丸全昭和運輸 【東証プライム:9068】「陸運業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社では、気候関連リスクを業務執行上の重要な経営課題と認識し、代表取締役社長を議長とするCSR推進会議にて気候関連リスクに対応すべき事項につき、検討・協議を行い、定期的および必要に応じて取締役会へ報告しております。
CSR推進会議は、当社グループのCSR推進体制を維持管理するため、取締役会の直轄組織として設置されているものであり、CSR基本方針1の策定、同方針に基づく各種委員会の統括、その他CSRに関する課題の取組みを実施しています。同会議の事務局は、経営企画部内のサステナビリティ推進課に設置しています。
サステナビリティ推進課は、2023年4月に従来のCSR推進課より名称変更された組織であり、気候関連リスクをはじめとする各種サステナビリティを巡る課題への対応(リスク、機会)を主体的に行うとともに、CSR推進会議の事務局及び日常的なCSR推進活動の管理を行っています。
(気候関連リスクのガバナンス体制)
(CSR推進会議)
議長 | 代表取締役社長 |
メンバー | 役付執行役員 |
開催頻度 | 年4回及び必要に応じて |
事務局 | 経営企画部サステナビリティ推進課 |
(取締役会による監督体制)
CSR推進会議は、取締役会の直轄組織となっており、適宜、同会議より気候関連リスクにかかる報告を受けております。
(2)戦略
当社では、気候関連にかかるリスクおよび機会として検討すべき要因について、1.5℃シナリオ/2℃未満シナリオ2および4℃シナリオ3に基づき、想定される影響、対応策の検討を行っております。なお、影響にかかる期間の定義は下記となります。
分類 | 期間の目安 |
短期 | 2~3年後 |
中期 | ~2030年度4 |
長期 | 2030年度~ |
シナリオ分析においては、主に下記を参照しております。また、現状は定性分析に留まっておりますが、今後、事業インパクト評価等含めた定量分析も検討してまいります。
シナリオ | 参照シナリオ |
1.5℃シナリオ/2℃未満シナリオ | IEA/Net Zero Emissions by 2050 Scenario IPCC/RCP2.6 等 |
4℃シナリオ | IPCC/RCP8.5 等 |
①リスクと機会
イ.リスク
区分 | 種類 | 要因 | 想定される影響 | 期間 |
移行リスク <1.5℃シナリオ/2℃未満シナリオ> | 政策・法規制 | カーボンプライシングの導入 | 炭素税や排出権取引制度により、コスト増が見込まれ、価格転嫁が難しければ、利益率の低下に繋がる。 | 短中期 |
環境規制の強化 | リサイクルや廃棄物規制の強化 | 短中期 | ||
CO2排出量の抑制(EV化の促進) | ガソリン車の使用禁止に伴う車両入替コストの発生 | 中長期 | ||
技術 | 再生可能エネルギーの普及 | 光熱費等の増加 | 短中期 | |
脱炭素燃料の普及 | 燃料コストの増加 | 短中期 | ||
市場 | 脱炭素を意識したトラック配送需要の低下 | 収益の低下 | 中長期 | |
顧客における運送事業者の選別が進む(GHG排出基準等) | シェアの低下 | 中期 | ||
脱炭素促進に伴うエネルギーコストの増加 | 燃料コストの増加 | 短中期 | ||
評判 | ESG投資の増加 | 市場調達コストの増加 | 中長期 | |
環境への関心の高いZ世代が主要労働力となる | 人材獲得が困難/採用コストの増加 | 中長期 | ||
物理リスク <4℃シナリオ> | 急性 | 自然災害/異常気象の規模・頻度の増加 | 本業の営業停止に伴う減収 | 短中期 |
拠点の罹災に伴う修繕・移転コストの増加 | 短中期 | |||
従業員が被災するリスク | 短中期 | |||
リスクが高い地域の拠点(資産)に対する保険料の増加 | 短中期 | |||
慢性 | 降水/気象パターンの変化・ボラティリティの増加 | 本業の営業停止に伴う減収 | 中長期 | |
