大同メタル工業 【東証プライム:7245】「輸送用機器」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社は、2021年4月より「サステナビリティ委員会」(下図ご参照)を設置し、気候変動への対応やマテリアリティの特定、人権尊重への対応等を始めとするサステナビリティ(CSR・ESG・SDGs)に関わる課題の解決に向けた審議・議論を行ってまいりました。そして、ESG経営による企業価値の向上を目指し、「気候変動への対応」、「環境貢献製品の開発」「人材育成」を始めとする、サステナビリティ経営を推進するにあたり当社が「優先的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)」を明確にした上で、これを開示しております。
これらのサステナビリティに関する審議内容については、取締役会へ定期的に報告され、指示・監督を受けております。
また、2022年6月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言への賛同を表明しており、当社ウェブサイトにおいて、TCFDの提言に沿った気候変動に関する重要情報も開示しております。気候変動への対応は、当社が「優先的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)」の中でも重要度が高い事項と考えており、サステナビリティ委員会での議論などを通じてカーボンニュートラルの実現に取り組んでおります。
人的資本への投資に関しても、多様性、人格、個性を尊重するとともに、その個性と能力を十分に発揮し活躍できる職場づくりの実現と、環境の整備を推進しております。特に、事業戦略を推進する「人材」は重要な人的資本と捉えており、計画的な人材育成への取組みを行っております。
(2)リスク管理
当社は、グループ全体のリスク管理及び管理体制に関する方針を定めた上で、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会による情報収集を通じて、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行っております。リスク管理委員会は年に2回以上開催され、当社グループのサステナビリティ経営の実現に重大な影響を与える可能性があるリスクについて、顕在化する可能性及び事業に与える影響度を踏まえ優先度を設定し、優先度に基づいたリスクの低減対策を推進するとともに、リスク管理の強化に取り組んでおります。本年度は、気候変動に関するリスク、自然災害によるリスク及び人材確保に関するリスク等を、当社グループの優先リスクと特定し、担当するリスク管理部署がグループ会社のリスク管理を統括する体制としております。詳細は「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照下さい。
(3)戦略・指標と目標
a.気候変動対応について
気候変動が当社グループ事業へ及ぼす影響を把握するため、当社グループ全事業を対象とし、以下の2種類のシナリオを用いて「リスク」と「機会」の分析を行いました。
●21世紀末の気温上昇が1.5℃以下に抑えられ、脱炭素社会への移行を実現する「1.5℃シナリオ」
●現状を上回る温暖化対策がとられず、物理的な影響が想定される「4℃シナリオ」
(重要なリスクと機会)
気候変動に対するリスクと機会の洗い出しを行い、当社グループにとっての重要度と発生する可能性のある時期について検証を行いました。
●時間軸(発生時期)・・・短期:2025年頃まで、中期:2030年頃まで、長期:2050年頃まで
●重要度(戦略・財務計画等に及ぼす影響)・・・大:影響範囲が大、中:影響範囲が中程度、小:自社に影響がほとんどない
| 項目 | リスクと機会の内容 | 時期・重要度 | ||||
短期 | 中期 | 長期 | |||||
移 行 リ ス ク
| 1 . 5 ℃ シ ナ リ オ | 炭素排出規制 | ・炭素税の導入、化石燃料への規制強化等による原油価格上昇 などの操業に伴うエネルギー関連費用の増加 ・脱炭素目標の達成が求められ、設備投資や再エネ電力など 代替燃料への転換等の対応コストが増加 | 大 | 大 | 大 | |
EV化の進展 | ・EV化への移行が進み、内燃機関向け製品の需要低下に伴う | 小 | 大 | 大 | |||
原材料価格の上昇 | ・脱炭素化対応に伴う原材料価格の上昇による調達コストの増加 | 中 | 大 | 大 | |||
投資家の評判変化 | ・脱炭素化、情報開示しない企業への評価低下 | 小 | 中 | 中 | |||
物理リスク | 4 ℃ シ ナ リ オ | 異常気象の激甚化 | ・異常気象の激甚化による大雨や洪水等のため、サプライヤー | 小 | 中 | 大 | |
