丸紅 【東証プライム:8002】「卸売業」 へ投稿
企業概要
(1)経営環境
当社グループを取り巻く経営環境を見ますと、既成概念のディスラプションにより、経営環境の急激な変化に直面しております。新型コロナウイルス感染症を契機として変容した行動様式の風化、生成AI等の急速な発展による産業変革の加速・ビジネスモデルのライフサイクル短期化、景気後退懸念と金融政策転換の予測困難性の増大、地政学的リスクの続発、経済と安全保障の連環の高まり、環境課題・ガバナンス・人的資本等のサステナビリティ経営への要請等、当社グループにとって機会と脅威が同時に到来しております。変化は成長オポチュニティとなる一方で、既存ビジネスモデルは陳腐化リスクにさらされており、これまでのように商品軸をベースとするアプローチだけではもはやソリューションは作り出せなくなると考えております。
(2)会社の経営の基本方針
当社グループは、前中期経営戦略「GC2021」において定めた2030年に向けた丸紅グループが目指す長期的な方向性を継続し、社会・顧客の課題と向き合い、新たな価値を創出すべく、中期経営戦略「GC2024」を策定し、2022年度よりスタートしております。
<中期経営戦略「GC2024」基本方針>
○既存事業の強化と新たなビジネスモデル創出を重層的に追求し、着実な収益の柱を育成・確立
○「グリーン事業(*1)の強化」、「全事業のグリーン化推進」によりグリーンのトップランナーへ
「グリーン事業の強化」
・強固な事業基盤、高い競争力を有する既存グリーン事業の強化・拡大
・既存の事業基盤・ネットワークの活用、全社横断的な取組みの推進による新たなグリーン事業の創出
(*1)脱炭素・循環経済等、地球環境に対しポジティブな影響を与えるサステナブルな事業、及びそれらの事業が必要としかつ代替困難な原材料等を供給する周辺領域
「全事業のグリーン化推進」
・環境負荷の低減、循環経済への移行を全事業領域において追求
・顧客・パートナーとの協働による持続可能なサプライチェーンの構築
・脱炭素社会への移行に欠かせない取組み(天然ガス・LNG等)
<中期経営戦略「GC2024」の定量目標>
中期経営戦略「GC2024」における定量目標及び2024年度見通しは以下のとおりであります。
経営指標 | 定量目標 | 2022年度実績 | 2023年度実績 | 2024年度見通し |
連結純利益 | 4,000億円 (2024年度) | 5,430億円 | 4,714億円 | 4,800億円 |
基礎営業キャッシュ・ フロー(*2) | 3ヵ年累計 13,000億円 | 5,842億円 | 5,480億円 | 5,700億円 (3ヵ年累計 約17,000億円) |
ROE (ネットDEレシオ) | 15% (0.7~0.8倍程度) | 22.4% (0.52倍) | 15.2% (0.55倍) | 15%程度 (0.6~0.7倍程度) |
(*2)調整後営業利益(売上総利益+販売費及び一般管理費)に、営業活動によるキャッシュ・フローのうち、「減価償却費等」、「利息の受取額及び支払額」、「配当金の受取額」及び「法人所得税の支払額」を合計した額。
<中期経営戦略「GC2024」の進捗と利益成長イメージ>
「既存事業のオーガニック成長」
・2018年度から2023年度にかけての実態純利益(*3)の推移は以下のとおりであります。
| 2018年度実績 | 2023年度実績 | 2018~2023年度 | |
増益額 | CAGR(*4) | |||
全社 | 2,560億円 | 4,670億円 | +2,110億円 | +13% |
非資源分野 | 1,970億円 | 3,070億円 | +1,100億円 | +9% |
資源分野 | 690億円 | 1,520億円 | +830億円 | +17% |
(*3)純利益から一過性要因を控除した概数
(*4)年平均成長率
・各事業の競争優位性の強化・拡大と、改善余地の大きい事業の収益性をターンアラウンドにより改善することで更なる利益成長を目指す
「成長投資」
・中期経営戦略「GC2024」の成長投資(新規投資・CAPEX等)はこれまで順調に進捗しており、3ヵ年累計の計画1兆円に対し約1.3兆円となる見通し
・案件パイプラインは豊富。財務規律・投資規律を重視しながら、ROE15%の維持・向上に向けて成長投資、資産入替えを行い、利益の底上げを図る
「更なる利益成長に向けて」
・既存事業領域の強化により、中期経営戦略「GC2024」において年間4,000~4,500億円の収益基盤を確立
・中期経営戦略期間を経るごとに利益規模を順調に拡大し、中期経営戦略「GC2018」開始以降のCAGRは14%の実績
・既存事業のオーガニック成長と成長投資を通じた戦略追求により次の利益ステージを目指す
「資本配分」
・収益力の向上により、中期経営戦略「GC2024」の当初計画と比べ基礎営業キャッシュ・フローが大幅増。また投資の回収もGavilon穀物事業の売却を実現したことにより2倍以上に増加
・これらによって経営資源の追加配分余地を創出。継続的に財務基盤を充実・強化すると同時に、成長投資(新規投資・CAPEX等)と株主還元を強化していく
・当面のネットDEレシオは0.6~0.7倍程度を想定
「グリーン戦略」
・営業本部別グリーン戦略を現場主導で実践
・進捗状況はTNFD提言に基づき開示予定(2024年度中)
・GHG排出量の開示を拡充(Scope3全カテゴリー/2024年度中)
当社グループのサステナビリティの全体像については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
(3)ロシア関連ビジネスへの取組み方針
当社グループは、日本政府が国際社会と協調するロシアに対する制裁方針を遵守します。ロシア関連新規取引については制裁方針の対象とならないケースも含めて凍結とし、既存取引についても可能な限り解約を交渉する方針としております。
今後も、個別案件への対応を含めて情報を収集し状況を精査しつつ、人々の安全確保を第一に考えながら、政府をはじめとする関係各所とも協議のうえ、適切な対応を検討してまいります。
(将来に関する記述等についてのご注意)
本報告書に記載されている将来に関する記述は、当社が当有価証券報告書提出日現在において入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
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