戸田工業 【東証スタンダード:4100】「化学」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 気候変動への対応(TCFD提言への取組み)
当社グループでは、将来の世代も安心して暮らせる持続可能な経済社会をつくるため、気候変動を経営上の重要課題とし、地球温暖化対策に取り組んでおります。また、取組みを着実に実行するとともに、TCFDが推奨するシナリオ分析に基づいた気候変動のリスク・機会の評価を行い、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」に関する開示を段階的に充実してまいります。
① ガバナンス
気候変動対応への全社的な推進・管理に向けて、リスク管理委員会(委員長:代表取締役社長執行役員)の直下に、CSR・環境委員会を設置し、国内グループの環境に関する統括管理を実施しております。
取締役会は、リスク管理委員会からの報告を通じて気候変動への対応状況を確認し、必要な体制・制度の構築について決定・監督を行っております。CSR・環境委員会は、委員長を経営企画室長が担当し、全社横断的な各事業所の責任者及び担当者で構成しております。
なお、当社の気候変動対応への推進・管理に関する体制図は以下のとおりであります。
② 戦略
気候変動により世界全体の平均気温が4℃上昇することは、社会に非常に大きな影響を及ぼします。
気温上昇を1.5℃未満までに抑えることを目指すパリ協定を踏まえ、当社グループでは、1.5℃シナリオと2℃シナリオ及び4℃シナリオにて、リスクと機会を分析しております。
(主な事業リスクと機会)
区分 | 種類 | 事業活動への影響 | 時間軸 | 評価 |
移行リスク | 政策/法規制 | カーボンプライシング(炭素税、排出量取引等)による税負担の増加 | 中~長期 | 中 |
技術 | 低炭素化設備・低炭素プロセスへの転換による設備投資の増加 | 中~長期 | 中 | |
市場 | 原材料・エネルギーの調達コストの増加 | 中~長期 | 中 | |
複写機・プリンター使用控えによるトナーの需要減少 | 中~長期 | 中 | ||
評判 | 気候変動対応への取組みが不十分と評価された場合、顧客、投資家からの評価低下 | 中~長期 | 中 | |
物理的リスク | 急性 | 自然災害による建物や設備への被害 | 中~長期 | 大 |
サプライチェーン寸断による工場操業率低下 | 中~長期 | 中 | ||
慢性 | 海面上昇による沿岸部事業所への追加投資の発生 | 長期 | 大 | |
機会 | 製品/サービス | EV市場の拡大によるプラスチックマグネット、チタン酸バリウム及び非接触給電用部材の需要増加 | 中~長期 | 大 |
自然災害から農作物を守るためにビニールハウス市場の拡大による農業用ポリオレフィン保湿材の需要増加 | 中~長期 | 中 | ||
市場 | CCUS市場の拡大に伴うCO2固体回収材の需要増加 | 中~長期 | 大 | |
メタン直接改質法による水素・カーボンナノチューブ供給の需要増加 | 中~長期 | 中 |
③ リスク管理
CSR・環境委員会を毎月開催し、「国内グループの環境に関する統括管理」、「各事業所における年度目標の設定」や「各事業所から毎月の活動報告を通じた進捗管理」を実施しております。
また、リスク管理委員会を通じて、取締役会への気候変動対応に関する報告を年2回実施しております。
④ 指標及び目標
当社グループの日本国内における2022年度のGHG排出量について、Scope1+2は41,067 t-CO2、Scope3は147,260 t-CO2となりました。
GHG排出量 t-CO2
| 2022年度 |
Scope1+2, 日本国内 | 41,067 |
Scope3, 日本国内 | 147,260 |
2050年までにカーボンニュートラル(GHG排出を全体としてゼロ)を目指すため、Scope1+2のGHG排出量、売上高基準のGHG排出量及び再生可能エネルギーの利用について、2019年に策定した『環境ビジョン2033』を見直し、挑戦的な2030年の目標を設定いたしました。
1 Scope1+2のGHG排出量 22,000 t-CO2まで削減
(2013年度比で75%削減)
2 売上高基準のGHG排出量 70%削減
(2013年度比)
3 再生可能エネルギーの利用 17%以上
GHG排出量(Scope3,日本国内,2022年度)
Category | 項目 | t-CO2 | 算定拠点 | 排出係数の取得方法 | 備考 |
