堺化学工業 【東証プライム:4078】「化学」 へ投稿
企業概要
当社グループの研究開発活動については、研究開発本部、経営企画部、営業本部が連携してグループ会社との協力体制を深め、有望開発品の上市に向けてスピードアップを図っております。2021年9月に研究開発体制を変更し、有望なテーマについて柔軟かつ迅速にリソースの最適配分を行い、早期上市を目指す体制としました。さらには、2023年10月に研究開発方針SmartMaterial®を策定し、新規テーマの探索範囲をより明確化し、初期検討を加速させています。また、各グループ会社の開発部門でも取り扱い製品の品質向上あるいは新製品上市やプロセス改善のための研究開発を行っております。
中央研究所では、当社グループが得意とする粉体プロセシング技術を核として、また、大学や公的研究機関との産学連携も視野に入れて、機能性材料の開発を進めております。主には、各種発光材料、水電解触媒、5G/6G向け低誘電材料等の開発に取り組んでおります。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費用は、2,722百万円であります。
セグメントごとの研究開発活動は次のとおりです。
(化学)
(1) 電子材料
電子材料事業においては、電子材料用途向けに誘電体の開発を行っております。特に高周波伝送向け誘電体の開発に注力しており、粒子合成技術と表面処理技術を核として、低誘電率から高誘電率の材料開発をおこなっています。チタン酸バリウムに関しては、積層セラミックコンデンサの小型化・高容量化、自動車部品の高信頼性要求に水熱合成法の特長である微粒子・高結晶・粒度均一な製品を積極的に提案しています。より一層、信頼性が求められる分野にはCaを所定の比率で含む微細かつ粒度均一性の高いチタン酸バリウムカルシウムの開発を進めています。また、誘電体材料についてもさらなる高純度化および微粒子化を進めています。
(2) 酸化チタン・亜鉛製品
化粧品材料事業においては、従来のUVケア分野に加え、用途拡大としてメイクアップ化粧品向けにも注力しています。肌触りの良化を目指して開発した「六角板状酸化亜鉛XZシリーズ」、「板状集積型球状酸化亜鉛のCANDYZINC」や肌を鮮やかに見せる新機能性酸化亜鉛「化粧品用無機蛍光材料Lumate G」は、当社の粉体制御技術を駆使して開発したユニークな材料であり、上市して間もないものの順調に採用が進んでおります。また、開発を進めてきた高分散性酸化亜鉛「REAROUZ」は高い透明性とUV遮蔽性を合わせ持ち、低い亜鉛溶出量により生態系への影響を抑えるなどの特徴的な品質を有しています。その効果が認められ、採用に向けて顧客での評価が加速しております。
海洋環境、生態系への悪影響が懸念されているマイクロプラスチックビーズの不使用が加速しております。その代替品として、天然鉱物由来の安全性で環境負荷の少ない球状硫酸バリウム「ばりまる」、球状炭酸カルシウム「かるまる」を提案しています。また、幅広い化粧品に配合しやすくした表面処理グレードも取り揃えました。
一方、5Gネットワークの拡大や自動車のEV化による電子基板等の熱マネジメントに対する需要増大に伴い、放熱フィラーとして「大粒子酸化亜鉛LPZINCシリーズ」の開発も進めております。
(3) 樹脂添加剤
当社が得意とする表面処理技術・粒子制御技術をハイドロタルサイトや塩化ビニル安定剤原料に応用し、特殊ハイドロタルサイト、独自性の高い塩化ビニル安定剤を展開し、性能の差別化に注力しております。同時にハイドロタルサイトを含め、各種配合剤の自社生産化や高効率化により、コストパフォーマンスに優れる製品の開発を進めております。
(4) 有機化学品
イオウを含む有機化合物合成技術をベースとして、電子材料、光学材料などの開発に取り組んでおり、耐水性や柔軟性に優れたMulthiol(マルチオール)シリーズや多官能チオール製品群の製品化を進めています。
(5) 触媒
水素社会を目指した、水電解触媒の開発に注力しています。一例である固体高分子形水電解触媒では、希少なイリジウム触媒の使用量を低減可能な触媒を開発し、サンプルワークを進めています。環境・エネルギー・化学プロセスは当社の重要な研究開発分野であり、これからの水素エネルギー社会が求める技術開発に貢献していくよう取り組んでまいります。
一方、環境負荷の低減に特化した触媒の開発にも取り組んでおります。化学プロセス分野では、脱水素反応、水素添加反応用触媒として有害成分であるクロムを含有しない銅系触媒の開発に注力しており、ポリエステル重合用触媒としてはアンチモンのような重金属を含有しないチタン系触媒の開発を進めております。
(6) 受託加工
現代社会に求められる機能性を付与した分散加工製品開発として、機能性フィラーの分散に取り組んでいます。
IT・IoT技術の発展に伴い利用される電子材料、地球温暖化に対応する遮熱性能を持った製品や脱炭素に貢献するバイオマス原料を利用したマスターバッチなどの開発案件に取り組むと共に新規分野として繊維向け抗菌製品の開発も開始しました。合わせて分散加工のスペシャリストとして、これまで培ってきた分散技術のノウハウを次世代に残す技術伝承にも取り組んでいます。
なお、化学事業に係る研究開発費用は2,530百万円であります。
(医療)
健診領域において、スタートアップ企業との協業により、胸部X線・CT、下部内視鏡の診断支援AIなど、さらなるラインナップの拡充を進め、画像診断の精度向上や新たな価値の創造への貢献が期待されます。
また、薬事承認を受けたすい臓がん検査薬は、早期発見が難しいと言われるすい臓がん検査への貢献が期待され、現在上市に向け各関係先と協議中です。
ヘルスケア分野では、フレグランスサプリメント「アプローラ」シリーズの新規ラインナップとして、女性のデリケートゾーンのための「アプローラDジェル」を発売しました。
また、産学連携の枠組みを活用した複数の共同開発を行い、新規事業拡大に積極的に取り組んでおります。
なお、医療事業に係る研究開発費用は192百万円であります。
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