図研 【東証プライム:6947】「電気機器」 へ投稿
企業概要
当社グループの研究開発活動は、日本、欧州及び米国の各セグメントにおいて行っております。エレクトロニクス製造業、自動車関連・産業機器製造業の分野を中心にモノづくり企業における設計・製造の効率化に関するソリューションを研究開発対象としており、保有する技術を相互補完することにより研究開発の成果増大に効果をあげております。当連結会計年度における各セグメント別の研究開発活動の状況及び研究開発費は、以下のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は4,917百万円となっております。
(1) 日本
日本における主要な研究開発活動は以下のとおりであり、研究開発費は2,732百万円であります。
電子機器設計支援における新規分野として、引き続き構想設計段階におけるシステム全体の要件検討やプランニングを行うMBSE(モデルベース・システムズエンジニアリング)ツール「GENESYS」と「CR-8000」や「DS-CR」「DS-E3」の連携強化によるMBSE並びにMBD(モデルベースデベロップメント)領域のソリューション拡充に取り組みました。また、AI(人工知能)エンジンによる基板配置配線の自動化と効率化、AI活用による設計操作支援など様々なプロジェクトにも取り組み、各種新製品をリリースしております。また、グローバルな設計環境への取り組みとして、多言語を統一的に扱うことのできる標準規格「Unicode」に対応する製品を大幅に拡充しました。既存の分野においても、複雑化や大型化により高コスト高難易度となった試作検証を低減するため、シミュレーション活用による設計品質の向上や、隣接する設計プロセスとの協調設計にも継続して取り組みました。
MBSE/MBD領域では、MBSEツール「GENESYS」と「CR-8000」の連携を実現する「GENESYS-CR DG-Connector」及び「GENESYS-CR SP-Connector」の機能強化に加え、MBSEのモデリングを強力にアシストする新製品「GENESYS Utility Power Pack」をリリースしました。
回路・基板を中心とした電子機器設計支援EDA分野においては、システムレベルマルチボード設計環境「CR-8000 Design Force」において、欧州開発部門と取り組んできたAI技術を活用した世界初の自律型インテリジェント自動配置配線システム「Autonomous Intelligent Place and Route」のリリースを行いました。また、エレキとメカを融合したEMC検証ツール「3D EMC Adviser」における新ルール開発、「Analysis Module Advance」におけるDC解析機能強化など、解析主導型設計環境の実現を押し進めました。新設計技術に対するテーマでは、各種センサーやフィルターなどのMEMS設計を支援する高速で高精度の半導体微細設計ツール「MEMS Designer」や、AIを活用してECUコネクタなどのピンマッピングを自動で最適化する「AI GPM (Advanced Intelligent General Pin Mapping)」のパフォーマンス改善や機能強化を行いました。
システムレベル回路設計環境「CR-8000 Design Gateway」では、「サーキットアドバイザ」における電流回り込みチェックのネット電圧値判定方法改善など、電気回路検証環境を強化する機能追加や操作性改善を行いました。
システムレベル構想設計環境「CR-8000 System Planner」では、マルチボード設計機能強化として、実装基板ごとのフィルタリング機能、端子属性の比較・反映機能などの開発を行いました。また、Design Gatewayへの詳細回路出力機能の強化を行いました。
基板製造設計支援システム「CR-8000 DFM Center」では、製造プロセスのDX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進する機能強化に取り組み、検査装置や各種生産データに引き渡せる設計情報を拡張しました。また、生産データに付加する情報を集約管理できる機能を開発し、生産データ作成の効率化に取り組みました。
ワイヤーハーネス設計の領域では、輸送機器市場向けの次世代システム「E3.infinite」において、設計データに対するデザインレビューを実現する新オプション製品「WH Design Review」をリリースしました。また、当社が提唱する新しいワイヤーハーネス設計プロセスであるジェネラティブデザインの精度を高めるため、「Topology Advance」の自動設計機能の拡充を行いました。また、大規模ハーネス設計のため分割・分担設計への対応に取り組みました。ハーネス詳細設計を支援する「Formboard Advance」においては、メカ側の設計変更をハーネス図に自動で差分反映する機能を強化し、メカ設計とエレキ設計の連携性向上に取り組みました。
マシナリー向けアドオンパッケージ「E3 Service Utilities」では、部品表出力、布線表出力、及びケーブル図生成などの機能強化を行い、製品力の向上に取り組みました。
プラント/工場の電気工事設計向け製品「E3.EC options」では、ケーブルダクト配管及びケーブルルーティング機能を強化して、設計精度及び効率の大幅な向上を実現する機能開発に取り組みました。
