奥村組 【東証プライム:1833】「建設業」 へ投稿
企業概要
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、これまでの歴史の中で、『「堅実経営」と「誠実施工」を信条に、社会から必要とされ続ける企業として、社業の発展を通じ広く社会に貢献する』という経営理念を受け継いできており、その経営理念を基礎としながら、将来のありたい姿を示す「2030年に向けたビジョン」の実現を目指して、事業活動を推進しています。当社グループが描いているビジョンは、SDGsが目指す「持続可能な共生社会の実現」と目的を一つにするものと捉えており、事業活動による価値創造がSDGsへの貢献に繋がるものと考えています。
サステナビリティを巡る課題への対応については、重要な経営課題であると認識しており、「人と地球に優しい環境の創造と保全」を基本理念に、環境汚染の予防、環境負荷の低減及び環境の保全に努めるとともに、働き方改革を推進し多様な人材が活躍できる環境の構築を図るなど、「持続可能な社会の実現」に向けた取り組みを進めています。
①ガバナンス
当社グループでは、ESG/SDGsに関連する課題等について審議し、戦略的な取り組みを推進する組織として、ESG/SDGs推進委員会を設置しています。
また、建設業界においては長時間労働の是正や週休2日の実現等が喫緊の課題となっており、働き方改革を横断的かつ可及的速やかに推進するための専門委員会として、働き方改革推進委員会を設置しています。
両委員会は、いずれも代表取締役社長を委員長、各本部組織の長及び東日本・西日本支社長を委員として構成し、その審議結果等については、必要に応じて取締役会に付議・報告することとするなど、取締役会による監視が適切に図られる体制としています。
②戦略
[気候関連を含めたESG/SDGsに関する方針等]
「2℃以下シナリオ」及び「4℃シナリオ」に基づく検討(シナリオ分析)により、気候関連等のリスク及び機会が組織に及ぼす影響を分析しています。
・2℃以下シナリオ:世界の平均気温の上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準を保ち、1.5℃に抑える努力を継続することを想定したシナリオ
・4℃ シ ナ リ オ:世界の平均気温が産業革命前より4℃程度上昇することを想定したシナリオ
具体的には、気候関連を含めたESG/SDGsに関わるリスクと機会、それらが顕在化した場合のインパクトを分析し、その発生可能性と影響度の2軸により、それぞれのシナリオにおける重要度を評価のうえESG/SDGsに関わる当社グループの課題を抽出しています。
同分析の結果、気候変動に関連したマテリアリティ(重要課題)として「レジリエントなインフラ整備への貢献」及び「環境に配慮した事業の推進」を特定したほか、事業活動の根幹となる「働き方改革の推進」についてもESG/SDGsに関わる当社グループのマテリアリティ(重要課題)として特定しており、これらの課題解決に向けた方策を中期経営計画における各部門の施策等に反映することで、事業活動とESG/SDGsに関わる取り組みを一体的に推進しています。
ESG | SDGs | ESG/SDGsに関わる リスクと機会 | リスクと機会が 顕在化した場合 のインパクト ※1 | 2℃以下 シナリオ 重要度 ※2 | 4℃ シナリオ 重要度 ※2 | リスクと機会 のタイプ | 発現時期 | ESG/SDGsに関わる 当社グループの課題 ※3 | |
E | リ
ス
ク | 気候変動にともなう 異常気象や地震、台風 などによる大規模災害の 頻発・激甚化 | インフラの破損による生活および産業基盤の劣化、保有資産に 対する損害 | 4 | 5 | 物理的リスク(急性)/ 移行リスク(法規制・市場) | 短・中・長期 | レジリエントな インフラ整備への 貢献★ | |
E | 気候変動にともなう 気温上昇や環境に 配慮しない開発による 自然環境の破壊 | 生態系の破壊や水源の汚染、企業評価の悪化による受注の減少 | 4 | 5 | 物理的リスク(急性・慢性)/移行リスク(法規制・評判) | 短・中・長期 | 環境に配慮した 事業の推進★ | ||
E | 気候変動にともなう 炭素税(カーボンプライシング)の導入による 材料・外注費の高騰 | 建設コストの増額に ともなう収益力の低下 | 4 | 3 | 移行リスク | 短・中・長期 | 脱炭素化の推進★ | ||
E | 建設資材に含まれる 天然資源の浪費 | 天然資源の減少にともなう持続可能性の減退 | 3 | 3 | 移行リスク(市場) | 中・長期 | リサイクルによる 資源の有効活用 | ||
