小森コーポレーション 【東証プライム:6349】「機械」 へ投稿
企業概要
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 事業環境に関するリスク
① オフセット印刷市場が縮小するリスク
当社グループは、これまで出版、商業印刷向けオフセット印刷機を主軸に事業を展開してきましたが、印刷業界は、インターネットや電子書籍の浸透によって、特に欧米・日本では書籍、商業印刷の需要が縮小しており、商業印刷向けオフセット印刷機の売上高が減少してきております。今後、電子媒体の増加が新興国を含め世界的に急速に浸透することによって書籍、商業印刷の需要がさらに縮小した場合には、出版、商業用印刷向けオフセット印刷機の需要も縮小し、当社グループのオフセット印刷事業の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
一方、厚紙(加飾、医薬、中間箱)、段ボール、ラベル、軟包装等といったパッケージ市場は持続的に成長していることから、パッケージ印刷はこれからも成長が見込まれます。当社グループは、今後、オフセット印刷事業の主力分野を商業印刷からパッケージ印刷市場への対応を強化し、製品戦略としてROIを軸とした製品ポジショニングの見直しによる競争力向上と生産体制の再構築を行い、差別化商品の市場投入、ブランド認知度の向上、ソリューション提案による領域の拡大等の施策を行ってまいります。
② 欧米の海外現地法人の収益力が弱体化するリスク
現地法人では、電子媒体の増加に伴い、販売主力機である商業印刷向けオフセット印刷機の需要が減少傾向にあり、収益力が弱体化する可能性があります。
そのため、オフセット印刷機の入れ替え需要の獲得、部品販売や保守サービスの推進、さらに資材及び機材販売の強化に乗り出しておリます。また、商業印刷向けオフセット印刷機の需要は漸次減少しつつも、一定の入れ替え需要は存在しております。しかしながら、印刷会社においてコスト競争力の強化が必須になっており、印刷工程の省力化、スキルフリー化が求められております。その対策として、当社グループが開発したKP-ConnectやDPSを活用し、リカーリングインカムの増大を構築すべく工程最適化ソリューションの提案による商機拡大を図ってまいります。
③海外事業に伴うカントリーリスク
外国企業に対する暴動、内乱、テロ、戦争、自然災害、感染症等が発生した場合、財政状態及び経営成績に悪影響を受ける可能性があります。
当社グループは、ハザードリスク発生時の全社対応方針を定めて客先対応ルールを策定する等の対策をとっております。また、市場調査情報を定期的に取得しリスク評価を行い中期計画への影響分析等も行っております。
④ 電子部品等供給リスク
電子部品等の供給不足が引き起こす生産ラインの不安定稼働とそれに伴う納期遅延は大幅に改善されています。しかし、今後の供給のひっ迫と需要の拡大等の複数の要因(米国と中国の経済摩擦・海外における紛争の影響・各国における輸出入の規制・サプライチェーンの混乱や輸送コストの急騰・新規需要の拡大等)が複雑に絡み合い供給リスクが派生する可能性は高く、当社グループの財政状態及び経営成績が悪影響を受ける可能性があります。
このような状況への対策として、電子部品や一般市販部品メーカーとの連携強化を図り、先々の使用量を提示してロット発注や適正な在庫確保に努めてまいります。また、電子部品や一般市販部品の代替可能な部品を選定し、同種部品の2社以上の調達先確保を前提に、発注先メーカーの新規開拓の促進を図ってまいります。
⑤ 製品の品質クレームにより損害が生じるリスク
当社グループが製造・販売する製品に販売、製造、サービスに起因する製品の品質クレームが発生した場合は、補修等の損失や損害賠償による損失が発生し、さらには信用問題とともにブランドが毀損する可能性があります。
そのため、当社グループは、「顧客視点」の総合的な品質管理として知覚品質管理を実施しております。この知覚品質管理は、「ブランド管理」を軸にし、「総合製品品質管理」、「顧客対応品質管理」、「見栄え品質管理」を行っており、顧客視点での品質保証体制を整備しております。また、グローバルCRMを活用したサービスケースの迅速な対応を体制強化してまいります。
⑥ 情報セキュリティの侵害に係るリスク
情報セキュリティが侵害され、情報漏洩、データの破壊や改ざん、業務やサービスの停止等の被害が発生した場合、当社グループの業績に影響を与えるのみならず、当社グループへの信用失墜に繋がる可能性があります。
そのため当社グループは、情報セキュリティの推進に係るポリシーを「情報セキュリティ基準」や具体的な利用・運用ルールの要領として定めるとともに、推進組織として情報セキュリティ委員会を設置し、国内外グループ会社を含めセキュリティ体制の構築、維持、整備を行っております。また、定期的な脆弱性診断やリスクアセスメントを実施することにより、リスクを早期に発見し、対策を講じる体制を構築しております。また、一般従業員向けメール訓練や教育も実施する等のリスクを未然に防ぐ対応も実施しております。
今後も脅威動向の変化を捉え、サイバーセキュリティ対策への取組みを継続してまいります。
