企業兼大株主博報堂DYホールディングス東証プライム:2433】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループは、2019年5月に2024年3月期を最終年度とする中期経営計画を発表し、各種取り組みを進めてきましたが、コロナ禍の影響によりビジネス環境が激変したことを受け、2022年2月に同計画の見直しを行いました。

 主要なビジネス環境変化として、まずコロナ禍に伴い、生活全体がデジタル化する「オールデジタル化」が急速に進行していることが挙げられます。あらゆるモノがインターネットとつながる世界が現実となり、モノと生活者の関係は単なる「接点」ではなく、相互に情報のやりとりをする「インターフェース」に進化してきています。この新しい市場のことを、当社グループは「生活者インターフェース市場」と名付けました。

 生活者インターフェース市場では、身の回りのモノ、デバイス、店舗、メディアがネットワークにつながり、データ化され、インターフェース化します。企業はそれらを活用することで、一人ひとりの生活者に最適化したサービスを提供することが可能になります。

「生活者インターフェース市場」が拡大する中で、企業のマーケティングニーズも変化していきます。今後の企業と生活者のつながりは、広告などの「間接接点」のみならず、店舗やECサイトなどの「直接接点」が重要となり、それら全体をデータで統合管理することが求められます。

 このような環境認識の下、2022年3月期から2024年3月期までの3年間を、得意先のマーケティングとイノベーション両課題の解決をリードし、得意先と自社のサステナブルな成長を実現するために「提供サービスと事業基盤の変革を加速する期間」と位置付けました。そして、これまで掲げてきた「中期基本戦略」は継続しつつ、変革に向けた4つの取り組みを進め、グループ全体をアップデートしてまいります。

(1) 中期基本戦略

 当社グループは、「生活者発想を基軸に、クリエイティビティ、統合力、データ/テクノロジー活用力を融合することで、オールデジタル時代における、企業のマーケティングの進化とイノベーション創出をリードすること。そのことで、生活者、社会全体に新たな価値とインパクトを与え続ける存在になること。」を中期基本戦略としております。

 この基本戦略に基づき、以下に掲げる4つの取り組みを進め、未来をデザインし、社会実装していくことで、生活者一人ひとりが自分らしく活きいきと生きられる「生活者中心の社会づくり」に貢献していきたいと考えています。

(2) 提供サービスと事業基盤の変革に向けた4つの取り組み

① 提供サービスの変革

 オールデジタル化が加速する中で、データをもとに、認知、興味、検討からCRMまで、一気通貫でアプローチする、いわゆる「フルファネル型のマーケティング」に対するニーズが高まっています。当社グループは、これまで先行してきた「“生活者データ・ドリブン”マーケティング」をフルファネルで実践できる形、すなわち「“生活者データ・ドリブン”フルファネルマーケティング」へと進化させ、企業のマーケティングニーズに的確に応え、リードしていける存在になりたいと考えております。その実現のために、「マーケティング実践領域の拡張」「メディアビジネスの変革」「生活者視点でのDX推進」という3つの戦略施策を進めております。

 まず、「マーケティング実践領域の拡張」については、得意先企業と生活者のつながりが直接接点へと広がりをみせる中、必須要件となりつつあります。さらに生活者データと基盤テクノロジーをベースとしたフルファネルでの統合管理ニーズも高まってきております。同領域の戦略と実行の両機能をグループ内に保持することで、スピーディーかつ高質なサービス提供と、高い収益性の確保を両立してまいります。そして、当社のこのケイパビリティを、企業の課題解決のみならず、社会課題の解決にも活かしていきたいと考えております。

 次に、「メディアビジネスの変革」については、当社グループオリジナルの「AaaS(アース)」という新たなモデルの導入を促進することで、「広告枠」というモノを売るビジネスから、広告効果の最大化という「サービス」を提供するビジネスへ、変革を推進しております。変革推進にあたっては、AI技術の活用は必要不可欠と考えており、H-AIシリーズに代表される先端技術を活用した効果的かつ効率的なソリューション提供にも積極的に取り組んでおります。加えて、グループ内に「得意先の成長に合わせたデジタルサービス提供のエコシステム」を構築し、デジタルビジネスのさらなる拡大を目指します。そのために、これまで整備してきた高度デジタル運用や、オンラインとオフラインの施策の統合、いわゆる「オンオフ統合」の体制に加え、地方や中小・ベンチャー企業に対応する機能の強化にも注力していきます。

「生活者起点でのDX」については、生活者のインサイト発掘力と、様々な生活者インターフェーステクノロジーを掛け合わせることで、企業のマーケティングや事業そのものに変革をもたらし、さらには社会に変革を生み出す、価値創造型のDXサービスを提供してまいります。

② 変革を加速する横串機能の強化

 変革を加速し、グループ総体としての競争力を高めるために、従来のメディア機能に加え、新たに「グループのテクノロジー基盤となる新会社の設立」「グループのコーポレート機能の高度化・効率化を推進する新会社の設立」「グループ連携を促進する経営管理の仕組みの強化」という、3つのグループ横串機能の強化を進めております。

「グループのテクノロジー基盤となる新会社」については、2022年4月に株式会社博報堂テクノロジーズを新たに設立しました。グループ内に点在するリソースを集約するとともに、専門機能会社として、エンジニアにマッチした人材マネジメント体系を整備することで、外部専門人材の採用、育成を強化しております。また、足元では、ビジネスへの活用が拡大しつつある大規模言語モデル等の業務活用にもいち早く取り組んでおり、同社を中心に、グループ全体をより「テクノロジー・ドリブン」な企業体へと進化させていきます。

