共英製鋼 【東証プライム:5440】「鉄鋼」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月28日)現在において判断したものです。
(1)サステナビリティ課題への対応
当社グループの中核事業である電炉業は、社会で役割を終えた鉄を原材料として鉄鋼製品を製造し、社会に再び供給する資源循環型事業です。また、原材料の鉄スクラップを溶融する過程で数千度の熱を発する電気炉の特性を活かして、医療廃棄物をはじめとする産業廃棄物の無害化溶融処理事業も30年以上にわたり行っています。当社グループは、こうした自らの事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献することを目指し、次の「サステナビリティ基本方針」を定めています。
~未来への挑戦~ グループ経営理念のもと、持続可能な社会の実現に向けて 資源循環型事業を通じ、挑戦を続けながら社会の発展と地球環境との調和に貢献する 『エッセンシャル・カンパニー』を目指します。 |
このサステナビリティ基本方針に基づき、マテリアリティ(経営の重要課題)を特定しています。マテリアリティの特定に当たっては、ステークホルダーの視点で課題を抽出し、当社グループの事業性に照らして評価と分析を重ね、当社グループにとっての重要課題を絞り込みました。
マテリアリティ(経営の重要課題) | ||
快適で安全な社会のために | 人々の暮らしの中で役割を終えた様々な資源のリサイクルを通じて、地球環境保全に貢献し世界のインフラを支えます。 | |
美しい地球環境に向けて | 当社グループが発生させる地球温暖化効果ガスや副産物を削減するだけでなく、社会で発生する様々な廃棄物をリサイクルすることで、環境負荷の少ない社会の実現に貢献します。 | |
価値創造をともにする皆様の期待に応えるために | お客様や取引先からの様々な期待と要請に応える製品・サービスを提供することや、環境負荷の低い原材料・資材を調達することで、バリューチェーンを通じた社会への貢献を目指します。 | |
より安全で働きやすい職場に向けて | 労働災害の撲滅や職場環境の整備、多様な人材の登用、柔軟な働き方の採用を通じて、安全で働きやすい魅力的な職場を実現します。 | |
地域社会の一員として貢献するために | 様々な地域活動や防災活動など地域への貢献を通じて、当社グループが地域になくてはならない存在となることを目指します。 | |
より公正で誠実な企業活動に向けて | 経営環境の変化に迅速に対応できる組織体制と透明性の高い経営システムを構築し、公正で誠実な企業活動を実践することで社会から信頼される存在を目指します。 |
① ガバナンス
サステナビリティ課題への対応を全社的に検討・推進するガバナンス体制・枠組みは、以下の図のとおりです。各委員会、各部会、業務担当部門(各事業所・グループ会社)での議論を通じて個別課題への対応を進め、取締役会は、定期的にその報告を受け、サステナビリティ課題への取り組みを監督しています。
サステナビリティ課題への対応に係るガバナンス体制
② リスク管理
当社グループは、サステナビリティ課題の解決に向けて、以下の図のようなマネジメント体制を構築しています。グループ全体のリスクを経営的観点からスクリーニングするとともに、重要リスクを特定・評価のうえ、マテリアリティの実現に向けて対応策を協議し、その進捗状況のモニタリングやレビューを行っています。
③ 戦略
当社グループは、マテリアリティの実現に向けた取り組みを進めることが、持続可能な社会の実現に貢献することにつながると考えています。
マテリアリティの実現に向け、当社グループは、中期経営計画「NeXuS 2023」において、マテリアリティに沿った目標・KPIと具体的取り組みを織り込んでいます。これらの取り組みを推進していくことで、経済価値(経済的リターンの獲得)と社会価値(自然との共生や地球環境との調和)を一体的に創出し、持続的な成長と企業価値の中期的な向上を図っていきます。
④ 指標と目標
中期経営計画において、マテリアリティに沿った目標・KPIを定め、取り組みを推進していくことによりマテリアリティの実現を目指しています。
