双日 【東証プライム:2768】「卸売業」 へ投稿
企業概要
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、双日グループ企業理念、双日グループスローガンを掲げ、企業理念にある「豊かな未来」の創造に向け、当社グループの事業基盤拡充や持続的成長などの「双日が得る価値」と、国・地域経済の発展や人権・環境配慮などの「社会が得る価値」の2つの価値の実現と最大化に取り組んでおります。
(双日グループ企業理念)
双日グループは、誠実な心で世界を結び、
新たな価値と豊かな未来を創造します。
(双日グループスローガン)
New way, New value
(双日の価値創造モデル)
「豊かな未来」の創造、「2つの価値」の実現に向けて、当社では人材を最も重要な経営資源と考え、「人財」と表記し、価値創造モデルの中心に据えています。世界中のニーズを把握し、価値を生み出す人財力を高めていくことが、双日の価値創造の源泉です。
実効性の高い戦略と充実したコーポレート・ガバナンスのもと、常に新しい発想を持ち、トレーディング・権益投資・事業投資を通じた機能を発揮して、将来を見据え、外部環境の目まぐるしい変化やニーズの多様化に先駆けたスピード感あるビジネスを展開しています。
また、世界各国に広がる事業拠点やパートナーシップ、それぞれの地域で長年に亘り育んできたお客様との信頼関係やブランド力など、築き上げてきた確固たる事業基盤が、当社の持続的な成長を支えています。
当社が創造した価値は、「社会が得る価値」として還元され、ステークホルダーからの信頼獲得につながります。また、創造した価値は、「双日が得る価値」として、当社の人材基盤やビジネスノウハウといった各事業基盤を拡充するものとして還元され、当社の競争力強化や新たなビジネスチャンスの増加につながります。このように価値創造の循環を繰り返すことによって、持続的な企業価値向上を実現しています。
(2) 「中期経営計画2023 ~Start of the Next Decade~」の取り組みについて
世界情勢の不確実性が高まる中で、デジタル化の加速、ESGに対する意識の高まり、価値観・ニーズの多様化といった近年のメガトレンドが企業活動に与える影響は、ますます大きくなっています。改めて強固な収益基盤の構築と共に、このような状況を機会と捉え、変革を行っていく必要があります。
この大きな変革期にあたり、当社グループは、2021年4月からの3ヶ年計画である「中期経営計画2023 ~Start of the Next Decade~」を策定し、2030年における当社グループの目指す姿として「事業や人材を創造し続ける総合商社」を掲げました。必要なモノ・サービスを必要なところに提供することを総合商社の使命と捉え、人材を競争力の源泉として、「マーケットインの徹底」、「社内外での共創と共有の実践」、「スピードの追求」により競争優位・成長を追求し、これを実現するために組織や人材の変革を継続することで、持続的な価値創造を実現していきます。
① 成長戦略と注力領域について
中期経営計画2023では、サステナビリティを前提とし、競争優位性・成長マーケットを追求できる領域に経営資源を集中的に投下することを成長戦略として掲げています。具体的には「社会課題としてのEssentialインフラ開発とサービス提供」、「3R(リデュース、リユース、リサイクル)事業の深化」、「東南アジア・インド市場のリテール領域取組強化」、「国内産業活性化・地方創生の取り組みを通じた価値創造」の4つの成長戦略を掲げると共に、これらをデジタルや新技術、社内外での共創と共有により実現することを目指します。
株主価値を創造していくためには、収益性の高い規模感のある投資に挑戦していくことが必要であり、中期経営計画2023では、成長の実現に向けて、下記に示す注力領域を中心として、戦略に裏付けられた規模感のある新規投資の実行に取り組んでいます。新規投資については、キャッシュ・フローをマネージした規律を堅持しつつ、メガトレンドを踏まえた成長領域や新たな領域における投資を中期経営計画3ヶ年で合計3,300億円(うち300億円は人や組織改革に向けた非財務投資)程度を実行することにより、企業価値の着実な向上を実現していきます。
② 当社のサステナビリティ経営
