企業兼大株主出光興産東証プライム:5019】「石油・石炭製品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社は、2021年に策定した「サステナビリティ方針」において、環境、社会、ガバナンスのそれぞれについて重点方針を定め、グループ一丸となって環境課題や社会課題の解決に貢献することを目指しています。

(1)サステナビリティ(ESG)共通

①ガバナンス

 当社においては、気候変動や人権といったサステナビリティ(ESG)に関連する課題は、全社的なコーポレートガバナンス体制の下(56ページ)、経営委員会で議論される体制となっています。経営委員会の委員長は社長が務め、議論された内容は適宜取締役会に付議・報告されます。

 また、当社ではサステナビリティの専任組織であるサステナビリティ戦略室を経営企画部の中に設置しています。サステナビリティ戦略室が、サステナビリティに関する課題進捗を取りまとめて経営に報告するなど、部門横断的に関与して、当社のサステナビリティ経営を推進しています。経営で十分なサステナビリティに関する議論、モニタリングができる体制としています。

②戦略

 当社は、昨年、2050年ビジョン「変革をカタチに」を策定し「人びとの暮らしを支える責任」、「未来の地球環境を守る責任」を果たしていきます。事業活動を通じて、持続可能な地球環境と社会を実現しつつ、企業としての持続的な成長を目指しています。特に、以下の分野を重点課題(マテリアリティ)として取り組みを進めています。

・カーボンニュートラル、循環型社会への貢献

・地域社会への貢献(エネルギー&モビリティ)

・従業員の成長・やりがいの最大化

・D&Iの深化

・デジタル変革の加速

・ガバナンスの進化

・健康、安全、遵法、人権擁護の徹底

 尚、人的資本に関する戦略については、下記の「2(3)人的資本の多様性に関する戦略並びに指標及び目標」に記載のとおりです。

③リスク管理

 当社グループは、事業活動に関わるさまざまなリスクを未然に認知・評価し、リスクに応じた適切な対応を講じることで、経営の安定を図っています。事業活動に関わるリスクを「業務リスク」「経営リスク」の2つに分類して対策を推進しています。「業務リスク」は、事故、災害、コンプライアンス違反、業務ミス、製品の瑕疵、クレーム、環境汚染、情報漏洩、サイバー攻撃、テロ、労務問題、経済安全保障、人権問題、サステナブル調達不備などに代表される業務遂行を阻害して損失のみを生じさせるリスクです。また、「経営リスク」は、事業活動に関わるリスクのうち、業務リスクを除く利益又は損失を生じさせるリスクです。投資や財務をはじめとする現在の事業戦略におけるリスクに加え、将来想定される事業環境のリスクもこれに含みます。

④指標及び目標

 当社は、2019年に特定した重要課題(マテリアリティ)からの連続性を重視しつつ、社内外の環境変化を反映し、中期計画とビジョンの達成に向けて以下のプロセスでマテリアリティを見直し、指標・目標を定めサステナビリティ戦略を実行しています(目標値:CO2削減量15ページ、出光エンゲージメントインデックス・女性採用比率・女性役職者比率・男性育児休暇取得率・従業員一人当たり教育投資額27ページ)。

 尚、人的資本に関する指標及び目標については、下記の「2(3)人的資本の多様性に関する戦略並びに指標及び目標」に記載のとおりです。

(2)気候変動

①ガバナンス

 化石燃料販売を主たる事業とする当社にとって、気候変動課題への取り組みは、中長期の時間軸で大規模な事業ポートフォリオ転換を伴う、最重要経営課題の一つです。

 気候変動関連の対応に関しても、56ページに記載する当社のコーポレートガバナンス体制の下で対応を実施しており、取締役会は、本課題をさまざまな角度から多面的に捉えて経営方針を定めるとともに、その方針に基づいたアクションが、迅速かつ着実に実行されることを監督する役割を担っています。また、気候変動関連の主要な議案は、業務執行の最高審議機関である経営委員会に付された後、それらの中でも特に重要な内容については、取締役会に報告され、取締役会として、全社方針に基づいた執行が着実に行われているかを監督できる体制としています。

 尚、気候変動関連の取り組みは、全社横断かつテーマが多岐にわたる取り組み課題であるため、カーボンニュートラル(CN)社会の実現に向けた全社課題の立案・遂行を加速させる必要があるという認識の下、2021年7月に技術・CNX※)戦略部を立ち上げ(2022年4月の組織改編で、CNX戦略室に改組)、全社CN戦略立案/GHG削減目標設定/CNX人材育成を社内関係部門と連携し主導しています。  ※) CNX : Carbon Neutral Transformation

