大成建設 【東証プライム:1801】「建設業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項については、「(1)共通 (ガバナンス)」に記載の推進体制のもと、取締役会等において合理的な根拠に基づく適切な検討を経たものであります。
(1)共通
(ガバナンス)
■ サステナビリティ基本方針
当社グループは、「人がいきいきとする環境を創造する」という「グループ理念」、及びグループ理念を追求するための「自由闊達」・「価値創造」・「伝統進化」という3つの「大成スピリット」のもと、建設業を中核とした事業を通じてサステナビリティ課題の解決を図るというサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)を実現し、人々が豊かで文化的に暮らせるレジリエントな社会づくりに貢献することをサステナビリティの基本方針としております。サステナビリティ課題の解決にあたっては、それがリスクの減少のみならず、新たな収益機会にもつながることを認識し、積極的・能動的に取り組むこととしております。
■ サステナビリティ経営の推進体制
当社は、2022年4月に、サステナビリティ課題への対応を一元化したサステナビリティ総本部を新設し、同総本部長を当社グループの業務執行におけるサステナビリティ経営の推進に関する責任を負う最高サステナビリティ責任者(CSO)に選任しました。
サステナビリティ総本部には、カーボンニュートラルに向けた課題解決及びサステナビリティ全般に関する戦略機能を一元化した「サステナビリティ経営推進本部」と、クリーンエネルギー・環境関連の事業推進機能を一元化した「クリーンエネルギー・環境事業推進本部」の2つの本部を設置しております。
また、社会と当社グループ相互の持続可能性を追求していく姿勢をより明確にするため、取締役会委員会である「CSR委員会」を「サステナビリティ委員会」に改称しました。サステナビリティ委員会は多様な視点を取り入れるために社外取締役を委員長とし、代表取締役社長を含む取締役6名(うち社外取締役2名)を委員として構成しております。
サステナビリティに関連する重要事項については、環境委員会等の業務委員会における審議を経て、定期的に経営会議、サステナビリティ委員会及び取締役会に付議しております。
取締役会で審議・決定された議案は、当社の各担当部門及びグループ各社に伝達し、それぞれの経営計画・事業運営に反映しています。また、その内容は、必要に応じて各事業所における具体的な実施事項に織り込まれ、取引先にも協力を要請することになります。
(戦略)
■ [TAISEI VISION 2030]
当社グループは、2021年5月に、中長期的な外部環境や構造変化を、「IX(インダストリー・トランスフォーメーション):業界再編圧力の高まり、SX:環境・社会課題を事業を通じて解決する方向へ、DX:DXが競争力を左右する時代へ」の3つのXとして特定し、グループ理念等に基づいて「中長期的に目指す姿[TAISEI VISION 2030]」を策定しました。
「安全・安心の実現」、「『人』と『技術』と『情報』の最適活用」を基本姿勢として、「進化し続けるThe CDE3(キューブ)カンパニー~人々が豊かで文化的に暮らせるレジリエントな社会づくりに貢献する先駆的な企業グループ~」を目指しており、その中で、SXに対しては「環境分野のフロントランナーを目指してカーボンニュートラルに向けた取り組みの加速」、「ダイバーシティ&インクルージョンを進め、多様な能力を最大限発揮できる働きやすい環境や人事・給与制度の実現」に向けて取り組んでおります。
■ 中期経営計画(2021-2023)
[TAISEI VISION 2030]の実現に向けて足元の事業環境を考慮しながら、3年間で集中的に取り組むことを重点課題として特定し、事業関連とサステナビリティ関連に分類して取り組んでおります。
サステナビリティ関連については、「エネルギー・環境」・「安全」・「技術開発」・「DX」・「働き方改革」・「ガバナンス」の6分野を特定の上、各分野において具体的な重点施策を実行しております。
■ マテリアリティ(取り組むべき重点課題)
社会及びステークホルダーの関心や社会課題を認識するとともに、当社グループの経営への影響(インパクト)を踏まえ、以下の8つのマテリアリティ(取り組むべき重要課題)を特定しております。
① 持続可能な環境配慮型社会の実現 |
また、マテリアリティに沿ったKPI(重要業績評価指標)を定め、取り組みの可視化を図ることにより、事業活動を通じた社会課題の解決‧価値創造に取り組んでおります。