詳細につきましては、当社ウェブサイトのマテリアリティに関する記載(https://www.kyoeisteel.co.jp/ja/csr/task/roadmap.html)をご参照ください。
(2)個別のマテリアリティへの取り組み
上述のマテリアリティのうち、特に重要な課題として識別された項目に係る当社グループの考え方および取り組みは、次のとおりです。
■美しい地球環境に向けて:気候変動問題への対応(TCFD提言に沿った取り組み)
当社グループでは、気候変動問題への対応を重要な経営課題の一つと位置付け、様々な取り組みを行ってきました。今後も、“レジリエンス”(2℃以下シナリオおよび4℃シナリオに適応する力)の強化のため、2030年、2050年に向けた気候変動に係るリスクと機会への対応を進めていきます。
※TCFD:気候関連財務情報開示タスクフォース
① ガバナンス
リスクマネジメント委員会傘下の気候変動部会において、定期的に気候変動リスクのアセスメントと評価について議論していく体制を整備しています。特定したリスクと機会について、業務担当部門である各事業所・グループ会社と共有し、対応策の立案と取り組みの加速を図っています。また、取締役会は、リスクマネジメント委員会から定期的な報告を受け、取り組みを監督しています。
② リスク管理
当社グループでは、気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識しています。気候関連リスクマネジメントを正常に実装・サポート・維持するために以下のプロセスを組織に構築しています。
1) 経営企画部ESG推進室を事務局とする気候変動部会は、グループ全社の気候変動関連リスクと機会の洗い出し、評価を行う。
2) 気候変動部会は、当社グループの気候変動関連リスクマネジメントに係る方針、対応計画の策定を行う。
3) 業務担当部門は、計画に沿いリスクの回避・低減・移転など適切な対応を取る。
4) 気候変動部会は、定期的にリスクマネジメント委員会にリスクマネジメントの効果や成果を報告する。
③ 戦略
当社グループは、2℃以下と4℃のシナリオにおける、2050年の当社グループを取り巻く社会の変化を定義し、それぞれのシナリオにおけるリスクと機会を、経営への影響度および顕在化する可能性と併せて分析・特定しました。さらに、特定した2℃以下シナリオ15項目、4℃シナリオ10項目のリスクと機会を、「カーボンコスト」、「エネルギーコスト」、「原料高騰」、「製品市場」、「自然災害コスト」、「労働環境」の6項目に整理しました。
これらの課題に対し、下表の取り組みを進めています。
| 重要なリスク・機会 | 項目 | 中期経営計画「NeXuS 2023」での対応策 | |||
2℃ 以下 | 移行リスク | 政策・法 | 脱炭素政策の躍進 | ①カーボンプライシングの導入、再エネ賦課金の増加、温対法の強化による事業コストの増加 | カーボン コスト | ・省エネルギーの推進 ・重油・灯油から都市ガス・LNGへの転換推進 |
②石油燃料の使用制限によるCO2低排出燃料への移行によるLNGの争奪、価格高騰 | エネルギーコスト | |||||
技術 | 脱炭素・省エネ技術の要請 | ③脱炭素・省エネルギーへの対応技術がニーズに追従できないことによる操業の困難化 | カーボン コスト | ・脱炭素・省エネルギー技術の開発推進 ・重油・灯油から都市ガス・LNGへの転換技術開発 ・リサイクルに適した鉄スクラップを収集・選別し、ロスなく鉄鋼製品にする技術の向上 | ||
④高炉から電炉への生産移行による鉄スクラップ・電極の争奪、価格高騰 | 原料高騰 | |||||
市場 | 社会における脱炭素意識の高まり | ⑤脱物質主義、人口減少による市場の縮小、製品・サービスの需要減少 ⑥高炉から電炉への移行による競争の激化 ⑦デベロッパーの価値観変化に伴うコンクリートから木材への切替による需要減少 | 製品市場 | ・高強度鉄筋やPC工法など新たな建築工法に対する新製品の開発 ・顧客ニーズを踏まえた加工品事業などの新事業への積極的な取り組み | ||
⑧バリューチェーンでの脱炭素の要求に追従できず販売機会の喪失 | カーボン コスト | |||||
