古河電池 【東証プライム:6937】「電気機器」 へ投稿
企業概要
当社及び当社の関係会社は、自動車、各種産業用二次電池、電源及び応用機器メーカーとして、電気エネルギーの貯蔵・変換と高効率化に関する研究開発を推進し、鉛蓄電池、アルカリ蓄電池、リチウムイオン電池、それらの周辺機器及び電源装置の新製品、新技術、新プロセス、要素・基盤技術、次世代蓄電池技術、環境対応技術の開発を行っております。
また、各種製品の品質・信頼性の改善並びに生産性向上とコストダウンを図るための基盤技術、生産技術、設備技術の開発も積極的に実施しております。
さらに、これらの研究開発活動を通して環境配慮型製品の開発と提供、省エネ生産プロセスの開発を推進し、SDGs達成に貢献する事業活動の一翼を担っております。
当連結会計年度における研究開発費総額は2,196百万円であります。セグメント別の研究開発費の内訳は自動車1,287百万円、産業890百万円、リチウム18百万円となっております。
各事業分野別の研究の目的、主要課題及び研究成果は次のとおりであります。
自動車用鉛蓄電池の分野では、顧客要求に応える現用電池の性能改善(「Altica[アルティカ]」シリーズ)、国内・海外の環境規制に対応して急速に普及・拡大しているIS(アイドリングストップ)車に適応したIS車用鉛蓄電池(「ECHNO[エクノ] IS UltraBattery」、「ECHNO[エクノ] IS」など)及びグローバル標準規格であるEN規格(欧州統一規格)対応品「ECHNO[エクノ] EN High Gradeシリーズ」、「ECHNO[エクノ] EN Premiumシリーズ」の2ラインナップ化によって、国内・海外の新車メーカー採用の拡大と市販展開の拡大を鋭意進めております。また、IS車用鉛蓄電池「ECHNO[エクノ] IS UltraBattery」をリニューアル、「ECHNO[エクノ] IS」に新製法(スタンプフォーム)を採用し、容量特性、始動性能を向上させたECHNO[エクノ] IS High Gradeシリーズのラインナップ化などによって、幅広い顧客要求に対応しております。
産業用蓄電池の分野では、現用電池の性能改善とコストダウンを進めると共に、カーボンニュートラルの実現に資する系統運用、太陽光・風力発電電力需給調整用蓄電池として、サイクルユース用制御弁式鉛蓄電池「FCP」シリーズと、産業用キャパシタハイブリッド型鉛蓄電池「UltraBattery」の市場展開と拡販を進めております。系統安定化用の市場ニーズとしては、“寿命20年”というこれまでにない高い寿命性能が求められており、サイクルユース用制御弁式鉛蓄電池「FCP-S」シリーズを市場展開し拡販を進めております。
当社の今市事業所に太陽光パネルを設置し、発電した電力をサイクルユース用製制御弁鉛FCP蓄電池に貯め、事務所設備、電気自動車に使用するシステムの導入を図りました。
そして、再生可能エネルギー導入時に課題とされる出力変動抑制に寄与する次世代型高性能電力貯蔵用蓄電池として、バイポーラ型鉛蓄電池の開発を進めており、2022年度から、古河電気工業株式会社と共に実証用電池の供給に向けた取り組みを行い、蓄電池システム運用実証を開始しました。
ニッケル・カドミウム蓄電池では、鉄道車両用電池の性能向上と拡販のため実車試験とベンチ試験を進めており、2M120C/130C形アルカリ蓄電池をラインナップに追加しております。また、顧客要求に対応した新形電池及び電池関連機器の新製品開発及び基盤技術・生産技術の向上とコストダウンに向けた取り組みを引き続き進めております。
電源機器の分野では、電源装置の品種拡大と性能向上及び特定用途電源の開発を進めております。系統安定化用などサイクルユース用鉛蓄電池の需要の高まりを受けて、既に製品化している鉛蓄電池のSOC(充電状態)を把握するBMU(Battery Monitoring Unit)において、2023年度は、古河電気工業株式会社とバイポーラ型鉛蓄電池用のBMUを共同開発し、BMUの性能向上とコストダウンを両立させた取り組みを進めております。
一方、厳しさを増す品質、性能、価格競争に対応するため、各種の規格値を満足させつつ、電池設計の見直しや活物質の利用率向上による材料のセービング及び耐久性の向上による寿命性能の改善を図るなど、様々なコストダウン及び基盤技術開発に精力的に取り組んでおります。更に、設備開発、生産プロセス開発の取り組みとして、新設備の導入や新材料の適用による工程品質改善、材料ロスの低減、工程屑鉛のリサイクル、工程の見える化、省エネ、生産プロセスの開発などを継続して推進しております。
リチウムイオン電池では、積層ラミネート型リチウムイオン電池事業を拡大するため、産業用向け電池システムと電池パックの製品化と高性能化開発を進めております。
宇宙用途では、JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)と開発を進めてきた小型月着陸実証機(SLIM)用の電池が、2024年1月のSLIMの月面着陸時に電力供給の役割を果たしました。引き続き、小惑星探査機「はやぶさ2」、金星探査機「あかつき」、及び水星磁気圏探査機「みお」の運用を支援しております。
株式会社ABRI (Advanced Battery Research Institute)では、三次元規則配列多孔質(3DOM)構造ポリイミドセパレータを用いた次世代リチウムイオン電池、資源戦略上期待されるマグネシウム二次電池の研究など、次世代電池の実用化を目指して研究開発を進めております。
コンピュータシミュレーション技術の活用では、強度解析や電気伝導解析、熱解析などを行うことで製品設計の高度化を図り、また鋳造解析や射出成型解析では工程製造条件の適正化による品質と生産性の向上の検討を行っております。更に3D-CADや各種3D造形機を導入活用することで、試作造形のスピードアップを図り、短期間で製品開発が可能な環境づくりを進めております。
- 検索
- 業種別業績ランキング