1 | 購入した製品・ サービス | 104,939 | 戸田工業 | IDEA Ver.2.3 | 算出対象の費目は、調達金額の上位90%以上 |
東京色材工業 | |||||
2 | 資本財 | 2,214 | 戸田工業 | 環境省_排出原単位 データベース Ver.3.3 | - |
3 | 調達している 燃料の上流 | 12,614 | 戸田工業 | IDEA Ver.2.3 | - |
東京色材工業 | |||||
4 | 輸送、配送 (上流) | 7,227 | 戸田工業 | 環境省_排出原単位 データベース Ver.3.3 | 算出対象は、調達数量上位から90%以上 |
小野田事業所 | |||||
大竹事業所 | |||||
岡山事業所 | |||||
東京色材工業 | |||||
5 | 事業から出る 廃棄物 | 380 | 小野田事業所 | IDEA Ver.2.3 | 生産拠点のみ算定対象 |
大竹事業所 | |||||
岡山事業所 | |||||
東京色材工業 | |||||
6 | 出張 | 148 | 戸田工業 | IDEA Ver.2.3 | - |
7 | 雇用者の通勤 | 321 | 戸田工業 | IDEA Ver.2.3 | - |
東京色材工業 | |||||
戸田ファインテック | |||||
8 | リース資産 (上流) | 対象外 | - | - | - |
9 | 輸送、配送 (下流) | 2,231 | 小野田事業所 | 環境省_排出原単位 データベース Ver.3.3 | 取引数量の多い取引先向けの排出量をもとに拡大推計 |
大竹事業所 | |||||
岡山事業所 | |||||
10 | 販売した製品の加工 | 対象外 | - | - | - |
11 | 販売した製品の使用 | 対象外 | - | - | - |
12 | 販売した製品の廃棄 | 17,185 | 戸田工業 | IDEA Ver.2.3 | - |
東京色材工業 | |||||
13 | リース資産 (下流) | 対象外 | - | - | - |
14 | フランチャイズ | 対象外 | - | - | - |
15 | 投資 | 対象外 | - | - | - |
- | その他(任意) | 対象外 | - | - | - |
合計 | 147,260 | - | - | - |
(注)IDEAは、農・林・水産物、工業製品等の日本の全ての製品・サービスの環境負荷物質を定量できるデータベース
です。
(2) 人材育成
① 人事ビジョン ~当社グループ人事施策の根幹~
社員の成長を通して組織力を高め、社業を発展させ、社会に貢献いたします。 |
② 当社グループの求める将来像
2023年、創業200周年・会社設立90周年を迎えました。この機に、創業から脈々と受け継がれてきた技術立社の精神への認識を新たにし、より強固な経営体制とともに、夢や希望を持ち、明るい未来に向かって生き生きと仕事が続けられる風土作りに取り組んでまいります。引き続き創業300年に向けても、社員が成長し、信頼と感謝の気持ちで相互に繋がり、そしてお客様から厚く信頼される、かけがえの無い存在価値を持った会社になる将来像を思い描いております。
第89期(2022年3月期)には、中期経営計画を策定し、既存事業を掘り下げながらも、環境・軟磁性といった新規事業での価値創造に積極的に取り組み、企業価値・収益性の向上及び財務基盤の一層の安定を目指し取り組み始めました。そのためにも、生技販管(全機能別組織)が一丸となり、それぞれの力を高め、また連携して事業発展に努める必要があります。
(抜粋)中期事業計画「Vision2023」
◎基本方針 ・収益を伴った確実な成長 ・組織力の強化 | ◎経営方針 ・ビジネスの拡大 ・高収益体質の強化 ・経営基盤の充実(リスク管理、ガバナンス強化、DX) |
◎基本戦略 ・収益基盤事業 ・成長事業 ・中長期成長事業 |
:機能性顔料事業 :電子素材事業(磁石材料および誘電体材料を中心) :軟磁性材料および環境関連材料の新規事業 |
③ 求める(目指す)人物像 ~率先垂範により周囲に好影響を与える~
基本姿勢 :意欲に溢れ、柔軟性と主体性を持ちあわせ、自己実現と顧客と当社グループの成長に向かってチャレンジを続ける人材 (顧客とともに組織、個人の成長に応える) ⇒全員が各々役割に応じたリーダーシップを発揮 技術志向 :高い専門性を有し、創意工夫により付加価値を創出できる人材 (顧客、社会のイノベーションに応える) ⇒技術立社の精神を支えるため、日々研鑽 組織志向 :多様な価値観を理解した上で、コミュニケーションを重視し、組織連携で業務にあたる人材 (厳しい競争環境に勝ち抜くため総力戦で応える) ⇒助け合い、ともに高め合う 品格 :企業人として高い倫理観を持って品格のある行動を取れる人材 (誇れる個人・会社になる期待に応える) ⇒人格の陶冶を怠らない |
