企業兼大株主新電元工業東証プライム:6844】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

 当社グループでは、中長期的な企業価値向上に向け、サステナビリティ基本方針を定め、事業活動を行っております。

<サステナビリティ基本方針>

 新電元グループは、『企業ミッション』の実践とともにESG(環境・社会・ガバナンス)経営を積極的に推進します。持続可能な社会の実現に貢献し、長期的な視点での企業価値の向上に努めます。

 ついては、以下を推進します。

・『環境ビジョン』を掲げ、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」 の実現に貢献します。

・人権と多様性を尊重し、ステークホルダーエンゲージメントの向上を図ります。

・人材育成と社内環境整備を通じて、「安心・安全」で働きがいのある職場づくりに努めます。

・公正かつ透明性の高い経営を行い、幅広いステークホルダーの信頼と期待に応えます。

 企業活動そのもので環境・社会に貢献する重要な課題について、ESGのフレームワークのなかで機会・リスク分析を行い、ESGマテリアリティとして「環境配慮型製品による価値提供」「事業活動と環境との調和」「多様で、働きがいのある職場づくり」「公正かつ透明性が高い経営基盤の強化」の4つを特定しております。中期経営計画と連携し、これらのESGマテリアリティを実践していくことで、環境・社会課題に貢献し、持続可能な企業価値を創出いたします。

 これらを実行するために代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、当委員会の配下に関連委員会を組織することでサステナビリティに資する課題を統合的に管理しております。

 また、サステナビリティ基本方針に沿って的確に取組みを進めていくため、ESGマテリアリティの実践を主眼に置いた目標策定と評価を行っており、その達成度合いの検証・評価・総括結果を次年度の指標に反映しております。

 ガバナンス体制の詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

(2)気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への対応状況

①ガバナンス

 当社の取締役会は、当社グループにおける気候変動関連のリスク及び機会を含む経営上の重要事項に関して審議・決定しております。くわえて、取締役の業務執行状況について適宜報告を受けており、適切に管理・監督されるよう体制を整えております。

BCM委員会は、気候変動問題を含む事業継続の有効性について確認し、環境委員会は、環境に係わる方針および目的・目標の審議、気候変動問題をはじめとする地球環境保護に関する諸施策の協議並びに進捗状況確認などを担っております。また、環境委員会の下部機関として、専門的立場より調査・検討し、具体案を答申するための専門部会を設置しております。

 これら組織の活動状況はサステナビリティ委員会を通して適宜取締役会に報告され、コーポレート・ガバナンスの充実ならびにサステナビリティ活動の強化に努めております。

 当社グループは「長期ビジョン2030」にて会社のありたい姿を「革新的な技術によって地球環境に配慮した先進的なソリューションを生み出して持続可能な社会に貢献し、あらゆるステークホルダーから必要とされ続けるパワーエレクトロニクスカンパニー」と定めております。気候変動を社会的な重要課題であると認識するとともに、事業上のリスクおよび機会として捉え、CO2排出量削減活動や循環型ビジネスの拡大などの取組みを長期的かつ継続的に強化してまいります。

②戦略

 気候変動対策を経営戦略に反映するため、TCFD提言に沿ってシナリオ分析を実施しました。なおシナリオ分析には、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の示す2℃未満シナリオ、4℃シナリオを参照しております。

 分析の結果、2℃未満シナリオでは、脱炭素社会に向けた規制強化や技術革新が促され、気温上昇が持続可能な範囲で収まり、脱炭素化に向けた政策転換、技術革新、評判の変化など、移行リスク・機会への対応が推進されると考えられます。4℃シナリオでは、CO2を削減する有効な対策が打ち出されず、気温上昇が継続し、異常気象の激甚化など、物理的リスク・機会への対応が最重要課題になると考えられます。いずれも当社グループにとって、コストの増加が懸念される一方、環境対応型製品の需要拡大が想定されるため、ビジネスの裾野は広がりをみせると捉えております。

 現時点で想定している主なリスク、機会、対応策および財務影響は下表のとおりです。なお、事業活動に与える財務影響度合を「大」「中」「小」の3段階で評価しました。

<移行リスク・機会>

想定項目

リスク●/機会◎

対応策

財務影響

政策

各国のエネルギー政策促進(xEV進展、補助金拡大など)

