企業兼大株主富士通東証プライム:6702】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 当社グループは、社会における存在意義、パーパスを「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」と定めております。すべての事業活動をこのパーパス実現のための活動として取り組んでおり、そのためには、健全な利益と成長を実現し、企業価値を持続的に向上させることが重要と考えております。

<市場環境>

 当社グループをとりまく市場環境については、従来型の基幹システムなどの既存IT市場は、緩やかに縮小していくと予測されています。一方で、レガシーシステムのリプレイスメントやモダナイゼーションへの投資は今後も堅調に増えると予測されています。さらに、AI(人工知能)やデータ活用などデジタル化に向けた投資は、社会や企業の成長・発展へのニーズに加え社会システムや生活様式の変化に向けたニーズもあり、今後も拡大すると想定されています。

 このような状況のもと、当社グループは、2022年度を最終年度とする経営方針に則り、ますます需要が高まる企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を牽引し社会課題の解決に貢献する企業への変革を目指して活動してまいりました。また、2030年及びそれ以降の目指す姿の実現に向けて、2023年度から2025年度までの3年間を持続的な成長と収益力向上のモデルを構築する期間と位置付け、新たな中期経営計画を策定し達成に向けた取り組みを開始しております。

<2022年度までの経営方針振り返り>

2022年度を最終年度とする経営方針では、当社グループは、「お客様への価値創造」と「自らの変革」に向けて、それぞれ施策を設定し取り組んでまいりました。

「お客様への価値創造」においては、次の施策に取り組んでまいりました。

 グローバルビジネス戦略の再構築として、サービスビジネスへのシフトとそのための体質強化を目指し、グローバル共通のポートフォリオに沿った重点アカウントの選定やオファリングの拡充及び体制の見直しを図ってまいりました。グローバル共通となるFujitsu Uvanceの提供をスタートし、2022年度で2,000億円の売上を達成しました。2022年4月に、欧州の2リージョンを統合したEuropeリージョン、アジアとオセアニアを一体化したAsia Pacificリージョン、そしてAmericasリージョン、Japanリージョンの合計4リージョン体制に再編しました。事業責任者のグローバルワイドでの最適配置にも着手しており、欧州にソリューションビジネス、北米にネットワークビジネスの責任者を配置しました。

 日本国内での課題解決力の強化として、日本の社会課題解決やデジタル化に貢献するための体制強化を継続して進めてまいりました。デザイン思考でお客様の潜在ニーズを掘り起こし、お客様との共感を通じてDXをリードするビジネスプロデューサー8,000人の研修を完了しており、このビジネスプロデューサーを中心に、商談スタイルの変革を進めてまいりました。

 お客様事業の一層の安定化として、グローバルで統一された手法での開発を促進するため、サービスデリバリーの標準化及び最適化を行うとともに、こうした手法で開発・デリバリーを行うグローバルデリバリーセンター(GDC)と、日本固有の商習慣やニーズを踏まえてデリバリーを標準化するJapan Global Gatewayの人員数を、合わせて3万人規模に増強しました。また、生産性の向上によるコスト競争力の強化を図ってまいりました

 お客様のDXのベストパートナーとなるべく、お客様の事業や変革の達成をカスタマサクセスと定義し、その実現に向けたサポートの強化に取り組んでまいりました。開発や営業機能を一体化した組織において、お客様サポートを一元的に担い中長期の視点でお客様とともに動くAccount General Managerを育成していまいりました。また、DXコンサルティング会社Ridgelinez株式会社を起点に、全社でのコンサルティング力強化を図りました。

 一方、「自らの変革」としては、当社グループ自身のDXのため、社内システムや人員、体制の強化も含めた社内変革を進めてまいりました。

 データドリブン経営の強化策として、データを活用してグループ全体の経営を高度化するOneFujitsuプログラムを全リージョン横断で推進しており、2022年4月にはOneCRMを始動させ、パイプラインマネジメントの統合とグローバルで統一した管理手法の導入を行いました。グループ全体でERPを統合するOneERP+も、グローバルでの稼働に向けて準備を進めております。また、全社DXプロジェクト「フジトラ」を中心に、全社員参加型の社内変革を進めてまいりました。グローバルで人材の流動性を高めるため、ポスティング制度の適用範囲拡大や、パーパス実現への貢献を評価するグローバル共通の評価制度「Connect」及びジョブ型人事制度の適用拡大などを進めてまいりました。これらの施策の結果、生産性が向上し、2022年度の社員一人当たりの営業利益は、2019年度と比較して60%増加しました。