④ 人材育成方針 ~「技術立社」の精神を礎に創業以来、200年培われてきた技術を“今”に活かす~
当社グループは従業員一人一人の独創性と多様性を大切にし、先進性に富む開発力で社会に貢献できる企業を目指し、明るい未来に向けてチャレンジを続けていきます。 会社としては、従業員の能力の限りない飛躍を支援すべく、就業環境を整え、専門性を高めるための学習への支援を行います。 結果、事業会社として社会や投資家に還元する適切な収益を確保しつつ、従業員の幸せに満ちた生活を築くことを目指します。 このことを組織として、改めて確認したのが、2023年の創業200周年・会社設立90周年を迎えるに際して制定した「微粒子の可能性を、世界の可能性に変えていく。」というパーパスです。 「微粒子」は当社グループが創業以来、培った「微粒子合成技術」に由来するものですが、パーパスのステートメント/スローガンに掲げている通り、「(微)粒子=社員(人材)」を意味しています。 |
⑤ 人材戦略
当社グループは、様々な社員の英知を結集し、製品・サービスを創造・製造し、お客様に提供し、満足いただくサイクルがうまく回るように日々取り組んでおります。そこでの成功のカギは、社員が成長し、いかに力を発揮できるかによります。
当社人事部門は、社員の成長、思う存分力を発揮できる職場環境を整え、継続的に社業が発展し、社会に貢献するプロセス(成長・発展の好循環)を支えてまいります。
ガバナンス | ・社長執行役員を起点とし、経営戦略との連携、全社最適の判断を確実にした人事戦略を策定、推進しております。 ・当社において2024年3月までに、タレントマネジメントシステムの導入、人事部門による全社員への面談、適性診断(パーソナル/マネジメント)の実施、健康管理システムの導入等により、より従業員や組織のニーズ・状況を把握し、各種施策に反映させてまいります。 | |
戦略 | 人材獲得戦略 | インターンシップ、大学訪問、会社説明会の量と質の強化、多様な人材積極採用、リファーラル採用推進リターン採用、オンボーディングの充実等 |
育成戦略 | 全階層別研修、次期幹部候補の選抜育成(人材プール構築)、専門人材の育成等 | |
配置戦略 | 要員調査、育成目線のローテーション、各社員の適性を参考にした配置等 | |
エンゲージメント戦略 | 働き方改革(在宅勤務、男性育休)、ダイバーシティマネジメント、ハラスメント研修、人事制度のブラッシュアップ等 | |
健康増進 | 健康管理システム導入、全社横断的メンタルヘルケア体制の構築等 | |
課題 | ・企業価値向上をもたらす様々な人材の需要の高まり(主要ポジションの後継者候補、新規成長事業への人材供給、生技販管の必要人員充足(サプライチェーンの安定稼働)、DX、ファイナンス、リーガル、マーケティング等の専門人材等) ・男女・年齢・役職の人数構成のアンバランス等 |
⑥ 重点目標値
当社では、上記において記載した人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
指標 | 目標 | 実績 (当連結会計年度) | |
働きやすい/働きがいのある職場環境 | 女性従業員比率(注) | 2030年目標値 25.0% | 17.1% |
女性管理職比率(注) | 2030年目標値 10.0% | 2.8% | |
男性従業員の育休取得率 | 2030年目標値 95.0% | 91.7% | |
従業員エンゲージメントサーベイ実施 | 当社において2024年3月までに第1回目実施し、重点項目を見極め、向上を目指す。 | - | |
後継者候補の選抜・育成 | 次世代幹部候補研修 | 研修開催 受講者数 6名以上/年 | - |
育成環境の充実 | 一人当たりの教育費用 | 2030年目標値 30,000円 | 19,800円 |
(注)女性従業員比率、女性管理職比率及び男性従業員の育休取得率の算出方法については、「第1 企業の状況 5 従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。
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