●脱炭素・低炭素エネルギー利用が促進されることにより、購入エネルギー費用などの事業コスト負担が増える。
●内燃エンジン車の利用を禁止する政策に伴い現行の関連製品が衰退する。
◎xEV進展により、各種パワー半導体、制御ユニット、コンバータ、EV充電器等の需要が増加する。
◎空調・サーバー向けにダイオード等の需要が増加する。

環境配慮型製品の開発リソースを強化する。
工場で使用するエネルギーの効率化、物流の最適化、更なる省エネに繋がる高効率設備の導入等を推進する。

炭素税の導入

●炭素税の導入または炭素税率の上昇によりコストが増加する(再生可能エネルギーの購入によるコスト増、サーチャージUPによる輸送コスト増など)。
●内燃エンジン車の利用を禁止する政策に伴い現行の関連製品が衰退する。
◎xEV進展により、各種パワー半導体、制御ユニット、コンバータ、EV充電器等の需要が増加する。
◎空調・サーバー向けにダイオード等の需要が増加する。

製品の小型化、軽量化、再生材料の使用拡大など資源効率を向上させる。
工場で使用するエネルギーの効率化を図る。

技術

脱炭素化に向けたマーケット要求の変化、製品開発への影響

●エネルギー関連技術の開発競争が激化し、設備投資や研究開発費が増加する。
●脱エンジン化の加速により現行の関連製品は販売機会を逸する。
◎AI・IoT・スマートシティなど、制御の高度化、デジタル技術の拡大、再生可能エネルギーの導入、EV化の増加等が想定され、関連製品の需要拡大につながる。
◎社会の脱炭素化により、環境配慮型製品の需要が増加し、事業拡大につながる。

カーボンニュートラル部材を調達する。
工場、事業所の自然エネルギー利用比率を向上させる。
更なる低炭素化に向けた製品の企画・開発を強化する。

評判

顧客、投資家による評価の変化

●気候変動への対応が不十分な場合、収益の悪化や資金調達が困難となる。
◎環境負荷に考慮した製品ニーズが増加し収益が拡大する。顧客、投資家から当社の評価が上がり、企業価値が向上する。

環境負荷低減製品のPRや気候変動を含む環境課題に関する取組みを積極的に開示する。
工場や事業所にて使用するエネルギーを再生可能エネルギーに切り替える。

<物理的リスク・機会>

想定項目

リスク●/機会◎

対応策

財務影響

急性

異常気象の激甚化(風水害の多発)

●風水害による操業停止、生産減少、設備復旧や保険料UP等コスト発生、サプライチェーン寸断による納期遅延などにより、収益を悪化させる。
◎風水害対策用の発電/蓄電関連製品の需要が拡大する。
◎災害からの復旧・復興需要やBCP対策投資活性化に伴い通信用電源や発電/蓄電等の関連製品の需要が増加する。

部品調達から生産・販売までのサプライチェーン全体で事業継続計画(BCP)体制を強化する。
暴風、豪雨、浸水対策および訓練を実施する。
サプライヤーや輸送手段の多角化を進める。
発電/蓄電関連製品や耐水・耐熱性に優れた製品の開発を進める。

慢性

降水パターンの変化、平均気温の上昇、海面上昇

●洪水あるいは水不足等により生産能力が減少する。
●暑熱対策による空調等のコスト増や電力需要逼迫による停電の発生が収益を悪化させる。
◎降水パターンの変化など気候変動の慢性的な影響が顕在化することにより、発電/蓄電、xEV、空調市場の需要が増える。

部品調達から生産・販売までのサプライチェーン全体で事業継続計画(BCP)体制を強化する。
高効率生産設備、自家発電設備等を導入する。
発電/蓄電関連製品や耐水・耐熱性に優れた製品の開発を進める。

③リスク管理

 取締役会および環境委員会は、気候変動に関連する規制や当社グループの事業運営に影響を及ぼすリスク要因について幅広く情報収集するとともに、気候変動によってリスクが顕在化すると想定される事象については、その影響を評価しリスクの最小化に向けて対策を講じるなど、適切に管理しております。

 また、気候変動関連リスクを含む全ての業務リスクについては、BCM委員会において評価し、適宜、取締役会に報告を行っております。くわえて、事業継続計画(BCP)に基づき、自然災害などによって通常の状態では事業の遂行が困難になった場合に備えて実践的なBCP訓練を実施するなど、企業としての防災力、事業継続力の更なる向上に努めております。

