愛知製鋼 【東証プライム:5482】「鉄鋼」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティに関する考え方
当社グループは「国際的視野に立ち、活力に溢れ、信頼される企業体質をもとに、魅力ある商品を提供することによって社会に貢献する」という経営理念に基づき、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献することが、中長期的な企業価値の向上につながると考えています。その実現に向け、2030年ビジョンの基本方針として「事業とモノづくり力の変革で収益力を向上させESG経営を実践」を掲げ、サステナビリティ活動を積極的に推進しています。
特に気候変動に対しては、エネルギー多消費産業であり鉄スクラップを原材料にモノづくりを行う資源循環型企業として重要な経営課題の1つと認識し、重点的に取り組んでいます。
また、当社グループは人的資本が価値創造の源泉であるとの認識に基づき、これまでも人を大切にする経営に取り組んできましたが、更なる人的資本の高度化に向け多様性、人材育成、社員の健康・安全の実現を目指し、重点的に取り組んでいます。
(2) ガバナンス
経営に重大な影響を及ぼすサステナビリティ全般に関するリスク・機会への対応方針・取り組み状況・事業戦略は、業務執行における最上位の意思決定機関であり、経営に関わる重要事項を審議する「経営トップミーティング(原則月2回開催、議長:取締役社長)」で議論・審議しています。取締役会はその報告を受け、特に重要案件は審議することで監督機能を果たしています。
(気候変動への対応)
地球環境会議(年2回開催、議長:取締役社長)では、気候変動に係る戦略の実行や活動の進捗を管理しており、その内容は経営トップミーティング及び取締役会にて報告されています。また、地球環境会議の下に6つの分科会を設置し、担当範囲を明確にすることで効率的・重点的に活動を推進しています。経営トップミーティングでは気候変動への対応方針・戦略、CO2排出削減目標計画の策定・見直しなどを審議・決定しています。
(人的資本経営)
社外役員が過半数を占める任意の役員報酬・人事案策定委員会(年3回開催、委員長:社外取締役)における経営陣幹部のサクセッションプラン、HRコミッティ(年2回開催、議長:取締役社長)における経営視点での人事課題などの議論を経て、経営トップミーティングにて人材戦略及び具体的な課題や施策(組織の新設・改編、主要ポストの任免、重要な人事施策の新設・改廃など)に関する検討・決議、進捗状況の共有を行っています。特に人材戦略や経営陣幹部の選任については、取締役会で検討・決議することで監督機能を確保しています。
(サステナビリティのガバナンス体制図)
(3) リスク管理
当社グループでは各部門・グループ各社が現場で各種施策を立案する際に、業態、事業特性及び社会状況からサステナビリティを始めとしたリスクを抽出しています。抽出されたリスクは各種機能会議体等にて報告され、影響度・発生頻度・時間軸などから経営に重大な影響を及ぼすリスクを特定、重要度を評価しています。経営に重大な影響を及ぼすリスクは経営トップミーティングにおいて、対応策と管理指標を設定し、経営計画に落とし込んでいます。取締役会では経営計画の審議、定期的な執行状況と管理指標の進捗を確認することで監督機能を果たしています。
(リスク管理プロセス)
(4) 戦略と指標・目標
当社は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、サステナビリティを経営の軸に据えた2030年ビジョン及び中期経営計画を策定し、「事業とモノづくり力の変革で収益力を向上させESG経営を実践」を基本方針に「持続可能な地球環境への貢献」「事業の変革で豊かな社会を創造」「従業員の幸せと会社の発展」という3つの経営指針に基づき、事業活動を推進しています。
2022年度には直近の環境変化を踏まえ、優先的に取り組むべき経営重要課題であるマテリアリティを見直すとともに、SDGsにおける169のターゲットを整理・紐づけし、重要課題KPIとして具体的な指標と目標を設定することで、計画的に実行しています。各指標の進捗状況は経営トップミーティング及び地球環境会議でモニタリングすることで、必要に応じ迅速な活動の改善を図っています。
