企業免疫生物研究所東証グロース:4570】「医薬品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループは、製品開発型のバイオベンチャー企業として、当社グループ独自の技術による他社との差別化を図るために、経営資源を体外診断用医薬品関連へ積極的に投資しております。当連結会計年度における研究開発費は、抗体関連事業において、129,983千円であります。研究開発活動の内容等は次のとおりであります。

 研究開発活動

①診断・試薬サービス

 当サービスでは、今までに研究用試薬として販売していたELISA測定キットのうち、診断に向け測定価値の認められるものを体外診断用医薬品原料や体外診断用医薬品登録に向けて開発を行ってまいります。既に国内外での登録を視野に入れ、海外他社との連携も開始しており、今後、生産量に応じた収益を見込んでまいります。

 イ  学校法人埼玉医科大学が所有する、難聴・めまいの原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(cochlintomo-protein)」に関する発明を元に、体外診断用医薬品としての薬事申請・販売の権利を株式会社コスミックコーポレーションに譲渡しました。その後、2020年6月に体外診断用医薬品承認され、さらに、2022年7月1日付で、外リンパ瘻を疑う患者に対して、診断の補助を目的として保険収載(保険点数:460点)されました(2022年8月3日発表)。当社は本品の製造を担当いたします。
外リンパ瘻患者は突発性難聴やメニエール病などの症候学的に診断されている疾患に潜伏していることも多く、似通った症候を示す外リンパ瘻が見落とされるケースが発生しております。その患者数は正確には算出されておりませんが、潜在的に外リンパ瘻患者が含まれていると考えられる、めまいなどの有訴者数は約400万人にものぼると算出されており、外リンパ瘻の疑われる患者に対して本CTP ELISA「コスミック」を用いることにより正確な診断が可能になることが期待されます。
さらに、当社は、学校法人埼玉医科大学と簡便性・迅速性に優れたイムノクロマト法によるCTP測定試薬の開発を共同で行っております。

 ロ  グルカゴンは、膵臓のランゲルハンス島のα細胞から分泌されるホルモンで、血糖調節因子として知られておりますが、ELISA法による測定は類似ペプチドの交叉による影響を受けやすく、正確な測定が難しいとされてきました。両断端に特異的な2抗体を用いた膵グルカゴン特異的測定系の開発により、血中グルカゴン濃度の正確な評価が可能となり、今後、糖尿病の病態や病気を診断するための独立した新しい指標となる可能性が示唆されています。
当社は、群馬大学と共同で、血清中グルカゴン値を測定する体外診断用医薬品として、2025年3月期の承認申請に向けて研究開発を行っております。

 ハ  神経筋疾患患者の尿中に存在するタイチンというタンパク質に対するELISA測定キットを開発し、神経筋疾患の病気診断・病態のモニタリングマーカーとして、2025年3月期の販売承認申請を目指し、研究開発を行ってまいります。また、販売承認の申請までの間、研究用試薬として販売をするために、認定検査試薬としての確認申請を行い、承認されましたので、認定検査試薬として販売を開始しております。タイチンは神経筋疾患のみならず、老化に伴うサルコペニア、フレイル等の疾患との関係も示唆されており、対象疾患の広がりが期待されています。

 ニ  赤痢アメーバ症は赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)という寄生性の原虫が原因となって引き起こされる病気で、日本国内において、2012年以降、感染症法に基づく報告数は900例を超えてきており、増加傾向にあります。
そこで当社は、簡便な血液検査で赤痢アメーバ感染の有無をチェックできる体外診断用医薬品の開発を行っておりましたが、体外診断用医薬品(製品名:赤痢アメーバ抗体 ELISA-IBL)の製造販売承認を取得いたしました。現在、保険適用に向けて準備をしており、保険適用後、販売を開始致します。

 ホ  シスメックス株式会社との業務提携により、両社の診断薬開発技術の相互利用を進めることで、より独創的で高品質な製品を開発し全世界に向けて提供することを目指しております。本業務提携によりIBLは、自社の特長ある抗体ライブラリをシスメックスのHISCLをはじめとする測定プラットフォーム向けに最適化し、診断薬原材料として供給することが可能になります。またIBLの強みである抗体開発技術を活かしてグローバル市場の様々な診断ニーズに対応した抗体を開発し、シスメックスへの供給を通じて診断薬市場向け事業を拡大します。
現在、数品目の診断薬原料候補の抗体やたんぱく質の共同開発を行っております。詳細につきましては、守秘義務があるため、開示しておりません。

②検査サービス

 当サービスは、秋田解析センターにおける「LipoSEARCH」を主とした研究検査と登録衛生検査所「IBL解析センター」による検査で構成されております。

 秋田解析センターでは、生活習慣病領域での創薬・研究支援に加え予防・診断支援などに特化した事業を行っております。特に、世界で唯一の高感度ゲルろ過高速液体クロマトグラフィーを用いた血中リポタンパク質詳細プロファイリングサービス「LipoSEARCH」は、最先端のリポタンパク質解析技術として、当領域の専門研究機関・製薬企業・食品企業における研究・開発及び創薬支援として広く利用されております。

 本「LipoSEARCH」は、血中の各リポタンパク質の粒子サイズにより分画した波形データ(クロマトグラム)と、各分画におけるコレステロール量と中性脂肪量を提供する事により、病態や薬剤投与の影響によるリポタンパク質プロファイルの全体的かつ詳細な変化をとらえることができます。

 さらに、伴侶動物(ペット)向けの脂質代謝関連疾患検査サービス「LipoTEST」を動物病院の獣医師を経由して飼い主様に提供しております。

 また、IBL解析センターでは、診断試薬サービスで開発された独自のELISA測定キットを用いた研究検査の受託測定を実施しており、生活習慣病関連疾患や老化関連疾患領域での総合的な支援を推進しております。

 このように、当社グループはヒトから伴侶動物に至るまで、豊富な研究ネットワークを有して、総合的な支援を通じた医療貢献を目指しております。

③TGカイコサービス

 遺伝子組換え手法によりカイコの繭に生産させた各種抗体等のタンパク質の販売を行っております。また、株式会社ニッピとの共同研究により、iPS細胞等の培養足場材として有効であるラミニン511-E8の生産にも成功し、研究用試薬としての販売も実現しております。遺伝子組換えカイコで生産したラミニン511-E8(iMatrix-511 silk)は、機能および価格的優位性から、多くの研究者の皆様に利用いただいております。また、化粧品原料「ネオシルク®-ヒト型コラーゲンⅠ」につきましても、美容機器製品等の開発に成功したイタリア法人の303 Pharma との間でOEM契約を締結し、同社の自社ブランド製品として提供してまいります。

 また、当サービスにおいては、ヒト感染性の病原体を持たないカイコを用い、組換え型の血漿フィブロネクチン(Fibronectin Neosilk®,Plasma)と細胞性フィブロネクチン(Fibronectin Neosilk®, Cellular)の生産技術を開発し、研究用試薬として販売を開始しました。

 フィブロネクチンは、代表的な細胞外マトリックスタンパク質の一つであり、細胞の接着・伸展、移動、増殖および分化等を制御することから、間葉系幹細胞をはじめとする各種培養細胞の足場材として再生医療領域での研究等に使用可能です。また、本製品は、遺伝子組換えカイコの繭から精製するために動物由来成分の混入が無い、いわゆるXeno-freeであることから、安全性の高い製品としても期待されています。

(注)用語解説については、「第4提出会社の状況  4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。

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