(2) 新規事業に関するリスク
① デジタル印刷事業の拡大が停滞するリスク
印刷業界では印刷品質と生産性の両面において、デジタル印刷機に対する需要は根強く、当社グループとしては引き続きプロユースのデジタル印刷機の商品化に取り組んでまいります。
コニカミノルタ社と共同開発の上で製品展開を行っておりますB2サイズのデジタル印刷機「Impremia IS29」については、技術課題を克服し製品の完成度が向上しています。また、B2サイズのデジタル機については市場に登場してから約10年が経過していることより、競合他社より次世代機の開発計画が示され更には同市場への新規参入を表明するメーカーもあることから当社グループも次の製品に向けた製品改良、新規開発の必要性に基づく開発投資が発生する可能性があります。
また、B1サイズの次世代デジタル印刷機「Impremia NS40」については技術課題に対応し、早期市場投入に向けて準備をしております。
② PE(プリンテッドエレクトロニクス)事業における、対象分野の変動リスク
市場変化のスピードに追随できず、事業収益を大幅に低下するリスクがある新規事業の一つの柱であるPE事業では、開発対象分野の技術革新の影響より収益が見込めると判断した分野が急速に収縮したり、逆に他の分野が急速に立ち上がったりなどの環境に置かれています。
従って新しい市場開拓に時間を要し、対象分野の急速な市場変化により想定した事業拡大等ができず、事業収益が大幅に低下するリスクがあります。
当社グループは市場調査を徹底し事業推進体制による商品化機能を強化しております。さらに次世代プリンテッドエレクトロニクスのイノベーションを推進するために、山形大学と包括的な連携協定を締結致しました。今後は市場変化を見極めながら次世代プリンテッドエレクトロニクスの開発を推進して参ります。
(3) 財務に関するリスク
① 為替レート変動によるリスク
当社グループの主要な海外市場は、欧州、北米、中国を含むアジアであり、海外売上高比率は全体の60%超となっております。円以外の主要な取引通貨はドル、ユーロであり、為替変動の影響を受けやすい構造となっており、想定為替レートに対し急激な円高が発生した場合は売上高、利益の減少等収益に影響を与えます。
為替レート変動によるリスクを軽減するため、当社グループは原材料や部品の海外調達や、一部製品の海外生産を実施しております。また、円建て契約を優先するほか、先物為替予約等でヘッジすることにより短期のリスクの合理的な軽減を図っております。しかしながら、大幅な変動が生じた場合には、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② のれんの減損が顕在化するリスク
当社グループは、印刷需要が伸びている新興国市場でのシェア拡大を目的とした企業買収を行っております。この企業買収に伴い、のれんを計上しておりますが、買収後の事業が計画に対して実績が下回る等により、その乖離が継続して生じた場合は、のれんの減損損失の発生等により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、企業買収に当たりましては、企業価値算定、投下資金の回収見込み、買収金額の妥当性、リスク等について取締役会で十分な審議を行った上で意思決定を行っております。また買収後は出向者の派遣並びに連携の強化等を通じて、管理及び事業の推進体制を整え、リスクの軽減に努めております。
③ 棚卸資産の過多によりキャッシュ・フローが悪化するリスク
当社グループが販売予測の前提条件と実績の乖離により過剰な製品在庫を生じさせた場合は、生産調整にとどまらずキャッシュ・フローを悪化させる可能性があります。
そのため、過剰な製品在庫を生じさせない対策として、適正在庫の全社目標を設定するとともに、関係会社ごとに売上水準に合わせた在庫目標を設定し、月次で乖離を管理しております。一方で、昨今の電子部品等の供給リスクに対しては、中長期的な販売予測を元に部品毎に適正在庫量を設定することで、棚卸資産の管理と安定供給生産の両立を目指してまいります。
(4) 災害等によるリスク
緊急事態における本社機能、製造拠点の集中に係るリスク
本社及び当社グループの主要製造拠点であるつくばプラント・製造子会社において、地震や竜巻等自然災害が発生した場合には、本社の財務集計等の経営管理機能、製造設備の破損、サプライチェーンの機能麻痺等が発生し、操業停止等の事態に陥り、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、サプライチェーンについては、東日本地域のサプライヤーだけでなく、西日本や海外のサプライヤーとの取引拡大等の対策を講じています。今後は、適正な部品在庫を確保するために発注方法の見直しを検討・計画し対策を講じていく予定です。
直下型地震対策については「事業継続計画(BCP)」の策定、「首都圏直下型地震発生時リスクマネジメント」(地震対策マニュアル)の社員への配布、防災訓練(コロナ禍の中においては、リモート防災訓練)等の対策を講じています。
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