名古屋鉄道 【東証プライム:9048】「陸運業」 へ投稿
企業概要
当社グループは、2021年9月に「名鉄グループ サステナビリティ基本方針」を策定し、持続可能な社会の実現を目指していくことを宣言いたしました。当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
■「名鉄グループ サステナビリティ基本方針」
―私たち名鉄グループは、「地域価値の向上に努め、永く社会に貢献する」という使命のもと、地域を活性化し、 また社会を支える事業活動を通じて、持続可能な社会の実現を目指します。
(1) サステナビリティ全般に関する取組
(ガバナンス)
当社グループでは、2021年7月に名古屋鉄道の社長を委員長、総括役員およびESGに関係する部署の担当役員を委員とする「ESG推進委員会」を設置しております。本委員会では、グループ全体のサステナビリティに関する取組みを検討、推進するとともに、必要に応じて取締役会へ上程・報告を行っております。一方、取締役会はESG推進委員会を監督しており、サステナビリティに関する取組み全般におけるガバナンス体制を構築しております。
(リスク管理)
当社グループでは、持続可能な社会の実現につながる取組みを推進するにあたり、2022年4月に名鉄グループのサステナビリティを巡る重要課題(マテリアリティ)を特定しました。
① 重要課題(マテリアリティ)特定のプロセス
社内外からみた名鉄グループに関連のある社会課題を洗い出し、その中から重要度の高いものを選定し、重要課題(マテリアリティ)を特定しました。
[フェーズ1・2] 内部・外部情報調査による社会課題の認識・洗い出し | |
企業理念や経営計画などの内部情報および各種ガイドラインや評価機関などの外部情報をもとに、数ある社会課題から当社の社会課題の洗い出しを行いました。 |
|
[フェーズ3] 評価基準の設定・評価の実施 | |
自社にとっての重要度およびステークホルダーにとっての重要度の2軸について、評価基準を設定しました。評価基準に沿って、フェーズ2で洗い出しした社会課題を一つずつ点数付けし、重要度を評価しました。 | |
[フェーズ4] 重要課題(マテリアリティ)の特定・妥当性確認 フェーズ3の結果のうち、自社にとってもステークホルダーにとっても重要な社会課題を重要課題(マテリアリティ)として特定しました。ESG推進委員会において、特定された重要課題(マテリアリティ)の数や粒度について妥当性を確認しました。 |
② 重要課題(マテリアリティ)
上記のプロセスを経て5つの重要課題(マテリアリティ)を設定し、持続可能な社会の実現につながる取組みを推進していきます。また、それぞれの重要課題(マテリアリティ)にKPIを設定し、定期的にESG推進委員会にて確認、取締役会へ報告することでリスク評価・管理を実施しております。
1. 環境保全への貢献
当社グループでは、持続可能な社会の実現を目指して、2050年カーボンニュートラルの実現に向けたCO2排出量削減の取組みをはじめ、「環境保全への貢献」に取組んでまいります。
2. 安全・安心の確保
安全の確保は、多様な交通サービスを有する当社グループにおいて何よりも優先すべき社会的な責任であると考え、お客さまに安心してご利用いただけるよう「安全・安心の確保」に取組んでまいります。
3. 地域価値の向上
当社グループは、地域社会の発展とグループの発展は不可分であるとの認識のもと、「持続可能な社会の実現」に真摯に向き合い続けてきました。これからも、地域を活性化する事業や社会を支える事業を通じて、「地域価値の向上」に努め、永く社会に貢献してまいります。
4. 誰もが活躍できる職場づくり・人づくり
従業員は当社グループの持続的な成長に必要不可欠な財産です。個性や能力を発揮でき、心身共に健康で活き活きと働ける「誰もが活躍できる職場づくり・人づくり」に取組んでまいります。
5. ガバナンスとリスクマネジメントの強化
当社グループでは、コーポレートガバナンスの充実と的確なリスク管理を重要な経営課題の一つとして認識しています。適正な組織体制を整備し、経営の健全性や透明性、効率性の確保と充実に努めることにより、「ガバナンスとリスクマネジメントの強化」に取組んでまいります。
(2) 気候変動への対応
