企業成友興業名証メイン:9170】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 (1)経営方針

 当社グループは、環境事業、建設事業及び環境エンジニアリング事業を営み、事業間において常に先を見据え、または他企業と再資源化を推進する(当社では、「e Synergy System」と呼んでいます。)ことで、再開発等の都市更新を下支えし、将来を先取りした(当社では、「Think ahead」と呼んでいます。)企業を目指して、事業活動を行っております。

 当社グループの属する産業廃棄物処理業界・汚染土壌処理業界・建設業界と関連性が高い国内建設市場は、高度成長期以降に整備された首都高速道路、地下鉄、一般道路等の都市インフラの老朽化に伴い、それらの更新時期を迎えていることから、引き続き建設廃棄物処理に対する旺盛な需要が継続する見通しであります。更には羽田空港アクセス線やリニア新幹線など大型プロジェクトも控えており、益々その重要性が増していると考えております。

 これまで携わった都市開発事業や公共工事は、現在では東京都の観光地やランドマーク、また日常生活に必要不可欠なインフラとして、未来に繋がっていく事業であります。そのため当社の使命は、都市更新に伴い排出される廃棄物を可能な限り優良な製品として社会に還元し、地域社会と地球環境に貢献しながら都市更新を下支えしていくことであります。長年構想してまいりました再生骨材の普及については、カーボンハーフやカーボンニュートラルが追い風となり、再生骨材の付加価値とすべく信頼できるパートナーとともにプロジェクトに積極的に取り組んでまいります。

 (2)経営環境

 当社グループの環境事業が属する産業廃棄物処理業の推定市場規模は約5.2兆円となっております。(注1)

 今後も前述のような都市更新が控えている他、地球環境・生活環境の向上に対する国・地方自治体・国民の意識はますます高くなり、ライフサイクルアセスメント(注2)の観点からも新材を山などから切り崩して利用するより、再生材を再資源化し建設現場で利用するほうがCO2(二酸化炭素)の排出量は少ないため、2030年のカーボンハーフ、2050年のカーボンニュートラルの目標達成には再生品の利用が、ますます加速していくと想定しております。さらに2023年5月に施行された盛土規制法に伴い、今後は建設発生土の取扱いは、厳格な運用となると考えられております。

 一方で産業廃棄物処理業界及び汚染土壌処理業界においては事業者のほとんどが従業員100人未満の中小零細企業で占められているなか、規模の経済やコスト競争力の向上を目指す大手事業者による業務提携・M&Aの動きが活発化するとともに、競争が一段と激化しております。(注3)

 また、当社グループの建設事業が属する首都圏の建設業界においては、大規模震災に備えた国土強靭化計画及び再開発が進んでおり、建設投資は引き続き拡大する傾向にあると考えられます。一方、建設就業者数は1997年(約685万人)をピークとして減少が続いており、2023年はピーク時比70.5%の約483万人であります。また全産業と比べて高齢化が進んでいることから、建設業の生産体制を将来にわたって維持していくためには、若年者の入職促進と定着による円滑な世代交代が不可欠であります。(注4)

 さらに働き方改革の一環として時間外労働の上限が適用される建設業の働き方が喫緊の課題とされており、次世代に即した労働環境構築が必要となっております。今後の、環境事業においては、処理設備の充実及び土壌汚染調査・処理技術の向上に努め、建設事業においては、地域のまちづくりや災害時の救命・地域復興の担い手としての使命を果たすべく技術の向上に努めるとともに、他社との差別化をより一層進展させ、業容の拡大を図ってまいります。

 (3)経営戦略等

 当社グループは、各省庁及び各地方自治体への受注先の多角化、技術者の育成、処理能力の増強や取扱品目の拡大と継続したコスト削減により、さらなる売上成長と利益率の向上を目指してまいります。中長期的には、事業の高度化を推進し進化していくため、以下の施策に取り組んでまいります。

 中期経営計画期間における施策

a.環境事業

 当社環境事業は、リサイクル率99%以上を目指しており、当社処理施設にて中間処理を行うことで、これまで培った資源循環の環を活かし、首都圏の都市形成の一助となる事業の高度化を推進し、グループ企業とのシナジー効果を創出し売上成長と利益率の向上に繋げてまいります。

 増収の具体的な策として、通常の中間処理では難しい廃棄物を受け入れることで、受入処理単価の増加に努めます。増益の具体的な策としては、当社で中間処理を施した砂や浄化済土壌は、徹底した品質管理がされているため、優良な建設資材として全国各地建設現場で利用できます。建設現場で活用できる再生製品の利用量が増加することで、セメントメーカーへ委託する二次処理の委託量が少なくなるため、製造原価の低減に繋がり利益率が向上します。

 さらに、今後のカーボンニュートラルに向けて、信頼できるパートナー企業とともに、脱炭素社会への転換を見据え、プロジェクトに積極的に取り組んでまいります。

b.建設事業

 建設事業は、主に東京都23区を当社が、多摩地域、神奈川県をグループ会社が担うという計画を有しています。その理由は、東京都の発注工事の中でも2.5億円以上の大型案件については、本社のある地域によって23区と多摩地域で分かれており、当社は、現状では本社が多摩地域にあることから、23区の大型案件には申し込みが出来ない状況となっています。グループ会社の入札参加資格をCへランクアップさせることで、東京都の大型案件(入札予定価格で、舗装:2億円未満・土木:3.5億円未満)を申し込める状況になった時には速やかに成友興業の本社を23区内へ移転する予定であります。

