企業兼大株主小林製薬東証プライム:4967】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針および経営環境

 当社グループでは「我々は、絶えざる創造と革新によって新しいものを求め続け、人と社会に素晴らしい『快』を提供する」という経営理念のもと、「“あったらいいな”をカタチにする」をブランドスローガンに掲げ、お客さまの生活・健康上のお困りごとを解決し、快適な暮らしに貢献することを使命に事業を展開しております。

 そのような中、当社グループをとりまく経営環境は、新型コロナウイルス感染症の落ち着きに伴って多くの国で経済活動が再開し、国・地域を超えた移動も増加傾向になり、景気の持ち直しが期待される一方で、原材料価格の高騰やエネルギーコスト上昇に伴う消費低迷の懸念や、地政学リスクの高まりなど、先行き不透明な状況が続くと予想されます。

 このような状況にあって、「“あったらいいな”をカタチにする」をブランドスローガンに、今までにない付加価値のある新製品を開発し、お客様に提供してまいります。

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社は、将来にわたって持続的に成長していくために「2030年のありたい姿」を描き、そこからバックキャストの形で2023-25年の中期経営計画を策定しました。テーマを「私が“あったらいいな”をカタチにする」とし、これまで以上にチャレンジが歓迎・促進される風土の醸成に取り組むべく、3年間で実行すべきことを以下の通り定めました。

▶ 2023年-25年 中期経営計画の概要

テーマ:私が“あったらいいな”をカタチにする

~枠を超えたチャレンジ風土の醸成~

1.開発・育成の新しい挑戦

2.新しい海外サポート体制による製品提供力の強化

3.既存品の競争力強化

4.新規事業の積極的な創出

5.未来の小林製薬の基盤をつくる(DX・ESG)

戦略骨子1.開発・育成の新しい挑戦

 当社では、経営指標として「新製品寄与率(全売上に占める新製品売上の割合)」を重要視しています。新製品寄与率の向上のため、近年はユニークなテーマについては通常の開発基準にこだわらず、スピード重視で開発を進めており、年間の新製品テーマ創出数が増加してきています。このように開発プロセスを一律ではなくハイブリッドで行っていくことで、毎年安定して多くの新製品が発売できるよう努めてまいります。

 また、Webマーケティング強化への取り組みとして、ブランド毎にターゲットへの伝達コスト効率を測り、Web広告の比重を高めております。SNSやWebの活用により既存品の売上拡大はもちろん、新製品の発売時の売上最大化にも取り組んでまいります。
 さらに、「店頭配荷が少なく、見つけにくいロングテール(注1)のニッチ製品」のWeb広告を強化し、ECでの育成に注力していくことで、当社のパーパス「見過ごされがちなお困りごとを解決し、人々の可能性を支援する」の実現を目指していきます。

戦略骨子2.新しい海外サポート体制による製品提供力の強化

 国際事業は、利益率の高いヘルスケアへのシフトを高め、2030年にはヘルスケア構成比35%を目指しています。中国大陸では2022年春に本格販売をスタートしたアンメルツを中心にOTC医薬品の販売拡大に取り組んでおります。北米においては、2020年10月にM&Aにより買収したAlva社に加え、サプリメント・一般用医薬品を販売しているFocus社を2023年10月に買収しました。買収により獲得した基盤を活用し、当社の処方開発力とのシナジーを発揮させ、事業拡大を加速させていきます。東南アジアについては、インバウンドで好調なOTC医薬品を中心にラインアップ拡大を図ると同時に、ベトナムなどの新たな展開国や地域の拡大も検討してまいります。

戦略骨子3.既存品の競争力強化

 新製品は発売して終わりではなく、発売後も強い表現を獲得し、リニューアルやラインアップ追加を繰り返すことで、他社に負けない競争力のあるブランドに育ってきました。

 従来は、ブランドマネージャー、開発企画、研究開発、技術開発の四位一体で開発を行ってきましたが、今後は、これまで中長期の新規テーマの開発を主に担ってきた中央研究所の技術的サポートも加えることで、より競争力のある表現を獲得していきます。また、差別化された機能をもつ製品開発を進め、他社にない用途や機能を追加していくことで既存品の競争力強化を図ってまいります。

戦略骨子4.新規事業の積極的な創出

 これまで当社では、持続性抗菌剤「KOBA-GUARD」や認知機能スクリーニングキット「ニンテスト」など、様々なテーマを通じて新規事業に関する知見を溜めてきました。それらの知見を活用し、「フェムテック」(注2)、「デジタルヘルステック」(注3)、「D2C」(注4)等の領域に注力し、例えばIoT尿検査デバイス「ハカレルシリーズ」やおりもののセルフチェックシステム等、現在は約50のテーマを事業化に向けて検討中です。2030年には合計で売上高80億円規模の新規事業創出を目指します。

