企業吉野家ホールディングス東証プライム:9861】「小売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年2月29日)現在において当社グループが判断したものです。

(1) 会社の経営の方針

 当社グループは、国や地域を超えた世界中の人々のために企業活動を行い、すべては人々のために『For the People』を経営理念としています。理念を具現化するための事業活動指針である6つの価値観「うまい、やすい、はやい」「客数増加」「オリジナリティ」「健全性」「人材重視」「挑戦と革新」を共有・実践していくことで、株主、お客様及び従業員などステークホルダーの満足度向上や信頼構築に努めることを基軸として経営展開を図っています。

(2) 長期ビジョンを実現するための取組みについて

① 今までにない「新しいビジネスモデル」創り

 当社グループは、2025年を最終年度とする長期ビジョン「NEW BEGINNIGS 2025」の実現に向けて、現在のビジネスモデルに代えて長期的に運用できる「新しいビジネスモデル」の構築を課題としています。既存の外食産業の範疇を超えるような市場創造・価値提供を行うモデル創りは、すでに素材開発や商品の提供方法の改善など、従来とは一線を画した踏み込みを開始しています。今後はその踏み込みを一層強めていくと同時に、さらに突出した「革新」による飛躍を図っていきます。

② 「飲食業の再定義」を実現するための組織づくりと取組み

「飲食業の再定義」を実現していくため、よりスピーディーな意思決定が可能となるグループ経営体制への見直しを行っていきます。全てのグループ本部の機能発揮を最大化し経営効率を高めて、海外を含めたグループ全事業への能動的な貢献・関与・統制を強化していきます。グループ間での人事交流の活発化およびグループ商品本部による仕入れの共通化も引き続き行っています。海外各地域においては、現地経営体制の確立および現地での意思決定を可能にするエリアと部分的に日本で意思決定するエリアを明確にすることで、今後のグローバル展開を一層加速していきます。

 また、「飲食業の再定義」の実現のため、ダイバーシティ(人材構成の多様化)の推進も引き続き行っていきます。

③ 「ひと・健康・テクノロジー」の実践へ

 当社グループでは、長期ビジョン「NEW BEGINNINGS 2025」の実現に向け「ひと・健康・テクノロジー」をキーワードとし、これまでの飲食業になかった新しい価値創造にチャレンジしています。

「ひと」に関わる取組みでは、「ひと」を活かすことで生まれる価値を追求し、その価値をお客様に提供していきます。グループ管理本部ではテレワークや出張に代わるWEB会議の促進といった新しい生活様式への対応を含めた本社機能の業務改革に取り組み、同時に従業員の働き方改革も進めています。「健康」に関しては、従業員の心と体の健康を経営の柱とする「ウェルネス経営」の一環として、従業員の健康リテラシーの向上と浸透を図っていきます。また、今後のメニュー開発は、「健康的」から「健康」そのものの追求へ取組みを深化させていきます。

 最後に「テクノロジー」に関わる取組みでは、複雑なオペレーションを簡便化・効率化する設備や機器を導入し、職場環境の改善を図ることで、労働力の確保と生産性の向上につなげていきます。2023年3月には、グループ財務経理本部傘下の情報システム機能を切り出し、グループデジタルテクノロジー推進本部を設立しました。経営環境の激しい変化に機動的かつ能動的に対処しつつ、デジタル技術の効果的な活用を推進することでデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現し、既存のビジネスモデルの変革につなげていきます。

④  グループ中期経営計画

 当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う社会経済活動への影響の継続、テレワークの恒常化やデジタル技術の加速的な進歩、急激なインフレの進行に伴う原材料価格の高騰、地政学的リスクの顕在化、地球温暖化による気候変動など、以前にも増して大きく変容しております。かかる中、生活インフラとして世の中に「食」の楽しさと豊かさをお届けしているという考えのもと、2023年2月期から2025年2月期までの3年間を期間として、「進化」と「再生」をキーワードに中期経営計画を策定しました。