当社グループは、「地域価値の向上に努め、永く社会に貢献する」という使命のもと、地域を活性化し、また社会を支える事業活動を通じて、持続可能な社会の実現を目指しており、中でも名鉄グループのサステナビリティを巡る重要課題(マテリアリティ)の1つとして「環境保全への貢献」を位置付けております。
2022年4月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、TCFDという。)」提言への賛同を表明しており、今後、TCFD提言に基づく情報開示を進め、気候変動への対応をはじめとした環境保全への貢献に取組んでまいります。
(ガバナンス・リスク管理)
「(1) サステナビリティ全般に関する取組」に記載しております。
(戦略)
① シナリオ分析における大枠(世界観)の設定
産業革命前からの世界の平均気温上昇が2℃を十分に下回る場合(2℃シナリオ)と成り行きの4℃の場合(4℃シナリオ)を想定し、国際機関(※)が想定している情報を基に世界観を設定しました。
[想定する世界観]
産業革命前からの世界平均気温上昇 | 2℃ | 4℃ |
2030年、当社グループを取り巻く事業環境 | 炭素排出に関する制度、規制が進み、脱炭素技術の高い車両・設備が導入される | 企業の脱炭素化のための政策が進まず、設備更新は従来水準にとどまる |
政策として炭素の価格付けがなされ、炭素排出がコストとして事業活動に組み込まれる | 炭素の価格付けがなされず、炭素排出に対してコストはかからない | |
主力電源が火力発電から、再生エネルギー発電へ移行され、再エネ比率が高まる | 主力電源は火力発電のままで、再エネ比率は従来水準にとどまる | |
ステークホルダーのカーボンニュートラルに対する目線が一般化され、CO2排出の低い移動手段として鉄道等が選好される | カーボンニュートラルに対する厳しい目線は一部のステークホルダーに留まり、利用者の行動変容は起きない | |
異常気象は、現在顕在化している水準から大きくは増えない | 気象災害の規模・頻度が大きくなり、影響を受ける事業所・サプライチェーン・消費者が増加。事業継続に必要な対策コストが高騰する | |
移行リスク・機会 | IEAによるWEO2021持続可能な開発シナリオ(SDS)等 | IEAによるWEO2021公表政策を基にしたシナリオ(STEPS)等 |
物理的リスク | IPCCによるRCP2.6シナリオ | IPCCによるRCP8.5シナリオ |
(※)IEA 国際エネルギー機関
WEO2021 World Energy Outlook 2021
IPCC 気候変動に関する政府間パネル
SDS Sustainable Development Scenario (持続可能な開発シナリオ)
STEPS Stated Policies Scenario (公表政策を基にしたシナリオ)
RCP Representative Concentration Pathways (代表濃度経路シナリオ)
② 気候変動リスク・機会による事業影響評価
当社グループの交通、運送、不動産、レジャー・サービス、流通、航空関連サービス、その他の各セグメントを対象とし、TCFDの枠組みに基づいて当社グループ事業に影響のあるリスク・機会項目を抽出しました。抽出したリスク・機会項目に対して、ESG推進委員会にて重要度を審議し、重要度の高いリスク5項目、機会5項目を選定するとともに、2℃、4℃シナリオに基づき影響度を評価しました。このうちリスク項目については、各シナリオに基づいて財務への概算影響額を試算しました。気候変動による影響を分析した結果、2℃シナリオにおいては、炭素税の導入による大幅なコスト増加が見込まれる一方、CO2排出量の少ない交通手段の需要増やMaaSの拡大、DX推進などにより、収益機会の増加や業務効率向上によるコスト低減を期待できることが分かりました。
また、4℃シナリオにおいては、燃料費の高騰によるコスト増加による影響を大きく受けることに加え、保有資産の洪水被害による損壊額の増加や風水害による鉄道営業停止に伴う収益減少のリスクが増大することが分かりました。
当社グループが長期にわたり安定的な経営を続け、持続可能な社会の実現に貢献するために、省エネ設備投資等を漸次進めて、化石燃料の使用量を順次減らしていくことなど、気温上昇が2℃を十分に下回る世界の実現に向けた取組みを進めてまいります。