エネルギー コストの高騰 | ⑨発電の電源構成における再エネ拡大による電力コストの増加 | エネルギーコスト | ・製品価格転嫁と省エネルギーの推進 ・太陽光発電・自家消費の推進 | |||
物理的リスク | 急性 | 自然災害の 増加 | ⑩台風や洪水などの自然災害による事業所や各拠点の操業停止 ⑪自然災害の発生による原材料調達の困難化 | 自然災害 コスト | ・物理的な影響に備えた事業継続マネジメント(BCM)体制の構築と第三者へのリスク移転 ・原材料安定調達のためのサプライチェーンの拡充 | |
| 機会 | 製品・ サービス | 製品市場の 拡大 | ⑫「資源循環型事業」に対するさらなる貢献への評判による新たな製品市場の形成 ⑬CO2排出量の低い製品としての需要増加、販売機会の増加(電炉による鋼材製造、グリーン鋼材やカーボンフットプリントのラベリング製品) ⑭自然災害に対する「国土強靭化」製品としての需要増加、販売機会の増加 ⑮平均気温上昇により現場施工の省人化につながるネジ節鉄筋やPC工法などユニット製品の需要の高まり | 製品市場 | ・ESG情報の積極的な開示によりESGレーティングなどの外部評価を高める ・新しい廃棄物処理施設の設置による処理能力の拡大 ・高強度鉄筋やPC工法など新たな建築工法に対する新製品の開発 ・顧客ニーズを踏まえた加工品事業などの新規事業への積極的な取り組み |
| 重要なリスク・機会 | 項目 | 中期経営計画「NeXuS 2023」での対応策 | |||
4℃ | 移行リスク | 政策・法 | 国土強靭化の推進 | ①「国土強靭化」製品への要求の高まりに対する建築・土木基準の改定対応の遅れによる販売機会の喪失 | 製品市場 | ・顧客ニーズを踏まえた加工品事業などの新規事業への積極的な取り組み |
技術 | 国土強靭化の要請 | ②災害対策の観点からより高強度の鋼材が求められるが、技術開発の遅れによる販売機会の喪失 | ・高強度鉄筋やPC工法など新たな建築工法に対する新製品の開発 | |||
市場 | 石油燃料の 枯渇 | ③石油燃料枯渇によるエネルギー、原材料コストの増加 | エネルギーコスト | ・製品価格転嫁と省エネルギーの推進 | ||
物理的リスク | 急性 | 平均気温の 上昇 | ④平均気温上昇による労働環境の悪化(人的安全確保の困難化) | 労働環境 | ・操業のロボット化・自動化のための設備投資の充実 | |
自然災害の 激甚化 | ⑤台風や洪水などの自然災害による事業所や各拠点の操業停止 ⑥自然災害発生による原材料調達の困難化 | 自然災害 コスト | ・物理的な影響に備えた事業継続マネジメント(BCM)体制の構築と第三者へのリスク移転 ・原材料安定調達のためのサプライチェーンの拡充 | |||
機会 | 製品・ サービス | 製品市場の 拡大 | ⑦自然災害に対する「国土強靭化」製品としての需要増加、販売機会の増加 ⑧平均気温上昇により現場施工の省人化につながるネジ節鉄筋やPC工法などユニット製品の需要の高まり ⑨生活環境悪化による医療の進展から、医療系廃棄物が増加し、また災害廃棄物の増加からリサイクル事業のニーズ拡大 ⑩経済発展と国際的需要増加により、グローバルで販売機会の増加 | 製品市場 | ・高強度鉄筋やPC工法など新たな建築工法に対する新製品の開発 ・顧客ニーズを踏まえた加工品事業などの新規事業への積極的な取り組み ・新しい廃棄物処理施設の設置による処理能力の拡大 ・引き続き、海外拠点など買収の検討 |
<参考レポート>
●IEA / World Energy Outlook (2020)
●IEA / Energy Technology Perspectives (2020)
●IEA / Iron and Steel Technology Roadmap
●IMF / World Economic Outlook Database (2021)
●ILO / Working on a warmer planet 等
④ 指標と目標
当社グループは、2℃以下シナリオにおける当社グループの移行リスク対応と4℃シナリオにおける社会の物理的リスク緩和を配慮し、当社グループとして、いかにCO2排出量を削減するかが重要だと考えます。