平均気温の上昇 | ・気温上昇による従業員(主に現場作業者)の熱中症発生頻度 | 小 | 中 | 大 | |||
機会 |
1 . 5 ℃ シ ナ リ オ 4 ℃ シ ナ リ オ | 再エネ需要の拡大 | ・風力発電の需要増により洋上風力発電向け | 1.5℃ | 小 | 大 | 大 |
4℃ | 小 | 中 | 中 | ||||
EV化の進展 | ・ZEV※向けの製品需要増により、開発が進み売上が増加 | 1.5℃ | 小 | 大 | 大 | ||
4℃ | 小 | 中 | 中 | ||||
舶用軸受の 需要拡大 | ・脱炭素対応として代替燃料へのシフトが進み船舶の | 1.5℃ | 小 | 中 | 大 | ||
4℃ | 小 | 中 | 中 | ||||
CN燃料使用内燃 機関の需要拡大 | ・再生可能エネルギー由来のCN燃料を使用した自動車の | 1.5℃ | 小 | 中 | 中 | ||
4℃ | 小 | 中 | 中 | ||||
空調設備需要の 拡大 | ・気温上昇により空調設備向け軸受製品の | 1.5℃ | 小 | 中 | 中 | ||
4℃ | 小 | 中 | 大 |
※ZEV・・・走行時に二酸化炭素等の排出ガスを出さない電気自動車(BEV)や燃料電池自動車(FCV)など
(気候変動リスク及び機会への対応方針)
当社グループは、シナリオ分析を用いた中長期のリスクと機会の洗い出しにより、経営戦略や財務面の影響について分析を行い、リスクへの適切な対応及び機会に対する競争力の強化や新たな事業機会の獲得に向けて対策を進めてまいります。その結果については、当社ウェブサイトやコーポレートレポート等の媒体を通じてステークホルダーの皆様に開示・報告いたします。
(指標と目標)
当社グループは、昨今の環境意識の高まり、日本政府の2050年における「カーボンニュートラル実現」などの動きを踏まえ、当社グループの「カーボンニュートラル方針」を策定しました。地球社会の一員としての責任を果たすため、当社グループ全体で2050年のカーボンニュートラル(CO2排出量の実質ゼロ)の実現を目指し、段階的にCO2削減に取り組んでまいります。具体的には、省エネ対応や再生可能エネルギーの利用拡大を推進するとともに、事業所、工場、設備ごとのCO2排出量の見える化を進め、設備的な対策等のコストを算定した上で優先順位、ターゲットを絞り、取り組みを進めてまいります。また、CO2排出量(Scope1,Scope2)の実績については、当社ウェブサイトのESGデータ内(https://www.daidometal.com/jp/sustainability/esg-data/)に記載しておりますのでご参照ください。なお、当該サイトは2023年10月に更新予定です。
b.人的資本・多様性
(人事戦略の基本方針)
当社は既存事業を磨き上げて「真のトライボロジーリーダー」を目指すとともに、自動車業界の変革期を大きなチャンスと捉え、新事業の創出・育成に注力して新たな事業の柱を築いてまいります。これらを実現するための人事戦略を「Daido Spirit(高い志、改善・改革する意欲、挑戦する心)を根底に、自らの能力やスキルを高めながら、メンバーと自由闊達な議論を行い、創造性を発揮してイノベーションを起こすことができる人材の育成及び職場環境の構築」と定めております。さらに、会社の持続的成長・生産性向上のためには、そこで働く従業員一人一人が、働きがい(働きやすさ+やりがい)を高め、その能力を最大限発揮できる機会と環境を提供することが必要と考えております。これらを追求することが、当社の企業理念でもある「社員の幸せをはかり、地球社会に貢献する」に繋がるものと考えております。人事戦略の中でも優先的に課題解決すべきものは、当社のマテリアリティにも挙げている「働きやすい職場環境」、「人材育成」、「ダイバーシティ・インクルージョン」であり、これらに関する施策を着実に実行してまいります。
なお、人的資本・多様性についての記載内容は、提出会社(一部の指標については国内主要関係会社を含む)を対象としております。
① 「働きやすい職場環境」について
(1)基本方針
職場の心理的安全性を確保し、中期経営計画の第4の柱でもある「組織コミュニケーションの活性化」を実現することで、活力ある組織づくりと従業員のモチベーションと生産性向上を図ります。
(2)管理職教育
急激に変化する環境下においては、多様な価値観を持つメンバーと共にイノベーションを起こし、新たな価値を創造する「共創型リーダーシップ」が必要であると考えております。経験や勘ではなく、現代に求められるマネジメントスキルを習得する研修を継続してまいります。
項目 | 内容 | 実績及び計画 |
マネジメントプログラム (年間教育) | マネジメントに関する基礎知識の習得及び職場での実践活動を | 12名受講(2022年) 今後も継続予定 |