拠点の物理的増強に伴うコストの増加 | 中長期 | |||
平均気温の上昇 | 従業員の健康面等への悪影響(離職、生産性の低下) | 中長期 | ||
空調設備新設・更新等に伴うコストの増加 | 中長期 | |||
海水面の上昇 | 沿岸部の拠点が罹災し、稼働停止となるリスク | 中長期 | ||
リスク増大地域における保険料の増加又は保険が付与できないリスク | 中長期 |
ロ.機会
区分 | 種類 | 要因 | 想定される影響 | 期間 |
機会 | 資源効率性 | 共同輸送システム | 輸送効率向上に伴うコストの削減 | 短中期 |
省エネ | 原価の低減可能性 | 短中期 | ||
エネルギー源 | 新エネルギーの活用 | EV等の技術進歩/エネルギー源の多様化によるコストの減少 | 短中期 | |
製品/ サービス | 顧客の「脱炭素」選考 | グリーン物流推進によるシェアの拡大 | 中長期 | |
輸送手段多様化 | 収益機会の拡大 | 中長期 | ||
市場 | SDGsに関するビジネスの拡大 | 再生可能エネルギー・新エネルギー/リバースロジスティクスへの取組による収益機会の拡大 | 短中期 | |
調達手段の拡大 | グリーンボンド(ローン)、サステナビリティボンド(ローン)等の調達市場の拡大 | 短中期 | ||
レジリエンス | 強靭な物流システム(ハード・ソフト)の維持 | 顧客の信頼確保、市場価値の向上 | 中長期 |
②対応策
区分 | 項目 | 対応策 |
移行リスク | カーボンプライシングの導入 | EVシフト、自然エネルギー由来の電力への切替 |
CO2排出量の抑制(EV化の促進) | ||
再生可能エネルギーの普及 | ||
脱炭素燃料の普及 | ||
脱炭素を意識したトラック配送需要の低下 | ||
顧客における運送事業者の選別が進む (GHG排出基準等) | ||
脱炭素促進に伴うエネルギーコストの増加 | ||
環境規制の強化 | リサイクルの推進、廃棄物処理に関する管理の強化 | |
ESG投資の増加 | ESG関連指標の開示強化及び質の改善・向上 | |
環境への関心の高いZ世代が主要労働力となる | ||
物理リスク | 自然災害/異常気象の規模・頻度の増加 | BCPの維持・更新 |
降水/気象パターンの変化・ボラティリティの増加 | ||
海水面の上昇 | ||
平均気温の上昇 | 健康管理経営の推進、適切な設備(更新)の実施 | |
機会 | 共同輸送システム | パートナー企業との共同プラットフォームの策定 |
強靭な物流システム(ハード・ソフト)の維持 | ||
省エネ | モーダルシフトの推進 | |
輸送手段多様化 | ||
新エネルギーの活用 | 蓄電池他新エネルギー分野の物流推進 | |
顧客の「脱炭素」選考 | CO2排出量(荷主からみたスコープ3)の可視化 | |
SDGsに関するビジネスの拡大 | 蓄電池他新エネルギー分野の物流推進、 CO2排出量(荷主からみたスコープ3)の可視化 | |
調達手段の拡大 | 外部評価(ESG関連)の向上 |
(3)リスク管理
①気候関連リスクの識別・評価プロセス
気候関連リスクについては、経営企画部サステナビリティ推進課にて収集したデータを基に、リスク管理委員会にて識別・評価を実施、CSR推進会議にてその適切性を確認しています。また、その結果を取締役会へ報告しています。
②気候関連リスクの管理プロセス
③企業全体のリスク管理への統合
当社を取り巻く業務執行上のリスクに対する基本的な方針および管理体制は取締役会にて承認された「リスク管理規定」に定められています。リスク管理委員会は、各部支店・各グループ会社からの報告内容を評価し、全社リスク把握を行った上で、CSR推進会議へ報告しています。CSR推進会議は、気候関連リスクを含む統合したリスク管理活動状況を把握した上で、取締役会へ報告しています。取締役会は、CSR推進会議より定期的および必要に応じてリスク管理活動の報告を受けることにより、リスク管理基本方針に沿ってリスク管理活動が適正に実施されていることを確認・監督しています。
