北陸電力 【東証プライム:9505】「電気・ガス業」 へ投稿
企業概要
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
当社グループは、2050年カーボンニュートラルや持続可能なスマート社会の実現に向けて取り組んでいる。今後もESGの視点による経営を更に深化させることで、持続可能な社会の実現(SDGsの達成)に貢献していく。
サステナビリティに係る事項は、以下のとおり各種会議体を定期的に開催して、評価・管理を行っており、重要事項については、常務会や取締役会に報告する等、トップマネジメントのもと管理するガバナンス体制を構築している。リスク管理については、経営リスクについて適宜把握・評価のうえ、取締役会にて毎年度策定する経営計画等の諸計画に反映するとともに、必要に応じて、当該リスクに関する課題や対応方針を検討する組織の整備や全社横断的な委員会等を設置し、適切に対応している。
(2)気候変動
当社は、社会的に責任のあるエネルギー事業者として、ESGを重視した経営を展開しており、「気候変動が事業活動にもたらすリスク及び機会を分析し、情報開示を推進する」というTCFD提言の趣旨に賛同している。TCFD提言に沿った情報開示を進めるとともに、電源の脱炭素化や電化の推進等、気候変動が当社事業にもたらすリスク及び機会に適切に対応し、社会の持続的な発展に貢献していく。
①ガバナンス
社長を議長とする「カーボンニュートラルチャレンジ推進会議」等を定期的に開催し、気候関連リスク及び機会、指標等の評価・管理を行っている。
また、カーボンニュートラルチャレンジ推進会議等での審議結果については、取締役会に報告している。
②戦略
気候変動に関するリスク及び機会を認識するために、IEA等が公表している気候シナリオを参照し、2℃以下シナリオを含む複数のパターンで当社を取り巻く環境を想定している。
当社グループは、社会的に責任のあるエネルギー事業者として、再生可能エネルギーの主力電源化をはじめとする電源の脱炭素化、暮らしやモビリティ等の電化推進等を通じ、2050年カーボンニュートラルに挑戦していく。
<参照シナリオ>
シナリオ | 想定する社会状況 | |
IEA (注)1 | WEO2021 APS(公約宣誓シナリオ) | ・2050年における日本のCO2排出量はほぼゼロ(注) ・2050年に向け電化率は増加 (注)日本においては1.5℃目標に整合的と考えている。 |
WEO2021 STEPS(公表政策シナリオ) | ・2050年に向け日本のCO2排出量はゆるやかに減少、 電化率はゆるやかに増加 | |
IPCC (注)2 | 第6次評価報告書 SSP5-8.5シナリオ | ・地球温暖化の進行に伴い、大雨・台風等の頻度と強度が増加 |
(注)1. 国際エネルギー機関。「World Energy Outlook(WEO)」を公表。
2. 気候変動に関する政府間パネル。
<日本のCO2排出量想定>
<気候関連リスク及び機会> 太字:特に影響度の大きいリスク及び機会
IEA シナリオ を参照 | 移行リスク | 政策・法規制 | ・ 2050年カーボンニュートラルに向けた規制強化 (カーボンプライシング等、規制対応コストの増加) |
技術 | ・大量の再エネ系統連系及び火力電源の縮小による系統混雑管理の増大及び調整力不足 ・再エネ電源の普及拡大による電力品質低下、系統形成・系統利用ルール見直し | ||
市場 | ・再エネ電源の普及拡大を受けた電力市場価格変動に伴う卸電力収入の変動及び既存電源の稼働率低下に伴う収益性悪化 ・化石燃料上流開発投資の減少に伴う燃料価格高騰 | ||
評判 | ・気候変動対策に消極的な企業に対するイメージの低下(資金調達環境悪化、株価下落) | ||
機会 | 資源の効率性 | ・技術革新による設備の性能向上 | |
エネルギー源 | ・第6次エネルギー基本計画の策定 (再生可能エネルギーへの投資機会拡大) ・原子力発電や再生可能エネルギーの優位性向上 | ||
製品・サービス | ・電化の進展、EV・蓄電池の普及拡大 | ||
市場 | ・再エネ電気・関連サービス等、お客さまの脱炭素ニーズの高まり・市場の拡大 ・新市場開設(非化石価値取引市場、容量市場等)による取引機会の拡大 | ||
IPCC シナリオ を参照 | 物理リスク | 急性 | ・台風等の大規模自然災害激甚化に伴う電力設備トラブル(事前対応・復旧コスト増加) |
慢性 | ・降水量変動による出水率変動リスク | ||
機会 | 強靭性 (レジリエンス) | ・社会における防災・減災ニーズの高まり |
(注)上記は「北陸電力グループ統合報告書2022」公表(2022年9月)時点の情報を記載している。
③リスク管理
気候変動に係る経営リスクについて適宜把握・評価のうえ、毎年度策定する経営計画(取締役会にて決定)等の諸計画に反映するとともに、必要に応じて、当該リスクに関する課題や対応方針を検討する組織の整備や全社横断的な委員会等を設置し、適切に対応している。
気候関連リスクについては、カーボンニュートラルチャレンジ推進会議等において識別・評価し、経営リスクとともに取締役会に報告している。
④指標及び目標
当社は「北陸電力グループカーボンニュートラル達成に向けたロードマップ」を策定し、目標を掲げ、各施策を推進している。
<北陸電力グループカーボンニュートラル達成に向けたロードマップにおける目標>
指標 | 目標値 | 目標達成時期 |
再エネ開発量 | 2018年度対比で +100万kW以上(+30億kWh/年以上) | 2030年代早期 |
CO2排出削減率 (小売販売電力量ベース) | 2013年度対比で△50%以上 | 2030年度 |
