大庄 【東証スタンダード:9979】「小売業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
「食」は人間にとって最も根源的な欲求に根ざしたもので、あらゆるビジネスの中でも永遠に続くテーマであります。近年、人々は健康や心の豊かさなどを「食」を通して求めるようになってきております。
当社は、「食」に携わる企業としていわゆる「食育」を実行し、健康的な子供達や家族全体に食の喜びを与えられるような企業でありたいと考えております。そのためにも、かつて母親が家族の健康を願い、愛情あふれた家庭料理を作る場であった「日本の台所」の役割を果たしていきたいと考えております。
当社は、企業理念として「人類の健康と心の豊かさに奉仕する」を掲げておりますが、店舗に来店されるお客様を家族と思い、愛情あふれる接客サービスや手作り料理の提供により、理念の具現化を図ってまいりたいと考えております。
具体的には、食材については産地とトレーサビリティ(食材の生産履歴)を明確にし、安全・安心、旬で健康的な食材を使用し、店舗には鮮度を保ちながら毎日配送する体制を構築しております。また、品質管理面では、食品衛生に関する2つの専門機関を設けて厳重なチェック体制を構築しております。例えば、「食品衛生研究所」においては、食の安全・安心確保のプロ集団として、ご提供する料理や店舗環境の衛生管理、並びに従業員の衛生教育など、外食企業として欠かすことのできない重要な機能を担っております。もう一つの「大庄総合科学新潟研究所」においては、店舗で使用する農産物・水産物などの食材全般について、独自の使用基準として「大庄基準」を定め、農薬残留分析や重金属・食品添加物、栽培履歴、あるいは放射能汚染チェックなどの安全確認を行い、お客様が安心して飲食して頂けるように日々厳格に検証を行っております。
店舗業態においてはいわゆる居酒屋ではなく、熟練調理人による手作り料理と高級感のある雰囲気やサービスを割安価格で提供する「大衆割烹」をコンセプトとして掲げており、「庄や」「大庄水産」ブランドを中心として日本全国に店舗展開しております。また、一方では最新のお客様の飲食ニーズを取り込み、高品質食材を使用した新しい「専門店」業態の開発にも積極的に取り組んでおります。
当社は、こうした食文化にこだわりをもち、社会貢献を果たしながら、営利企業として収益拡大を図り、企業価値の向上を目指す所存であります。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、「キャッシュ・フロー経営」を基本方針として、安定的な収益体制の確立と強固な財務基盤の構築を目指しております。また、収益性指標として、全ての面で最も重要となる「売上高営業利益率」を掲げており、中長期的には5%の達成を目標として経営革新を図ってまいります。
(3) 優先的に対処すべき経営課題
足許では、経済活動の正常化が進んでいる中、国内の消費活動は堅調に推移するものと思われます。一方で、地政学的な緊張や不安定な為替市場等により国内の物価や各種コストは上昇しており、外食業界におきましても人件費や光熱費等のコスト負担などにより、引き続き厳しい経営環境は続くことが予想されます。
このような状況の中、当社は、「人類の健康と心の豊かさに奉仕する」という企業理念のもと、引き続き「日本の食文化と居酒屋文化の発展に貢献する」という基本方針にこだわって事業運営を行っていくとともに、前期まで取り組んできた各種施策を継続し、着実な事業発展と収益力の強化を図ってまいります。
具体的に対処すべき課題としては、以下の点を重視して実施してまいります。
①飲食事業における営業施策・店舗戦略
前期までに構築してきた業態ポートフォリオを踏まえ、強化業態への業態変更や、庄やを中心とした既存店舗の改装によるリニューアルなど、ブランディング強化に注力し売上高と収益力の向上を図ってまいります。前期においては「庄や 本八幡南口店」を2024年4月に全面改装後リニューアルオープンし、幅広いお客様からご好評を頂いております。同様に足許の11月には「庄や 川崎408店」を全面リニューアルオープンしております。
メニュー戦略としては、9月より旬メニューの改定を隔月より毎月に変更し、水産卸売子会社「米川水産」が全国から仕入れる鮮魚などを各メニューで提供する他、宴会集客の強化を図り、回復基調である宴会需要の取込みを年末年始を中心に注力してまいります。またデジタルマーケティングによる販促活動の一環として、大庄公式YouTubeチャンネル「庄Tube」のコンテンツ充実に注力してまいります。各業態のプロモーション動画やレシピ動画、店舗のニュース動画などの動画配信強化により集客力の強化を図ってまいります。
②卸売・ロジスティクス事業の強化
前期よりセグメント分類を見直し、従来の「卸売事業」及び「運送事業」を「卸売・ロジスティクス事業」に統合しております。食材・資材等を販売する卸売に加え、外販・倉庫・運送を一体とした「総合物流サービス」の展開を推進するとともに、業容拡大及び収益性の強化を図ってまいります。また飲食事業を主体とする当社の知見を活かし、外食産業の仲間でもある同業他社に対し、価値の高い商品やサービスの提案型営業を推進してまいります。それにより飲食店経営を行う方々を支えることで、外食産業の活況化にも貢献していきたいと考えております。
③モチベーション向上取組み・健康経営の推進
従前よりこだわっている調理人を含む従業員の育成の為、各種研修の充実化を継続するとともに、従業員確保・モチベーション向上の観点より、能力のある人材の適正な評価や各種インセンティブの充実を継続してまいります。また当社の企業理念に基づき、従業員の心身の健康を経営上の重要課題であると認識し、健康経営推進の観点より職場環境の改善や健康管理のサポート体制の強化など各種取組みの推進に取り組んでまいります。
④その他各事業の強化
不動産事業につきましては、引き続きリーシングの強化に取り組むと同時に新規開店の為の新規物件の開拓を強化してまいります。フランチャイズ事業においては、ボランタリーチェーン(VC)制度の拡大・進化を図るとともに、改めて「大庄ブランド」の維持・向上と、成長を見据えた制度設計・運用の確立と、当社サポート部門による事務代行や営業指導などの機能拡充により付加価値の向上を図ってまいります。
⑤DXによる業務効率化・経費削減取組み
「生産性向上」をテーマとして、全社ベースでのDX化の推進を継続してまいります。「DX推進委員会」による舵取りの下、研修・教育による意識改革及びインフラなどの環境整備を進めながら、営業部門ではオーダーシステムの導入や発注・勤怠管理などを含む店舗システムのリプレイス等、また管理・物流部門においてはRPA、各利用システムの見直し、EDI化等により業務効率化に向けた取組みを継続してまいります。また売上原価の改善、及び水光熱費や店舗修繕などの店舗コストの削減も図ってまいります。
以上の各課題に取り組むことで、収益力の強化及び企業価値の向上を図ってまいります。
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