(4)指標及び目標
①当社は、気候関連にかかるリスクおよび機会を評価・管理する際の指標として、下記のとおり中長期的なCO2排出量5の削減目標を掲げます。
~2030年度 | 対2018年度比50%削減 |
~2050年度 | 実質排出量ゼロ |
②今後、グループ全体でのスコープ1、2、3のCO2排出量の把握に努めていくとともに、グループ全体およびスコープ3含むCO2排出量の削減目標の検討を進めます。
③CO2排出量(t-CO2)6(提出会社)
| 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
スコープ1 | 8,022 | 7,777 | 5,633 | 5,796 | 5,405 |
スコープ2 | 9,535 | 8,592 | 8,873 | 9,528 | 9,290 |
計 | 17,557 | 16,369 | 14,506 | 15,324 | 14,695 |
(CO2排出量の推移(提出会社))
(スコープ1、2の排出シェア(提出会社/直近年度))
(売上1億円当たりのCO2排出量の推移(提出会社))
1丸全昭和運輸グループは、物流が公益に深くかかわる事業であることを自覚し、豊かで持続可能な社会の実現のために、透明性と健全性の高い経営を通して、あらゆるステークホルダーに対し企業としての社会的責任を果たします。
2パリ協定で示された世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をするという目標に基づくもの
3現時点を超える政策的な緩和策を取らない場合、世界の平均気温の上昇が今後100年で4℃上昇するというもの
4政府の地球温暖化対策計画の削減目標設定年度
5提出会社のスコープ1および2、スコープ2については、ロケーション基準での算定
6提出会社のみ
(5)人材の育成及び社内環境整備に関する方針及び指標
当社では来たる2031年に迎える創業100周年に向けての長期ビジョンの中で当社の目指す姿を「テクノロジーと現場力で、お客様の未来を創造するロジスティクスパートナー」としています。
2022年度から始まった第8次中期経営計画における成長ターゲットとして、今後の成長が予想される業界・分野にフォーカスを当てた3PLサービスの更なる高度化や物流プラットフォームによる新サービスの提供により事業拡大を図る事を重点施策としております。事業拡大の為には企業基盤の更なる強化は必須事項でありDXの推進や当社グループ組織体制の強化、SDGsへの取組等を通じて来たるべき創業100周年に向けた人的資本投資を推進します。
① 女性活躍推進
物流業界においても女性の活躍は重要な経営戦略だと考えます。物流業界の特色として元々力仕事中心であり時間が不規則になりがち等の理由から男性中心の職場になってしまっていた現状があります。総務省が発表している労働力調査でも女性従業員比率は建設業(14.8%)などと並んで少ないと言う結果が報告されています(18.6%)。
当社では2027年度までに女性管理職の人数を10人に増やす事を目指します。2022年度末時点での女性管理職人数は5名(管理職全体の2.4%)であり10人以上にする事で管理職全体に占める女性管理職の割合を5%以上にする事を目指します。女性管理職を増やす為には全従業員に占める女性従業員数も増加させる必要があります。2022年度末時点で全従業員に占める女性の割合は10%ですが、2027年度までに12.5%に増加させる事を目指します。
② 中途採用
近年の出生率低下は将来の就労可能人員減少を意味しており、将来に亘って全国的な人員不足に陥る事は明らかであります。当社としても人員不足に陥らないように、更に8年後の創業100周年に向けた業績目標必達の為にも人員確保は重要です。現場事業所の即戦力として主に第二新卒と言われる若手社会人採用に注力してきましたが、今後は管理監督的立場に立てる人材の確保、DX人材やグローバル人材の確保も積極的に進めて行きます。