なお、各マテリアリティの中期経営計画(2021-2023)重点施策への反映については、「大成建設グループ統合レポート2022(サステナビリティ経営の全体像と中期経営計画の取り組み)」をご覧ください。
(https://www.taisei-sx.jp/management/materiality/)
(リスク管理)
中期経営計画(2021-2023)における、マテリアリティのKPI及びサステナビリティ関連の重点施策については、担当の各本部でアクションプランに則り実施し、その進捗状況をサステナビリティ経営推進本部等が確認しております。その上で、関連する業務委員会、経営会議、サステナビリティ委員会で事前審議を行い、取締役会に定期的に報告しております。取締役会が定期的に審議・監督を行うことにより、その実効性を確保しております。
また、後述の「3 事業等のリスク」に記載のとおり、「(14)気候変動等環境課題に関するリスク」をはじめとする当社グループの事業におけるサステナビリティ関連リスクを投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があるリスクと認識し、発生の回避及び発生した場合の対応に努めるとともに、その状況について、定期的に経営会議及び取締役会に報告を行っております。
(指標及び目標)
中期経営計画(2021-2023)における、各マテリアリティのKPIは以下のとおりであります。
各KPIの2022年度の実績値については、「大成建設グループ統合レポート2023」のウェブサイトに掲載予定であります(2023年9月予定)。
なお、「①持続可能な環境配慮型社会の実現」については、以下のとおり、グループ長期環境目標「TAISEI Green Target 2050」を定め、「3つの社会(脱炭素社会、循環型社会、自然共生社会)」の実現と、「2つの個別課題(森林資源・森林環境、水資源・水環境)」の解決を目指しております。
(2)気候変動対応
当社グループは、気候変動による事業への影響を重要な経営課題の一つと捉え、2020年7月にTCFD提言に賛同し、2021年5月からTCFD提言に則った情報を開示しております。2021年10月のTCFD提言付属書の一部改訂に対応し、1.5℃シナリオでのリスク/機会の抽出と、開示推奨気候関連指標の検討を行い、2023年3月に一部を更新しました。TCFD提言に基づく情報開示に関する詳細は当社ウェブサイトをご覧ください。
(https://www.taisei-sx.jp/esg_guide_line/tcfd/)
(ガバナンス)
気候変動に関する議案を審議する機関として、取締役会委員会である「サステナビリティ委員会」と業務委員会である「環境委員会」を設置しております。「サステナビリティ委員会」ではESG全般に関する重要な方針や施策を審議しております。また、「環境委員会」では環境経営に関する基本方針や中長期目標を審議し、経営会議に上程しております。
(戦略)
気候変動に柔軟に対応した事業戦略を立案するため、複数のシナリオを用いてリスクと機会を抽出して事業への影響評価を行い、また、事業戦略を策定のうえ、中期経営計画等に反映しております。
■ リスクと機会
気候変動に伴うリスクと機会には、気温上昇を最低限に抑えるための規制の強化や市場の変化といった「移行」に起因するものと、気温上昇の結果生じる急性的な異常気象といった「物理的」変化に起因するものが考えられます。
分類 | リスク/機会 | 内容 | 影響度 | |
移行 | 炭素価格導入、CO2排出規制強化による市場縮小と建設コスト増加 | リスク | 炭素価格導入、CO2排出規制強化による民間建設投資、設備投資減少 建材や電力料金の高騰による建設コスト増加 | 中 |
事業活動で発生するCO2に対する炭素価格適用によるコスト増加 | 小 | |||
リニューアル需要の増加 | 機会 | 既存施設のエネルギー効率向上に向けたリニューアル需要増加 | 中 | |
省エネ・再エネ関連需要の増加 | 機会 | ZEB、スマートシティ関連の需要増加 洋上風力等の再生可能エネルギー関連工事の需要拡大 | 中 | |
物理的 | 夏季の平均気温上昇 | リスク | 建設技能労働者の健康被害(熱中症等)の増加や酷暑時間帯回避による生産性低下 労働環境悪化から建設業入職者が減少し担い手不足が更に加速 | 中 |
自然災害の甚大化・頻発化 | リスク | 建設作業所等の被災による作業停止、工程遅延、人件費・仮設費の増加 | 中 | |
