倉敷紡績 【東証プライム:3106】「繊維製品」 へ投稿
企業概要
当社グループ(当社及び連結子会社)は、新素材及び新製品の開発等を中心とした研究開発活動を行っております。
研究開発は、当社の技術研究所を中心に実施しており、研究スタッフは、グループ全体で99名であります。
当連結会計年度の研究開発費は1,932百万円であり、各セグメント別の研究の目的、主要課題及び研究成果は、次のとおりであります。
(1)繊維事業
繊維事業部では、テキスタイルイノベーションセンターを中心に、社会課題を解決するためのデジタル技術の応用や、紡織技術や加工技術など繊維製造技術を生かしたサステナブル商品の開発を行っております。
当連結会計年度は、繊維製品とAI・IoT技術の融合として研究開発に取り組んできた暑熱環境下におけるリスク低減管理システム(スマートフィット)については、顧客の要望の高かったスマートフォン不要のウォッチ型デバイスの追加機能開発に取り組みました。また、アルゴリズムの精度向上とユーザビリティの向上にも引き続き取り組み、新しく、職場環境の改善を支援する安全衛生ソリューションの開発も開始しました。
次に、サステナブルな取り組みの推進として、廃棄している裁断屑を再度原料にし、衣料を製造するシステム(L∞PLUS:ループラス)の開発の推進は、裁断屑の再利用で取り組みが拡大しておりますが、それに加えて回収衣料の再利用への展開、国内産地における端材の活用や地方自治体との衣料回収等の取組みも進めました。
また、サステナブル原料であるコットンに、グラフト重合技術を活用して、原料段階で機能を付与する商品(NaTech:ネイテック)の開発については、生産ラインの生産性向上も進み、更なる機能開発も引き続き行いました。
当事業に係る研究開発費は213百万円であります。
(2)化成品事業
精密製品、機能フィルム、住宅建材及び高機能複合材料の商品開発を行っております。
当連結会計年度は、精密製品分野では、半導体分野向け商品の生産技術向上、高性能化に取り組みました。機能フィルム分野では、太陽電池・半導体・電子部品用途での新規機能性付与や生産技術の開発に取り組みました。住宅建材分野では、不燃無機材料による造形材用途の開発や現場吹付ウレタンフォームの厚み計測システムの開発に取り組みました。また、熱可塑性炭素繊維複合シート(クラパワーシート)の生産技術、加工技術の開発に引き続き取り組みました。
当事業に係る研究開発費は484百万円であります。
(3)環境メカトロニクス事業
(エレクトロニクス分野)
画像処理技術及び情報処理技術を活用したインフラ保全システム、ロボットビジョンシステム、マシンビジョンシステム、また光応用計測技術を用いた半導体洗浄システムや膜厚計測システムについて、これら各種システムの市場調査・研究開発・商品開発を行っております。当連結会計年度は、鉄道会社と共同で、電車の軌道を構成する材料の計測を高速走行中に行う国内初のシステム「軌道材料モニタリングシステム」を開発しました。今後は実用化に向けた検証及びさらなる精度向上を行います。また従来の3Dビジョンセンサ(クラセンス)の高精度版を開発し、それを搭載した各種ロボットシステム製品を開発しました。その他、半導体洗浄プロセス向けリン酸循環システムのラインナップを拡充しました。
(エンジニアリング分野)
排ガス、排水の浄化システムや廃プラスチックや古紙を由来とするRPF燃料や未利用廃棄物を使用したボイラ・燃焼装置の開発を行っています。また、バイオマス発電の発電効率の向上と自動化制御に関する研究開発を行っています。当連結会計年度は、敷料再生装置(FUNTO)の装置改良と省エネルギー化並びに遠隔監視システムの検討・導入を行いました。徳島バイオマス発電所における発電効率の向上と自動制御化による安定運転を図るため、技術研究所と共同でボイラ・タービン等の運転データの収集と分析を継続して行っています。収集したデータを用いてボイラ内の燃焼やタービン等の解析を行い、燃焼の最適化と発電効率を向上させる取り組みにより、自動制御化を検討しています。また、新たに燃焼灰が溶融し塊となることを抑制するため、燃焼解析を行いました。
(バイオメディカル分野)
遺伝子検査や解析に用いるサンプルを各種生体試料から分離するシステムやプロトコルに関する研究開発を行っております。その核酸自動分離システム(QuickGene)の新装置の開発を進めています。核酸自動分離システムは、細胞溶解液からDNAやRNAを回収するもので、吸着媒体として多孔質メンブレンを使用している点が特長です。当連結会計年度は、一度に96サンプル処理が可能な大型装置(QuickGene-96prep)の開発を進めており、血液センターや検査センターでの需要を見込んでいます。また、技術研究所にて開発した細胞RNA/ウイルス抽出キット(QuickGene AS-RCV)の販売を開始しました。細胞数の少ない検体からのRNA抽出や、唾液や鼻咽頭からのウイルスRNA抽出に対応いたします。
(工作機械分野)
工作機械分野は倉敷機械㈱が開発を進めておりましたが、当連結会計年度において、同社の全株式を譲
渡したため、同社及びその子会社を連結の範囲から除外しております。
当事業に係る研究開発費は156百万円であります。
(4)食品・サービス事業
真空凍結乾燥技術による乾燥加工食品の研究開発を行っております。当連結会計年度では「脱フロン」、「低炭素社会」の早期実現に向けて冷凍設備の自然冷媒化を進めるとともに、「乾燥状態の見える化技術」を開発いたしました。本技術によりエネルギー消費量を削減・抑制を達成し収益性改善、価格競争力強化に貢献しております。
当事業に係る研究開発費は66百万円であります。
(5)その他(全社研究開発)
当社グループの研究開発組織である技術研究所は、「数理科学」、「情報工学」、「物理科学」、「光電工学」、「物質科学」、「生命科学」の6つの分野をコア技術領域と定めて研究活動を行っております。これらのコア技術を深耕・活用することにより、成長・注力事業の競争力を強化する活動と、社会課題の解決や環境に配慮した技術の創出に取り組みました。また、当社グループの成長・注力分野では、ロボット産業用のセンシングデバイスを開発する「ロボットセンシング」、半導体産業向けに取り組んでいる薬液計測・制御と新たな洗浄手法を開発する「セミコンソリューション」、革新的な核酸抽出手法や高度遺伝子解析でバイオメディカルの分野へ貢献できる製品を開発する「ライフサイエンス」、各種樹脂と強化繊維の複合素材やスーパーエンプラフィルムを応用した新規素材を開発する「マテリアルソリューション」、の4つのプロジェクトを推進しました。さらに、繊維分野ではNaTech事業の拡大を図るために、電子線グラフト重合を活用した原綿改質の技術開発と、環境に配慮したサステナブル染色技術の調査に取り組みました。
全社研究開発に係る研究開発費は1,010百万円であります。
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