(指標・目標と実績)
重要課題 | KPI(指標) | 単位 | 2030年度 目標 | 2022年度 実績 | 備考 |
資源循環 | 副産物埋立量 | t(トン) | 2,000 | 2,350 |
|
大気汚染物質排出: 規制値の8割以上 | 件 | 0 | 0 | 窒素酸化物(NOx)及び 硫黄酸化物(SOx)を対象 | |
工場排水汚濁負荷量: 規制値の8割以上 | 件 | 0 | 0 | COD、窒素及びリンを対象 | |
調達 | グリーン調達 ガイドライン周知率 | % | 100 | 100 |
|
下請け法違反件数 | 件 | 0 | 0 |
| |
技術革新 | 特許出願件数 | 件 | - | 64 | 2021年度 54件 |
サイバー セキュリティ | 重大インシデント件数 | 件 | 0 | 0 |
|
品質 | 客先流出不具合件数 | 件 | 0 | 19 |
|
生産 | 粗鋼生産量 | 千t | - | 891 | 2021年度 1,045千t |
鍛造品生産量 | 千t | - | 225 | 2021年度 266千t | |
電子部品生産量 | 百万 セット | - | 39.8 | 2021年度 36.9百万セット | |
人権の尊重 | 職種別研修の人権教育実施率 | % | 100 | 100 |
|
法令遵守 | 重大な法令違反件数 | 件 | 0 | 0 |
|
内部統制システムの 重要な不備件数 | 件 | 0 | 0 |
|
(注)気候変動への対応及び人的資本経営の指標・目標は下記の「気候変動への対応」及び「人的資本経営」に記載しています。
(気候変動への対応)
当社は2021年に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」に賛同表明し、2022年よりTCFDフレームワークに基づき、情報開示を実施しています。戦略においては、気候変動による事業への影響の把握と気候関連リスク・機会に対応するため、シナリオ分析を実施しました。
1.5℃シナリオでは主要顧客である自動車業界のCASE進展、鉄鋼業界への脱炭素化要求などはリスクであると同時に、新たなビジネス機会の創出につながることを認識しました。4℃シナリオでは自然災害等によるサプライチェーンへの影響を改めて確認しました。
上記の結果を踏まえ、引き続き脱炭素に貢献する技術・製品の開発・製造・販売を進めるとともに、サプライチェーンの強靭化やステークホルダーとのコミュニケーションの強化に努めていきます。
詳細は当社HP(https://www.aichi-steel.co.jp/sustainability/environment/tcfd/)を参照ください。
① CO2排出量削減目標
当社の事業活動におけるCO2排出量を「2030年までに50%削減(2013年度比)及び2050年までにカーボンニュートラルの実現に挑戦」と目標を掲げ、その実現と前倒し達成に向け、取り組んでいます。
(注) 1 排出量は全て提出会社のScope1、Scope2の合計値
2 「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」(資源エネルギー庁)及び契約電力会社の各年度の排出係数に基づき算定。ただし、2022年度実績は2021年度排出係数を適用した速報値
② 実現に向けたロードマップ
上記の目標の実現に向けて「①省エネの深化・追求」「②再生エネルギーの活用」「③脱炭素技術の開発・導入」を軸に活動を推進しています。
上記の戦略に関する指標及び実績は次のとおりです。
指標 | CO2排出量(千t-CO2) | 2022年度 削減率 (2013年度比) | |||
2013年度 (基準年度) | 2020年度 (実績) | 2021年度 (実績) | 2022年度 (速報) | ||
Scope1 | 239 | 217 | 258 | 220 | 7.9% |
Scope2 | 556 | 345 | 379 | 333 | 40.1% |
合計 | 795 | 562 | 637 | 553 | 30.4% |
生産量排出原単位 (kg-CO2/t) | 546.4 | 470.0 | 441.5 | 456.0 | 16.5% |
(集計範囲)提出会社
