富士精工 【名証メイン:6142】「機械」 へ投稿
企業概要
当社グループにおきましては、自動車産業の電動化シフトにともなう取引先の新たな部品試作や量産に貢献する製品や技術の開発及び加工現場における高速高能率化やフレキシブル生産対応を実現する製品・商品の提供を研究開発活動の基本方針としております。
直近では「モーターなどの電動車部品生産用工具」や「摩擦攪拌接合用工具」をはじめとした特殊工具や特殊治具、更にはそれらの周辺装置の開発テーマを中心に取組んでおり、当連結会計年度における研究開発費の総額は91百万円(売上高比率0.4%)であります。
当社グループは生産・販売体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、研究開発活動は主に当社を中心とした日本セグメントで行っております。なお、お客様との秘密保持契約に該当しない当連結会計年度における主な研究開発の成果は、次のとおりであります。
(1)フローティング式マテハンホルダ
当製品は一般的な汎用マシニングセンタが保有しているクーラントやエアーの動力源を利用して、治具やワークを把持し、無人での自動段替えを実現する製品になります。近年、多様化する市場ニーズに合わせて多品種変量生産が求められる中、治具の段替えやワークの脱着は手作業で行っており、生産性が向上しない課題がありましたが、マテハンホルダにより高価なロボットを必要とせず、低コスト、高精度な自動段替えを可能としております。
今回、従来のワークの内径・外径を把持するだけではなく、異形状ワークや特殊形状ワークも把持できるフローティング機構を備えたマテハンホルダを開発しラインナップを拡充しております。今後も更にワーク以外の治具やチャックの部品交換を可能とするホルダを開発し自動生産ラインに貢献してまいります。
(2)QECキュービック
当製品は持ち運びが可能な工具観察台になります。お客様の製造・評価現場では即座にその場で工具を観察したいというニーズが高く、ノートパソコンやタブレットがあれば、その場で工具の刃先観察や簡易測定が可能になります。工具保持部には3Dプリンタ(樹脂、CFRP)造形を採用しており、工具の損傷を防止しつつ、軽量かつ高強度でA4サイズ以下、重量約4.1kgと持ち運びできる利便性と安定した工具観察を両立しております。
また、3Dプリンタ製品は従来の金属加工に伴う切削廃棄物をゼロとし製造時の使用電力量も約70%低減した製品であります。今後もより環境に配慮した3Dプリンタを活用した製品を開発し、カーボンニュートラル実現に向け進めてまいります。
(3)新たな取組み
当社は切削工具に加えて、多品種変量生産、自動化ラインのモノ作り現場に貢献する部品クランプ用チャック、搬送用マテハンホルダ、セパレート治具など加工点の周辺に携わる製品の開発にも注力しております。
また製品への付加価値向上、新製品開発の技術基礎となる研究も進めております。加工点のリアルを定量化する「モニタリング研究」、安定した加工を実現する「振動解析研究」、素材の接合技術である「摩擦攪拌接合研究」、電極シートを切る「裁断技術研究」など新規分野の参入も見据え活動を行っております。
自動車産業界が大きく変革している状況下で、私達は様々なアプローチを用いてお客様のニーズに応え技術力を高めることで、新しいもの作り現場の生産性向上に貢献する高付加価値製品をご提供してまいります。
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