中期経営計画2023では、サステナビリティへの取り組みは、企業経営における最優先事項の1つとなっています。当社では、「双日が得る価値」と「社会が得る価値」という2つの価値の考え方を土台として、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)に基づく2050年長期ビジョン「サステナビリティ チャレンジ」を策定しており、中期経営計画2023では、脱炭素社会実現への挑戦と人権の尊重を大枠とする各種施策を打ち出しています。また、人材戦略として、多様性と自律性を備える「個」の集団を形成し、自律した個の成長をチーム・組織の成長、会社の成長へつなげていくことを目指し、価値創造できる人材を輩出し続ける人的資本経営を実践していきます。さらに、デジタルを全従業員が持つべき共通言語、かつ、顧客・社会ニーズを価値創造につなげる上での大前提として位置づけ、DX戦略を策定しています。デジタルを事業の変革・競争力強化のための手段とし、事業モデル・人材・業務プロセスの改革を進めることで、価値創造に貢献していきます。
サステナビリティに関する詳しい取り組みについては、第2事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組(20~48ページ)をご参照ください。
③ 経営指標及び進捗
「株主価値の創出」と「成長と財務規律」の観点から、それぞれ目標数値を設定しました。新規投資の着実な収益化と既存ビジネスの収益構造の抜本的な改革により、規模と収益性の両方を追求し、株主価値を創造していきます。
| 計画 | 前期実績 2021年度 | 当期実績 2022年度 | 次期見通し 2023年度 |
株主価値の創出(3ヶ年平均) | ||||
ROE | 10%超 | 12.2% | 14.2% | 11.1% |
当期利益 ※1 | 650億円程度 | 823億円 | 1,112億円 | 950億円 |
基礎的営業CF ※2 | 800億円程度 | 1,287億円 | 1,452億円 | 1,150億円 |
配当性向 | 30%程度 | 30.1% | 27.0% | 30.6% |
成長と財務規律 | ||||
投資額 | 3,300億円程度 (うち、300億円は非財務関連) | 1,500億円 | 930億円 | 2,500億円 |
基礎的CF ※3 | 黒字 (中計2020・中計2023累計) | 105億円 | 1,360億円 | △750億円 |
ネットDER | 1倍程度 | 1.06倍 | 0.75倍 | 0.75倍 |
ROA | 3%超(最終年度) | 3.3% | 4.2% | 3.5% |
| ||||
PBR | 1倍超 | 0.64倍 | 0.76倍 | - |
※1 当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期純利益を指します
※2 基礎的営業CF=会計上の営業CFから運転資金増減を控除したもの
※3 基礎的CF=基礎的営業CF+調整後投資CF-支払配当金-自己株式取得
(調整後投資CF=会計上の投資CFに長期性の営業資産等の増減を調整したもの)
当社の株主資本コストが8%程度である認識のもと、中期経営計画2023では経営指標として3ヶ年のROE平均の目標を10%超に設定しました。この目標を達成するために、社内管理指標として投下資本に対する基礎的営業キャッシュ・フローの比率を示すキャッシュリターンベースでのROIC(CROIC)を導入し、各セグメントにおける達成すべきCROICの目線を価値創造ラインとして定めております。目標に対して2022年度はROE14.2%を達成、また、当期利益に関しては3ヶ年の平均の目標650億円程度に対して2022年度は商品価格・石炭市況の上昇及び非資源事業の安定的な伸長を主な要因として1,112億円を達成しました。
2年連続で過去最高益を更新しており、当社の価値創造の着実な成果と、継続的な投資実行により、収益力が拡大しています。資源分野からの利益獲得に加え、非資源分野からも順調に利益が上がってきており、次期中期経営計画に向けた当社の収益水準の新たなステージへとつなげていきます。
④ 新規投資の進捗