 施策の実行にあたり、サービス・オファリングの開発やM&Aをはじめとする外部への投資、将来を見据えたDXビジネス拡大のための戦略的な投資に加え、高度人材の獲得や社内の人材・システムの強化のための投資を行ってまいりました。

 財務面に加えて、非財務面での取り組みも強化してまいりました。当社グループの掲げるパーパスの実現には、あらゆるステークホルダーとの信頼関係を築くことが必要と考え、お客様からの信頼を示す「お客様ネット・プロモーター・スコア(NPS)」、社員との結びつきを示す「従業員エンゲージメント」、そして、組織、カルチャーの変革の進捗を経済産業省が推進する「DX推進指標」を非財務分野における評価指標と定め、改善に取り組んだ結果、お客様NPS及びDX推進指標で目標値を達成しました。

<新たな中期経営計画について>

 当社グループは、5月24日に新たな中期経営計画を発表しました。

 まず、パーパス実現に向けて必要不可欠な貢献分野であるマテリアリティを、地球環境問題の解決、デジタル社会の発展、人々のウェルビーイングの向上の3分野に定め、この3つの分野で、気候変動、情報セキュリティの確保、生活の質の向上に向けた医療ヘルスケアの推進など、重点的に取り組むべき11の課題を設定しました。全社でマテリアリティへの取り組みを推進し、富士通グループの企業価値向上と持続可能な世界の実現を目指してまいります。

 今回の中期経営計画では、2030年及びそれ以降のあるべき姿を見据えて、2025年における当社のあるべき姿と、ステークホルダーへの提供価値の最大化を実現するための4つの重点戦略を定めました。一つ目、事業モデル・ポートフォリオ戦略、二つ目、カスタマサクセス/地域戦略、三つ目、テクノロジー戦略、そして四つ目、リソース戦略です。

 一つ目、事業モデル・ポートフォリオ戦略では、成長領域への投資や効果をより明確にし、事業ポートフォリオのマネジメントを強化するため、事業セグメントの変更を行います。従来のテクノロジーソリューションを、サービスソリューションとハードウェアソリューションの2つに分類します。サービスソリューションは、Fujitsu Uvanceを中心とするグローバル横断なOn Cloudのデジタルサービスと、各リージョンが提供するサービスビジネスや従来型のOn Premiseのサービスなどで構成されています。サービスソリューションは、当社の今後の成長を牽引する領域として、コンサルティング力の強化やパートナーとの戦略的アライアンスの強化、当社の先端テクノロジーの強化及びビジネスへの実装、そして、デジタルサービスを提供するための人材育成などに取り組み、成長を目指してまいります。一方ハードウェアソリューションは、ハードウェアの販売及びハードウェアの保守ビジネスで構成されます。

 二つ目、カスタマサクセス/地域戦略では、引き続き、コンサルティングを強化してまいります。Fujitsu UvanceのHorizontal領域をはじめとするテクノロジー軸のコンサルティングと、Fujitsu UvanceのVertical領域をはじめとする、事業、経営に関わるビジネス軸でのコンサルティングの両軸であるべき姿の実現に向けてお客様をご支援してまいります。リスキリングなどを実施し、2025年度までにコンサルティングスキルを持つ人員を、テクノロジーとビジネスで合わせて1万人に増強してまいります。

 また、モダナイゼーションビジネスを強化します。お客様の既存資産をしっかりと受け継ぎながら、テクノロジーとビジネス両面でのコンサルティング力や長年培ってきたエンジニアリング力、モダナイゼーション専任の組織やグローバルでのデリバリー体制といった独自の強みを活かして、最適なソリューションをご提案してまいります。

