企業兼大株主京セラ東証プライム:6971】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社は、各部門での新技術開発、新製品開発に取り組むと同時に、5G、IoT、ADAS、エネルギーマネジメント、デジタルヘルスケア等の普及に伴う事業機会の獲得に向け、社内外の連携強化に取り組んでいます。ソフトウェア・システム開発を行う「みなとみらいリサーチセンター」や、材料技術開発部門を集約した新研究棟の設立等、グループを横断した研究開発ネットワークの構築に加え、オープンイノベーション等、社外リソースの活用を推進しています。

 また、M&Aを通じた開発強化にも取り組んでいます。当連結会計年度には、窒化ガリウム技術の商用化においてリーディングカンパニーである米国Soraa Laser Diode, Inc.を買収しました。同社のデバイスと、当社の幅広いシステム及びソリューション技術を組み合わせた垂直統合戦略により、各種システムの開発を進め、車載や通信、医療分野等、幅広い市場へ同技術の応用展開を図ります。

 さらに、翌連結会計年度より実施する組織再編を通じ、開発の一層のスピードアップを図ります。既存組織の枠を越え、部品や機器、システム等の社内に有する豊富な経営資源を、より効率的かつ効果的に活用する考えです。

  各レポーティングセグメントにおける主な活動は次のとおりです。

(1)産業・自動車用部品

 当レポーティングセグメントでは、主に産業機械や自動車関連市場向けに各種製品の研究開発を行っています。

 創業以来培ってきたファインセラミックスの材料・プロセス・設計技術をさらに高める基礎研究に取り組むとともに、これらのコア技術を活かし、幅広い市場向けに新製品の開発を進めています。今後も拡大が見込まれる半導体製造装置市場向けには、微細配線、三次元構造等、高集積化の進む次世代装置に向けた部品や材料開発に取り組むとともに、高温対応を可能にする優れた熱伝導性や機械特性を持つ窒化物セラミックスの開発を、グループ内だけでなく、外部の企業と共同で実施する等、社外リソースも積極的に活用しています。

  また、ファインセラミック技術を活かし、環境・エネルギー市場で新たなクリーンエネルギー供給システムとして普及が期待される、SOFC向けセルスタックの高効率化の開発を強化しています。

  ADAS等の進展に伴い事業機会の拡大が見込まれる自動車関連市場向けには、高度な画像センシング技術の実現に向けて、車載カメラ等の付加価値製品の開発を進めています。また、同市場向けにヘッドアップディスプレイの開発に取り組むとともに、各種産業市場向けに高輝度等、差別化したTFT液晶ディスプレイや、TFT成膜技術を応用した商品の開発を行っています。

 産業機械や建築市場への事業領域の拡大に取り組んでいる機械工具事業においては、主に自動車やエネルギー・インフラ、航空機分野等の幅広い市場での金属加工等に使用される切削工具の材料技術を強化しています。ユーザーの生産性向上に寄与する高品質・高精度な製品開発に取り組むと同時に、京セラグループが有する多様な技術の活用による空圧・電動工具の新製品開発を推進しています。

(2)半導体関連部品

 スマートフォンやタブレット端末等のデジタルコンシューマ機器市場においては、機器の高機能化と同時に小型・薄型化のニーズが高まっています。これに伴い、機器に搭載される電子部品の小型化や半導体の微細化が進んでいます。また、情報通信ネットワーク市場においてはIoTの進展も加わり、5G向けの高速かつ大容量の通信インフラの構築が、自動車関連市場においてはADASの進展による電装化や低消費電力化への一層の対応が求められています。さらに、これらの主要市場については、各種センサーの需要が増加しています。このような市場動向に対応し事業拡大を図るため、当社は独自の材料、設計、加工技術を活かし、付加価値の高い新製品の開発に努めています。

 セラミックパッケージ事業においては、微細配線が可能で、かつ高強度、高剛性の超小型・薄型の電子デバイス用及びセンサー用パッケージや、5G等、より高い周波数に対応する光通信用パッケージ、放熱性や高い耐久性を有するLED用パッケージ等の開発に取り組んでいます。ケミカル事業では、情報通信市場や自動車関連市場向けに絶縁信頼性等の電気特性の向上に加え、熱硬化・光反応性や形状・応力安定性等の高機能化への要求に対応する新規材料の合成や新たな材料配合技術等の開発を強化しています。

 有機パッケージ事業においては、各市場のニーズに対応したフリップチップパッケージやモジュール基板の開発に取り組んでいます。情報通信ネットワーク市場向けには、データ伝送の高速大容量化対応として、高速信号・広帯域メモリー接続に適した狭ピッチかつ薄型・高精細な製品開発を、ADAS向けには小型で信頼性の高い製品の開発を中心に取り組んでいます。

(3)電子デバイス

  5GやIoT関連製品の普及に伴い、スマートフォンをはじめとする通信端末や基地局の高機能化に加え、マルチバンド化により、部品の小型化と高信頼性が要求されています。当社は、これらの市場要求に応える小型高容量で温度や湿度への信頼性を高めたセラミックコンデンサや小型低損失かつ高信頼性のSAWデバイス、小型高特性の水晶部品や狭ピッチ・低背で高速伝送を可能にするコネクタ、高効率なアンテナ等の開発を進めています。

