巴工業
【東証プライム:6309】「機械」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は創造と創業の精神を以って会社を成長、発展させ、会社に関連する人々の豊かな未来づくりに寄与するとともに、お客さまへの高い技術と優れた製商品の提供を通じて社会に貢献すること、および従業員に生きがいを見出す場を提供することを経営理念とし、主に固液の遠心分離技術による機械の製造販売と特色ある化学工業原材料の輸入販売を行ってまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社は単に製商品の販売拡大を目指すのではなく、機械製造販売事業では特異な技術を必要とする製品の開発・販売を、また、化学工業製品販売事業では限られたマーケットにあっても特色がある専門知識を要する付加価値の高い商材の取扱を、夫々に心掛けており、これらを追求して行くに際しての経営目標として収益力の向上を第一に掲げています。またその上での具体的な経営指標としては、事業収益力の実態が端的に表れる経常利益を最も重視しています。また、現行の中期経営計画の最終年度となる2025年10月期においては、ROE8.9%を達成するための取り組みに注力します。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社の中長期的な経営戦略は、機械製造販売事業については新しい製商品の開発とコストの削減および海外ビジネス拡大であり、化学工業製品販売事業については特色ある新商材の発掘と新規顧客の開拓および海外市場へ向けた積極的な展開です。
中長期的戦略の継続的な展開を図るため、当社では2022年11月に中期経営計画「For Sustainable Future(~持続可能な未来のために~)」(2023年10月期~2025年10月期)を策定し、持続的成長と企業価値向上を目指し種々の取り組みを推進しております。こうした中、本中期経営計画の2年目となる2024年10月期の連結経常利益は前年度に続き過去最高の業績を更新し、併せて上方修正した最終年度の連結経常利益目標(44億円)を上回りました。こうした情勢を踏まえ、事業戦略をより積極的にブラッシュアップすることにより、本中期経営計画の最終年度(2025年10月期)目標を連結売上高570億円、同経常利益50億円、ROE8.9%に上方修正し、更なる企業価値向上の実現に努めてまいります。
わが国経済は、個人消費や設備投資の伸びが見込まれるものの、米国の新政権による追加関税、長期化するロシア・ウクライナ紛争並びに中東地域の紛争によるエネルギーコストおよび原材料コストの高騰、急激な為替変動の影響等から回復ペースは緩やかなものにとどまることが見込まれます。一方、海外では米国経済の底堅さはあるものの、中国経済の鈍化、欧州経済の低成長が続くことが見込まれます。
こうした中、当社グループはグローバルに展開する事業基盤とネットワーク、多岐にわたる知見や多様性を強みに既存の枠組みに囚われない新たな価値創造と持続的成長を目指し、SDGsや脱炭素に対する取り組みを経営戦略の重要課題と位置づけ、持てる技術、知識、ノウハウを最大限活用し、新たな市場開拓、事業領域の拡大、環境・社会の変化を見据えた新商材開発などの様々なビジネスチャンスの創出に努めます。また、資本コストや株価を意識した経営を実践し、前年度より進めてきたIR活動の強化を一段と推進することにより、更なる企業価値向上の実現に努めてまいります。
機械製造販売事業では海外ビジネスの拡大を図ることが当社グループの更なる成長実現に繋がる重要課題と認識し、今後成長が見込まれるインドにおいては当期に開設した駐在員事務所を現地法人化し、化学工業市場向けの販売拡大を目指します。また、米国法人を中心に米州市場の深耕を加速するほか、東南アジアでの営業力強化を図り業績向上に繋げます。更に、SDGsや脱炭素に貢献する取り組みの一環として、民間排熱などの未利用熱をターゲットにバイナリー発電装置の販売を開始することに加え、第3の柱として環境負荷低減に繋がる製商品の開発に注力します。生産部門では、生産効率の一層の向上と原価低減を推進し、収益性向上を図ります。また、海外を中心に需要拡大が見込まれる大型遠心分離機の製作を主目的として、2024年10月に工場用地を取得する契約を締結しました。今後は、2027年3月竣工を目指して新工場の建設を進めます。当該地には当社サガミ工場の一部と遠心分離機の板金溶接加工を担う当社の100%子会社である巴マシナリー株式会社を移転する予定です。
化学工業製品販売事業でも海外ビジネスの拡大を重要課題と認識し、東南アジア各拠点(タイ、ベトナム、マレーシア)の連携による同地域でのビジネス拡大に加え、インド市場において耐火物向け商材を中心とした開拓に取り組みます。欧州ではチェコを拠点に人員増強を図り営業力を強化して業績向上に繋げます。パワー半導体向け商材に関しては、この数年間、同事業の業績拡大に貢献してきました。今後も市場拡大が期待されることから、更なる拡販に対応するための体制を強化した上で、EVを含む自動車向けなどの省エネに寄与する環境対応型商品の開発を推進します。加えて、本格的に取り組みを始めたライフサイエンス分野においては食品添加物、機能性素材などの食品業界向け原材料を開発していくことによりSDGsや脱炭素に貢献する取り組みに注力します。なお、事業ポートフォリオ見直しの一環として、業績低迷が続いている中国華南地域における合成樹脂コンパウンド事業からの撤退を決定しました。同事業を営む星際化工有限公司およびその100%子会社である星際塑料(深圳)有限公司の2025年3月の生産停止と2026年中の清算完了を予定しております。
これらを着実に実行するために当社のグローバル化とこれを担う人材教育などの施策を推し進め、両事業の持続的成長と収益力向上を図って行く方針です。
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