S | 危険をともなう労働環境 | 労働者の モチベーションの低下 | 3 | 3 | 物理的リスク(急性)/ 移行リスク(市場) | 短・中期 | 安心安全な労働環境 | ||
S | 空き家や空き店舗、 老朽建物の増加 | 治安・衛生環境の悪化や建物倒壊による 災害、保有不動産の 賃貸収入の減少 | 3 | 3 | 物理的リスク(慢性)/ 移行リスク(市場) | 中・長期 | 不動産ストックの 有効活用 | ||
S | 労働環境における 多様性の欠如 | 女性をはじめとする 多様な人材の流出、 雇用機会の損失 | 3 | 3 | 物理的リスク(急性)/ | 短・中期 | ダイバーシティ経営 の推進 | ||
E・S | 気候変動にともなう 気温上昇による労働環境 の悪化 | 熱中症リスクの増大、労働生産性の低下に ともなう建設コスト の増額 | 3 | 4 | 物理的リスク(慢性)/ | 短・中・長期 | 機械化・省力化・ 効率化の推進★ | ||
E | 機
会 | 気候変動への対策となる建築物の省エネルギー化需要の増加 | 建築物の 省エネルギー化の進展 | 4 | 3 | 製品とサービス、市場 | 短・中・長期 | 建築物の 省エネルギー設計★ | |
S | ICTの発展と 建設技術への応用 | ICTによる建設技術 の向上 | 3 | 3 | 製品とサービス、市場 | 短・中・長期 | ICTによる技術力と 生産性の向上 | ||
S・G | 高品質インフラの 需要の高まり | 長寿命なインフラ の整備 | 3 | 3 | 製品とサービス、 レジリエンス | 中・長期 | 施工品質の確保・高度化 | ||
E | 気候変動への対策となるクリーンエネルギー需要の高まり | CO2排出量の少ない 発電方式の普及 | 4 | 3 | 製品とサービス、 エネルギー源、市場 | 短・中・長期 | 再生可能エネルギー事業の推進★ | ||
S・G | 地域社会・企業との連携の促進 | 地域社会・企業との パートナーシップ によるシナジーの発揮 | 3 | 3 | 製品とサービス、市場 | 短・中・長期 | 地域社会・企業 との連携 | ||
S | 業務効率化による 長時間労働の削減 | 建設業の魅力の向上と従業員の健康増進 | 4 | 4 | 製品とサービス | 短・中期 | 働き方改革の推進 | ||
S | 働き方の多様化と 雇用流動化の進行 | 多様な働き方の実現 | 3 | 3 | 製品とサービス | 短・中期 | ディーセントワーク の推進 |
※1 リスクに関しては負のインパクト、機会に関しては正のインパクトを記載しています。
※2 発生可能性と影響度の2軸で重要度を評価しました。1~5の5段階で評価し、5が最も重要度が高いことを示しています(5:極めて高い、4:高い、3:中程度、2:低い、1:極めて低い)。
※3 ESG/SDGsに関わる当社グループのマテリアリティ(重要課題)は太字下線で示しています。また、★印は気候変動に関連した課題を示しています。
[人的資本に関する方針等]
当社グループでは「中期経営計画(2022~2024年度)」において、事業戦略の基本方針として「人的資源の活用」を掲げており、多様な人材が個々の能力を最大限に発揮し、すべての社員が生き生きと活躍できる職場づくりを推進するため、「人材育成方針」「社内環境整備方針」を策定のうえ、それら方針に基づく取り組みを進めています。
(人材育成方針)
当社グループが持続的に成長し続けていくためには、経営理念を体現できる人材の育成が不可欠であることから、堅実に、誠実に、信頼関係を大切に、自ら率先して行動する、成長意欲にあふれた人材を育成することに注力しています。 |
具体的には、職務遂行能力に応じた階層別の研修や専門的知識の習得を目的とした職種別の研修などを計画的かつ積極的に実施するとともに、業務成績や発現された能力の評価に基づく適正な処遇への反映や評価結果のフィードバックを通じた指導・教育を行うことにより、人的対応力の強化を図っています。
また、DXを推進し、さらなる生産性の向上を実現するため、専門人材の確保・育成に注力するとともに、全社的なITリテラシー向上のための教育にも取り組んでいきます。
さらには、2023年4月から、中長期的な業績の向上及び企業価値の増大への従業員の貢献意欲や士気を高めることを目的に、従業員に対するインセンティブ・プランの一環として「従業員向け株式給付信託」制度を導入しています。
(社内環境整備方針)