 来期は、売上を増加させるために、一件あたり1億円~2.5億円規模中心の受注から一件あたり3億円以上のより大型の工事案件の受注を増やします。入札参加資格の関係上、入札が不利になっている各省庁や各自治体においても受注活動を活発に行えるようグループ各社の得意分野や地域性などの強みを生かした施工実績の積上げを行い、受注先の多角化を図ります。引き続き、技術者の育成を行うとともに、中途の採用活動にも取り組み、有資格者の増員による受注機会の増加を図ります。

 今後は東京都23区と多摩地域の棲み分けと同時に、国や地方自治体による道路整備やインフラ老朽化対策等の公共投資が活発で継続的な需要が見込まれる千葉県、埼玉県に拠点を置く建設会社をターゲットに事業拡大を考えております。

<首都圏への事業拡大>

c.環境エンジニアリング事業

 環境エンジニアリング事業については土壌汚染対策工事業務、環境計量証明業務、指定調査機関業務の各業務の増員を通して、組織力の強化を図ると共に土壌汚染対策工事の元請受注へ繋げる予定であります。

 (4)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、持続的な収益向上の為、売上高の成長とともに、売上総利益率を経営指標の重要な目標として、企業価値の最大化を図ってまいります。売上高の成長は、環境事業においては設備の稼働率の向上、建設事業においては経営事項審査を通じた受注能力の向上にそれぞれ寄与します。売上総利益率についてはセグメント毎の売上総利益率を把握することで、セグメント毎の事業戦略を見直すことを可能にします。

 当社グループでは売上高、売上総利益の予算達成のために各セグメント別に中期経営計画に即したKPIを設定しており、毎月取締役会において報告しております。環境事業では、処理困難物の受入量の推移、工場系汚泥の受注状況、DME工法(磁力選別)による生産量を指標としております。建設事業では、大型案件の受注件数、発注者(国土交通省、東京都)別かつ工種別のランクアップ、技術者一人当たりの完成工事高の増加を指標としております。環境エンジニアリング事業では、土壌汚染対策工事業務、環境計量証明業務、指定調査機関業務の各業務別の売上高の目標達成状況を指標としております。

 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、e Synergy Systemを推進し再開発等の都市更新を下支えし、将来を先取りした(Think ahead)企業となるべく中期経営計画に則り売上高及び売上総利益の向上を目指しております。また、企業として永続的な成長を進めるために以下の施策に取り組んでまいります。

  ①人材の育成及び確保

 人材の確保については、今後、更なる知名度・社会的信用の向上により、今まで以上により多くの優秀な人材を採用する方針です。人材の育成については、採用した人材を集めて階層別の研修を充実させることで、リーダーシップの取れる人材及び業界の中核となる人材として育成し、成長著しい人材の中からゼネラリストとして企業経営を担うことが出来るまで教育研修を徹底します。採用・育成した人材を当社グループ内の人事交流により共有し、多様な経験を積む機会を設けるとともに、グループ各社の人材不足の解消を図ります。これらの施策により現在の当社の最大の課題の1つである後継者の育成にもつなげてまいります。

  ②環境問題・再生資材活用への対応

 環境事業におけるさまざまな規制や、建設事業における再生資材の使用の推奨及び義務化等は、強化される傾向にあります。また今後も継続される首都圏の再開発やインフラ整備において、新たな環境・再資源化問題が顕在化することも考えられます。当社の強みである事業運営システム「e Synergy System」(注5)は、持続可能で地球環境にやさしい都市更新を支えるための重要な要素になると考えております。この「e Synergy System」を駆使し、新材に頼らない再生資材の有効活用により、再資源化事業等高度化法により国が推進するサーキュラーエコノミーの実現に寄与し、地球環境に貢献してまいります。

③技術の向上

 2030年のカーボンハーフ、2050年までのCO2のカーボンニュートラルに向けて、各産業はカーボンリサイクルへの過渡期を迎えております。当社で取扱う廃コンクリート塊や再生建設資材(再生砕石や再生骨材等)へのCO2固定化(リサイクル・コンクリート)は今後その役割はより一層重要になってくると考えられます。

 廃棄物から素材への認識を深め、産学協同の実証実験等を活用しながら、地域社会と地球環境へ一層の貢献ができるよう多様なパートナー企業とともに技術を向上させ、政府が主導する2026年度の排出量取引開始に間に合うようにこれらの施策に積極的に取り組みます。

④財務体質の更なる強化

 当社の環境事業は装置産業であり、新規の中間処理施設の設置等には多額の資金を要します。大型の設備投資による財務体質への悪影響を緩和するために、財務体質の更なる強化を進め、盤石な経営及び安定した収益構造の構築に努めます。また、上場企業として資本市場を活用した財務体質強化についても検討してまいります。

(注)1.出所:環境省「環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書(令和6年3月)」

2.ライフサイクルアセスメント;サービスのライフサイクル全体(資源採取―原料生産―製品生産―流通・

  消費―廃棄・リサイクル)又はその特定段階における環境負荷を定量的に評価する手法

3.出所:(公社)全国産業廃棄物連合会(現(公社)全国産業資源循環連合会)「INDUST」2017年10

 月号2~11頁「静脈産業における業界再編」

4.出所:一般社団法人日本建設業連合会 建設業デジタルハンドブック

5.建設現場で発生した廃棄物等を、環境事業の自社処理施設で建設資材やセメント原料へ再資源化して、再び建設現場で使用するという資源リサイクルを実現する当社独自の事業運営システム

PR
検索