エンジニアリングPLMプラットフォーム「DSシリーズ」では、設計インフラから DX インフラへの進化をテーマに各種の機能改善やセキュリティ向上への取り組みを行いました。回路基板設計領域に対応する「DS-CR」では、種々の機能における操作性改善やパフォーマンス改善を行いました。また、新たなミドルウェア環境の対応や64bit版のリリースを行い、最新の設計環境への対応を行いました。デジタルデータ共有/共創環境「DS-Web」の機能強化を行いました。ワイヤーハーネス設計領域では、マシナリー・プラント市場向けソリューション「E3.series」のデータ管理ツール「DS-E3.series」と輸送機器市場向けソリューション「E3.infinite」のデータ管理ツール「DS-E3.infinite」の双方で、データ管理やモジュール管理、トレーサビリティを強化し、設計効率化や高度なQCDやBCPの対策を支援する様々な機能強化を行いました。「DS-OP」では、PLM/CAEベンダー各社とのアライアンスによる各種PLM/CAE製品の混在した環境対応や他社CAD管理機能拡張を行いました。また、エンジニアリングチェーンを繋ぐデジタルスレッド環境を実現するためのEDM領域とエンタープライズ領域の協調環境として、「PLM Interface」におけるPLMソリューションベンダーとの連携強化に継続して取り組みました。
機械設計分野において、dwg互換であるBricsCADにアドオンする2D機械製図に対応した作図編集機能、豊富な寸法機能やシンプルな操作で注釈や部品番号の記入等に利用できるバルーンと部品表を連携させる機能にあわせ、部品の向きの指定、長さなどのパラメータの指定をすることで配置できるパラメトリックな部品コンテンツを備えたCADアドオンアプリケーション「ACAD-KIKAI」を開発しました。
エンタープライズPLM分野では、「visual BOM」において、3D設計情報の差分取込のパフォーマンスを大幅に高速化することにより、設計変更を適時にvisual BOMに連携できるようになりました。また、組立製造業向け原価見積ツール「COSTLink Qeep」においては、チャット機能を開発し、3D形状を活用した情報伝達を可能にすることで、各部門間で発生する見積に関するコミュニケーションを高度化、簡易化しました。
ナレッジマネージメント分野では、「Qualityforce」において、AIにより推定したクレーム情報を利用者が手入力で修正する機能を開発しました。利用者の訂正により、Qualityforceが正しいデータで再学習することで、推定の精度の向上が可能になりました。AI実装フルオート型ナレッジ活用ソリューション「Knowledge Explorer」においては、RDBの「検索インデックス差分更新」を開発しました。検索対象が大規模レコードである場合に検索インデックスの更新が高速化され、より最新のRDBの状態での検索を可能にしました。
ストリーミング製品分野では、ストリーミングミドルウェア製品のWeb対応に向けた基礎研究、セキュリティ対策が強化されるWebブラウザなどで、ストリーミング製品搭載を容易に実現できる環境構築を目的とした基礎研究および、ストリーミング・ネットワークビジネスにおける生成AIの活用方法や開発業務プロセスへの応用を目的とした生成AI活用に関する基礎研究を行いました。
MBD分野では、流体モデルの応用として精密機器の洗浄等に利用される、薬液の加熱・混合システムのモデル化研究を行い、その成果として流体応用システムのモデル構築手法をテキスト化することで、技術継承のための環境構築を行いました。
(2) 欧州
欧州における主要な研究開発活動は以下のとおりであり、研究開発費は1,831百万円であります。
電子回路・基板設計分野では、「CR-8000 Design Force」におけるAI技術を活用した世界初の自律型インテリジェント自動配置配線システム「Autonomous Intelligent Place and Route」では、ファンアウト機能やレジストチェック機能を追加し、より配線効率と結線率の向上を実現する機能強化を行いました。また、SI/PI/EMI解析モジュール「Analysis Module Advance Multicore」では、S-ParameterモデルやEBDモデルなどを活用したより高精度な解析環境の実現や操作性の向上に取り組みました。
ワイヤーハーネス分野では、制御盤用筐体のトップ企業であるnVent HOFFMAN社と協調し、「E3.series」をベースとした「DTM Engineering and Manufacturing」を開発し、制御盤開発/製造企業向けのOEM製品として新たにリリースしました。「E3.series」では、より一層複雑化する制御盤レイアウト設計を支援するため、要素の配置先検索機能の強化や、要素配列機能の拡充、既存図形の再利用性向上、要素配置スペースや熱影響等の検証機能を開発しました。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けて、連携する3DメカCADの更なる拡充や、ワイヤ切断装置・パネル製造支援装置等との連携拡充に取り組みました。
(3) 米国
米国における主要な研究開発活動は以下のとおりであり、研究開発費は353百万円であります。
MBSE(モデルベース・システムズ・エンジニアリング)分野では、継続テーマである「GENESYS」の操作性向上と大規模モデルの操作に関するパフォーマンスを強化しました。モデリングデータベースの定義をより簡便にし、必須業務であるシステムモデル定義とそれに伴うモデルデータベース定義にかかる時間を大幅に短縮できるツールとしました。さらに簡便なモデリングを可能にするテーブルビュー、マトリクスビューを新設し、モデリング及びモデルレビューの負担を大幅に軽減する機能を開発しました。
(4) アジア
該当事項はありません。
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