リスク | 取引先の被災による調達コストの増加や工程遅延 | 大 | ||
機会 | 災害激甚化に備えた設備・インフラの強靭化需要増加 | 大 | ||
機会 | 災害が危惧される地域からの移転需要の拡大による新設・移設工事の増加 | 大 | ||
海面上昇 | 機会 | 浸水リスク地域の強靭化設備投資、浸水リスク地域からの移転需要増加 | 大 |
■ 気候変動への対応策
シナリオ分析の結果、抽出された気候変動に伴うリスクの軽減と機会の拡大を図るため、気候変動への対応策を立案し、中長期的に目指す姿[TAISEI VISION 2030]及び「中期経営計画(2021-2023)」に反映しております。
炭素価格導入や法規制強化に伴う、市場の縮小と建設コストの増加への対応 | ・当社グループの電力消費量を賄うことを目的とする再生可能エネルギー電源の保有 ・建設作業所での燃料改善策(バイオディーゼル燃料・燃料添加剤)の検討と導入 ・カーボンリサイクル・コンクリートの開発・利用など、グリーン調達の拡大 |
リニューアル、省エネ・再エネ関連需要増加への対応 | ・リニューアル専門組織の設置・風力発電関連工事への対応組織の拡充 ・次世代高機能ZEBの開発・実用化とエネルギーサポートサービスの展開 ・経済と環境の好循環により成長が期待される産業に貢献する技術開発 |
異常気象による建設作業所の生産性低下への対応 | ・ウェルネス作業所の全国推進による健康被害の低減や酷暑時間帯の作業環境整備 ・作業所業務の一部をデジタルプロダクトセンター等の専門組織に集約化 ・無人化施工技術、ロボット施工技術等の開発・展開等により作業所の生産プロセスを変革 |
異常気象と災害の激甚化、頻発化、海面上昇への対応 | ・国土強靭化に向けたインフラ整備技術の開発と提案力の向上 ・豪雨等のリアルタイム浸水危険予測シミュレーション等の開発 ・発注者や取引先と一体となったBCP体制構築と定期訓練実施により事業継続体制を確保 |
■ 環境関連研究開発投資
中期経営計画(2021-2023)において3ヵ年の環境関連投資額を600億円(実施予定額:630億円)、そのうち420億円(同540億円)を、経済と環境の好循環により成長が期待される産業分野に貢献する技術開発及び競争優位性のある技術開発に投資することとしております。2023年3月までにこのうち346億円を実行しております。
(リスク管理)
後述の「3 事業等のリスク」に記載のとおり、「(14)気候変動等環境課題に関するリスク」を投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があるリスクと認識し、発生の回避及び発生した場合の対応に努めるとともに、その状況について、定期的に経営会議及び取締役会に報告を行っております。
(指標及び目標)
■ グループCO2排出量削減目標(2019年度比)
(売上高あたりのCO2排出量:t-CO2/億円|総CO2排出量:千t-CO2)
| 基準年 | 実績 | グループ長期環境目標 TAISEI Green Target 2050 | |||
2019 年度 | 2021 年度 | 2023 年度 | 2030 年度 | 2050 年度 | ||
スコープ | 売上高あたりのCO2排出量 削減率 | 21.3 | 22.0 +3.3% | 18.2 ▲15% | 10.7 ▲50% | 排出量 0 |
スコープ | 総CO2排出量 削減率
| 368 | 325 ▲11.8% | 346 ▲6% | 218 ▲40% | |
スコープ3 カテゴリ | 売上高あたりのCO2排出量 削減率 | 288.8 | 285.8 ▲1.0% | - | 196.6 ▲32% | 排出量 0 |
スコープ3 カテゴリ | 総CO2排出量 削減率 | 4,988 | 4,218 ▲15.4% | - | 3,990 ▲20% |
なお、2022年度の実績値については、当社ウェブサイトに掲載予定であります(2023年7月予定)。
(3)人的資本関係
(ガバナンス)
当社グループは、人材活用方針(ダイバーシティ&インクルージョン方針)を定め、ダイバーシティ経営の実現に向けて、多様な人材がその能力を最大限発揮できる職場環境を一層整備すべく取り組んでおります。
ダイバーシティ&インクルージョン、働き方改革、健康経営、エンゲージメント等に関わる重要事項については、業務委員会である人事委員会での事前審議を経て、経営会議及び取締役会で審議・決定しております。
(戦略)