目的別研修 | ・ハラスメント研修 | 195名受講(2021年) |
・コミュニケーション研修(若手社員の意識・行動) | 203名受講(2022年) | |
・アンコンシャスバイアス研修 | 2023年度実施予定 | |
コンプライアンスチェック | コンプライアンス基礎教育の実施(WEBテスト) | 207名受講(2022年) 今後も継続予定 |
(3)健康経営の推進
当社は、従業員が活き活きと働くためには、自身の心身の健康を保つことが非常に重要であると考えており、2018年3月に「大同メタルグループ健康経営宣言」を制定し活動を行っております。その結果、昨年に引き続き2023年度(2022年申請)も健康経営優良法人に認定されております。現在は労使で構成する「健康経営推進委員会」を立ち上げて活動を強化しております。
(4)働き方改革
2016年より労使一体となって「ワークスタイル改革」と称した活動を継続しております。今後も効率的な働き方を追求して、アウトプットの最大化を図ります。取組み内容は以下のとおりであり、今後も活動を継続してまいります。
項目 | 概要 |
定時退社日の徹底 | 毎週水曜日を定時退社日とし適宜労使パトロールを行っております。 |
有給休暇の計画的取得 | 年間13日を目標に労使による計画的取得の取組みを実施しております。 |
時間外労働(年間)の限度時間数の | 当初600時間でしたが、2017年に 570時間、2019年に 540時間と段階的に |
長時間残業者の健康チェック | 超過勤務時間が2か月連続で45時間超/月の場合は希望者のみ、3か月連続で45時間超/月の場合は全員が産業医と面談を実施して健康管理を行っております。 |
働き方改革のレポート発行 | 部門単位での残業時間や休暇取得率を社内公開することで働き方改革への |
② 「人材育成」について
(1)基本方針
労働力減少・社員の働く価値観の変化・リモートワークの浸透・兼業や副業の推進といった労働スタイルの変化と環境が大きく変わる中、多様なキャリアパスを構築し、高いモチベーションを保ちながら自律的、主体的に行動するための人材育成に取り組みます。また、これまでの会社主導の教育・研修から、社員の自律的・主体的なキャリア形成の支援へ方針を転換し、仕事を通じて成長できるような機会の確保や支援を行います。
(2)教育制度
社員の成長を支援するため、様々な教育制度を整備しております。期待される役割に応じた各階層別の研修やグローバル化のための語学学習支援など、研修での学びを職場で実践しながら、社員が自律的に仕事の価値を高めるような意識・行動の変革を促します。
項目 | 概要 | 目標 |
階層別教育 | 入社後は、新入社員から管理職に至るまで、階層ごとに必要なビジネススキルを習得する教育体系を整えております。 | 継続実施 |
品質管理選抜教育制度 | 6カ月間、業務を離れて品質管理に関する専門教育を実施 | 継続実施 |
海外語学研修制度 | 中堅社員を対象に海外の語学学校に派遣する制度であり、2016年よりスタートして延べ7人派遣していますが、新型 | 2024年度再開予定 |
(3)キャリア支援制度
項目 | 概要 | 実績及び計画 |
専門職制度 | 特定分野において高度な専門的知識・技術を有している | 4名認定(2022年) |
副業制度 | 本業である当社グループの業務遂行に支障が出ないことを | 数名の申請・許可 |
社内キャリアプランの明確化 | 職種別のキャリアプランを公開することで、目指すべき姿を | 2023年度実施予定 |
③ 「ダイバーシティ・インクルージョン」について
(1)基本方針
企業発展の力の源となるのは、多様な属性や能力や専門性・経験・価値観・感性を持った従業員であると考えております。計画的に多様な人材の採用を進め、その個性と能力を十分に発揮できる、働きがい(働きやすさ+やりがい)のある環境整備に取り組みます。
(2)女性の活躍支援(女性活躍推進法の行動計画)
・総合職採用における女性比率
事務系20%、技術系10%以上にすることを目指しております。
項目 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 (目標) |
事務系採用 女性比率 | 46.2% | 66.7% | 25.0% | 40.0% | 75.0% | 20%以上 |
技術系採用 女性比率 | 9.1% | 9.1% | 5.5% | 8.3% | 11.1% | 10%以上 |
・育児と仕事の両立、職場環境と風土の醸成
当社では、女性に限らず自分のありたい姿に向けて働き続けるためには、柔軟な働き方が必要と考え、ライフイベントと仕事の両立のために以下の制度を導入して、長く働き続けることができる環境の整備を進めております。今後も必要な制度の導入や拡充を進め、制度利用者が少しでも増加するよう取り組んでまいります。