 自動車や産業機器市場向けには、高温信頼性や耐圧性を高めたセラミックコンデンサやコネクタ、ディスクリート及びパワーモジュールを含むパワー半導体に加え、各種制御部品等の開発を行っています。前連結会計年度に完全子会社化したAVX Corporationとの連携強化によるこれら部品の一層の特性向上に加え、各部品を組み合わせた高付加価値モジュールの開発を図ります。

 また、主に商業印刷市場向けに展開しているインクジェットプリントヘッドでは、デジタル印刷で要求される高速化、高画質化に加え、耐久性を高めた製品開発に取り組んでいます。

(4)コミュニケーション

 通信機器事業については、コンシューマ市場に加え、教育学習支援業や建設業等、様々な業界向けに、防水、防塵、耐衝撃性等の独自機能を活用した5G対応端末やタブレット端末等の開発を強化しています。

 情報通信サービス事業においては、多様な端末やネットワークから集まるデータの収集・管理・活用を行うプラットフォームや、セキュリティソフトの開発等、DXの推進による顧客ニーズの複雑化・高度化への対応を進めています。また、企業等のビジネス分野で利用が拡大するAIの分野についても、サービス開発を強化しています。

 さらに、当社が有している部品や端末、システム技術、並びに通信端末事業で培った無線通信技術を活かし、ADASや自動運転システムの高まりに伴い需要の増加が期待される車載用通信機器やV2I路側機等の開発に取り組んでいます。加えて、専用ネットワークシステムを構築して取り組むローカル5Gシステム等のソリューション事業を、外部機関との連携も含め積極的に進めています。

(5)ドキュメントソリューション

 当レポーティングセグメントでは、当社製品の特長である環境性と経済性に優れた製品の開発を進め、競合他社との差別化を図っています。

 プリンター及び複合機等のオフィス向け製品については、長寿命な機器及び、廃棄を極少に抑えた消耗部品の開発により、低ランニングコストと高い環境性能を両立しています。さらに、高品質なトナー開発にも取り組み、付加価値の向上に努めています。商業用インクジェット事業では、印刷市場に新しい価値を提供できるよう、高画質・高生産・高耐久と同時に、多品種大量印刷ニーズの増加に伴うバリアブル印刷やカスタマイズ印刷に対応した製品の開発に取り組んでいます。

  ドキュメントソリューションサービス関連では、モバイル機器やクラウド環境、並びに顧客が所有するドキュメント管理システムとの連携によって、情報共有や業務効率に貢献するアプリケーションソフトウェア等の開発を進めています。また、企業内の情報を電子化し、包括的かつ効率的に管理・運用するECM事業をさらに強化し、既存事業との融合による新サービスの開発に取り組んでいます。

(6)生活・環境

 スマートエナジー事業においては、売電から自家消費へと、電力使用のニーズの変化への対応に向けて、高性能製品の開発及び、エネルギーを効率よく使用するためのシステム開発に努めています。製品開発においては、結晶シリコン系太陽電池モジュールの変換効率等の性能や品質の向上に取り組むと共に、高安全性で長寿命、低コストの蓄電池や、小型・高効率発電のSOFCの開発に注力しています。また、これらの電池で蓄えた電気を効率よく活用するためのエネルギーマネジメントシステムの開発にも取り組んでいます。さらに、電力自由化に伴うデマンドレスポンスやVPP市場での事業拡大に向けた技術開発にも取り組み、トータルエネルギーソリューションビジネスの構築に向けて、事業領域の拡大に努めています。

 医療機器事業では、主に人工関節や人工歯根を展開しており、患者様のQOL(生活の質)の向上に貢献できる製品開発を進めています。具体的には、人工関節の摩耗を抑え長寿命化を実現する表面処理技術や、抗菌性を高める技術を付与した製品開発に取り組んでいます。さらに、これら技術の他分野での展開に向けて、社外の研究機関とも連携して研究開発を進めています。また、当社は再生医療事業の拡大に向けて、豪州Regeneus社と細胞製剤に関する技術提携並びにライセンス契約を締結する等、新規医療分野への取り組みを積極的に推進しています。

レポーティングセグメント別研究開発費

 

 

(百万円)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率(%)

 

産業・自動車用部品

14,367

12,424

△13.5

 

半導体関連部品

4,486

4,799

7.0

 

電子デバイス

16,445

19,180

16.6

 

部品事業計

35,298

36,403

3.1

 

コミュニケーション

6,550

7,185

9.7

 

ドキュメントソリューション

21,615

18,166

△16.0

 

生活・環境

9,049

8,112

△10.4

 

機器・システム事業計

37,214

33,463

△10.1

 

その他

6,729

5,591

△16.9

 

研究開発費

79,241

75,457

△4.8

 

売上高比率

5.0%

4.9%

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