富士興産 【東証スタンダード:5009】「卸売業」 へ投稿
企業概要
今後の我が国経済につきましては、インフレの高進や人件費の上昇、金融政策の転換による金利の上昇など先行きに懸念があり、厳しい経営環境が予測されます。
特に石油事業においては、原油価格の変動を受ける為替に連動した仕入価格や、気温の変動により変化する需要に、石油事業の販売価格は大きな影響を受け、当期は計画を大きく劣後いたしました。このようなボラティリティの高い外的要因に左右されない安定的な販売基盤を確立するため、事業収益を石油製品自体に依存するだけではなく、石油事業の周辺製品やサービスなどラインナップを拡充し、これらを用いた付加価値を訴求する提案型営業を強化することで、安定した収益を確保できる体制へ収益構造の転換を図ってまいります。
ホームエネルギー事業では、「安心・安全・安定」供給体制を柱に安定的な収益確保を図るとともに、環境にやさしい商品やサービスの提供を通じた新規顧客の獲得や新たな商材として既存ビジネスをさらに発展させ、「住環境の商材・商品」ビジネスの展開を図ってまいります。
レンタル事業においては、レンタル機械の早期発注により安定導入・確保を図るとともに、新規顧客の開拓および既存顧客の拡販に努めつつ、建設機械や車両の価格上昇分の貸出単価への転嫁を推し進め、厳しい営業環境の中においても収益の拡大を図ってまいります。
リサイクル事業については、世界的な脱炭素への動きや海洋プラスチックごみの問題から、産業廃棄物処理企業は、よりリサイクルを意識した循環型社会に貢献する企業へのシフトが求められております。廃棄物や廃油の回収を安定して実施できる体制を強固にするとともに、再資源化の更なる強化と販売先の拡充を図ってまいります。
環境関連事業においては、アドブルーを使用するSCR搭載商用車が増加する機会を捉え、小売店向け販売を強化し更なる増販に努めてまいります。
再生重油や高純度バイオディーゼル「B30燃料」等の環境負荷低減に資する商品は、今後ますます社会的ニーズが高まることが予想されます。このような社会の要請に応えるため当社グループは、エネルギーを取り扱う企業として環境負荷低減に資するエネルギーの供給を担い、低炭素化社会の実現に向けた取り組みに貢献してまいります。今後とも商品ラインナップの拡充に努め、当社グループの長期ビジョンである「お客様が必要とするエネルギーを提供する企業グループ」を目指してまいります。
以上のような事業別施策を着実に実施し、中期経営計画の目標達成に向け、グループ全体で鋭意取り組み、企業価値を向上させることにより、ステークホルダーの期待に応えてまいります。
このように大きく変化する環境の下で、当社グループは、長期ビジョンと新たな「中期経営計画(2021年度~2023年度)(以下「本中計」といいます。)」を次の通り策定し、各種施策に取り組んでおります。
① 長期ビジョン及び本中計策定の背景
地球温暖化対策に世界が動き出す中、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて社会の関心は加速度的に高まりを見せ、また、業界再編の動きも今後活発化することが見込まれていることから、当社を取り巻く事業環境は従来に増して劇的に変化します。
当社は、次世代液体エネルギーへの転換に合わせて、業界内での厳しい競争に勝ち抜くことができる供給体制を確立してシェアをより多く獲得することで、その後のイニシアチブをとることが可能と考えており、この変化を成長へのチャンスととらえています。このため、現在の当社の供給体制を最大限に拡充・強化しながら、無駄なく、間断なく、いち早く、次世代液体エネルギーの供給企業への変革を遂げられるよう、活動を開始することとし、長期ビジョン及び本中計を次のとおり定め、その実現に向け取り組むこととしました。
② 長期ビジョンの内容
お客様が必要とするエネルギーの安定供給と、エネルギーの効率使用や環境負荷の低減に資する商品の提供を通じ、よりよい社会づくりを支える企業でありたい
・お客様にとって最適なエネルギー・サービス・ソリューションを提供します ・グリーン商品から次世代液体エネルギーまで幅広くお届けします ・地域のくらしと産業の持続的な豊かさと発展を支えます ・事業活動を通じてESGの取り組みを推進し、よりよい社会づくりに貢献します |
③ 本中計の内容
ア.基本方針
本中計の3年間を、この次世代液体エネルギーの供給企業への構造転換を果たしていくための大切なスタート期と位置付け、当社の意識変革、人材育成、外部からの人材の招聘等の組織・人事改革も同時に実施し、持続的に成長する企業に生まれ変わります。
当社は、これらの実現に向けた基本方針を次のとおり定め、取り組んでまいります。
a.次世代液体エネルギーの取り扱いを前提としたサプライチェーンの拡充と強化
b.原油価格や天候の変動等外部環境による収益影響を受けにくい安定したビジネスモデルへの変革
c.AI・IoTの利用等あらゆる可能性を追求した効率の良いエネルギー供給体制の構築
d.新規事業及び既存成長事業の収益拡大に向けた積極投資の実施
これらの実現のために、設備・人材・システム等への投資に加え、次世代液体エネルギーの供給企業として必要な規模・技術・ノウハウの確立に向けた協業・提携・M&Aを積極的に実施するべく取り組みます。
また、手元資金を上記施策に係る投資に充てることによって収益性及び資本効率(ROE)の向上を促進し、このための投資を積極的に実施するとともに、得られた収益については可能な限り株主還元の拡充に努めてまいります。
イ.目標とする経営指標
本中計基本方針に基づく事業別施策及び大胆な投資・株主還元により、“新生”富士興産として、最終年度である2023年度において、連結ベースで次の数値目標を目指します。
経常利益:10億円以上 ROE:8%以上 |
ウ.投資・株主還元
a.投資
<川下戦略 ~小売会社との統合・提携~>
・小売マージン吸収や原油価格騰落時の価格スプレッド変動リスクを最小化するとともに、物流サービスの差別化により、エンドユーザーの囲い込みを行うことで、価格競争からの脱却を図る。
・上記、取り組みにより、水平戦略の展開時の交渉を有利に進め、次世代液体エネルギーへの転換を当社主導で推進する。
<水平戦略 ~同業他社との統合・提携~>
・規模拡大、シェア拡大を進め、物流機能の効率化、設備投資・コストの最小化を図る。
・次世代液体エネルギーへの転換における主導権を握り、業界内のプレゼンスを高める。
b.株主還元
総還元性向100%を目安とした株主還元を実施(2022年3月期から2024年3月期) |
市場環境や資本の状況を勘案し、利益配当と自己株式取得を合わせて実施します。
(参考) (百万円)
| 2021年度 (2022年3月期) | 2022年度 (2023年3月期) | 2023年度 (2024年3月期) |
目標総還元額 | 430 | 530 | 760 |
エ.コーポレート・ガバナンス
本中計初年度より独立社外取締役を2名追加選任し、経営の監督体制を強化しております。本中計期間は、次世代液体エネルギーの供給企業への構造転換を果たしていくための大切なスタート期であり、大きな舵をとる上でより強固なガバナンス体制構築が必須であると考えております。引き続き、当社取締役会のスキルセットを考慮し長期ビジョン及び本中計を達成する上で必要な人材を選定してまいります。
以上、当社グループは、本中計の目標達成に向け、グループ全体で鋭意取り組んでまいります。
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