山崎製パン 【東証プライム:2212】「食品業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、創業以来一貫して、良品廉価・顧客本位、製品をもって世に問うというヤマザキの精神を具現化すべく、今日到達しうるベストクオリティー・ベストサービスを追求することをめざし、パン、和・洋菓子、製菓類、調理パン・米飯類の製造販売事業に携わり、常に積極果敢に技術革新に取り組み、高品質な製品を全国各地に安定的に供給することを通じて社会の負託に応え、業績の向上につとめてまいりました。
また、当社グループは、西暦2000年以来、特に「食の安全・安心」を社会の要請と積極的に受けとめ、徹底した食品安全衛生管理体制の確立をはかり、さらに、食品安全衛生管理体制の上に築き上げる事業経営手法として、部門別製品施策、営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を取り上げ、積極的に部門別製品開発、技術開発に取り組み、お客様に喜ばれる製品とサービスの提供に万全を期してまいりました。
今般、当社は、21世紀の事業環境と社会の変化に対応するため、「企業経営を通じて社会の進展と文化の向上に寄与することを使命とし、自主独立の協力体制を作り、もって使命達成に邁進する」という顧客本位の精神で、潜在需要に着目しイノベーション(技術革新)によって需要を創造するという、前向き積極的なピーター・ドラッカー博士の経営理論に導かれる山崎製パン株式会社の「経営基本方針(綱領および具体方針)」を改めて高く掲げると同時に、これを補完するものとして、「ヤマザキパンの中に神のみこころにかなう会社の実現を期す」という飯島藤十郎社主の祈りに導かれ、「日々、お取引先からご注文いただいた品は、どんな試練や困難に出会うことがあっても、良品廉価・顧客本位の精神でその品を製造し、お取引先を通してお客様に提供する」という新しいヤマザキの精神に導かれ、科学的根拠の上に立った食品安全衛生管理体制の上に築き上げる科学的・合理的・効率的な事業経営手法として、「いのちの道の教え」に従ったすべての仕事を種蒔きの仕事から開始する部門別製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を実践、実行、実証することで、新しい価値と新しい需要を創造し、社会の負託に応え社業を前進させることを21世紀のヤマザキの経営方針といたします。
事業経営の具体的遂行に当たっては、経営陣、管理職は、本物の5S・全員参加の5Sとピーター・ドラッカー博士の5つの質問を連動させる「2本立ての5S」を行うとともに、「いのちの道の教え」に従った部門別製品施策・営業戦略をピーター・ドラッカーの5つの質問と連動させ、「私たちの使命は何ですか」(What is our mission?)と問うだけでなく「私の使命は何ですか」(What is my mission? )と問い、生産部門・営業部門一体となった業務を推進するとともに、内部管理体制を充実・強化して、各部門毎の自主独立の協力体制を構築いたします。また、「良品廉価・顧客本位の精神で品質と製品、サービスをもって世に問う」というヤマザキの精神と「知恵と知識によって変化に挑戦し、新しい価値と新しい需要を創造する」という「いのちの道」を導く言葉によって日々の仕事の実践、実行、実証に励み、業績の着実な向上を期してまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するため、積極的な設備投資を継続するとともに、財務基盤の安定、収益性の改善、資本効率の向上に取り組んでまいります。具体的には、連結売上高経常利益率4%以上の達成を経営目標とするとともに、連結ROEを重要な経営指標として位置付け、7%以上の達成を経営指標として効率的な事業経営に取り組んでまいります。また、株主還元に関しましては、連結配当性向30%を目標に安定した配当を継続することを基本方針とし、今後も業績と連動した増配をめざしてまいります。
(3) 食品安全衛生管理体制の強化
当社グループは、従来から全社的組織で取り組んでおります細菌面における食品衛生管理システム、表示の適正管理システムに加え、AIB(American Institute of Baking)の「国際検査統合基準」に基づく教育指導・監査システムを活用し、異物混入防止対策を含む科学的根拠の上に立った総合的な食品安全衛生管理体制を整備し運用しております。当社グループは、一般社団法人日本パン技術研究所によるAIBフードセーフティ監査を受けるとともに、自主監査によって各工場の食品安全衛生管理体制の充実強化をはかっております。また、当社の食品衛生管理センターが要注意製品群を定め、定期的な製品の市場買付による細菌検査を通じて安全性の検証を行うとともに、当社の食品安全衛生管理本部の食品衛生管理課が専任の部署として、製品表示のチェックシステムにより原材料の成分管理やアレルゲン表示管理を含め製品表示の管理徹底をはかっております。
今後、なお一層、食品安全衛生管理体制の強化につとめてまいる所存でございます。
(4)新型コロナウイルス感染症の影響と対策
新型コロナウイルスの5類感染症への移行により経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな回復基調で推移しましたが、個人消費につきましては実質賃金の伸び悩みもあり力強さを欠くものとなりました。また、コンビニエンスストアやフレッシュベーカリーの小売事業におきましては、行動制限の撤廃による人流の回復やインバウンドの増加により来店客数が増加し、おにぎりやサンドイッチ、焼き立てパンなどの需要が増加しました。
