企業兼大株主博報堂DYホールディングス東証プライム:2433】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループを取り巻くビジネス環境は大きな変革期を迎えております。生活者があらゆるものの中心となる、「生活者主導社会TM」が本格的に到来したことに加え、生活者や企業の行動においてサステナビリティが重要なファクターとなりつつあります。また、AIなど先端テクノロジーやデジタルインフラの充実により産業構造が変化すると同時に、テクノロジーによる人の能力や可能性の拡張が進行しています。このような中、広告・マーケティングのみならず、ビジネスモデルの変革や顧客接点の質的向上に対する企業のニーズが高まっています。

 当社グループは、このような大きな変化の中で、広告会社をオリジンとしつつも、その枠を超えた価値を提供するグループとして事業構造を変革し、ビジネスを拡大することを目指しています。不確実かつ変化の激しい環境下で、グループ全体での変革を進めるためには、その判断軸・動機づけの根幹となる当社グループの存在意義やそこで働く事の意味合いを明確に示すことが重要であると考え、グローバル市場・グローバル社会の視座に立った当社グループ共通の価値観として、グローバルパーパス「生活者、企業、社会。それぞれの内なる想いを解き放ち、時代をひらく力にする Aspirations Unleashed」を策定しました。

 このグローバルパーパスを全ての企業活動の起点に据え、当社グループのクリエイティビティをエッジに、生活者・企業・社会をつなぎ、新たな関係価値を生み出すことで、広告会社グループから「クリエイティビティ・プラットフォーム」となることを目指します。

(1) 中期基本戦略

 当社グループが新たな関係価値を生み出す事業領域として、「マーケティング」「コンサルティング」「テクノロジー」「コンテンツ」「インキュベーション」「グローバル」の6つの事業領域を設定しました。これら6つの事業領域は、それぞれが異なるビジネスモデルによって収益拡大を図ると同時に、相互に連携し更なる収益拡大と事業の安定性向上を目指します。現中期経営計画期間(2025年3月期~2027年3月期)を収益性の改善と成長オプションを創造する期間と位置づけ、マーケティングビジネスの構造改革と新たな成長機会の開発に注力します。そして、2032年3月期をターゲットに、6つのビジネス領域を確立し相互連携を行うとともに、利益構造を大きく変革することを目指します。

 この基本戦略に基づき、以下に掲げる3つの取り組みを進めます。

(2) 収益性の改善と成長オプションの創造

・マーケティングビジネスの構造変革

 統合マーケティングに対するニーズが拡大する中、事業会社間の連携強化と収益モデルの多様化を進め、グループとして最適なサービス設計・提供体制を構築します。

 当社グループがこれまで培ってきたノウハウ、テクノロジー、集積してきた生活者データを結集することで、自社開発マーケティングシステムである「統合マーケティングプラットフォーム」の開発と実装を推進し、“生活者データ・ドリブン”フルファネルマーケティングの高度化、効率化を実現します。

 また、成長を続けるデジタルマーケティング領域、コマースビジネス領域を強化することで、規模の拡大を実現します。特に、デジタルマーケティング領域では、グループのリソースとノウハウを集約した新会社“Hakuhodo DY ONE”を2024年4月に設立し、フロントラインの最適化、QCD(クオリティ・コスト・デリバリー)の改善、プラットフォーマー対応機能強化を通じて、競争力の強化と生産性・収益性の向上を目指します。

・新たな成長オプションの創造

当中期経営計画の3ヵ年の間、「コンサルティング」「テクノロジー」「コンテンツ」「インキュベーション」の各領域に対し積極的な投資を行い、事業基盤を構築することで、グループの収益の柱として育成します。

・グローバルビジネスのリモデル

海外に拠点を置くグループ各社が、それぞれ個別戦略の推進とサービス提供エリアの拡張を遂行すると同時に、グループ内連携を強化します。戦略事業組織kyuの持つ専門性・先進性と、博報堂の生活者発想をかけあわせることで、ユニークな“モダンネットワーク”を形成し、デジタルマーケティング領域を中心に収益力を強化します。加えて、M&Aによる非連続な成長機会の探索を継続します。

(3) グループ経営基盤の強化

 前中期経営計画期間に設立した、株式会社博報堂テクノロジーズ、株式会社博報堂DYコーポレートイニシアティブの2社をはじめとしたグループ共通基盤の強化を継続することで、グループとしての競争力を高めます。