②戦略

 次項で記載するリスクと機会全体像を踏まえ、リスク低減と機会最大化に向け、現在の5つの事業セグメントを3つの事業領域(「一歩先のエネルギー」「多様な省資源・資源循環ソリューション」「スマートよろずや」)に有機的に結合・再編し、各領域において必要とされる事業の社会実装を通して、2050年ビジョンの実現を目指します。

2050年までの時間軸を強く意識し、エネルギーと素材の安定供給という役割を損なうことなく、最終的な社会において実装が必要とされる事業のみならず、そこに至る途中段階(移行段階)において社会が必要とする事業も含めて、社会実装テーマと特定し、実装に向けた検討を進めています。

③リスク管理

 気候変動関連リスクは経営リスクの一つであり、2050年までを射程範囲とした、長期事業環境シナリオを策定し、シナリオのアウトプットを踏まえて、将来想定されるリスク(移行リスクと物理リスク)と機会を特定し、当社として必要な対応を明確化し、遂行しています。

区分

内容

当社の対応

移行

リスク

国内化石燃料需要の減少

化石代替燃料の供給拡大、国内供給体制の見直し

(CNXセンター化、スマートよろずや化)

技術革新によるエネルギー価格、資源価格の低下

サプライチェーン全体の競争力強化

政府によるカーボンプライシングの本格導入

政策動向の注視、社内炭素価格の導入・運用

化石資源採掘事業に対する規制、金融機関の慎重な投融資姿勢

石炭鉱山の生産規模縮小

炭素排出の多い企業に対するブランドイメージの低下

ステークホルダーとの対話継続・強化

物理

リスク

自然災害や海面上昇による沿岸拠点の被害、操業への影響

装置保全の計画的な強化、計器室移転の対応

異常降水や台風の頻発等による陸上・海上輸送への影響

供給維持に向けたサプライチェーン強靭化

機会

化石代替燃料の需要拡大 (固体燃料)

出光グリーンエナジーペレット生産・供給拡大

化石代替燃料の需要拡大(ガス体燃料)

アンモニア・水素サプライチェーンの構築

化石代替燃料の需要拡大(液体燃料)

SAF製造・供給体制の構築、

バイオディーゼル製造・供給体制の構築

低炭素燃料/原料供給拠点の重要性拡大

国内製油所・事業所のCNXセンター化、

バイオ化学品製造・供給体制の構築

CN社会実現に貢献する製品、素材の需要拡大

次世代素材・資材の開発※

次世代蓄電池の需要拡大

リチウム固体電解質の事業化

循環型社会実現に向けたリサイクルの本格拡大

リサイクル事業の確立

(使用済みプラスチック/ソーラーパネル/リチウム電池)

地域社会へのエネルギー安定供給

スマートよろずや化、SSネットワーク活用

電気自動車の普及拡大

超小型EVへの参画、EV向け潤滑油の開発、

EV充電・メンテナンス

再生可能エネルギーの需要拡大

国内外での多様な再生可能エネルギー電源の開発

分散型エネルギーシステムの進化、需要拡大

VPP制御サービスの開発、事業参入

 リスク・機会の各項目詳細は、当社ウェブサイトに掲載している「出光統合レポート2022」の78ページに記載しています。

④指標及び目標

 温室効果ガス(GHG)の排出量削減を考える際には、環境面のみならず、社会面、経済面に対してもプラスの影響を与えつつ、関連活動を推進していくことが重要だと考えています。

 本認識の下、当社では、下図のように、CO2排出量削減のみに焦点を当てた環境への貢献、エネルギー供給をしつつCO2削減を実現するという社会と環境への同時貢献、CO2削減をしつつ収益を拡大するという環境と経済への同時貢献という3つの指標(目標値と社内用モニタリング指標)を用いて、CO2削減の取り組みを評価・管理する仕組みとしています。

 当社グループScope1+2排出量に関して、15ページにも記載のとおり、以下の目標を掲げています。

2050年:カーボンニュートラル

2030年:2013年比 △46% (△730万t-CO2相当)

2022年度のScope1+2排出量実績(速報値)は1,421万t-CO2で、2013年比の削減率は△10.5%です。

(3)人的資本の多様性に関する戦略並びに指標及び目標

①人材戦略

 当社は企業理念「真に働く」の下、「人が中心の経営」を掲げ「人の成長」を経営の目的にしています。当社の人財戦略は、多様な人財が個性を発揮し、仕事を通じて成長することを基本的な価値観としており、2050年ビジョンの実現に向け、「どのような未来が来ても、しなやかに、逞しく、未来を切り拓く人財集団」となるための施策を展開しています。

 人財戦略として展開する施策は、大きく2つの視点で構成しています。1つ目は、人財が成長するための土壌となる風土の醸成です。多様な人財が集う中で同じベクトルを向くための「企業理念・ビジョンへの共感」、事業変革に向け新たな価値を創造するための「D&Iの深化 」に取り組んでいます。