④指標及び目標

 地球環境保護への取組みを経営の重要課題の一つと位置づけ、長期的な視点から持続可能な地球環境と社会の実現に向けた活動をグループ一丸となって推進することを目的に「環境ビジョン2050」を策定しました。当社グループが目指す持続可能な社会を「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」と定め、自社グループの事業活動のみならず、2050年を目標にバリューチェーン全体を視野に入れた環境負荷の最小化を目指します。また「環境ビジョン2050」に向かう道標として、「2030年度 環境目標」を合わせて設定し、当社グループが特定したSDGsマテリアリティの実践を通じて環境貢献を加速いたします。

(3)人的資本経営の取組み状況

 当社は「社会と共に、顧客と共に、従業員と共に、成長する企業」を経営理念に掲げ、人の成長が企業の価値創造の源泉であり、多様で自律的な知と知の融合が新たな価値創造と持続的な成長をもたらすと捉えています。人権の尊重を基盤とし、人材育成、多様な人材の活躍促進、柔軟な働き方の拡充、安全と健康の推進の各種施策を進めています。

①人権尊重

 当社グループは、人権方針にて「人権配慮に関する国際的な価値観を尊重し、人権に関する認識を高め、人権尊重に向けた取り組みを推進していきます」と掲げています。

②人材育成

 当社では、新入社員研修、入社3年目研修、資格別研修、職種別研修、職位別研修に加え、公募制の財務研修やマーケティング研修などの自己啓発型教育研修を実施するとともに、自己申告制度や社内公募制度により一人ひとりのキャリアアップをサポートしています。また、外国語研修や若手社員の海外研修などにより益々グローバル化する事業をリードしていく人材を育成しています。くわえて、発明、発案、公的資格取得における褒賞制度を設け、研究開発の向上や多様な職場、職務において従業員一人ひとりの活躍を推進しています。

③多様な人材の活躍推進と柔軟な働き方の拡充

a.女性活躍推進

 当社では、男女差なく活躍できる多様な働き方を推進し、女性社員採用の拡充および活躍の場を広げていきます。従業員の出産および産前産後の健康管理について各種休暇や育児時間・健康管理時間を設け、育児休業や介護休業の制度拡充を進め、以下の目標を掲げています。

・女性応募者獲得の施策を拡充し、新卒採用者に占める女性比率を30%以上とする・・・2022年度実績:29.0%

・幅広い部署・職種へ女性社員を積極的に配置する

・男性の育児休業取得率を30%以上とし、男女ともに多様な働き方を促進する  ・・・2022年度実績:44.4%

 女性活躍推進に関連する主な指標の2022年度実績は以下のとおりです。

・女性従業員比率  (単体) 10.3%

・女性従業員比率  (連結) 42.1%

・女性管理職比率  (単体)  0.6%

・女性管理職比率  (連結)  9.8%

b.外国籍従業員の活躍推進

 当社グループでは、事業のグローバル化に伴い海外の従業員数が国内の従業員数を上回るなか、当社グループ人権方針を通じて異なる価値観や経験を互いに尊重し、従業員一人ひとりの個性を最大限に活かす機会を提供することで、社会の変化に対応した新しい価値観やビジネスの創造と従業員の精神的な豊かさの追求につながると考えています。

c.障がい者の雇用と高齢者の活用

 当社グループでは障がい者の雇用促進や、60歳定年退職者の再雇用制度により65歳までの継続雇用を行っています。また当社では2022年9月より定年を65歳に延長しています。

・障がい者雇用率目標:2.3%                        ・・・2022年度実績:2.4%

d.働きやすい環境の整備

 フレックスタイム勤務制度を併用した在宅勤務制度、勤続年数に応じたリフレッシュ休暇、有給休暇5日/年の取得義務化、残業上限時間の設定など働きやすい環境の充実に取組んでいます。

④安全と健康の推進

 新電元グループでは、安全衛生活動の推進を重要課題に掲げ、労働安全衛生の継続的な改善を図り、従業員の安全と健康に配慮した職場環境を整備しています。2022年度において重大な労働災害の発生はありませんでした。

 当社朝霞事業所および一部グループ会社は労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格であるISO45001の認証を取得し、これとともに新電元グループを包括する労働安全衛生方針を制定しています。

 また、当社朝霞事業所は「CASBEE建築評価認証Sランク」「ZEB Ready」「CASBEEウェルネスオフィスSランク」と建築物の代表的な評価・認証の3つ全てを取得し、「安全・安心、環境、健康・快適性」を評価されています。

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