企業兼大株主大成建設東証プライム:1801】「建設業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

  当社グループは、中期経営計画のグループ基盤整備計画:技術開発において、「オープンイノベーションの活用を通じて、環境・社会課題の解決に向けた技術開発を推進する」ことを重点課題として特定し、「経済と環境の好循環により成長が期待される産業分野に貢献する技術開発」及び「競争優位性のある技術開発」を目指し、経営資源を戦略的に投入しております。

 具体的には「洋上風力産業」、「物流・人流・土木インフラ産業」、「カーボンリサイクル産業」、「住宅・建築物産業/次世代型太陽光産業」、「ライフスタイル関連産業」、「水素産業」、「原子力産業」、「食料・農林水産業」、「資源循環関連産業」の各分野において新技術の開発や効率化、低コスト化を推進しております。

  また、「大型プロジェクト対応の特殊技術」、「高付加価値化・高品質化に資する技術」の開発も進めております。

 当連結会計年度における研究開発費は186億円であります。このうち、主な研究開発事例とその成果は次のとおりであります。

  (土木事業)

      (1)   建設機械の自動化技術の開発を促進

 施工の無人化・省力化による生産性及び安全性の向上と、燃費改善や施工時のCO排出量削減による環境負荷低減を図るために、自動運転建設機械の制御技術の開発・高度化に加え、自動化施工の適用範囲拡大を積極的に進めており、以下のような成果をあげております。

・自動運転建機「T-iROBO® Bulldozer」の機能を拡張し、土砂山の位置・大きさ・形状などを検出して最適な押土経路を自ら決定することで、土砂の押出し・敷均し作業を自律制御可能なブルドーザを開発しました。                                      

・自動運転リジッドダンプ「T-iROBO® Rigid Dump」を「成瀬ダム原石山採取工事」(秋田県東成瀬村)に導入し、積込機械(バックホウ)との協調運転による骨材原石運搬作業の自動化を実現しました。

 引き続き建設機械における自動運転技術の更なる進化を目指してまいります。

      (2)   発破掘削の装薬作業を高速化する爆薬装填装置「T-クイックショット®」を開発

 山岳トンネル工事の発破掘削における切羽(トンネル最先端の掘削面)での装薬作業を高速化する爆薬装填装置「T-クイックショット®」を開発しました。従来の装薬方法では作業員が装薬孔に火薬類を人力で装填していたため、切羽から土砂や岩が剥がれ落ちる「肌落ち」による災害リスクの発生が懸念されておりました。また、トンネル断面が大きく地山が硬質になるほど使用する火薬量が多くなり、切羽直下での作業時間も長くなることから、短時間で安全に効率よく装薬可能な仕組みの導入が求められておりました。本装置を適用することにより、切羽から数m離れた場所より迅速な装薬が可能となり、切羽近傍での作業時間が短縮されるため安全性及び生産性の向上を図ることができます。今後、全国の山岳トンネル工事に展開し、装薬作業における安全性及び生産性の向上に努めてまいります。また、引き続き本装置の機能拡張にも着手し、将来的にはトンネル掘削サイクル全体の完全自動化を目指してまいります。

      (3)   シールドマシンのローラーカッター交換システムを開発

 シールドマシンのカッタービット交換工法「THESEUS工法®」の機能を拡張し、シールド機内からロボットの遠隔操作によりローラーカッターを交換可能とするシステムを開発しました。本システムの適用により、1個当たりの重量が数百㎏と重量物であるローラーカッターを安全かつ迅速に交換することが可能となります。従来は、掘削対象地盤が硬質で切羽の安定が確保される場合は、シールド機外から人力でローラーカッターを交換しておりましたが、巨礫を含む礫地盤では切羽崩壊を防止するために交換用立坑の築造や地盤改良が別途必要となり、工費増大や工期延伸の要因となっておりました。今後、岩盤や巨礫を含む礫層の掘進に対して本システムの適用を進めるとともに、対象地盤に応じてカッター交換システムを使い分けることにより、本工法の適用範囲拡大を図ります。また、カッター交換作業の全自動化を目指して、更なる安全性及び生産性の向上に向けた技術開発に取り組んでまいります。

      (4)   施工管理支援システム「T-iDigital® Field」の機能を拡張

 「生産プロセスのDX」の一環として、施工時の膨大なデジタルデータを活用して施工管理業務を支援するシステム「T-iDigital® Field」において、山岳トンネルとダム関連に係る機能を拡張しました。

・山岳トンネル関連では、切羽(トンネル最先端の掘削面)作業に特化した総合管理基盤及び施工時に建設機械等から発生するCO排出量を可視化する仕組みを構築しました。これにより、建設機械毎の稼動状況を可視化するなど工事関係者間で稼働状況をリアルタイムに把握することで、効率的な施工管理が可能となります。また、CO排出量を可視化し、排出量の推移を表示するなど改善対象となる建設機械を常時把握することで、現場に配慮した建設機械の選定や即時の対策が可能となります。

・ダム関連では、コンクリート骨材やダム堤体材料の粒度を、連続撮影した画像からAI画像認識を駆使してリアルタイムかつ高精度に把握することができる粒度管理システム「T-iTsubumil」を開発しました。これにより、使用材料の粒度分布を高精度に測定できるとともに、計測結果はクラウド上に保存され、遠隔からも即時に確認可能となります。

 引き続き土工事や橋梁工事など適用工種の拡大を図るとともに、建設現場での施工支援アプリケーションを追加開発し、現場での適用による蓄積データの検証・分析及び各種データに基づいた施工・安全に関する管理機能の拡張を行うことで、DX技術による建設現場の変革を推進してまいります。

      (5)   連結子会社における研究開発の主なもの

 大成ロテック㈱は、東洋建設㈱並びに㈱フェクトと協働し、陸上の鉄筋コンクリート構造物で施工実績のあるガラス質膜塗装を、港湾の鉄筋コンクリート構造物へ適合させた「港湾コンクリート構造物 高機能型塗装『ワンダーコーティングシステムW-MG(マリンガード)』」を開発しました。本塗料は、以下の特徴があります。

・遮塩性、遮気性及び遮水性に優れており、被膜層をコンクリート表面に形成することで、塩害等の著しい腐食環境下にある港湾構造物を保護します。また、ひび割れ追従性と耐候性にも優れており、長期的な保護効果が期待できます。

・無色透明かつ長期的に透明度を維持できるので、塗布後もコンクリート表面の劣化状況や変状の進行を早期に発見できます。

・塗り重ね時間が短いことから、作業期間を大幅に短縮でき、雨天待機が生じる港湾工事特有の海象による作業工程への影響を、最小限にすることができます。

 今後、本塗料を通じ、インフラの長寿命化に貢献し、サステナブルな社会の実現に寄与してまいります。

 ㈱ピーエス三菱は、現在全国で進められている高速道路リニューアルプロジェクトの床版更新工事に対して、プレキャストPC床版設計の生産性向上を目的に、プレキャストPC床版の自動製図システムをJIPテクノサイエンス㈱と開発し、これまでの設計業務に使用し効果をあげてきました。床版更新工事の豊富な発注量を背景に、設計業務に対する生産性向上のニーズが高まっていることから、2023年5月から「PCaSlab-D」(プレキャストPC床版自動製図システム)としてJIPテクノサイエンス㈱より外部販売を開始しております。ソフトウェア開発に関する収益化の取り組みは同社として初めての試みとなります。今後も、成長分野に対する設計・施工のニーズを把握し技術開発を進めてまいります。

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