倉敷紡績 【東証プライム:3106】「繊維製品」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
①基本方針
当社グループは、経営理念「私たちクラボウグループは、新しい価値の創造を通じてより良い未来社会づくりに貢献します。」のもと、ESG経営を推進し、当社グループが株主及び取引先をはじめとするステークホルダーから存在価値を評価され、信頼感が持てる企業、安心感を与える企業として支持されることを目指します。
また、社会的責任遂行のための行動指針「クラボウグループ倫理綱領」に則り、地球環境の保全をはじめとするサステナブルな社会の実現に貢献するとともに、豊かで健康的な生活環境づくりを目指して、独創的で真に価値のある商品・情報・サービスを提供し、グループの企業価値を高めてまいります。
②中期経営計画
当社グループは、2022年4月よりスタートした、2024年度を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画「Progress'24」を実行中です。「Progress'24」では、基本方針を「高収益事業の拡大と持続可能な成長に向けた基盤事業の強化」、重点施策を①成長・注力事業の業容拡大と基盤事業の収益力強化、②R&D活動の強化による新規事業創出と早期収益化、③SDGs達成への貢献、④多様な人材の活躍推進の4点とし、変化の激しい経営環境にあっても、持続的に企業価値を高めていくための最適な事業ポートフォリオを構築してまいります。また、グループガバナンスを強化するとともに、社会課題の解決に取り組むなどサステナビリティを意識した経営を進めてまいります。
その目標数値は、以下のとおりです。
指 標 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
売上高 | 1,450億円 | 1,520億円 | 1,600億円 |
営業利益 | 70億円 | 85億円 | 96億円 |
R O E | 5.5% | 6.3% | 7.0% |
R O A | 4.1% | 4.8% | 5.3% |
R O I C | 4.3% | 5.1% | 5.6% |
(注)ROE:自己資本当期純利益率、ROA:総資産営業利益率、ROIC:投下資本利益率
(2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の経済情勢につきましては、賃金・物価の循環的上昇により緩やかに成長するものと思われますが、外需面では中国経済の低迷や中東情勢の緊迫化による物流や資源価格への影響などが懸念されます。
当社グループでは、「イノベーションと高収益を生み出す強い企業グループ」を目指す「長期ビジョン2030」のセカンドステージにあたる中期経営計画「Progress'24」が進行中であり、高収益事業体制の確立に向けて、成長市場に向けた注力事業へ経営資源を集中するとともに、基盤事業の収益力強化に取り組んでおります。
このような経営環境のなかで、賃金や物流コストの上昇や原燃料価格の変動リスクへの対応が、継続的な課題であり、引き続き、価格転嫁やコストダウンを進めてまいります。
また、当社グループは、創業以来サステナブル経営を実践してきており、地球環境や社会情勢、価値観などが激変するなか、今後も新規技術やイノベーションで社会課題の解決に貢献していくことが当社グループの成長のキーファクターになると考えています。これらを踏まえ、サステナブル経営を重要な経営戦略の一つと捉え、マテリアリティ(重要課題)を特定し、課題の解決に取り組んでいます。さらに、気候変動については、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明し、同提言に基づく気候変動への取組みも推進しています。
当社グループは、引き続き、サステナブル経営を推進し、持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する取組みの詳細やTCFDの枠組みに基づく開示は、以下の当社ホームページに掲載しています。
当社グループのサステナビリティ https://www.kurabo.co.jp/sustainability/
クラボウ統合報告書 https://www.kurabo.co.jp/sustainability/report.html
セグメントごとの経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は、以下のとおりであります。
①繊維事業
(経営環境)
繊維事業では、紡績、織布、染色整理加工、縫製における独自の技術を生かし、綿を中心とした天然繊維をベースに高機能・高感度な糸、テキスタイル、繊維製品に関する事業を展開しています。繊維業界を取り巻く環境は、海外製品との価格競争の激化や衣料品需要の低迷に加え、原燃料価格や為替の大幅な変動などきびしい状況が続いていますが、一方で高機能繊維製品やサステナビリティを訴求した素材への需要が増加しています。
当社は収益向上を目指して、独自技術を生かした新商品・サービスの開発を進めるとともに、生産の効率化を目指してAI・IoTを活用したスマート工場実現に向けた取組みに注力するなど、新しい価値を提供するビジネスモデルへの変革を推進しています。
(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