制度 | 概要 | 制度利用者 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
時短勤務 | 小学校6年生の年度末まで所定就業時間を短縮できる | 29人 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ジョブリターン制度 | 結婚や出産、育児等による退職者を再雇用する制度 | 2人 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
男女別の育児休業取得率 |
|
(注)対象者のいない拠点については―を記載しております。
・女性総合職の10年後の継続雇用割合
男性比0.8以上とすることを目指しております。
入社年度 (継続雇用年数) | 2011年度 (12年) | 2012年度 (11年) | 2013年度 (10年) | 2014年度 (9年) | 2015年度 (8年) |
男性 | 2人(66%) | 3人(30%) | 8人(57%) | 12人(70%) | 16人(57%) |
女性 | 1人(50%) | 1人(33%) | 5人(71%) | 2人(100%) | 1人(12%) |
男性比 | 0.75 | 1.1 | 1.25 | 1.42 | 0.21 |
・女性管理職比率
女性が活躍することは、ダイバーシティの考え方を浸透させ、さまざまな視点を持つ人材が活躍できる企業風土の醸成を可能とします。また、女性だけでなく、ライフステージやライフイベントに応じて誰もが利用できる制度を設けることにより、労働環境の改善につなげていきます。
会社名 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
提出会社 | 4.9% | 4.9% | 4.9% | 5.3% | 5.7% | 7% |
大同プレーンベアリング㈱ | 0% | 0% | 0% | 0% | 0% | - |
エヌデーシー㈱ | 0% | 0% | 5.5% | 5.5% | 5.8% | - |
大同インダストリアル | 0% | 0% | 0% | 0% | 0% | - |
㈱飯野製作所 | 0% | 0% | 0% | 3.5% | 6.6% | - |
(注)当社グループ全体の2022年度実績は15.7%です。
・男女間の賃金格差
「第1 企業の概況、5 従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び男女の賃金の差異」をご参照ください。
賃金格差の主な要因と今後の取り組み
1.基本給の格差
現状、女性の管理職や役職者が少ないことが要因と考えられます。女性従業員の割合を増やし、かつ長く働き続けられる職場環境を整え、女性の中核人材を育成してまいります。また、アンコンシャスバイアスに関する研修等を実施して、女性は管理職に向いていないといった誤ったイメージや、そもそも女性は管理職を希望しないだろうという意識の解消を図ってまいります。
2.勤続年数の格差
女性社員は男性社員に比べて相対的に勤続年数が短く、熟練労働者や高度専門職、管理職の比率が低いことが、女性の平均賃金を低くしている要因と考えられます。女性社員のキャリア研修の実施や既に導入している「ジョブリターン制度(配偶者転勤への帯同、介護、出産・育児等で退職した正社員を再雇用する制度)」の更なる活用を進め、女性が安定的に長く働き続ける職場環境の整備を進めてまいります。
3.残業手当の格差
育児や介護を理由とした時短勤務制度を利用しており、残業手当を受給していない女性の割合が多いことが要因と考えられます。男性の育児休業取得率を向上させる取組みを行い、男性の家事や育児への参加を推進してまいります。
(3)キャリア採用
ビジネス環境の変化に伴い企業価値を高めるイノベーションが重視される中で、社内の人的資源だけではなく、新たな視点や発想力、豊富な経験を持つ即戦力の採用・活用を必要に応じて積極的に進めてまいります。
| 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
採用人数 | 7人 | 6人 | 10人 | 7人 | 20人 |
(4)障がい者雇用
貴重な戦力として、また、企業としての社会的責任と地域貢献活動を目的に障がい者雇用率の向上を進めます。
| 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
雇用率 | 2.15% | 2.07% | 2.45% | 2.71% | 2.79% | 2.7%以上 (法定雇用率2.3%) |
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