従って、CO2排出量を指標とし、目標は、政府が掲げる2050年の温室効果ガス排出量を実質ゼロとする目標に沿って、「2030年度のCO2排出量50%削減(対2013年度:国内生産拠点)」としました。
上記の目標のほかに、CO2排出量削減に向けて「エネルギー原単位△1.0%/年」をKPIとして設定しています。
当社グループの2023年3月期のCO2排出量やエネルギー原単位の実績につきましては、当社ウェブサイトのサステナビリティに関する記載(https://www.kyoeisteel.co.jp/ja/csr/esg/environment.html)をご参照ください。なお、当該実績値は、有価証券報告書提出日現在においては速報値であり、2023年7月下旬~8月初旬に確定値に更新する予定です。
■より安全で働きやすい職場に向けて:人的資本に係る取り組み
当社グループでは、人的資本が企業価値創造の重要な源泉であるとの考えのもと、人的資本への投資を重要な経営課題の一つと位置付け、ダイバーシティ&インクルージョン、人材育成、健康経営および安全を取り組みの4つの柱として、種々の施策を実施しています。
① ガバナンス
安全に関する課題については中央安全衛生委員会が、ダイバーシティ&インクルージョン、人材育成、健康経営等に関する課題については本社人事総務部がそれぞれ中心となって対応方針を立案し、当該対応方針に基づき、業務担当部門である本社各部、各事業所およびグループ会社が具体的な対応にあたっています。また、取締役会は、中央安全衛生委員会または本社人事総務部から定期的な報告を受け、取り組みを監督しています。
② リスク管理
業務担当部門は、中央安全衛生委員会または本社人事総務部の立案する方針の下、自主的なリスク管理・推進計画を策定し、実行しています。中央安全衛生委員会または本社人事総務部は、業務担当部門との日常的なコミュニケーションの他、定期監査や意識調査の実施等により、各業務担当部門のリスク管理活動をフォローしています。
③ 戦略
当社で働く多様な社員が、その能力を最大限に発揮し、やりがいと誇りを持って活躍できる企業を実現するために、ダイバーシティ&インクルージョン、人材育成、健康経営および安全を取り組みの4つの柱として推進しており、具体的な施策等は以下のとおりです。
a. ダイバーシティ&インクルージョン
○ 多様な人材の確保、女性の活躍推進
当社では、新卒採用と併せ、キャリア人材、グローバル人材、障がい者など多様な人材の確保に向け、採用活動を推進しています。特に業種柄、女性社員比率(10.3%)が低い中、近年は女性総合職の積極採用を継続し、キャリアデザイン研修などを通じて女性活躍の必要性や役割認識を高めるとともに、持続的に活躍できる職場環境づくりやワーク・ライフ・バランス実現に向けた環境整備に努めています。さらに製造・技術系の女性総合職採用も積極的に進めています。
また、近年、国内マーケットの縮小を見据えた海外での事業展開を加速していることから、グローバル人材をはじめとした有為なキャリア人材の採用に注力した結果、現在は管理・総合職のうち3割以上がキャリア採用者となっています。
引き続き多様な人材を確保するために、「資源循環型事業を通して社会に貢献する」という経営理念を社員一人ひとりが常に認識し、得意分野を活かして活躍できるステージを給与処遇面の改善を含め整備しています。
一方、離職率(定年退職者を除く)は約3%前後の低水準で推移しており、会社と個人との「選び選ばれる関係」の基盤が構築されています。
※実績数値は当社単体で算出
○ 男性社員の育児参加推進を目的とした育児休暇や育児目的休暇制度の導入
育児休業制度については、女性の取得率が100%であるのに対し、男性の取得率が低迷(4.3%)していることから、2022年度に男性社員の育児参加促進を念頭に育児休業制度の大幅改定を行いました。男性が積極的に育児参加することで、職場全体が育児への理解を深めるとともに、育児を応援する職場環境の醸成に繋げたいと考え、時間単位や半日単位での取得が可能な有給の育児目的休暇制度を新設するなど環境整備に努めています。今後は、男性の育児休業取得率の向上とともに育児目的休暇取得率のさらなる向上に取り組んでいきます。