[事業影響評価]
事業影響評価の対象項目 | ||||
分 類 | 内容 | 時 間 軸 | 重 要 度 | 対象範囲 |
リ ス ク | 炭素税導入によるコスト増加 | 中 | 大 | 全セグメント |
再エネ電力調達によるコスト増加 | 中 | 大 | 全セグメント | |
燃料費の高騰によるコスト増加 | 中 | 大 | 全セグメント | |
保有資産の洪水被害による損壊額の増加 | 短 | 大 | 鉄軌道事業 | |
風水害による鉄道営業停止に伴う収益減少 | 短 | 大 | 鉄軌道事業 | |
機 会 | CO2排出量の少ない交通手段需要増に伴う旅客数の増加 | 中 | 大 | 交通 |
MaaS拡大による旅客輸送関連サービス利用増に伴う収益増加 | 短 | 中 | 交通、その他 | |
配送ルート最適化等の排出削減に寄与するDX推進による業務効率向上(ドライバーの生産性向上等) | 短 | 中 | 運送 | |
再エネ電力発電(洋上風力発電等)の建設・維持に伴う物資輸送需要の増加 | 長 | 中 | 航空関連サービス | |
環境配慮型商品・サービスの提供による収益増加 | 中 | 中 | 不動産を中心とした全セグメント |
(指標及び目標)
当社グループは、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、2030年度のCO2排出量(Scope1+2)について、連結会社全体では2020年度比25%削減、名古屋鉄道の鉄軌道事業においては2013年度比46%削減を目標に掲げています。
当社グループは、省エネ設備投資や再生可能エネルギーの活用等のCO2排出量削減に向けた取組みを進めることによって、持続可能な社会の実現を目指してまいります。
[カーボンニュートラル目標]
対象 | CO2排出削減目標 (Scope1+2) | CO2排出量 | ||
基準年度 | 2030年度目標 | 2022年度実績 | ||
名鉄グループ (連結会社) | CO2排出量を2030年度に2020年度比で25%削減する | 675,759 t-CO2 (2020年度) | 506,819 t-CO2 | 2023年10月頃発行の統合報告書にて開示予定 |
名古屋鉄道 鉄軌道事業 | CO2排出量を2030年度に2013年度比で46%削減する | 238,479 t-CO2 (2013年度) | 128,779 t-CO2 |
(3) 人的資本に関する戦略並びに指標及び目標
(戦略)
当社グループにおける、人財の多様性の確保を含む人財育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、次のとおりであります。
■「名鉄グループ人財育成・社内環境整備方針」
―当社グループは、大きく変化する社会の中においても「地域価値の向上に努め、永く社会に貢献する」企業グループであり続けるため、多様な人財の活躍の実現を目指し、従業員の採用・能力開発・専門性向上に取組んでまいります。また、心身ともに健康にその能力を最大限に発揮し、自律・挑戦できる環境を整えてまいります。
(指標及び目標)
当社グループでは、上記 (戦略) において記載した人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内整備環境に関する方針に関する指標として、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
指標 | 目標 | 2022年度実績 |
女性管理職比率 | 2030年度までに 30% 以上 | 5.2% |
中途管理職比率 | 2030年度までに 30% 以上 | 27.3% |
男性の育児休業取得率 | 2030年度までに 85% 以上 | 35.2% |
(注) 当社においては、上記指標のデータ管理及び具体的な取組みが行われているものの、当社グループに属するすべての会社では行われていないため、連結会社ベースの記載は困難であります。従って上記の指標に関する目標及び実績は、当社及び主要な連結子会社(「4 関係会社の状況」に記載する連結子会社38社)を対象にしております。
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