富士ピー・エス 【東証スタンダード:1848】「建設業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「企業は社会の公器、企業の社会的責任遂行」という言葉を明確に自覚し、株主を始め、顧客、当社グループ社員、協力会社並びに地域社会からの信頼を得て、社会資本整備を通して「信頼と利益」の調和の取れた企業経営を目指しております。企業である限り競争は必然であり、そのためにより高度で特化した技術が必要であることを認識し、人材教育と技術開発を推進しております。
(経営理念)
・福祉国家建設の一翼を担って社会に奉仕する
・技術を究め創意をこらし自己の責任を完遂する
・和信協同し企業の繁栄と共に幸福を創り出す
(経営方針)
技術の研鑽と創意に努め、安全と安心の企業ブランドのもと、社会資本整備を通して国家建設に貢献するとともに、利益追求と社会的責任の調和を実現する。
(2)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループが属しております建設業界の外的な環境のうち、本年4月からスタートした改正労働基準法への対応は、コンプライアンスの観点から完全遵守が求められるものであり、厳格な監視・管理体制のもと運用を進めていく必要があります。当社では2017年に「働き方改革推進委員会」を社内に設置し、適用開始に向けた準備を進めてまいりました。今後は、当社グループ全体で真に魅力ある働き方改革の施策を実装して本質的な生産性向上を実現し、生産現場で働く人々の真のやりがいにつなげていくことが重要です。
また、当社グループでは、2021年5月に向こう10年を見据えた第5次中期経営計画「VISION2030」を発出し、翌連結会計年度はその4年目を迎えることになります。「VISION2030」においては中間点となる2025年度末を中間ゴールとして施策の進捗と効果を測ることとしています。現時点においては、発出以来新型コロナウイルス感染症や世界的なインフレによる原材料価格の高騰など、外部環境の影響も受け進捗及び成果ともに計画を下回る状況で推移しています。「VISION2030」のメインテーマとした「ヒト・モノ・カネの拡充による稼ぐ力の増強」では、それぞれ人材の確保・育成、工場など生産設備の増強、及び財務の健全性を確保するための資本政策の実行などを想定しています。しかし、人材獲得競争の激化による離職率の高止まりや、コロナの影響による特に建築関連の工事の進捗遅れなどによる工場稼働率の低下、またゼロ金利政策解除に伴う資本コストの増加など、その実行においては必要なコスト負担など様々な問題が浮き彫りになっています。したがって、「VISION2030」で計画する施策の確実な実行においては、業績の向上による早期の計画軌道への回復を実現し、中間ゴールで示す業績目標の達成に向けた見通しをつけることが重要であると考えます。
一方、市場の状況は土木、建築市場ともに堅調であり、採算性においても公共工事の設計労務単価及び諸経費率の見直しによる発注価格の適正化や、民間工事においても適正な価格転嫁を推進する施策を国が主導して実施しており、今後さらなる改善が期待できるものと考えています。当社グループにおいては、翌連結会計年度の期初では引き続き過去最高レベルとなる500億円を超える手持ち工事を保有しており、今後必要な対応を実施して順調な進捗軌道に乗せていくことが課題です。加えて、翌連結会計年度より「工事工場利益改善プロジェクト」をスタートし、市場の再分析と工事、工場における採算性の改善に取り組み、新たなかたちで再スタートした事業環境において、目標とする業績につながる諸対応を実施してまいります。
以上、これら重要課題への対応を確実に進めるとともに、カーボンフリーをはじめとする「SDGs」への取り組みを継続し、企業の社会的責任を果たしながら社会に必要とされる企業として成長してまいります。
(3)中期経営計画「VISION2030」について
当社グループは、2021年に向こう10年を見据えて、「新たな成長戦略に向けた経営リソース(人材、技術・生産設備、財務)の拡充」をメインテーマとした「VISION2030」を策定いたしました。
「VISION2030」では、通過点である2025年までの5年間で高収益体制の実現、経常的に経営資源を充実させていく体制・文化の構築を目指すべきゴールとして、「稼ぐ力」を蓄えるためのハード・ソフト両面での環境整備を集中的に行い、その後、2030年に向かってこれをテコに「急成長を成し遂げる期間」としております。
2030年にあるべき姿として「価値を創造するエンジニアリング企業」「顧客の要望にワンストップで応える企業」「世界レベルのSDGs達成に貢献する企業」を目標としております。
この「VISION2030」を達成するための方針として、次の4つを掲げております。
事業方針:
(ⅰ)2030年度のゴールに向けて、2025年度までに高収益体質が実現し、経常的に経営資源を充実させていく体制・文化の構築している状態を目指す
(ⅱ)2030年度のゴールを、売上高450億円超・営業利益率5%超とし、2025年度に売上高350億円超・営業利益率5%超を目指し、選別受注及び利益優先主義を継続する
(ⅲ)人員増加施策だけでなく、生産性の向上を図るため、大規模な設備増強や現場負荷軽減のための仕組みづくりに注力する
投資方針:
(ⅰ)工場を中心に5年間で集中的な投資を行い、生産性の向上、製品売上比率の向上を図る
(ⅱ)将来の工場製品売上の増加見通しに伴い、必要な時期において工場の生産能力の増強を検討する
(ⅲ)継続的な研究開発を行うために売上高の0.3%を開発費に充てる
財務方針:
(ⅰ)財務の健全性を重視し、投資は利益の範囲内とする
(ⅱ)将来、大規模な投資が必要となった場合は、保有資産の活用も視野に入れる
(ⅲ)ROEは7%超の維持を目標とする
株主還元方針:配当性向20%超の維持
また、「VISION2030」においては、SDGs<持続可能な開発目標>の17の目標への取り組みについても掲げております。
当社グループは、2015年に国連サミットで採択されたSDGsに対し、当社事業の重要な様相としてSDGsを位置付け、「世界レベルのSDGs達成に貢献する企業グループ」を目標に掲げ、SDGsが描く未来の現実に取り組むことで、さらなる社会貢献を図ること、及び事業活動を通じて、課題抽出と技術革新に取り組み環境負荷軽減を達成することは重要な課題と捉えております。
また、外部環境の変化を受け中期経営計画「VISION2030」の一部をアップデートし、中長期的な企業価値の向上に向けて、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を行うことといたしました。
世界的なインフレによる原材料、労務費、輸送費等の建設コストの高騰など外部環境の変化の影響を受け、「VISION2030」に掲げたROE7%超の維持が2期連続未達、PBR(株価純資産倍率)が1.0倍を割り込んでいる状況となりました。この現状を受け、主要セグメントである土木事業・建築事業の収益性確保により「VISION2030」の業績目標を達成し、株主還元の充実、IR活動の強化などによる株価の向上に向けた取り組みの実施により、ROEとPBRの改善・向上に繋げてまいります。
具体的な目標・取り組みは以下の通りです。
(ⅰ)利益確保によるROEの改善
「VISION2030」に計画する工場設備投資等による既存事業の充実に加え、新規事業への挑戦・拡大を図るとともに、「工事工場利益改善プロジェクト」にて策定した諸施策の遂行により、売上高350億円超、営業利益率5%超の実現することにより、ROE8%超の実現を目指す
(ⅱ)株価向上施策によるPBRの向上
①配当政策の見直し
株主還元強化による株価向上施策の一環として、配当性向40%を目指す
②自己株式の取得
資本効率向上と株主還元強化の一環として、自己株式の取得を検討
③IR活動の強化
積極的な情報開示とIR活動の強化
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