3年以上におよぶコロナ禍への対応とレジリエンスを通じて、当社グループは「構造変化」に取り組んできました。この変化をさらに増進させるべく、中期経営計画の中では各ブランドの業態進化、成長事業の強化、コスト効率化、および財務基盤の安定化を軸に、「既存事業の収益性の拡大」と「投下資本効率の向上」を特に重要な課題として位置付けています。堅固な事業基盤の確立を着実に推し進めることで、当社グループの経済的価値と社会的価値の一層の向上に取り組んでいきます。

⑤  人的資本価値の最大化に向けた取組み

 当社グループは、サステナビリティ基本方針にもとづき特定した「5つのマテリアリティ」において、「ダイバーシティ&インクルージョンを実現し『ひと』の成長と活躍を促進する」ことを掲げています。経営理念に「For the People」を掲げ、日常食を提供する当社グループにとって、従業員が仕事を通じて感じる喜びややりがいは、お客様のおいしく豊かな食事を支えるサービスの源泉であり、「ひと」にしか成し得ない価値があります。「ひと」の多様性や個性を尊重し従業員の活躍と成長を促すことは、拡がり変わりゆく顧客ニーズを捉えた価値を生み出し続けることにつながり、企業としての持続的成長と社会への価値還元をもたらしていきます。

 人的資本価値の最大化に向けた取組みの戦略については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」の「(2)戦略」に記載のとおりです。

 定量情報

指標

2024年2月期実績

女性管理職比率

グループ連結※1 25.3

国内事業※2    10.3

育児休暇取得率※2

男性 52.0%、女性 100.0

男女平均賃金の格差※2※3

および平均勤続年数※2 

部門長

88.1% 男性24.0年 女性22.2年

管理職(エリアマネジャーなど)

97.8% 男性18.0年 女性13.6年

非管理職(店長など)

91.8% 男性12.8年 女性6.6年

※1 グループ連結(海外含む)実績 

※2 吉野家ホールディングス、国内吉野家、はなまるの3社実績

※3 男性賃金を100としたときの女性賃金の割合

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 2024年2月期(当期)においては、行動制限の解除以降、店内飲食を中心に既存店売上高が回復しました。様々なコスト上昇の影響を受けましたが、売上高の伸長に伴う粗利益高の増加やコスト低減の取組みによって、本業の儲けを示す営業利益は79億73百万円と、前期を45億38百万円上回りました。コスト上昇の主な要因は、原材料価格の高騰です。牛丼の主要食材である牛肉のほか、調理用油、鶏肉、輸入野菜などの様々な原材料価格が上昇しました。当社グループは、2020年2月期の売上高に対して90%の水準で利益を創出できる構造変化を実現していますが、継続して経費コントロールの強化に取り組むとともに、財務の健全性の回復に向けた借入金の返済や効率的な資金管理を行いました。一方、これらの自社努力だけではコスト上昇分の全てを吸収することはできず、グループの基幹事業である吉野家やはなまるにおいて主力商品の価格改定を行うなど、状況に柔軟かつ適切に対応しました。

 2025年2月期においては、成長性および収益性の向上に向けて「成長投資の加速」と「客数獲得」を最優先事項として取り組みます。特にグループの基幹事業である吉野家において、新サービスモデル店舗への改装転換のスピードを上げ、同期中に100店舗以上の改装を行います。また、量的成長を図るチャンスと捉え、テイクアウト・デリバリー専門店の出店も強化します。新サービスモデルの出店100店舗を計画しており3か年の中期経営計画で掲げた投資300億円を超える計画です。

 「客数獲得」は、魅力的な商品・販売施策の展開と従業員の接客サービスの向上による店舗体験価値を高めることで、既存顧客の来店頻度向上と新規顧客の獲得を図ります。一方、原材料価格や人件費などのコスト上昇影響は、同期も継続すると見込んでおり、引き続き適正な経費コントロールに取り組みます。

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