企業山田コンサルティンググループ東証プライム:4792】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、「健全な価値観」「社会貢献」「個と組織の成長」を基本理念として掲げ、高付加価値情報を創造・提供し、顧客の発展ひいては社会の発展に貢献することにより「存在する意義のある組織」であり続けることを目指しております。

 当社グループでは「健全な価値観」に基づく組織風土を保持し続けることを最重要経営課題と認識しており、その浸透に常に努めております。

 今後も健全な成長・発展を継続することにより「存在する意義のある組織」として社会貢献を目指してまいります。

(2) 経営戦略等(セグメント別の経営方針及び今後の見通し)

①コンサルティング事業

<経営コンサルティング事業>

 持続的成長に向けた中期経営計画策定、上場企業の人的資本・サステナビリティ経営に関連したニーズは、引き続き堅調です。

 生産年齢人口の減少に伴い、組織人材戦略とDXによる業務プロセス改革や生産性向上は重要な企業の経営課題です。顧客企業の持続的成長の実現に向けて、経営戦略・事業戦略・M&A戦略・IT戦略・組織戦略・人材戦略・人事制度・人材育成等々一貫した支援を行い、顧客との長期的な関係を構築してまいります。

 コロナ禍の制度融資を受けて過剰債務となった企業の倒産増加や、原料高・水道光熱費高・人件費高等の外部環境により、企業の本業(PL)改善及び財務安定化を早期に取組む必要性が高まっており、引き続き事業再生に関する相談件数は増加しております。
 本業(PL)改善や抜本的な事業支援ニーズに対しては、製造業など事業会社出身で、経営経験や深い業界・技術知見を有する当社シニア社員との協働により、改善支援役務の高度化、高付加価値化に注力しております。

 また、上記の外部環境を受け、金融機関において事業再生支援を担う人材育成のニーズが高まる中、地域経済活性化支援機構(官民ファンド)が行っている事業再生支援高度化事業の一環として、「金融機関向け事業再生支援高度化の手引き」を当社が制作し、公表されました。引き続き、当社が蓄積してきた再生支援にかかるノウハウ・人材を活用し、金融機関との更なる連携強化、事業基盤の強化を推進してまいります。

<M&Aアドバイザリー事業>

 M&A案件の引合件数・受注件数は、引き続き堅調に推移しています。国内M&A市場も活況であり、特に近年では「アクティビスト」「市場区分見直し(2025年問題)」「スピンオフ税制(選択と集中促進)」を背景に、非公開化、カーブアウトなどの上場企業案件が引き続き堅調です。また、過剰債務となった企業の増加により、スポンサー対応を伴う抜本支援に向けた事業再生型M&Aも増加傾向にあります。
 PEファンドとの連携は成果が出ており、引合件数・受注件数が増加しています。引き続き、投資案件の売買のみならず、投資前のデューディリジェンスや、投資後の成長戦略の策定にも関与し、M&Aの前後にわたる一貫した役務提供により顧客企業を支えることを目指してまいります。

 国内企業においては、海外市場でのプレゼンスを確立することが競争力を維持・拡大する上で不可欠な戦略となっております。クロスボーダーM&Aに関する専門的知識とネットワークを更に深化させることが重要であると考え、国内並びにクロスボーダーM&Aの豊富な実績と専門性を有する「ピナクル株式会社」と、日米間クロスボーダーM&Aのパイオニアである「Takenaka Partners」を子会社化いたしました。これらにより、プロフェッショナル人材の拡充や専門力強化、そして、ネットワーク拡大が推進され、国内外の既存拠点が連携することにより、当社が顧客に提供するサービスの付加価値を更に向上できるものと考えております。まずは、両社のメンバーとの交流を進めることにより、技術や経験の共有を進めてまいります。

 コンサルティング役務の延長としてのM&A事業の取組みを万全にするため、M&A事業に関わるメンバーだけでなく事業・部門・地域の垣根を越えて、顧客企業と経営者に寄り添い、継続的にフォローを行う体制を築き、今後も当社の特徴あるM&Aアドバイザリー事業を中核ビジネスに成長させるべく、中長期的な視点に立った事業運営に注力してまいります。

<事業承継コンサルティング事業>

 事業承継に関する相談及び受注件数は、引き続き堅調に推移しております。

 事業承継はオーナー企業を中心とする企業経営者の根幹的な課題です。経営者とともに事業承継という課題解決に向き合う中で、持続的成長コンサル・国内外における不動産活用・海外における事業展開など様々な経営課題の相談をいただいております。また、事業承継の選択肢としてM&Aを見据えた相談も増えてきています。

 堅調な事業承継ニーズに応えるべく人員拡充を図るとともに、より高品質な事業承継支援役務を提供するため、事業承継に関する高度な専門知識に加えて顧客企業の業界・事業への知見を有する人材の育成に取組んでまいります。引き続き、顧客(経営者等)との強固な信頼関係に基づき、様々な経営課題やオーナー経営者の資産に関する相談に対応し貢献することが収益基盤の強化につながると考え、事業運営を進めてまいります。

