愛三工業 【東証プライム:7283】「輸送用機器」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、持続可能な社会の実現に向けてサステナビリティ基本方針を策定するとともに、VISION2030を基に、2050年以降を見据えた長期視点で事業、環境、人財・風土、社会、ガバナンスの5つの観点から当社の取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を特定しました。
≪ガバナンス≫
取締役社長を議長とするサステナビリティ委員会において、サステナビリティ基本方針に基づき、経営層がESG分野全般の方向性、適正性について、2回/年以上のマネジメントレビューを実施しています。年2回開催するサステナビリティ委員会において、下部委員会から報告を受け、内容を審議しています。これらの審議の結果のうち、重要事項は取締役会や経営審議会・経営会議に報告されています。
≪リスク管理≫
当社グループでは、サステナビリティ委員会において、下部委員会(※)から報告を受けた経営に重要な影響を与えるリスクに対して、総合的な管理を実施しています。下部委員会から報告されてきたリスクは、抽出・分析・評価を行ったうえで優先的対応リスクを選定し、所管部署が中心となってリスク低減に関する各種施策を実施しています。
下部委員会では、各種施策の進捗状況やリスクの最新状況を確認するとともに、サステナビリティ委員会に報告します。サステナビリティ委員会は、報告に基づいてリスク管理に関する指示・監督を行っています。
※ 下部委員会:TCFD委員会、CN委員会、安全衛生委員会、働き方改革委員会、BCP委員会およびガバナンス委員会
≪人材の育成および社内環境整備に関する方針、戦略≫
当社は、『「自律的に学び、考え、果敢に挑戦する」人財が、「認め合い、活かしあい」ながら、ともに成長し続けるチーム・組織をめざす』をスローガンに風土改革、人財変革、多様な人財活躍の3本柱で人財基盤を強化する取り組みを推進しています。
(1) 風土改革
当社では、経営理念の中に「人を大切にする明るい職場を築く」ことを掲げ、従業員1人ひとりが高い志とやりがいを持ち、イキイキと仕事することを通じて個人も会社も成長を実感できる風土づくり、職場づくりに取り組んでいます。
VUCAといわれる環境下において、企業が健全に成長するためには従業員エンゲージメントを向上させることが重要であるとの認識に立ち、2022年10月にサーベイを実施し、組織・従業員の状態を可視化するとともに、専門家を交えて様々な角度から結果分析を実施して全社ならびに各職場単位で延べ21回の報告会を開催し、把握した課題と改善の方向性について共有し議論を重ねてきました。
また、風土改革に向けた取り組みの一環として、若手従業員の問題意識の把握や会社施策への疑問解消を狙いとして、社長と若手従業員の対話会を実施しました。(計5回、延べ30名)。
なお、参加した若手従業員の満足度は100%となっています。
今後は、従業員の想いを聴き、会社施策や職場風土の改善につなげるべく、役員・幹部と従業員の対話会を重点的に実施していきます。
また、コーチング研修の強化や、1on1ミーティングのトライアル導入等、従業員1人ひとりの成長を支えるマネジメントの在り方を管理型から支援型への変革を推進しています。
(2) 人材改革
現在の自動車業界は、CASE、MaaS、カーボンニュートラルへの対応など、変化が速く、大きく、激しい環境にあります。
他方、当社としては既存のパワートレイン製品事業の競争力強化による更なる成長、保有技術と強みを生かした脱炭素に資する新規領域の事業育成の両面に取り組んでいます。
当社が持続的に成長するためには、その屋台骨である人財の育成が重要なテーマの一つであり、とりわけ、イノベーションに挑戦し続ける人づくりに向け、ソフトウェア教育やDX教育、企業内訓練校(愛三学園)での電子テクノロジー講座の開設等、従業員のリスキリング、アップスキリングに対して積極的な投資を開始しています。
今後は、従業員の学びへの支援として、選抜型から自律型への教育体系の全面改訂や、自律的な学びによる成長を支援するためのオンデマンド型学習アプリ、学習管理システムの導入を2023年度中に実施することを計画しています。
また、変革に向けてチャレンジする従業員を適正に評価・育成していくため2020年度から段階的に新人事制度を段階的に導入しています。今後は非管理職の賃金制度の見直しを実施していきます。
(3) 多様な人財活躍
取り巻く環境が激しく、価値観が多様化している現在において、新たな価値を生み出し、社会に貢献していくためには、これまでの意識や働き方を変える必要性があります。
とりわけ、DEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)推進は当社の持続的成長に欠かせない経営戦略であるとのダイバーシティ宣言を発出以後、「認め合い、活かし合う」をキーメッセージに、年齢・性別・国籍・障がいの有無・時間的制約の有無に関係なく、多様な価値観を持つ人財が個性や能力を最大限発揮できるフィールドを整備しています。
当社では、外部有識者を招聘したダイバーシティマネジメント講演会、女性の更なる活躍推進に向けた女性リーダー研修会や健康推進セミナー、座談会等を継続的に実施し、DEIの意識醸成に取り組んできました。
こうした活動が評価され、2022年7月には女性の活躍に関する取り組みの実施状況が優秀な企業に与えられる「えるぼし(2つ星)」に認定されました。
また、男性育児休業取得の理解度向上をねらいとしたマネジメント勉強会などの取り組みを継続した結果、2022年度の男性育児休業取得率は74%となり、前年比45%増となりました。
2022年8月には人権尊重の取り組みを推進するための「人権方針」を策定・発表しました。今後は、サプライヤーを含むすべてのビジネスパートナーにも同方針に基づく人権尊重の働きかけを実施し、サプライチェーン全体での人権尊重の取り組みを進めてまいります。
(4) 指標および目標
