九州電力 【東証プライム:9508】「電気・ガス業」 へ投稿
企業概要
当社グループは、「ずっと先まで、明るくしたい。」をブランド・メッセージとする「九電グループの思い」のもと、「低廉で良質なエネルギーをお客さまにお届けすることを通じて、お客さまや地域社会の生活や経済活動を支える」ことを使命に、事業活動を進めている。
1 経営環境 |
世界情勢の不安定化に伴い燃料価格のボラティリティが高まる一方で、データセンターや半導体関連産業による電力需要の増加が見込まれるなど、人々の生活や社会経済活動を支える電力を低廉かつ安定的に供給することの重要性がこれまで以上に高まっている。
また、世界的な脱炭素の潮流のなかで、当社グループは、日本政府の方針である「2050年カーボンニュートラル」や「2030年温室効果ガス排出削減目標」の達成に向け、エネルギー事業者としての積極的な貢献が期待されている。
さらに、ビジネスモデルや業務プロセスの抜本的変革に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や、企業の価値創出の原動力としての人的資本経営の重要性がより一層高まるなど、現在の経営環境は大きな転換期にある。
2 中長期的な経営戦略 |
当社グループは、九州から未来を創る企業グループとして、経営環境が大きく変化するなかにおいても、事業を通じて「社会価値」と「経済価値」の双方を創出し、サステナブルな社会への貢献と九電グループの企業価値の向上を実現するサステナビリティ経営を推進している。
そのうえで、中長期の目指す姿として「九電グループ経営ビジョン2030」と「九電グループ カーボンニュートラルビジョン2050」を定め、ROIC経営の推進、カーボンニュートラルの実現や人的資本充実に向けた施策など、財務・非財務面での取組みをグループ一体となって進めている。
さらに、これらのビジョン実現に向けた経営上の重要課題「マテリアリティ」を特定し、その解決に向けた取組みを中期経営計画として具体的に反映させることで、着実な実践を図り、お客さまから信頼され、選ばれ続ける企業グループを目指していく。(図1、2)
[図1 マテリアリティ(サステナビリティ実現に向けた経営上の重要課題)]
[図2 サステナビリティに係る理念等の体系]
[九電グループ経営ビジョン2030(2019年6月策定)] | ||||||
2030年のありたい姿の実現に向けた3つの戦略(「3 中長期的な経営戦略の実現に向けた取組み」における戦略Ⅰ~Ⅲ)を掲げるとともに、その実現に向けた中間目標として、2025年度を対象に、財務目標(連結経常利益・自己資本比率)を設定している。(図3、4) [図3 九電グループ経営ビジョン2030] 〇 2030年のありたい姿 〇 経営目標(2030年度)
[図4 財務目標(2025年度)]
※ハイブリッド社債の資本性を考慮
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[九電グループ カーボンニュートラルビジョン2050(2021年4月策定)] |
日本の脱炭素をリードする企業グループとなることを目指した「九電グループ カーボンニュートラルビジョン2050」において、「電源の低・脱炭素化」と「電化の推進」に取り組む方針を定めるとともに、その実現に向けたアクションプランでは、2030年の経営目標(環境目標)や、KPI(重要業績評価指標)を設定するなど、カーボンニュートラル実現への道筋を示している。(図5)
[図5 カーボンニュートラルの実現] 〇 九電グループが目指す姿
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3 中長期的な経営戦略の実現に向けた取組み |
戦略Ⅰ エネルギーサービス事業の進化
エネルギー情勢やお客さまニーズの多様化など、環境変化を先取りし、エネルギーサービスを進化させ、環境に優しく、低廉なエネルギーを安定的にお届けし続ける。
○ 発電・販売事業については、S(安全)+3E(エネルギーの安定供給、環境保全、経済性)の観点から、容量市場など新たな電力取引市場も最大限活用しつつ、最適なエネルギーミックスを追求していく。
再生可能エネルギーについては、グループ内の再エネ事業の統合を進め、国内外で開発を推進し、主力電源化を図っていく。また、お客さまや社会の再エネに対する幅広いニーズにお応えするとともに、これまでの開発・運用・保守実績により蓄積したデータの活用など、再エネ事業の新たな価値創造に挑戦し、九電グループのコア事業としていく。
原子力発電については、CO2排出抑制面やエネルギーセキュリティ面等で総合的に優れた電源であり、安全の確保を大前提として最大限活用していく。引き続き、原子力の自主的かつ継続的な安全性向上に取り組むとともに、分かりやすい情報発信やフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーション活動を継続することで、地域の皆さまに「安心できる」と感じていただけるよう取り組んでいく。