糸では、原料改質技術を活用した高機能製品「NaTech(ネイテック)」の開発推進と販売拡大、テキスタイル及び繊維製品では、ユニフォーム分野においては、「PROBAN(プロバン)」、「BREVANO(ブレバノ)」等の防炎素材や、暑熱環境下におけるリスク低減の管理システム「Smartfit(スマートフィット)」など、働く人へ安全と快適を提供するビジネスへの転換を進め、カジュアル分野においては、サステナブル原料を活用した商品展開や、アップサイクルシステム「L∞PLUS(ループラス)」を活用した製品の拡販等に取り組んでまいります。これらの取組みにより、各分野でサステナブル社会の実現に貢献できる商品・技術の開発、販売を行うとともに、原燃料価格の高騰に対しては製品価格への転嫁に加え、生産の効率化を進め、収益拡大に努めてまいります。
また、さらなる収益力の強化に向けて、海外拠点におけるQR対応力強化による効率的な適地生産や高機能製品の海外市場への拡販等に努めてまいります。
②化成品事業
(経営環境)
化成品事業では、自動車をはじめフィルム、半導体、建材、産業資材など様々な業界に幅広く、汎用から高機能にわたる合成樹脂を中心とした製品事業を展開しており、顧客に密着した商品開発・営業により、顧客ニーズに迅速かつ、きめ細かく対応できる体制を構築しています。それぞれの分野において処方開発、成形技術やSDGsを意識した商品開発など、開発体制の一層の強化と、生産技術の向上による業容の拡大に注力しています。
なお、原燃料価格の変動や、半導体市況の回復状況により事業に影響を及ぼすことが懸念されます。
(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
高機能樹脂加工品、機能フィルム、機能資材、不織布を成長・注力事業と位置付け、経営資源を集中して業容拡大に取り組んでまいります。なかでも高機能樹脂加工品では、半導体市場の今後の更なる拡大に向け、積極的な設備投資による生産能力増強を図り、機能フィルムでは三重工場に新たに導入した新ラインを活用した拡販、機能資材では今後の市場拡大が見込まれる熱可塑性炭素繊維複合シート「KURAPOWER SHEET(クラパワーシート)」の早期事業化に向けたマーケティング活動と技術開発に注力してまいります。
基盤事業と位置付けている軟質ウレタン、住宅用建材では、安定した収益確保に向けて生産体制の効率化に取り組むとともに、新商品開発・新市場開拓にも取り組んでまいります。
また、原燃料価格や労務費、物流費の高騰に対しては、引き続き製品価格への転嫁に注力してまいります。
③環境メカトロニクス事業
(経営環境)
環境メカトロニクス事業では、エレクトロニクスは半導体回路基板、フィルムなど幅広い業界へ向けた検査・計測・制御システム等を開発・販売しています。画像処理及び情報処理を基盤技術として深化させ、当社独自技術を生かした最先端の検査・計測システムや、電子部品等の生産ラインの自動化を推進するFA設備は、多岐にわたる業界の生産現場で顧客企業の品質、生産性の向上に貢献しています。
エンジニアリングでは、環境関連プラントのエンジニアリング工事やバイオマス発電所の運営等を行っています。
バイオメディカルでは遺伝子抽出・解析及び各種検査試薬キットの販売を行っています。
(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
エレクトロニクスでは、商品力強化による競争優位性の獲得、海外市場への拡販に努め、新技術であるロボットビジョンシステム「KURASENSE(クラセンス)」の商品開発力の強化や、路面検査装置のアジアをはじめとした海外市場への拡販、半導体関連の検査・計測ビジネスの拡大を図ってまいります。
エンジニアリングでは、敷料再生装置「FUNTO(フント)」など環境関連の新規事業の拡大及び海外市場への拡販に努めてまいります。
バイオメディカルでは、遺伝子抽出・解析関連での業容拡大に加え、撹拌脱泡装置「MAZERUSTAR(マゼルスター)」の美容・化粧品、エネルギーなど新分野への販促活動及び海外市場への拡販に取り組んでまいります。
④食品・サービス事業
(経営環境)
食品・サービス事業では、フリーズドライ食品の製造・販売やホテル等の運営を行っています。
食品事業が属するフリーズドライ業界では、内食需要の更なる低下に加え、小売り価格の値上げを背景とした消費者の節約志向の高まりが懸念されます。
ホテル関連では、宿泊が新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行に伴う観光客増加の効果や、インバウンド需要の回復などにより、好調に推移していることに加え、宴会やレストランなども回復傾向にあり、コロナ禍以前の状況に戻りつつあります。
(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
食品事業では、消費者の節約志向に対応すべく、安価でありながら付加価値の高い商品の開発・提案にも注力し、顧客満足度の向上に努めてまいります。また、環境面に配慮した事業活動も積極的に進めてまいります。
ホテル関連では、インバウンド需要を取り込むための販促活動を強化するとともに、魅力的な商品・サービスの開発・提供などによる集客力の強化を図ってまいります。
⑤不動産事業
(経営環境)
不動産事業では、工場跡地等の遊休資産の有効活用による長期安定収益の確保を目指し、オフィスや商業施設、大規模メガソーラー用地等の不動産賃貸を展開しています。
賃貸事業の主力である大型商業施設では、ネット通販やドラッグストアとの競争激化などにより、賃貸先の経営環境に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
大型商業施設賃貸事業では、賃貸先の経営環境を注視しながら、効率的な事業推進を行い、引き続き、長期安定収益の維持・確保に努めてまいります。
また、遊休地の再開発等による早期収益化についても、取り組んでまいります。
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