当社グループでは、上記「人材の育成および社内環境整備に関する方針、戦略」において、次の指標を用いています。
指標 | 目標 |
従業員エンゲージメント(※) | 2030年までに60点 |
女性管理職(※) | 2030年までに10人 |
海外ナショナルスタッフ幹部職 | 2030年までに30人 |
(※)提出会社の目標値です。
≪TCFD提言に基づく情報開示≫
当社グループでは、気候変動問題を重要な経営課題の1つとして認識し、2022年5月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明し開示を行いました。
TCFDの考え方に基づきシナリオ分析を行い、経営・事業・財務業績に影響を及ぼすリスクと機会について分析対象を愛三単体から連結グループに拡げて把握し、併せて財務に及ぼす影響の評価を行いました。
これに伴い気候関連のリスクへの軽減と機会創出の取組を中期経営計画に基づいて推進しています。また今後も分析の時間軸を長期に広げるなど、ステークホルダーへの開示を充実していきます。
(1)ガバナンス
取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会において、気候変動問題を含むサステナビリティ分野全般の方向性や適正性を確認しております。気候変動問題については、サステナビリティ委員会の下部委員会であるTCFD委員会(3ヶ月に1回以上開催)において、気候変動問題に関連する計画の策定、実行および管理を行います。
年2回開催するサステナビリティ委員会において、TCFD委員会やその他の委員会から報告を受け、内容を審議しています。これらの審議の結果のうち、重要事項は取締役会や経営審議会・経営会議に報告されています。
(2)戦略
① シナリオ分析の前提
当社グループは、気候変動によって受ける財務影響を把握するため、車の電動化の普及の節目となりうる2030年時点の事業影響について、当社グループ(連結)を対象としたシナリオ分析を実施しました。シナリオ分析は、不確実な将来に適切に対処することにより、持続可能な競争力の強化を図ることを目指して、1.5℃/2℃および4℃の複数のシナリオを採用しました。この2つのシナリオについて、移行リスクの分析では、主に国際エネルギー機関(IEA)のWorld Energy Outlook 2022などを参照し、物理リスクの分析では、主に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書などを参照しました。
② シナリオにおける社会像
1.5℃/2℃シナリオでは、炭素税の導入やGHG排出規制の強化など、現在よりも社会の脱炭素に向けた政策・法制度が整備され、当社を含む自動車業界では、製造工程のみならず、素材や走行時から廃棄に至るまでの製品ライフサイクルでのCO2排出削減が強化されることを想定しています。その結果、新車販売の中で、電気自動車(BEV)・プラグインハイブリッド車(PHEV)・燃料電池車(FCV)のシェアが広がることを想定しています。
一方で、4℃シナリオでは、地球温暖化が進行することで、自然災害の頻発化・激甚化が進み、被災によりサプライチェーンが寸断され、生産の一時停止などが発生することを想定しています。
③ 気候変動に伴い想定されるリスクと機会
当社グループでは、シナリオにおける社会像に基づき、「ステークホルダーにとっての重要性」と「愛三グループにとっての重要性」を考慮した上で、当社グループにとってのリスクと機会を整理しました。2023年度は、海外子会社を含む愛三グループ各社に向けてヒアリングを行い、各国・地域の状況や事業内容を踏まえたリスク・機会の抽出を行いました。その中で、特に重要度が高いと判断した項目についてそれぞれの2030年度における財務影響の評価を行い、リスク軽減と機会創出の対応に取り組んでいます。
■気候変動リスク・機会と対応
※1 台数前提は2℃シナリオにて算出 ※2 FFV : Flexible-Fuel Vehicle
注1 影響度
単年度の営業利益に与える影響:大 20億円以上、中 1億円~20億円未満、小 1億円未満
注2 当社グループの対応
2022年11月に発表した中期経営計画に気候関連リスクの軽減と機会創出の取組を織り込んで活動を推進しています。
詳細は、当社HPに掲載しております。
(3) リスク管理
当社グループは、サステナビリティ委員会において、TCFD委員会から報告を受けた経営に重要な影響を与える気候変動リスクの他に、各委員会※から報告されてくるその他の経営に重大な影響を与えるリスクを含めて、総合的なリスク管理を実施しています。各委員会から報告されてきたリスクは、抽出・分析・評価を行ったうえで優先的対応リスクを選定し、所管部署が中心となってリスク低減に関する各種施策を実施しています。
各委員会は、各種施策の進捗状況やリスクの最新状況を確認するとともに、サステナビリティ委員会に報告しています。サステナビリティ委員会は、報告に基づいてリスク管理に関する指示・監督を行っています。
※ 各委員会:CN委員会、安全衛生委員会、働き方改革委員会、BCP委員会およびガバナンス委員会
(4)指標と目標
当社グループは、温室効果ガスの削減と企業の成長を両立させた環境経営を強化し、2050年のカーボンニュートラルおよび持続可能な循環型社会の実現に向けて企業の社会的責任を果たすため、中期経営計画を策定するにあたり、目標を大幅に見直しました。
具体的には、基準年を2013年度から2019年度に変更し、あわせてScope3を目標に追加しました。
内容としては、 2030年度におけるCO2排出量(Scope1、2、3)の削減目標を、2019年度比で50%とします。また、削減に向けた取り組みは、サプライチェーンへ拡大し、製品ライフサイクル全体で環境負荷を評価するライフサイクルアセスメント(LCA)の視点で、CO2削減の取り組みを加速しています。
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