 加えて、グループのコーポレート機能の高度化・効率化を推進する新会社「博報堂DYコーポレートイニシアティブ」も2023年4月に設立しました。育成/採用などによるコーポレート機能のケイパビリティ強化や、業務集約/標準化およびDXなどによるグループ横串機能としてのシナジー創出を進めてまいります。

③ 従来戦略に基づく変革の継続
ⅰ) ボーダレス化する企業活動への対応力強化

 成長市場である海外への積極的な投資を行い、「得意先のグローバルシフト」「専門性/先進性」「“生活者データ・ドリブン”フルファネルマーケティング」の3つの要素を起点とした海外事業の強化を継続しております。また、当社のグループ戦略立案・推進機能を強化し、博報堂などの「海外ネットワーク」と、kyuの「専門性/先進性」の連携を深めていくことで、海外事業のさらなる拡大に取り組んでいきます。

ⅱ) 外部連携によるイノベーションの加速

 取引先企業/ベンチャー企業/当社グループをつなぐ連携基盤を拡張し、3者の強みの相乗効果による「提供サービスと自社のイノベーション」を加速しております。生活者インターフェース市場における新たな事業の開発、ソーシャルグッドな事業の創出など、生活者に対して新たな価値を提供する新規事業開発を、「クリエイティビティ×テクノロジー」を起点に推進してまいります。

④ サステナブルな企業経営のための基盤強化

 当社グループは、持続的な事業成長を遂げながら、同時に生活者のパートナーとして社会の発展に寄与する「新しい価値」を創造し続けていくという「循環型の価値創造モデル」に基づき、サステナビリティゴールである「生活者一人ひとりが、自分らしく、いきいきと生きていける社会の実現」を目指しています。

 当社グループのサステナブルな成長を支える最大の要素は「ヒト」であり、短期的にはコスト先行となるような施策も含め、人財への積極投資を行い、社員がクリエイティビティを最大限発揮できる環境を整備していきます。

(3) 中期経営計画における目標

2022年3月期から2024年3月期までの3年間を、「提供サービスと事業基盤の変革を加速する期間」と位置付けているため、中期経営目標についても「成長性の維持・向上」と、中長期の継続的な成長に向けた「構造改革のための戦略投資」を踏まえた計画値といたしました。新たな中期経営目標、及び同目標を達成するにあたり注視すべき重点指標は、以下のとおりです。

<中期経営目標(2024年3月期)>

 

調整後連結売上総利益年平均成長率(注1)

:+7%以上

調整後連結のれん償却前営業利益年平均成長率(注2)

:+7%以上

連結のれん償却前営業利益(注3)

:650億円以上

 

 

<重点指標>

 

調整後連結のれん償却前オペレーティング・マージン(注4)

:15%程度

のれん償却前ROE(注5)

:10%以上

(注1)

調整後連結売上総利益年平均成長率とは、投資事業を除いた主力事業における、2021年3月期の実績から2024年3月期までの3年間の年平均成長率のこと。

(注2)

調整後連結のれん償却前営業利益年平均成長率とは、投資事業を除いた主力事業における、企業買収によって生じるのれんの償却額等を除外して算出される連結営業利益の、2021年3月期の実績から2024年3月期までの3年間の年平均成長率のこと。

(注3)

連結のれん償却前営業利益とは、企業買収によって生じるのれんの償却額等を除外して算出される連結営業利益のこと。投資事業を含む全ての事業を対象とする。

(注4)

調整後連結のれん償却前オペレーティング・マージン=調整後連結のれん償却前営業利益÷調整後連結売上総利益

(注5)

のれん償却前ROE=企業買収によって生じるのれんの償却額等(持分法適用会社分を含む)を除外して算出される親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本(期首・期末平均)

(注6)

上述の中期経営計画に関する事項は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

2024年3月期までの3年間は、短期的な利益成長を追うのではなく、事業構造の変革を進め、中長期的な大きな成長を目指す土台をより盤石なものとする期間と位置付けております。掲げた中期戦略に則り、グループの変革を着実に進め、中長期での大きな成長と、企業価値の向上を目指してまいります。

 なお、2022年9月27日に東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のスポンサー選考に関し連結子会社である株式会社大広の執行役員1名が贈賄の疑いにより東京地方検察庁に逮捕され、同年10月18日に起訴されました。これを受けて同社ではコーポレートガバナンス改革委員会を設置し、原因究明と再発防止策を策定いたしました。これに基づき各種施策を実施してまいります。

 また、2023年2月28日に同大会に関して実施された各テストイベント計画立案等業務委託契約等(本業務)に関し、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いがあるとして、連結子会社である株式会社博報堂と本業務に従事していた株式会社博報堂DYメディアパートナーズの社員1名が、公正取引委員会からの告発を受け東京地方検察庁より起訴されました。これを受けて当社は、2023年3月7日に独立社外取締役を委員長とする特別検証委員会を設置し、独占禁止法違反の疑いで起訴されたことに関する原因究明と再発防止策の検討を要請しました。同年5月11日に同委員会より得た提言に基づき、各種施策を実施してまいります。

 株主をはじめとするステークホルダーの皆様に多大なご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。引き続き、法令遵守の徹底と再発防止及びコンプライアンス意識のさらなる向上により信頼の回復に努めてまいります。

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