このような情勢下にありまして、当社グループは、緊急事態においてパン、和菓子、洋菓子ならびに調理パン・米飯類を緊急食糧として社会に提供するという新しいヤマザキの精神に従い、製品の安定供給を確保するため、全従業員に対して検温を実施し、37.2℃以上の発熱がある者を自宅待機とし、また発熱がない場合でも新型コロナウイルス独特の自覚症状がある者も自宅待機とし、この自宅待機者数とPCR検査陽性者数を日々管理するとともに、工場・事業所内の感染防止対策として、炭酸ガス濃度測定器によって、常時職場内の換気をしながら炭酸ガス濃度を700ppm以下に保つなど、社会的使命の達成に全力を挙げて取り組んでまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の見通しといたしましては、わが国経済は、企業収益が好調に推移し設備投資など内需が持ち直していく中で、政府の経済対策もあり、景気は緩やかに回復していくことが期待されますが、当業界におきましては、物価高の一服感はあるもののお客様の生活防衛意識により節約志向が続く中で、糖類やレーズン、包材など原材料価格の上昇が予測され、厳しい経営環境になるものと思われます。
このような状況下にありまして、当社グループは、引き続き「いのちの道」の教えに従い、すべての仕事を種蒔きの仕事から開始する営業・生産が一体となった部門別製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を推進し、主力製品の品質向上をはかるとともに、2極化・3極化戦略によってお客様のニーズに対応した価格帯に隙のない製品対応をはかり、新しい価値の創造と新しい需要の創造に取り組んでまいります。
また、デイリーヤマザキやフレッシュベーカリーの小売事業につきましては、小売事業業績改善プロジェクトにおける具体的取組みや、戦略製品・戦略商品開発推進チームと連携した女性製品開発担当者による商品開発など、日次管理・週次管理・時間管理を推進して日々の仕事の精度向上につとめ、業績向上をめざしてまいります。
食パンは、主力の「ロイヤルブレッド」につきまして品質訴求や食べ方提案により更なる売上拡大をはかるとともに、「モーニングスター」や「スイートブレッド」などの低価格食パンやハーフサイズ食パンの取扱店数の拡大をはかってまいります。また、本年1月に品質を向上させた「ダブルソフト」につきましては、店頭での品質訴求や食べ方提案に加えて、新たに発売した「2枚入り」と併せて売場づくりを推進し、売上拡大をはかってまいります。
菓子パンは、主力製品の品質向上をはかるとともに、2極化・3極化に対応した新製品開発を推進し、売上拡大をはかってまいります。また、薄皮シリーズに新たに惣菜製品をラインアップし売場の拡大をはかるとともに、ランチパックにつきましては価格帯毎の新製品開発に取り組み、売上拡大をはかってまいります。
和菓子は、主力製品の品質向上をはかるとともに、2極化・3極化戦略を徹底し、女性製品開発担当者を中心に、チルド対応製品や和洋折衷製品など市場動向やお客様のニーズに対応した新製品開発に取り組み、売上拡大をはかってまいります。
洋菓子は、プレミアムスイーツや大きなシューシリーズなど主力製品の品質向上をはかり取扱店数の拡大をはかるとともに、「喫茶気分」シリーズなど値頃感のある製品の充実に取り組んでまいります。また、女性製品開発担当者による新製品開発を推進し、コンビニエンスストア向け製品も含め充実強化をはかってまいります。
調理パン・米飯類は、お客様のニーズに対応した製品開発を推進するとともに、売上好調なおにぎりの品質向上と品揃えの強化や、和紙バーガー、こだわりシリーズなど主力製品の取扱店数の拡大に取り組み、売上拡大をはかってまいります。
製菓・米菓・その他商品類は、グループ各社の特徴ある製品群を活用した部門別のブランド戦略を推進し売上拡大をはかってまいります。デイリーヤマザキのコンビニエンスストア事業につきましては、お客様に喜ばれるヤマザキ独自のコンビニエンスストアチェーンとして、新しい価値と新しいサービスの提供につとめ、業績回復につとめてまいります。引き続き、戦略製品・戦略商品開発推進チームと連携して魅力ある商品の開発を推進するとともに、松戸・杉並ドミナントプロジェクトにおける、デイリーヤマザキの強みであるデイリーホットの充実強化や既存店の改装によるヤマザキらしい店づくりなど、具体的取組みを各工場においても着実に推進し、デイリーヤマザキ1店1店の店舗収益の改善に取り組んでまいります。
2024年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」に際しましては、緊急事態においてパン、和菓子、洋菓子ならびに調理パン・米飯類を緊急食糧として社会に提供するという新しいヤマザキの精神のもと、地震発生直後より状況確認を行い、パン類の緊急食糧の供給に取り組みました。また、特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパンおよび公益財団法人国際開発救援財団が共催・実施し、当社が協賛している「ヤマザキ『ラブ・ローフ』募金」におきまして、被災地の救援のための募金活動を決定したことを受け、当社は、当社グループ約3,500の販売店に設置している「ラブ・ローフ」募金箱を通じて募金活動を支援いたしました。このたび被災された方々に対して心からお見舞い申しあげますとともに、被災地の一日も早い復旧をお祈り申しあげます。
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