<不動産コンサルティング事業>

 不動産市況全般は引き続き堅調に推移しておりますが、高値で推移するエリアと下落傾向にあるエリアの二極化が顕著になりつつあります。その中、足元では、提携会計事務所からの相談が増加しており、特に売却、有効活用及び富裕層の購入ニーズが旺盛です。

 高単価の富裕層の購入ニーズにおいては、紹介可能な物件の情報量を増加するべく同業とのネットワーク強化に注力することで成約件数の増加を目指します。一方、案件単価の低い売却案件や長期間を要する有効活用案件に関しては、引き続き選別受注を意識することで、働き方改革・業務効率の向上を目指します。

②投資事業

 当社の投資事業は2つの事業から成ります。1つは、顧客企業の資本政策・事業承継等の課題解決のひとつとして企業の株式に投資をする「未上場株式投資事業」、もう1つは、底地や共有持分となっている物件など次世代に承継する際に敬遠されがちな換金性の低い不動産に投資をする「不動産投資事業」です。

<未上場株式投資事業>

 未上場株式投資事業では、資本構成の再構築や株式の資金化等、資金面の手当てが有用な場合において、各種コンサルティングとともに、資本政策上の課題解決と企業の持続的発展サポートを行っております。

 未上場株式投資事業を安定的な事業とするため、引き続き、経営陣に寄り添う伴走者・良きパートナーとして議論を重ねながら、新規案件発掘により一層注力してまいります。

 また、投資済みの案件については、従来通り定期的なモニタリング活動を継続し、必要に応じて、当社の経営コンサルティング機能を活用して包括的な支援を行うことで、既投資先の企業価値向上に貢献してまいります。

<不動産投資事業>

 不動産投資事業は、底地等の換金性の低い不動産を所有する顧客が抱える煩雑な管理や承継への悩みを、資金面から解決するものであります。2023年3月期に事業として本格的に取組みを開始し、現在は事業運営体制の構築を進めております。

 新規投資先については金融機関及び不動産仲介会社からの紹介が順調です。引き続き、認知度獲得のための情宣活動を強化することで、豊富な候補先情報の中から厳選して投資を実行し、同時に売却にかかる人員の強化にも努めてまいります。

(3) 持続的成長に向けた人材育成と働き方改革

2025年3月期の重点施策の内容及び取組み状況は、第2「事業の状況」2「サスティナビリティに関する考え方及び取組」(2)「人的資本経営への取組(人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針)」に記載のとおりであります。

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 社員一人一人の成長が組織の成長につながりますので、「個の成長」を最重要課題と認識し経営してまいりました。この方針は今後も継続してまいります。

 また、中長期的には利益の極大化を図り当社グループとしての企業価値を高めることが重要と認識しておりますので、今後も資本運用効率を計る尺度としての「自己資本利益率(ROE)」20%を目標としております。

 なお、ROE20%は将来に関する経営目標ではありますが、将来の事象や動向に関する現時点での仮定に基づくものであり、当該仮定が必ずしも正確であるという保証はありません。様々な要因により実際の業績が本書の記載と著しく異なる可能性があります。

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループのセグメント別の対処すべき事業上及び財務上の課題は次のとおりであります。

①コンサルティング事業

 経営コンサルティング事業における戦略は、顧客生涯価値(LifeTime Value)を最大化することが事業モデルにおける強みであり、顧客のあらゆる経営課題に対応するため、総合的なコンサルティング事業のクロスセル等を行うことで顧客ロイヤリティの向上を図り、今後も新たな事業、サービスの展開を図ってまいります。重点戦略は次のとおりであります。

・個の自律的な成長と個の成果が生み出す組織の成長とを調和させることで当社の持続的成長を実現する仕組みである「持続的成長システム」の運用

・「個と組織の持続的成長」を実現するための人材戦略の実行(採用、育成・定着、評価・活躍)

・従来から行っていた「部拠点単位」での管理に加えて「事業単位」で全社的な戦略を立案・実行する「事業推進体制(マトリックス組織運営)」の実行

②投資事業

 投資事業における戦略は、当社グループが手掛けるコンサルティング案件から発生する投資機会に積極的に関与し、コンサルティング案件にとどまらない新たな収益機会を創造していくことであります。重点施策は次のとおりであります。

・顧客ニーズに応じるべく、事業承継支援を目的とする未上場株式への投資を行う「未上場株式投資事業」に加えて、「不動産投資事業」や富裕層・機関投資家向けの様々な資産サポート事業への積極的取り組み

・投資規模の大型化に対応すべくガバナンス体制を強化

・総合的な管理運営体制の構築

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