発展途上ではありますが、環境が整い次第これらの新技術を用いた製品を市場に投入することで、先行優位性を確保いたします。また、引き続き省エネルギー、省コストへの取組みにも注力し、長期・短期での環境負荷低減に寄与してまいります。

 一方、コンクリート業界においても低炭素化は大きな潮流となっております。当社としましては廃コンクリートへCO₂を吸着する技術を利用した各種プラント装置の開発を進めており、今後普及が見込まれ、社会的に大きなインパクトを与えることが期待されます。上記を一例として、引き続き環境負荷低減に関わる技術開発、製品開発に取り組んでまいります。

 ⑦成長投資と株主還元

 前中期経営計画の期間では、今後の成長に備えた基盤づくりとして、タイ工場建設、企業買収、生産性改善を目的とした投資を積極的に行ってまいりました。

 現在の中期経営計画期間中は人的資本の充実に向けた積極投資を行っております。

 具体的には中期経営計画の3年間で社員採用を積極的に行い145名の純増(日工単体)を予定しております。今年度においては新卒33名、中途36名の合計69名を採用いたしました。

 株主還元に関しましては、現在の中期経営計画期間中は配当性向60%以上を継続いたします。

 以上の対処すべき課題を踏まえた上で、目標とする経営指標の推移は以下となります。中期経営計画ではROEをKPIに設定し、2029年度にROE10%以上を目指します。

 中期経営計画の数値計画

※計画=中期経営計画

※2019年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行いました。2019年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり配当金を算出しております。

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