企業兼大株主南海電気鉄道東証プライム:9044】「陸運業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、鉄道事業をはじめとする交通輸送サービスを基軸に、不動産、流通、レジャー・サービス等の生活に密着した事業を幅広く展開し、社会の信頼に応え、その発展に貢献することを通じて、当社グループの企業価値増大をはかることを基本方針としております。

 また、当社グループの普遍的なテーマを、以下のとおり「グループ経営方針」及び「サステナビリティ方針」として位置づけております。

<グループ経営方針>

・安全・安心の徹底             鉄道をはじめとしたすべての事業において安全・安心を徹底します

・環境重視                     「地球環境保全」を使命として認識、事業において環境に配慮します

・コンプライアンスの徹底       法令遵守、自らの社会的責任を認識、公正で健全な企業活動を行います

・顧客志向の追求               地域に密着した企業として、お客さま目線での行動を徹底します

<サステナビリティ方針>

沿線エリアを中心に、地域住民・自治体・企業等、さまざまなステークホルダーと共創・協働し、企業理念の実践を通じて、「持続的な企業価値の向上」と「持続可能な社会の実現」の両立をめざします。

(2)経営環境

 当社グループは、大阪府南部や和歌山県を主たる営業基盤とし、運輸、不動産、流通、レジャー・サービス、建設等の事業を展開しております(当社グループの事業の内容については、「第1 企業の概況 3 事業の内容」 をご覧下さい。)。

 新型コロナウイルス感染症に伴う社会構造の変化は、当社グループをとりまく経営環境や将来の事業運営の在り方に変化・変革をもたらすものと認識しております。また、地震・台風等の自然災害の激甚化傾向や人口減少、ITの進化等、今後経営環境の変化は一層激しさを増すと予想しており、これらに対して柔軟に対応していく必要があると考えております。一方、当社グループは、近年、インバウンド旅客の増加による空港関連輸送の活性化やなんば地区を中心とする不動産業の拡充等により大きな成長を遂げてきました。今後も、大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)の開催や大阪・夢洲へのIR(統合型リゾート)の誘致計画といった関西におけるビジネスチャンスの拡大に加え、なにわ筋線開業(2031年春目標)により、沿線のさらなる利便性向上が期待されています。

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループにおいては、コロナ禍を契機に人々の生活様式や価値観が大きく変化する中、将来に向けて「先が読み切れない」ことを前提に、変化への耐性の強い経営基盤を構築することが不可欠であります。

 このような認識の下、2027年度におけるありたき姿を定めた「南海グループ経営ビジョン2027」に加え、当社グループがこれまで推進してまいりました「持続的な企業価値の向上」と「持続可能な社会の実現」を両立するサステナブル経営の考え方に基づき、当社グループがめざすべき姿として、「沿線への誇りを礎に、関西にダイバーシティを築く事業家集団」という“2050年の企業像”を策定しております(詳細は後記<ご参考>に記載のとおり)。

 この“2050年の企業像”の実現をめざし、当社グループでは、コロナ禍を経ての「再構築」と「成長への基礎構築」を行うため、2022年度~2024年度の3年間を対象期間とする中期経営計画「共創140計画」を推進しております。最終年度である2024年度においては、本計画の完遂を下支えし、すべての事業・業務において「イノベーション」に取り組むための人財戦略として、人財の価値を最大化するための投資や活動をさらに強化させていくとともに、次期中期経営計画の策定を見据え、資本コストや資本収益性をより意識したうえで、成長投資、株主還元及び事業ポートフォリオに関する基本的な方針を策定してまいりたいと存じます。また、2025年度に予定される当社と泉北高速鉄道株式会社との経営統合による効果の早期発現に向けた諸準備を精力的に進めるほか、公共交通事業、まちづくり・不動産事業に続く「第3の柱」となる事業の育成に引き続き注力してまいります。

 当社グループをとりまく経営環境は、先行き不透明で楽観視できない状況が続くものと予想されますが、鉄道事業をはじめ、「安全の確保」「安心の提供」が当社グループ全事業の根幹であることを肝に銘じつつ、グループ経営の効率改善によるサステナブルな事業推進体制を確立するとともに、未来探索及びサステナブルな未来につなぐ投資をさらに加速させることにより、グループの総力を結集して本計画を完遂し、以て「南海が描く“2050年の企業像”」の実現に着実に近づけてまいりたいと存じます。