非化石電源比率 (発電電力量ベース) | 50%以上 | 2030年度 |
(注)北陸電力グループカーボンニュートラル達成に向けたロードマップは当社ホームページに掲載している。
https://www.rikuden.co.jp/sustainability/vision.html
<サプライチェーン温室効果ガス排出量>
区分 | 2021年度 |
スコープ1(自らの燃料燃焼による排出)(万t-CO2) | 1,876 |
スコープ2(消費した電気、熱・蒸気使用による排出)(万t-CO2) | 0 |
(注)1.当社及び北陸電力送配電株式会社の実績を記載している。
2.「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(Ver.2.4)」(環境省・経済産業省)等に基づき算定している。
(3)人的資本
①戦略
ⅰ.人材育成方針
○基本的な考え方
当社グループは、「人材」こそが企業価値を高める原動力であり、かけがえのない資本であると考え、北陸電力グループ理念である“Power & Intelligenceでゆたかな活力あふれる北陸を”の実現に向けて、変化の激しい経営環境においても北陸地域とともに持続的に成長していくため、人的資本に対する投資を積極的に進めている。
○従業員の教育
人材の育成を図るため、各階層において必要な知識・ビジネススキル等の習得を目標とする基本教育や、部門ごとに必要な専門知識・技能等の習得を目的とする職能教育を実施している。
また、現場技術技能継承のための技術マスター認定制度や若手社員の定着、自立・成長を図るメンター制度などを整備している。
<教育体系>
基本教育の各研修及び特別教育において、女性活躍をはじめとするDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進に向けて、全社的な理解促進・行動変容や、女性のキャリア意識醸成・能力伸長を図る教育を実施している。
加えて、国家資格等取得時の祝金贈呈や通信教育費用の助成などにより、従業員の職務遂行能力の向上や自己啓発意欲の促進を図っている。
○人事評価面談等を通じた人材育成
上司との人事評価面談(年4回以上)や、上司・同僚・部下からの360度多面評価の定期的な実施を通じて、能力伸長や自律的なキャリア形成に向けた動機づけを図っている。
ⅱ.社内環境整備方針
○基本的な考え方
多様な人材が、互いを尊重しながら、各々の能力・強みを存分に発揮し、健康でいきいきと働けることが、持続的な企業価値の向上に繋がるとの考えのもと、DE&I推進及び働く環境の整備に取り組んでいる。
○多様な人材の活躍促進
多様な属性(性別、年齢、障がいの有無 など)の従業員の活躍促進に取り組んでいる。
<女性>
DE&I推進に関する社長メッセージの発信、地元企業との異業種交流会や女性役職者メンタープログラムの実施等で女性従業員の活躍を促進してきたことにより、「えるぼし」の3段階目の認定を2017年から継続して受けている。
また、育児支援関連制度の充実に取り組んでおり、「プラチナくるみん」の認定を2019年から継続して受けている。
<キャリア(経験者)採用者>
多様な能力・専門性を有する他企業等経験者をこれまで160人以上採用しており、異業種での勤務経験やスキル・資格等を活かし、様々な部門で活躍している。
<障がい者>
自社における雇用に加え、オフィスサポート業務を担う特例子会社「北陸電力ウィズスマイル株式会社」の設立による雇用拡大により、障がい者雇用を推進している。
○働きやすい職場づくり
コアタイムを設定しないフレックスタイム勤務・時間短縮勤務・在宅勤務・勤務間インターバル(11時間以上)・時間単位休暇などの柔軟な勤務制度に加え、育児・介護・慶弔・社会貢献など各従業員のライフイベントに応じた特別休暇や休職制度を設けており、従業員のワーク・ライフ・バランス実現に向けた取組みを推進している。
特に、男性の育児休業については、産後パパ育休期間の一部有給化、取得しやすい職場環境づくりに向けた社長メッセージの発信、男性育児休業セミナーの開催等により、取得促進に取り組んでいる。
○労働災害の防止と健康経営の推進
「安全と健康はすべてに優先する」との考えのもと、安全衛生管理方針を策定し、労働災害の防止、心身の健康増進に向けた取組みを、全社を挙げて推進している。
労働災害の防止については、当社の事業にかかわる全ての者の安全を確保するため、従業員と請負会社が一体となり、基本ルールの遵守徹底等に取り組んでいる。
心身の健康増進については、2023年4月に「北陸電力健康憲章」を制定し健康増進に積極的に取り組む企業風土の醸成を図るとともに、メンタルヘルスや生活習慣病対策、禁煙促進・受動喫煙防止対策などを展開しており、「健康経営優良法人 ホワイト500」に選定されている。
②指標及び目標
項目 | 2022年度実績 | 2023年度目標 |
女性における役職比率 | 41.3% | 40%以上 |
有給休暇取得日数 | 21.5日 | 20日以上 |
男性の育児休業取得率 | 61.5% | 100% |
(注)1.目標及び実績は、当社と北陸電力送配電株式会社を合わせた数値である。
2.女性における役職比率は、女性の社員(35歳以上)に占める役職者の比率である。
3.有給休暇取得日数は、ゆとり休暇(使途を限定せず、年間5日付与)を含む。
4.男性の育児休業取得率は、出生時育児休業制度創設(2022年10月1日)以降、100%である。
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