戦略骨子5.未来の小林製薬の基盤をつくる(DX・ESG)

 DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進にあたっては、個々の部門に留まることなく、全体最適の視点から的確な判断をスピーディに行う必要があります。そこで、2023年よりCDO(Chief Digital Officer)ユニットを社長直下に新設し、デジタルに関わる機能を集約しました。また、DX人財の積極的な採用、全社員アイデア提案制度の刷新と生成AIの活用などにより、「あったらいいな開発」のDXに取り組んでまいります。

 社会からの要請に応え、持続的に企業価値を向上させるためには、ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みの強化も欠かせません。そのため、これまで四半期に1回実施していた環境委員会を終了し、月1回のサステナビリティ委員会を新たに設定しました。

 環境については「気候変動課題への挑戦」を重点テーマとし、売上あたりの化石資源由来のバージンプラスチック使用量を33%削減(2020年比)するという目標を新たに設定しました。この目標を達成すべく、今後も再生可能エネルギーの導入切替や、サプライヤーと連携した低炭素型の製品開発に取り組んでまいります。

 社会については、「私が“あったらいいな”をカタチにする」という中期経営計画のテーマを実現するため、従業員の成長支援や、失敗を恐れぬ挑戦への後押しを行います。また、社会課題解決と持続的な企業価値の向上を目指すCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)活動も推進してまいります。

 ガバナンスについては、持続的な企業価値向上を支えるために、多様性に富んだ取締役会と風通しの良い企業風土の強みを伸ばす体制づくりに注力してまいります。

(注)1.ロングテール:根強いファンがおり、細く長く売れ続けている商品。例)ワキガード

2.フェムテック:Female(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語。女性が抱える健康の課題をテクノロジーで解決できる商品(製品)やサービス。

3.デジタルヘルステック:IoT(製品をインターネットに接続して情報交換する技術)を用いたヘルスケア製品やサービス。

4.D2C:Direct to Consumerの略。一般に少数の商品カテゴリーに絞ってメーカーから消費者に直接販売する通販モデル。

▶ 業績目標

前提

 原材料価格やエネルギーコストなど、様々なものが値上がりしていますが、今後も高止まりが続くと見込んでいます。

 新型コロナウイルス感染症の落ち着きに伴って多くの国で経済活動が再開し、国内事業におけるインバウンド需要もほぼ回復しております。

 将来の需要増や事業拡大に対応すべく、今後2年間で国内外の工場における新棟建設や増築、さらには中央研究所の移転・拡張を予定しています。そのため、2025年の減価償却費は2022年対比で約30億円増加する見通しで、現在の中期経営計画の期間中はEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)の増益を重視し、営業利益はほぼ横ばいとなる見込みです。

 

2022年実績

2023-25年 中期経営計画期間

2023年実績

2025年目標

3年間の

年平均成長率

売上高

1,662億円

1,734億円

1,910億円以上

+4.7%以上

営業利益

266億円

257億円

268億円以上

+0.1%以上

営業利益率

16.0%

14.9%

14%以上

当期純利益

200億円

(25期連続増益)

203億円

(26期連続増益)

28期連続増益

EBITDA※

319億円

317億円

352億円以上

+3.2%以上

ROE

(株主資本利益率)

10.2%

10.1%

9%以上

配当

90円

(24期連続増配)

101円

(25期連続増配)

27期連続増配

国内事業売上高

(通販含む)

1,259億円

1,304億円

1,376億円以上

+2.9%以上

国際事業売上高

396億円

422億円

533億円以上

+10.3%以上

国際売上高比率

23.9%

24.4%

27%以上

※ EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額

(参考)2030年のありたい姿

 グローバル経営を推し進め、2030年には、各国で毎年新市場を1つ創造しており、世界でもお困りごとを解決することで人と社会に貢献し、新市場(新習慣)を創造する企業として認知されつつある状態でありたい。

連結売上高2,800億円、うち国際事業900億円

-国内では「あったらいいな」開発と育成を究めている。

-その新製品を各国にスピーディにローカルフィットさせ広げている。

-全社員のデジタルリテラシーを高め、DXによる「あったらいいな」開発の刷新と、

 デジタルを搭載した新製品の創出ができている。

-欧米・中国・アジアの3極でも「あったらいいな」開発の成功例が出ている。

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