(4) サステナビリティ経営の推進

 当社グループは、人を中心としたサステナブルな経営により社会への価値創出を目指します。社員、株主、取引先、メディア、コンテンツホルダー、各種団体をはじめとするマルチステークホルダーとの適切な協働に取り組み、生活者一人ひとりが、自分らしく、いきいきと生きていける社会の実現を目指しています。

 サステナビリティ経営の進捗に関しては、環境及びジェンダー平等に対する目標値を設定し各種取組を進めております。環境課題については、2050年度のカーボンニュートラルを目標としており、中間指標として2030年度のスコープ1+2の排出量を2019年度(2020年3月期)比で50%削減する目標を設定しております。また、ジェンダー平等については、2030年度までに管理職の女性比率30%の達成を目指しています。

 今後は、ESG各領域でサステナビリティ経営を推進すると同時に、社会課題に対応する人材の育成を行い、生活者の想いがあふれ、いきいきと活躍できる社会の実現を目指します。

(5) 中期経営計画における目標

当社グループは、2025年3月期から2027年3月期までの3カ年を収益性の改善と成長オプションを創造する期間と位置付けており、「成長性の維持・向上」「収益力の強化」を踏まえた計画値としました。新たな中期経営目標は、以下のとおりです。

<中期経営目標(2027年3月期)>

 

調整後のれん償却前営業利益年平均成長率(注1)

:+10%以上

調整後売上総利益年平均成長率(注2)

:+5%以上

調整後のれん償却前オペレーティング・マージン(注3)

:+13%以上

のれん償却前ROE(注4)

:10%以上

(注1)

調整後のれん償却前営業利益年平均成長率とは、メルカリ株売却益を除いた主力事業における、企業買収によって生じるのれんの償却額等を除外して算出される連結営業利益の、2025年3月期の実績から2027年3月期までの3年間の年平均成長率のこと。

(注2)

調整後売上総利益年平均成長率とは、メルカリ株売却益を除いた主力事業における、2025年3月期の実績から2027年3月期までの3年間の年平均成長率のこと。

(注3)

調整後のれん償却前オペレーティング・マージン=調整後のれん償却前営業利益÷調整後連結売上総利益

(注4)

企業買収によって生じるのれんの償却額等を除外して算出される親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本(期首・期末平均)

 上記に掲げた中期経営目標の達成に向け、掲げた中期基本戦略に則り、グループの変革を着実に進め、中長期での大きな成長と、企業価値の向上を目指してまいります。

 なお、連結子会社である株式会社博報堂におきまして、取引先様に対し過大請求が行われていたことが判明しております。同社は2023年10月に外部の弁護士を委員とする調査委員会を設置し、引き続き徹底的な調査を行っております。

 また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に関して実施された各テストイベント計画立案等業務委託契約等(本業務)に関し、独占禁止法違反の疑いがあるとして、連結子会社である株式会社博報堂と本業務に従事していた株式会社博報堂DYメディアパートナーズの社員1名が2023年2月に東京地方検察庁より起訴されました件につきましては、現在裁判中ですが、両社においては特別検証委員会からの提言も踏まえ再発防止策の実施を徹底しております。

 加えて、連結子会社である日本トータルテレマーケティング株式会社において、取引先様に対し過大請求が行われていたことが判明しております。同社は2024年3月に外部の弁護士を委員とする調査委員会からの最終報告を受け、経営体制の変更を行い、社内の意識改革及び過去の不正の清算に取り組んでおります。

 上記各事案の発生により、株主をはじめとするステークホルダーの皆様に多大なご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。当社といたしましては、取引先様や各ステークホルダーとの信頼関係を揺るがす重大な事案であると考えており、再発防止策の策定と実行を進めております。

 当社グループでは、当社代表取締役社長CCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)を委員長とし、各グループ会社の代表取締役社長CCOを委員とする「グループコンプライアンス委員会」により、グループ全体のコンプライアンス活動を推進する体制としております。加えて、2024年4月に、「グループコンプライアンス室」を新設し、当社と各グループ会社のコンプライアンス関連部門の連携を強化することとしました。また、株式会社博報堂及び株式会社博報堂DYメディアパートナーズにおいて発生した事案の再発防止の徹底を企図し、株式会社博報堂の代表取締役社長を委員長とする「ビジネス意識・行動改革委員会」を設置し、コンプライアンス推進のPDCAサイクル強化を図るとともに、その内容についても、当社「グループコンプライアンス室」がグループ全体に共有し、各社における実践を推進する体制としております。

 引き続き、法令遵守の徹底と再発防止及びコンプライアンス意識のさらなる向上により信頼の回復に努めてまいりますので、株主の皆様におかれましては、何卒変わらずご支援を賜りますようお願い申し上げます。

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