 地域戦略としては、日本においては、全業種のお客様のモダナイゼーションをサポートし、また、日本を起点にグローバルで事業を展開するお客様に、グローバル標準のサービスやサポートを提供する体制を強化してまいります。その他のリージョンでは、Fujitsu Uvanceを中心としたグローバルなソリューションやサービスの提供を拡大してまいります。また、お客様への提供価値をグローバルで高めるため、戦略パートナーとのアライアンスも強化してまいります。

 お客様事業の一層の安定化に向けては、全社のガバナンス強化、情報セキュリティ強化、そしてシステム品質改善の3点を柱に取り組んでまいります。スピード感をもって各施策を確実に実行し、効果を測定して改善するというマネジメントを恒久的に実行してまいります。

 三つ目、テクノロジー戦略では、Fujitsu Uvanceを支える5つのキーテクノロジーであるコンピューティング、ネットワーク、AI、データ&セキュリティ、そしてコンバージングテクノロジーに引き続きリソースを集中させ重点的に研究開発を行ってまいります。今後は、AIを核にキーテクノロジーを強化し、付加価値としてビジネスに実装してまいります。

 四つ目、リソース戦略では、グローバル統一のJob Roleを定義し、人材ポートフォリオの見える化や事業と連動した人材の育成計画をグローバルで進めてまいります。リスキリングやアップスキリングを行い、成長領域のリソースを拡充するとともに、人的資本経営の強化として、より個人にフォーカスしたキャリア形成や、自律性、自主性を重視した施策を展開してまいります。

 また、OneFujitsuプログラムを中心に、データドリブン経営の強化を進め、社内実践で得られた経験やノウハウを、価値としてお客様に提供してまいります。

 以上4つの戦略の実行においては、成長に寄与する投資を継続して、最適なアロケーションを実施いたします。

 財務面での経営目標として、2025年度は、連結で売上収益4兆2,000億円、調整後営業利益5,000億円、同利益率12%の達成を目指してまいります。

 非財務の領域においても、環境、お客様、生産性、そして人材の4つの項目において2025年度のKPIを定め、達成に向けて取り組んでまいります。

 環境でのKPIとしては、温室効果ガス削減量について、いずれも2020年度と比較しScope1・2では富士通グループで50%削減、Scope3ではサプライチェーンで12.5%の削減を目指してまいります。

 お客様については、従来のKPIであるお客様NPSを継続し、2022年度比で20ポイント上昇を目指してまいります。

 生産性については、従業員一人当たりの営業利益において、2022年度比40%の上昇を目指してまいります。

 人材については、従来のKPIである従業員エンゲージメントを継続し、グローバルでのスコア75の達成を目指してまいります。また、ダイバーシティリーダーシップの指標として、まずグローバルでの女性幹部社員比率をKPIとし、2022年度の15%から2025年度で20%に拡大することを目標としました。これは、2030年度で30%の達成を目指し、そこからバックキャストして定めております。また、引き続き非財務面での取り組みが財務面に対しどのように寄与するかについて、定量的な分析を進めてまいります。

 今回新たに、2030年に向けて、クロスインダストリーでサステナビリティに貢献するデジタルサービスを提供して、社会・お客様・株主・社員などのステークホルダーにとってネットポジティブを実現するテクノロジーカンパニーになる、という当社のビジョンを定めました。このネットポジティブとは、社会に存在する富士通が、財務的なリターンの最大化に加え、地球環境問題の解決、デジタル社会の発展、そして人々のウェルビーイングの向上というマテリアリティに取り組み、テクノロジーとイノベーションによって、社会全体へのインパクトをプラスにすること、と定義しております。

 パーパスとビジョンを達成していくための活動によって創出されるアウトプット及びアウトカムとして、財務指標と3つのマテリアリティの項目ごとに2030年の指標を設定しました。財務資本、人的資本といった資本を投入し、4つの重点戦略に沿ってマテリアリティに取り組み、財務・非財務の両面でアウトプットやアウトカムを生み出し、それをまたインプットとして投じる、これを継続することでステークホルダーへの提供価値の向上を図ってまいります。

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