 中期経営計画「共創140計画」/戦略骨子

(1) 事業戦略

 ア、公共交通事業のサステナブルな経営

 激甚化する自然災害への対策等、安全・安定輸送を阻害するリスクの低減・解消のため、計画的な設備投資を実行するとともに、デジタルテクノロジーを活用した新しい枠組みの構築とブランド向上施策等により、業務効率化と収益構造の変革をはかる。また、中期的には既存の鉄道事業・バス事業等を発展させ、ラストワンマイルまでの多彩なサービスを提供する「総合モビリティ事業」への進化をめざす。

 イ、選ばれる沿線づくりと不動産事業深化・拡大

2031年開業予定のなにわ筋線新難波駅周辺や難波駅周辺の開発を進めるなど、「アジアの“なんば”」をめざし、引き続き“グレーターなんば”の創造に取り組むとともに、泉北ニュータウンにおけるスマートシティ戦略をはじめとするサステナブルなまちづくり等、沿線において自治体等とともに社会課題の解決を通して地域活性化をめざす、「地域共創型まちづくり」を進める。あわせて、すでに遂行している物流施設の高度化を着実に進める。

 ウ、未来探索

 中長期視点での成長をめざし、公共交通事業、まちづくり・不動産事業に続く新たな柱の創造に注力する。デジタル顧客接点の構築による新価値創造をめざすとともに、eスポーツ事業への本格参入をはじめ、多種多様な人々が幸せに暮らせるまちづくりに向けて、外国人との共生に資するビジネス拡大に挑戦する。さらに、高野山や百舌鳥・古市古墳群等、世界遺産をはじめ沿線の豊富な観光資源を活かしたツーリズム関連事業等、新たな事業の芽の育成に十分な投資枠を確保し、さまざまな挑戦を促進する。

(2) 人事戦略・財務戦略

 上記事業戦略を確実に実行するため、人事戦略・財務戦略を連動させる。

 ア、人事戦略

 生産性向上と人財の確保・育成、多様な活躍の場の提供を通じて、新たな“人財ポートフォリオ”の構築をめざす。

 イ、財務戦略

 財務健全性の維持を大前提に、必要な投資をタイムリーに実行していくため、私募リートの設立をはじめ、多様な資金調達を実施する。

(3) 数値目標

 計画の最終年度にあたる2024年度の数値目標(連結ベース)は、以下のとおりとする。

営業利益(※1)

280億円

純有利子負債残高/EBITDA(※2)倍率

7.5倍以下

(※1)営業利益+受取配当金

(※2)営業利益+受取配当金+減価償却費

(ご参考)

設備投資額(3か年総額)

1,600億円

CO2排出量削減(2024年度)

2013年度比32%減

<ご参考>南海が描く“2050年の企業像”

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

「南海グループ経営ビジョン2027」では、営業キャッシュ・フローを成長投資に優先配分し、収益力向上を通じた財務体質の強化をめざすこととしております。当社グループは、本ビジョンにおいて、経営上の目標の達成状況を判断するための経営指標(連結ベース)のうち収益性指標として「営業利益」を、財務健全性指標として「有利子負債残高/EBITDA倍率」を採用しております。

2022年度から2024年度を対象期間とする「共創140計画」においては、収益性指標として「営業利益」を、財務健全性指標として「純有利子負債残高/EBITDA倍率」をそれぞれ採用しております。なお、コロナ禍の影響を受けて、一時的に手元資金を積み増した経緯から、「共創140計画」における財務健全性指標は、有利子負債から現金及び預金を控除した純有利子負債残高をもとに算定することとしております。

 また、「共創140計画」においては、以下の2項目を参考指標として設定しております。

 同計画で掲げる3つの事業戦略を推進するためには、設備投資の継続的実施が欠かせないことから、「設備投資額」を採用しております。

 サステナブル重要テーマ(マテリアリティ)のひとつである「地球環境保全への貢献」に向けて、CO2削減をより促進させるべく、「CO2排出量削減」を採用しております。

 上記各指標のうち「営業利益」は、成長戦略として共同出資等のアライアンスを積極的に活用するため、受取配当金を含めた総額としております。

 経営指標である「営業利益」の算出方法は、以下のとおりであります。

「営業利益」=営業利益+受取配当金

 また、「有利子負債残高/EBITDA倍率」「純有利子負債残高/EBITDA倍率」におけるEBITDAの算出方法は、以下のとおりであります。

EBITDA=営業利益+受取配当金+減価償却費

 なお、当連結会計年度の客観的な指標等の進捗状況につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況」をご覧下さい。

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