当社グループでは、関係するすべての人とともに豊かさを分かち合い成長し続ける企業でありたいとの思いから、「2030年に向けたビジョン」の一つに「人を活かし、人を大切にする、社員が誇れる企業へ」を掲げています。 これらを実現するためにも、安全で働きがいのある環境を確保し、個性・創造性を大切にする企業風土を醸成することにより、女性をはじめとする多様な人材が個々の能力を最大限に発揮し、すべての社員が生き生きと活躍できる職場づくりに努めています。 |
具体的には、働き方改革を推進し、多様な人材が活躍できる職場環境を整備することにより、従業員の働きがいの向上に繋がる人材投資に取り組んでいきます。
その一環として女性活躍推進にも取り組んでおり、女性社員の積極的採用、育成を行うとともに、育児と仕事の両立を支援する制度の充実等を通じて女性社員が安心して働ける環境整備を進めることにより、女性の指導的立場での活躍を着実に推進します。
また、社員の健康づくりを積極的に支援しており、まずは社員が心身ともに健康で、さらには個性や能力を最大限に発揮することができる環境を整えることにより、社員一人ひとりのウェルビーイングの実現を目指しています。
③リスク管理
当社グループでは、サステナビリティを巡る課題の解決に向けた方策を中期経営計画に反映することで、事業活動とESG/SDGsに関わる取り組みを一体的に推進することとしており、ESG/SDGsに関する課題等については、ESG/SDGs推進委員会及び働き方改革推進委員会において、分析・識別・評価・管理のうえ、各部門の施策に反映させることにしています。
④指標と目標
[気候関連の対応に関する指標と目標]
当社グループでは、「②戦略」において記載した、気候関連のリスク及び機会を評価・管理する際に使用する指標と目標を「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標 ②中期経営計画」に記載のとおり、「中期経営計画(2022~2024年度)」における非財務目標として設定しています。
また、長期的な指標と目標として、温室効果ガス(GHG)排出削減目標を次のとおり設定しています。なお、同目標は2023年1月にSBT認定を取得しています。
※SBT(Science Based Targets):パリ協定(世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準を保ち、1.5℃に抑える努力を継続するもの)が要求する水準と整合した、5~15年先を目標年として企業が設定する「温室効果ガス排出削減目標」のこと。
指 標 | 2030年度目標削減率(排出総量) |
Scope1 + Scope2 | 25%(2020年度比) |
Scope3 | 13%(2020年度比) |
(注)1 Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出
Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用にともなう間接排出
Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
2 (参考)2020年度排出総量実績 Scope1+2:41,466.13 t-CO2 Scope3:1,180,258.95 t-CO2
2022年度排出総量実績 Scope1+2:54,122.45 t-CO2 Scope3:1,243,914.93 t-CO2
3 SBT事務局の審査の結果、第85期(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)有価証券報告書に記載した目標値(審査中であったもの)を変更しています。
[人的資本に関する指標と目標]
当社グループでは、「②戦略」において記載した、人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標と目標を設定しています。
指 標 | 実 績(2022年度) | 目 標(2024年度) |
採用者に占める女性割合 | 20.1% | 20.0% |
管理職に占める女性労働者の割合 | 3.7% | 5.0% |
男性労働者の育児休業取得率 | 93.8% | 100% |
工事所の4週8閉所実施率 | 土木 43.0% 建築 28.2% | 土木 90.0%以上 建築 75.0%以上 |
健康経営優良法人(ホワイト500) の認定 | 認 定 | 認 定 |
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