■ 中期経営計画(2021-2023)
「魅力ある職場環境やダイバーシティ&インクルージョンを重視した施策を推進する」を重点課題に掲げ、多様な人材が活躍できるよう、以下の働き方、職場環境の整備に取り組んでおります。
・DX人材等、多様な人材のキャリア採用(中途採用)の拡充と処遇の検討・実施
・女性社員や高齢社員他がライフステージの変化や能力と意欲に応じて活躍できる働き方施策の検討・実施
・役割や責任、成果に応じた報酬・人事制度の検討・実施
■ 人材の採用
新卒採用、キャリア採用(中途採用)のいかんを問わず、性別、年齢、人種や国籍、障がいの有無、性的指向・性自認、宗教・信条、価値観だけでなく、キャリアや経験、働き方などを含めて、多様な能力を有する人材を採用しております。
■ 社内環境整備
多様性を尊重し、役職員一人ひとりが高いエンゲージメントを維持して活躍できるよう、社内環境の整備に取り組んでおります。
・人材育成
多様な人材が、ライフステージや能力、意欲に応じた活躍ができるよう、キャリア形成やスキルアップ、スキルシフトを後押しする仕組みを構築する。
・人事制度
多様な能力に基づいて、責任や成果に応じた評価・報酬が得られるような人事制度を構築する。
・職場環境
安心して持てる能力を最大限に発揮できるよう、多様な意見や働き方を受け入れ、自由闊達で風通しがよく、違いを認め合い、偏見のない、働きやすい職場環境を整備する。
■ エンゲージメント
2022年度より当社及び主要グループ会社にてエンゲージメントサーベイを開始しました。経営陣のトップダウンのもと、会社と社員の価値観の相違を認識し、相互理解に努め、「働きがい」・「働きやすさ」を重視したエンゲージメントの高い組織を目指しております。
■ リスクと機会
国内の少子高齢化により生産年齢人口は減少しており、働き手を確保し、企業の持続的成長を図るためには、女性や高齢者、外国籍人材等の活用が欠かせない状況になっております。女性をはじめとする多様な属性の社員の活躍を推進するための取り組みや、子育て・介護と仕事の両立支援など多様な働き方を推進する取り組みを経営に活かすことは、個人と組織のパフォーマンスを向上させ、事業の成長と企業価値向上につながります。
(リスク管理)
人材活用方針(ダイバーシティ&インクルージョン方針)や中長期的に目指す姿及び中期経営計画に基づいて人材活用の自主管理目標を設定し、その実施状況について、人事委員会で事前審議を行い、必要に応じて経営会議及び取締役会に報告を行っております。
また、後述の「3 事業等のリスク」に記載のとおり、「(12)労働環境リスク」及び「(15)人権課題に関するリスク」を投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があるリスクと認識しております。「(12)労働環境リスク」については、発生の回避及び発生した場合の対応について、人事委員会で事前審議を行い、定期的に経営会議及び取締役会に報告を行っております。「(15)人権課題に関するリスク」については、人権方針に基づき、人権デューデリジェンスの取り組みを実施し、予防・軽減に努めております。その状況については、取締役会委員会であるサステナビリティ委員会に報告を行っております。
(指標及び目標)
「働きがいのある魅力的な職場環境の実現」をマテリアリティとして掲げ、以下のKPIを設定しております。
KPI | 対象 | 2022年度 | 2023年度 | |
指標 | 目標 | 実績 | 目標 | |
女性採用比率 | 当社 | - | 21% | 23% |
女性管理職者数 | 300名 | 313名 | 330名 | |
男性の育児休業取得率 | 100% | ※ 119% | 100% |
※本数値は、育児・介護休業法に基づく算出方法(分母:雇用する男性労働者のうち、2022年度中に子供が生まれた者、分子:2022年度中に育児休業又は育児目的休暇を取得した者)によるものであります。なお、社内制度に基づく算出方法(子供が生まれた男性労働者の育児休業等取得権利期間中における取得者の割合)においては、2017年度以降に子供が生まれた男性労働者について100%を継続しております。
(4)その他のサステナビリティに関する考え方及び取組
上記「気候変動対応」、「人的資本関係」以外のサステナビリティに関する考え方及び取組については、当社ウェブサイトをご覧ください。(https://www.taisei-sx.jp/)
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