火力発電については、最新鋭のLNG火力発電所の開発や、非効率石炭火力のフェードアウト対応に加え、水素・アンモニアの混焼に必要な技術の確立やサプライチェーンの構築など、環境面やコスト競争力、供給安定性のバランスを追求しつつ活用していく。
電力の安定供給については、電力需給変動リスクや燃料価格変動リスク等を踏まえた供給力の確保や燃料調達等を徹底するとともに、電力販売については、競争環境や、社会全体の環境意識の高まりを踏まえ、引き続きお客さまにお選びいただけるよう、エネルギーサービスの充実を図っていく。
○ 送配電事業については、九州電力送配電株式会社を中心に、公平性・透明性・中立性の確保に重きを置いた運営に努めていく。そのうえで、安定供給とコスト低減の両立を実現するとともに、再生可能エネルギーの最大限の受入れや効率的な設備運用等を目指し、送配電ネットワークの次世代化を推進していく。また、DXの推進による組織能力・業務基盤の強化・高度化や、これまで培った技術力や資産などを活用し、事業領域の拡大に取り組んでいく。
○ 海外事業については、カントリーリスクの顕在化、物価・金利・為替の変動、環境・エネルギー政策の見直しなど特有のリスクが近年多様化かつ複雑化するなか、案件ごとのモニタリングやアセットポートフォリオの最適化によりリスクの早期発見や低減を図りながら、これまでに蓄積してきたノウハウやネットワークを活かして、進出エリアや事業領域の更なる拡大を図り、一層の収益拡大を目指していく。
戦略Ⅱ 持続可能なコミュニティの共創
地域・社会の課題解決に向けて、グループの強みやエネルギーサービス事業とのシナジー等を発揮できる都市開発やⅠCTサービス等の事業に加え、新規事業・サービスの創出にも取り組んでいく。
○ 都市開発事業については、エネルギーやデジタルを活用した当社グループならではの付加価値の高い事業を展開し、収益を拡大するとともに、交流人口拡大や賑わい・雇用創出など地域・社会の持続的発展に貢献していく。
○ ⅠCTサービス事業については、DXが進展するなか、光ブロードバンド事業やモバイルサービス事業、データセンター事業等の既存事業に加え、ドローンサービスや地域情報プラットフォームサービス、生成AI等の新技術を活用したDXソリューションなど、地域・社会のニーズにお応えする新たなサービス創出にグループを挙げて取り組んでいく。
○ 自治体や地域団体との協働による産業振興や交流人口拡大に向けた事業など、地域課題解決に資する取組みを通して、九州地域全体の地方創生や当社グループの新たな事業創出につなげていく。
戦略Ⅲ 経営基盤の強化
持続的成長と中長期の企業価値向上に向けたグループ一体の挑戦により、経営を支える基盤を強化していく。
○ 事業活動に関する積極的かつタイムリーな情報発信や、広聴・提言機能の強化により、お客さまや地域の声を踏まえた経営を推進していく。
○ 安全と健康を最優先する企業活動を徹底することで、事業に関わる全ての人たちの安全を守り、その先にある安心・信頼につなげるとともに、全ての従業員が心身ともに健康で、活き活きと働ける会社をつくっていく。
○ 人的資本経営については、事業戦略の実現に必要な多様な強みを有する人財の獲得・育成に取り組み、持続的な価値創出につなげていく。また、従業員のチャレンジ意欲を喚起し、自律的に能力を磨き、活かし、活躍していくためのキャリア形成支援の強化を図るとともに、時間や場所に捉われず柔軟な働き方ができる環境整備等により、従業員エンゲージメントを高め、人的資本の価値最大化を図っていく。これらの取組みを通じて、人と組織が成長し続ける文化を醸成し、未来の価値を創出する企業グループを目指していく。
○ ICTを用いた業務効率化・高度化などDXの取組みを通じて、生産性の向上と新たな企業価値創造の強固な基盤を創っていく。
○ コーポレート・ガバナンスの充実や、コンプライアンス経営の推進、情報セキュリティの確保の徹底を図っていく。
特に、コンプライアンス経営に関して、2023年3月、公正取引委員会から独占禁止法に基づく行政処分を、さらに、2023年7月、経済産業省から電気事業法に基づく行政処分を受けた。なお、公正取引委員会からの行政処分の内容については、同委員会との間で事実認定等に見解の相違があることから、2023年9月、取消訴訟を提起した。
また、当社従業員が九州電力送配電株式会社のシステムを使用するなどして新電力顧客情報等を閲覧していた事案について、2023年4月、経済産業省から行政処分を受けた。
これらの事案に対する行政処分について、厳粛に受け止めるとともに、再発防止及びコンプライアンスを最優先にした事業活動をより一層徹底していくことで、信頼回復に努めていく。
当社グループとしては、これらの取組みを通じて、ステークホルダーの皆さまへの価値提供を果たしていく。
(文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したもの)
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