新規投資については、2021年度は1,500億円、2022年度は930億円、合計2,430億円を実行しております。具体的には、米国省エネルギー事業、豪州太陽光発電事業、フィリピン通信タワー事業を始めとするインフラ・ヘルスケア領域や水産食品加工会社マリンフーズの全株式取得、ベトナム最大手ビナミルクとの協業など、東南アジアやインドといった成長市場でのリテール領域、さらにはカナダ家電・電子機器リサイクル事業や福岡県北九州市におけるフッ素化合物製造事業などの、国内外での素材・サーキュラーエコノミー領域での取り組みを強化しています。2023年度も、4月に冷凍マグロ加工販売大手のトライ産業の全株式を取得し、リテール領域における当社グループの水産バリューチェーンに新たな機能を追加するなど、引き続きキャッシュ・フローをマネージする規律を堅持しつつ、新規投資を進め、企業価値の着実な向上を実現していきます。
⑤ 株主還元
株主還元について当社は株主の皆様に対して、安定的かつ継続的に配当を行うと共に、内部留保の拡充と有効活用によって株主価値を向上させることを基本方針としています。この基本方針のもと中期経営計画2023においては、連結配当性向30%程度を基本としており、2022年度は27.0%となっております。
なお、2023年度の1株当たり配当金は年間130円を下限とする方針です。
注:2021年10月1日を効力発生日とする株式5株につき1株の株式併合を実施。
2019年3月期~2022年3月期配当は株式併合の影響を遡及した金額を記載。
さらに、中期経営計画2020及び中期経営計画2023の1年目・2年目で創出した基礎的キャッシュ・フローの黒字を成長投資へ振り向けるにあたり、その一部を株主に還元すること、及び資本効率の向上を図ることを目的として、2023年4月7日に15,299,900株の自己株式の消却を実施すると共に、取得株式総数1,000万株又は取得価額の総額300億円を上限とする自己株式の取得を2023年3月31日に公表しております。
⑥ 中期経営計画2023最終年度に向けて
外部環境については、2021年度から続くロシアによるウクライナ侵攻を始めとした地政学リスクや主要国通貨の金利引き上げの影響及びそれらを受けた新興国通貨の変動など、今後も著しい変化が続くと認識しており、多様な変化に伴うリスクを適切にマネージすると共に、自らの変革の機会と捉え、価値創造に向けた取り組みが必要と考えています。引き続き、2030年の当社の目指す姿に向けた施策、「マーケットインの徹底」、「社内外での共創と共有の実践」、「スピードの追求」により競争優位の獲得と事業の成長を追求し、併せてそれに必要な組織改革や人材の高付加価値化を継続することで、成長の実現を通じた持続的な価値創造を実践していきます。
また「事業や人材を創造し続ける総合商社」として、人的資本経営を推進していくと共に、DX戦略として全社員がデジタルを共通言語として理解し、活用し、事業ポートフォリオの変革に取り組むことによって、DXの実装とデジタル人材の育成を軸とした企業価値の向上を実現します。
こうした取り組みに関する対話や情報の発信を社内外に対して拡充することにより、成長期待の醸成、さらにPBR1倍超の実現を目指します。
DXに関する詳しい取り組みについては、第2事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)DXの取り組み(47~48ページ)をご参照ください。
また、中期経営計画2023の詳細につきましては、当社ウェブサイト(https://www.sojitz.com/jp/)をご参照ください。
(3) 利益配分に関する基本方針
当社の利益配分に関する基本方針につきましては、第4提出会社の状況 3配当政策(76ページ)をご参照下さい。
※将来情報に関するご注意
本資料に掲載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、業績を確約するものではありません。実際の業績等は、内外主要市場の経済状況や為替相場の変動など様々な要因により大きく異なる可能性があります。重要な変更事象等が発生した場合は、適時開示等にてお知らせします。
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