(算定方法)「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」(資源エネルギー庁)及び
契約電力会社の各年度の排出係数に基づき算定しています。ただし、2022年度実績は2021年度排出係数を
適用した速報値となっています。CO2排出量の実績は「愛知製鋼統合レポート」にて公表しています
(https://www.aichi-steel.co.jp/ir/library/integrate_report/)。
2022年度実績を記載した「愛知製鋼統合レポート2023」は2023年9月発行を予定しています。
(人的資本経営)
当社は、社員が幸せを感じられる「価値ある会社人生」を追求することが、結果として会社の成長につながると考え、2030年ビジョンの経営指針の一つとして「従業員の幸せと会社の発展」を掲げ、その実現に向けた人材への投資を積極的に行っています。
① ダイバーシティ&インクルージョン
多様な属性や、感性・能力・価値観・経験を持った社員が、互いに理解し認め合い、能力を高めあい、存分に発揮することではじめて、新たな価値が生まれると考えています。そのために、多様な人材を計画的に採用することや、能力を発揮できる環境整備などに取り組み、全ての社員が活躍できる会社づくりを進めています。
a.女性の活躍支援
定期採用においては、従来から女性の採用比率目標を設定して積極的な採用を実施しています。また、入社後に女性がライフイベントなどに応じてワーク・ライフ・バランスを取りながら積極的なキャリア形成を図るためには、より柔軟な働き方を選択できる環境が重要と考え、研修等を通して自身のキャリア計画を支援する活動などに取り組んでいます。また、ライフイベントと仕事を両立できる勤務制度として「コアタイムのないフレックスタイム勤務」「在宅勤務制度」などに加え、育児支援制度、介護支援制度を軸とした「ナイスファミリー制度」を導入し、柔軟な働き方ができる環境の整備を進めてきました。今後も、継続的に働き方改革に取り組み多様性を尊重する職場づくりを推進します。
b.シニアの継続的な活躍
希望者の全員が定年後も継続して働くことができる「ナイスシニア制度」を設けています。2022年度は、更にイキイキと働けるよう労使で議論しながら、身体的負担を軽減するための作業環境の整備やモチベーションを維持しやすい処遇の見直しを実施しています。
c.障がい者のイキイキ職場拡大
製造現場から事務部門まで幅広い職場で、障がいのある社員が活躍しています。障がい特性と業務のマッチングを重視し、採用の段階から職場実習や面談を重ねて、配属職場を決めています。入社後も、ともにイキイキと働けるよう、「障がい者職場生活相談員」などによる当該社員との定期的な面談や受入職場へのフォローアップなどの就労支援に継続して取り組んでいます。
② 人材育成
当社は2030年ビジョンの一つとして「人材育成」ビジョンを定めています。「素材でモノづくりの可能性を広げる会社」として、これからもお客様から選ばれ続けるには、世の中の変化に柔軟に対応する力の向上が必要と考え、「専門性」と「基礎力」両面からの人材の育成・確保に取り組んでいます。それぞれの職務に必要な「専門性」に加え、変化に即応できる「基礎力」として、モノづくり企業として永年培ってきた「技能」と「問題解決力」、DX(デジタルトランスフォーメーション)に必要な「デジタルリテラシー」の強化を重点施策として実施しています。
a.問題解決力
「問題解決力」は、「職場でのOJT」を通して身に付けることを基本とし、その効果を「集合研修」で高めるという考え方のもと、研修体系の充実を図ってきました。また、「集合研修」でも指導者向けの教育を受けた先輩社員が後輩の指導を担当することでOJTとOff-JTの相乗効果を高めています。
b.デジタルリテラシー
業務において必要かつ適切なデジタル技術を適用できる「DX人材」の育成に2021年度より取り組んでいます。2022年度には各部門キーマンを中心とした約200名を対象に 「デジタルリテラシー基礎教育」を実施しました。今後は、業務改革に必要な知識研修を全スタッフへ展開し、改革を牽引する「DXリーダー」の選抜・育成を進めていきます。
③ 社員の健康・安全