2つ目は、人財の役割に応じた成長促進です。先の見えない時代においても未来を切り拓いていくために、役割に応じた能力開発やリスキリングにつながる教育投資を拡大し、「個々人の能力・個性の発揮」を促進しています。

 人財戦略で展開するこれらの取り組みを人的資本投資として経営戦略の根幹に据え、事業構造改革投資との両輪で、2050年ビジョンの実現を目指しています。

 また、これら人財戦略の取り組みにKPIを設定しており、進捗を管理していきます。各KPIについては、②指標及び目標をご参照下さい。

 ア.企業理念・ビジョンへの共感

 当社にとって企業理念は「この会社は何のために存在しているのか」を示すものです。企業理念は普遍で、北極星のようにずっと見え続けているものであり、社員にとっては自分が何か判断に迷ったときのよりどころであり、常にこうありたいと目指すものです。

 当社は企業理念についての理解を深め、実践するため、一人ひとりの自問自答を大切にしています。従業員一人ひとりが、自身の担う業務と社会との接点や、自らが働く意義などと照合し、自問自答することや、従業員同士の対話において、自分の理解を共有することで、新たな気づきを得て、自らの考えを整理し、理解を深める好機になると考えています。

 イ.D&Iの深化

 当社グループは、2019年11月に制定した「ダイバーシティ&インクルージョン方針」に基づき、経営として取り組む重点課題の一つとして「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の実践」を掲げています。D&I推進委員会において、「行動指針」等も踏まえD&Iを推進することで目指す姿を下記のとおり設定しています。

「人が資本」「人が中心の経営」を標榜する当社は、全ての人が活き活きと活躍できることを何よりも重視します。

 当社は、D&Iの推進を通じて、「異なる背景や知識・経験を持つ人が交流し化学反応を起こすことで、新たな価値を生み出す。」「既存の価値観に縛られることなく、継続的にイノベーションを生み出す組織に変容する。」ことを目指し取り組んでいます。

 ウ.個々人の能力・個性の発揮

 自律的なライフキャリア形成支援

(ア)人財育成の考え方

 人の育成を経営の目的に据え、企業理念・行動指針に基づいた教育研修体系を2020年に策定しました。行動指針を高い次元で体現していく人財を増やすため、行動指針のうち特に高めていきたい「自立・自律」「変革」「共創」及びそれらの軸である「成長」については「高めていく発揮能力」として、更に詳細に設定しています。「先見」「挑戦」「決断」「協働」「完遂」「改善」「育成」という7つの観点において求める姿勢や行動のレベルを細かく定義しており、自身の現在のレベルを振り返るとともに、成長に向けて行うべきことを明確にすることが可能となっています。

(イ)教育研修体系の全体像

 教育研修体系のベースは、発揮能力を高めるために「コンピテンシー開発」と考えています。加えて、当社では単なる職務上の成長だけでなく、人間としての成長も支援していきたいと考え、教養を高めるためのプログラムや、異なるライフステージの社員を支援するプログラムも準備しています。全ての社員が「自身が主役である」という意識を持てるよう、積極的な姿勢で、社会に貢献する人財に成長することを期待しています。

 エ.多様で柔軟な働き方の推進

 多様な社員が働きやすい環境づくりとともに、通勤負荷の緩和にもつながるテレワーク勤務制度やフレックスタイム勤務制度、サテライトオフィスなどを整備しています。

 また、仕事と家庭の両立の基本的な考え方として、当社は、両立支援、次世代育成をD&I推進の重点施策の一つと位置付け、ライフイベントに沿った制度の拡充を進めていきます。仕事と家庭(育児・介護)を両立している社員が働きやすく、やりがいを感じられる職場風土を醸成することは、全ての社員にとって能力を最大限に発揮できる環境づくりにつながるとの考えから、さまざまな取り組みを展開しています。

 なお、ア.~エ.の詳細については、当社ウェブサイトに掲載している「出光統合レポート2022」の94~104ページをご参照下さい。

②指標及び目標

2022年11月16日発表 中期経営計画公表値

人材戦略の

重点取り組み

KPI

2022年度実績

2025年度目標

企業理念・

ビジョンへの共感

出光エンゲージメントインデックス※

(従業員エンゲージメント)

67%

75%以上

D&Iの深化

女性採用比率

40%

50%以上

女性役職者比率

3%

5%以上

男性育児休業取得率

84%

80%以上

個々人の能力・

個性の発揮

従業員一人当たり

教育投資額/年

43千円

100千円以上

(国内トップクラス)

※組織に対する従業員のコミットメントを測定する当社独自の指標。企業理念への共感、当社の戦略・目標への支持、自分の役割の理解、成長実感等を毎年測定し、インデックスとして目標管理

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