※実績数値は当社単体で算出
○ ハラスメント防止への取り組み
当社グループでは、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント等のすべてのハラスメント行為については、これを禁じ、見逃しません。問題発生時には、迅速に調査を行うとともに、被害者の救済と再発防止に向けた処置を取ることにしています。なお、ハラスメント防止策として、以下の取り組みを実施しています。
〈ハラスメント防止策〉
◇「コンプライアンス・マニュアル」に明記し、社内ポスター・携帯カード等で周知
◇ハラスメント防止ハンドブックの配布
◇コンプライアンス研修(年2回)
◇従業員意識調査の実施
◇相談ルートの体制整備(社内外にコンプライアンス相談窓口を設置)
○ 人権尊重への取り組み
当社グループは、自らの事業活動において影響を受けるすべての人びとの人権が尊重されなければならないことを理解し、人権尊重の取り組みをグループ全体で推進し、その責務を果たしていく指針として「共英製鋼グループ人権ポリシー」を定めています。
今後も継続的にグループ内での啓発、理解に向けた教育・研修を実施していきます。
○ 従業員エンゲージメント
社員一人ひとりの意欲を高め、組織としての力につなげていくことを狙いとして、2018年から従業員意識調査を実施しています。当該調査では「社員エンゲージメント」と「コンプライアンス」の二軸が測定され、よりよい組織づくりのために優先的に解決すべき課題の抽出に活用するとともに、重要な経営データとして活用しています。
今後も引き続き社員の声を真摯に受け止め、「働きがい」を持って取り組める職場環境整備に努めていきます。
b. 人材育成
当社の将来を支える「次世代の人材力」を高めるために、経営理念のもと挑戦を続けながら社会の発展に貢献し、一人ひとりがプロフェッショナルとして自律して行動する「共英人」の育成を目的として、特に人事評価制度や各種教育プログラムを通じて個々の人材力の最大化に取り組んでいます。
○ 人事評価制度
2021年4月に運用をスタートした人事評価制度ならびに処遇体系は、職能型と職務型のハイブリッド型とするとともに、目標設定と評価結果のフィードバック時の面談を通じて上司と社員間のコミュニケ―ションを高めることで、社員のモチベーションやエンゲージメントの向上を図り、公平で透明性が高く、変化の激しい時代においても、柔軟かつ強靭な組織構築が可能な制度・体系としました。
○ 各種教育プログラム
社員教育の充実を目的として、国内では語学教育に注力するなどグローバル人材の育成に取り組んでおり、2023年度より当社の将来を担う若手社員を6か月程度海外に派遣する海外トレーニー制度の運用を開始予定です。さらに、次世代経営幹部候補には、ビジネスリーダーに求められる戦略思考や行動変革につなげるため、外部の経営アカデミーに派遣し、他社人材との他流試合の機会を設けるなど、総合職層から管理職層に至るまで様々な教育機会を提供することにより、将来の経営人材を計画的に育成しています。
なお、2022年4月に人事総務部内に「人財開発室」を設置するとともに、同時に全社の教育拠点となる「研修センター」を新設しました。
人財開発室では、研修体系の再構築を行うとともに、特に製造現場の技術伝承や更なる技術力向上に向け、国内に止まらず海外拠点も含めた教育研修のグローバル化を目指し取り組んでいます。
その他、各研修には社長が登壇し、会社の課題や展望について直接語り掛けることで、社員のモチベーション向上やコミュニケーションの醸成に努めています。
c. 健康経営
○ 健康経営への取り組み
当社グループは、2021年4月に「健康宣言」を行い、社会の発展と地球環境との調和に貢献する「エッセンシャル・カンパニー」を目指すためには、企業の根幹である社員一人ひとりが心身ともに健康であることが何よりも重要であると考え、以下の取り組みを推進しています。
◇社員の健康課題の把握と必要な対策の実施(35歳以上の従業員・配偶者には人間ドックの受診を奨励・費用支援)
◇産業医や協会けんぽと連携した健康保持・増進策の実施(保健指導など)