2022年度には第二新卒で7名の採用実績を挙げましたが、新卒採用に加えて社会人採用比率も高めていく計画です。
③ 多様な働き方
全ての従業員が働きやすいと感じられる職場を形成していく為に育児・介護・治療などと仕事との両立支援に資する制度設計や教育支援を実施する計画です。また、障害者雇用率の向上やリターン入社の拡大、男性従業員の育児休業取得等を通じて多様な働き方が出来る職場作りを進めます。
障害者雇用率について2022年度は2.6%でしたが、法定雇用率を割り込むことがないように取り組んでいきます。
育児休業について新たに2022年度から男性の育児休業取得を推進する事となりました。当社の男性社員で2022年度に育児休業を取得したのは対象者21人中2人(9.5%)でしたが2023年度は制度の趣旨について教育宣伝を行い対象者の育児休業取得50%を目標とします。
④ 健康経営について
グループ全体の業務効率化や働き方改革を推進する事で従業員のワークエンゲージメントを向上させる事は企業基盤の強化を図るうえで欠かせない施策になると考えます。
上記の観点から当社では健康経営優良法人の認定取得を目指し2022年度に初めて認定を取得しました。2023年度も健康経営優良法人の認定取得を継続出来ましたが、引続き法定健康診断の受診を通じた健康維持増進、健康診断結果で有所見となった従業員に対する事後措置を徹底する事に加えて、メンタルヘルス対策や時間外対策をする事で働きやすい職場作りを継続し、従業員のワークエンゲージメントを向上させることで離職防止や当社グループへの帰属意識の向上を図ります。
2022年度の法定健康診断受診率は100%でした。2023年度以降も法定の健康診断は当社の安全配慮義務の観点からもワークエンゲージメント向上の観点からも重要と考えますので引続き受診率100%を目標とします。
また、ストレスチェックの受検率は2022年度99.8%ですが2023年度は受験率100%を目標とします。
また、健康経営優良法人の認定について来年度も引続き認定取得を目指します。
⑤ 人材の育成
人材育成については従来から階層別教育を軸に従業員の業務知識・法令知識の向上を図ってきましたが、2022年4月に社員教育に特化した川崎研修センター創生館を創立したのを機に、自ら積極的に学ぶ従業員を増やし又、学びたい従業員にその場を提供できる体制を目指しています。
新たな教育体系では階層や職歴に捉われないテーマ別の専門業務研修や必要に応じて学びたい従業員が自ら参加する公募型研修の科目を多く取り入れて積極的に学び従業員の能力を最大化させる事で企業価値の向上に資する事を目指します。
イ.DX人材の育成
当社は第8次中期経営計画において、当社独自のアセット型3PLを発展させたLLPサービスを「丸全版先進的物流ソリューション MALоS(マロス)」を設定しました。先進的物流ソリューションの要はデジタルトランスフォーメーション(DX)であり高度なDX技術を用いて荷主のニーズの先を行く物流提案が可能な人材の育成に努めます。
ロ.グローバル社員の育成
積極的な海外展開を図るため既存・新規を含めた海外拠点に継続的にグローバル人材を供給していく必要があります。
また、国内事業においてもグローバルな視点を持った人材を配置する事は業容拡大の為に必須だと考えます。
その為、当社独自の海外研修制度等を活用した海外拠点マネジメントの中核を担える人材の育成と、海外経験を活かし積極的に営業展開できるグローバル人材の育成に努めます。
ハ.グループ社員の育成
当社グループ全体としての企業価値向上の為にもグループ各社の従業員教育を強化します。グループ各社従業員のスキル・知識レベルを高次元で平準化させる事でアセット型3PLの事業運営を円滑にし、当社グループ全体に経営目標を浸透させグループ間連携の強化を図ります。
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