心身ともに健康で、活動的な生活を送ることは、「価値ある会社人生」のために欠かせない要素であり、社員とその家族の「幸せ」にもつながると考えています。当社は「健康・安全」を重要課題と位置づけ、社員の心と身体の健康保持・増進を図り、人にやさしく、安全・安心な職場環境づくりを推進しています。
a.健康経営の実践
社員の健康保持・増進に取り組むことは、活力向上や生産性の向上などの効果をもたらすと考えています。特に生活習慣病予防・メンタルヘルスを重点事項に掲げ、会社・健康保険組合・労働組合のコラボヘルスにより、課題の共有と諸施策の充実を図っています。生活習慣病予防では、「治療」から「予防」へと軸足を移すための取り組みとして、健康習慣の改善を促す「健康チャレンジ8(※)」普及活動に取り組んでおり、職場主体の活動を展開することで従業員の意識向上を図っています。メンタルヘルスでは、メンタル相談窓口の設置、本人・管理監督者双方への教育、ストレスチェックに基づく個人・職場へのケアなどに加え、メンタルヘルス専門の顧問医制度を新たに導入し、不調者の発生未然防止と早期発見・早期ケアの取り組みを強化しています。こうした活動が認められ、当社は2023年3月に6年連続で「健康経営優良法人」に認定されました。
※「①適正体重、②朝食、③飲酒、④間食、⑤禁煙、⑥運動、⑦睡眠、⑧ストレス」の8つの生活習慣に着目し、1つでも多くの健康習慣の実践を促進する活動
④ 社員エンゲージメント
会社と個人の目的・目標が一体となり、ともに成長していけるしくみを築くことが、社員一人ひとりの挑戦を促し、どんな環境変化にも対応できる組織力につながると考えています。そのためには、仕事を通して成長し続けられること、仕事に対する意欲を持ち続けられることが重要であり、これを定期的に調査・確認することで各種人事施策に反映しています。
また、「人が育つ土壌(=風土)」としての職場づくりにも注力しており、2021年度に3ヶ年計画で「風土改革プロジェクト」を開始しております。管理監督者の「ふるまい」や「めんどう見」の見える化から始め、今後は、管理監督者の相互研鑽の場の設定や、さらなる改善につなげるための評価方法の確立を進めていきます。また、老朽化した独身寮の建替えやテレワーク環境のさらなる充実など、生活面のストレスを取り除き、時間や場所にとらわれず仕事に集中できる環境の整備も進めています。
上記の戦略に関する指標、目標及び実績は次のとおりです。
指標 | 単位 | 2030年度 目標 | 2022年度 実績 | 備考 | |
ダイバーシティ&インクルージョン | 女性管理職数 | 名 | 10 | 4 |
|
高齢者満足度 (5点満点) | 点 | 4.00 | 3.65 | モラールサーベイ(注2) における60歳以上の調査結果 | |
人材育成 | 研修トレーナー資格 取得人数(累計) | 名 | 135 | 53 |
|
DXリーダー育成人数 | 名 | 125 | - | 2022年度より取り組みを開始。2023年度までにDXリーダー 40名、DXメンバー270名を 育成予定 | |
DXメンバー育成人数 | 名 | 870 | - | ||
社員の健康・安全 | 重大災害件数 | 件 | 0 | 0 |
|
全災害度数率 | % | 0.0 | 0.9 |
| |
傷病休業日数率 | % | 0.25 | 1.44 |
| |
メンタル起因による 傷病休業日数率 | % | 0.00 | 0.38 |
| |
適正体重超過者率 | % | - | 32 | BMI(Body Mass Index) 25以上 | |
社員 エンゲージメント | 社員満足度(5点満点) | 点 | 4.00 | 3.37 | モラールサーベイ(注2) における全社員の調査結果 |
年次有給休暇取得日数 | 日/人・年 | 20.0 | 17.4 |
| |
1人あたりの残業時間(スタッフ) | 時間/人・年 | 120 | 160 |
|
(注) 1 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「第1 企業の状況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しています。
2 モラールサーベイは、会社の経営や施策、仕事への意欲などに対する社員の意識調査です。
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