◇健康の保持・増進をテーマとした健康セミナーの実施
◇健康管理アプリを活用した生活習慣の見直しと健康チャレンジ活動の実施
◇有給休暇の取得推進や時間外労働の削減 など
これらの取り組みを評価いただき、2023年3月には、2年連続で経済産業省/日本健康会議による「健康経営優良法人2023」に認定されました。
さらに、事務所棟や厚生棟の更新や研修センターの新設(2022年度における設備投資235百万円)、福利厚生制度の充実などに取り組むことで、働く社員にとって快適で魅力ある職場環境整備に努めており、2023年3月には、福利厚生の充実・活用に取り組む法人を表彰・認証する制度「ハタラクエール」において3年連続で「福利厚生推進法人」に認証されました。
○ 長時間労働の抑止、メンタルヘルスケアの取り組み
労働時間管理アラームシステムの導入による時間外労働の削減や長時間労働の抑止に努めるとともに、万一メンタルヘルス不調により休業した場合のメンタルヘルスケア(外部EAP機関と連携したリワークプログラムの構築など)等の体制整備を行い、働きやすい職場環境づくりに努めています。
d. 安全
当社グループでは、生産活動のすべてのプロセスにおいて社員の安全が最優先であると考えています。グループ全体を横断した中央安全衛生委員会を設置し、安全衛生に関する活動の巡視、課題の解決を行い、安全感度向上を図っています。
電炉工場の作業環境は製造業の中でも厳しく、リスクを伴う作業もあり、今後の事業継続の観点からも作業環境整備は重要な経営課題です。社員の安全を守り、安心して働ける環境づくりを目指し、製鋼工場にロボットを導入するなどこれまで手作業で行っていた炉前作業の一部を自動化しました。これにより、炉前作業の完全無人化に向け大きく前進しました。引き続き危険作業の撲滅を目指していきます。
また、VR(仮想現実)技術を利用して、転倒や感電、挟まれなどに繋がる危険行為をまるで現実であるかのように体感することで、安全感度の向上を図るなど、事故の防止について考える機会を設けています。
④ 指標と目標
当社では人的資本に係る取り組みにおいて、ダイバーシティ&インクルージョン、人材育成、健康経営および安全を4つの柱としており、具体的には中期経営計画(「NeXuS 2023」)等において、以下の指標・目標を掲げて取り組んでいます。
a. 中期経営計画(「NeXuS 2023」)等において公表している指標・目標と実績
| 目標 | 実績 | |||
目標値 | 達成年度 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
女性総合職比率(%) | 11.0 | 2023年 | 8.7 | 10.2 | 12.0 |
女性管理職比率(%) | 3.0 | 2026年 | 1.9 | 2.8 | 3.5 |
有給休暇取得率(%) | 80.0 | 2023年 | 65.5 | 70.4 | 74.7 |
健康経営優良法人 | 認定 | 2023年 | - | - | 認定 |
労働災害(度数率) (注)4 | 0.00 | 2023年 | 0.00 | 1.19 | 1.62 |
(注)1 特に記載がない限り、当社単体の数値を記載しています。
2 総合職には管理職を含みます。
3 女性総合職比率および女性管理職比率については、事業年度終了の日の翌日を基準日として算定しています。
4 当社と関東スチールを合算した数値を記載しています。
5 度数率は100万延べ労働時間当たりの労働災害による死傷者数(災害発生の頻度)です。
また、人的資本に係るその他の取り組みを以下の比率等でモニタリングしています。
b. その他の人的資本に係る取り組み実績
| 2020年 | 2021年 | 2022年 |
管理職に占める中途採用者の比率(%) | 49.1 | 49.5 | 52.6 |
障がい者雇用率(%) | 1.5 | 2.1 | 2.6 |
1人当たり教育研修費(千円) | 61 | 77 | 99 |
(注)上記の数値は全て当社単体の数値を記載しています。
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