中越パルプ工業 【東証プライム:3877】「パルプ・紙」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、永続的発展のため、ひたむきに人を大切にしたものづくりに努め、国際競争を勝ち抜く、強い企業創りを目指しております。
その実現のため、経営理念に“愛され信頼される企業に”を第一に掲げ、コンプライアンスに徹し、真摯で誠実な企業活動を旨として、品質第一主義と弛まざる技術革新で顧客満足を希求するとともに、地域社会との共存共栄を図ってまいります。さらに企業の社会的責任の視点に立って、環境と社会に貢献し、向上心あふれる働きがいのある会社づくりに励み、企業価値を高めてまいります。
(2) 目標とする経営指標
① 2025年度までに、営業利益40億円、ROE5%の収益を確保します。
② 製造工程における化石燃料由来のCO₂排出量を2030年度までに2013年度比50%削減することを目標として掲げ、達成に向けて取り組んでまいります。
(3) 会社の経営戦略
当社グループは、2030年に目指す姿を「ビジョン2030」として掲げており、既存事業の発展・環境ビジネスの発展・イノベーションにより、森林資源の有効活用を通した循環型社会の構築と、持続可能な未来の実現に取り組みます。またカーボンニュートラル社会の実現に向けて、事業活動におけるCO₂排出量削減の新たな目標に向けた取り組みを進めています。
「ビジョン2030」の実現に向けて、「既存事業の構造転換」「森林資源を活用した環境投資・環境ビジネス推進」を柱とした「中期経営計画2025」の取り組みを進めています。
「既存事業の構造転換」では、グラフィック用紙の需要減少への対応として高岡工場6号抄紙機の停機による印刷情報用紙の生産集約を図ります。また、コロナ禍で高まった家庭紙分野の需要は今後成長が期待できる分野であることから家庭紙分野へ新規参入します。さらに事業領域拡大としてパルプの増産、販売強化に取り組みます。グループ事業においては、他社商権の譲受による販路拡大、文具事業の整理など選択と集中による収益力の強化を目指します。
「森林資源を活用した環境投資・環境ビジネスの推進」においては、新素材CNF実用化の加速や、脱プラスチックへの対応として新素材マプカを製造する中越エコプロダクツ事業の早期事業化を目指します。また、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、新たなバイオマス発電設備の設置、既存ボイラーの脱石炭、植林事業の検討を進めます。
(4) 会社の対処すべき課題
当社グループを取り巻く経済環境は、緊迫化する中東情勢、長期化するロシア・ウクライナ情勢等の海外要因に加え、人手不足を受けての人件費の上昇、物流の2024年問題への対応、円安等によるコスト増加により厳しい環境が想定されるとともに、国内紙需要は更なる減少が見込まれております。
このような状況下、以下の諸施策に取り組んでまいります。
① 収益基盤の強化
収益基盤拡充のため、引き続き以下に取り組んでまいります。
・販売強化の取り組み
新規販路の開拓に取り組むとともに、状況に応じた有利品種への置き換えによる販売製品の最適な構成を追求し、収益確保に努めます。
・原材料調達コストの低減
引き続き、海外産木材チップと比べ価格的に優位である国内産木材チップの集荷を増やし、製造工程で使用する諸資材の原価低減に努めます。
・安定操業と製造コストの削減
安定操業により収益基盤を確保するとともに、操業効率の改善により、製造コストの圧縮に努めます。
② 中期経営計画の取り組み
当社グループは、2030年に目指す姿を掲げた「ビジョン2030」と、その実現のために収益目標と環境目標を定めた「中期経営計画2025」を推進しております。
・既存事業の構造転換
主にグラフィック用紙を生産していた高岡工場6号抄紙機の跡地に家庭紙の抄紙機を新設し、2024年2月に営業運転を開始しました。新設した家庭紙抄紙機は、年間約22,000tの生産能力を有しており、ティシュ・タオルペーパー・トイレットペーパーの原紙を生産・販売する予定です。早期に安定操業を確立し、競争力のある原紙を供給できる体制を整えていきます。
外販パルプについては生産体制の強化、新規需要の取り込みを図り、2023年度は「中期経営計画2025」計画期間前の2020年度比で大幅な増産・増販となりました。
・森林資源を活用した環境投資・環境ビジネス推進
セルロースナノファイバー事業については、化粧品用途向けの原料の販売を開始しました。また、植物向けの新たな物理的防除資材に関する取り組みが、農林水産省「みどりの食料システム戦略に基づく基盤確立事業実施計画」に認定されました。現在当社のCNFの独自性を活かし、養鶏・農業資材用途や、樹脂・ゴム・再生プラスチック分野への展開を進めており、売上規模の拡大に向けて取り組んでまいります。
③ サステナビリティの取り組み
当社グループは「ビジョン2030」に掲げた「既存事業の発展・環境ビジネスの発展・イノベーションにより、森林資源の有効活用を通じた循環型社会の構築と持続可能な未来を実現する」ために、サステナビリティ活動を推進しております。
a.気候変動対応
・TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、提言に沿って事業への影響の分析を行い、重要なリスク・機会を開示しております。また製造工程における化石燃料由来のCO₂排出量を2030年度までに50%削減(2013年度比)を目標として掲げております。
・2024年度にGXリーグに新規参画し、今後GHG排出量削減やサプライチェーンでの取り組み、グリーン市場創出に向けた取り組みを進めてまいります。
・港湾・臨海部を脱炭素化する「カーボンニュートラルポート」形成に向けた港湾脱炭素化推進協議会が立ち上げられ、川内工場は川内港(鹿児島県薩摩川内市)、高岡工場と二塚製造部は伏木富山港(富山県高岡市)の協議会への参加を表明し、今後取り組みを進めてまいります。
b.人的資本への取り組み
「人材育成に関する方針」「社内環境整備に関する方針」を定め、2033年3月までに管理職に占める女性労働者・中途採用者の合計割合を25%以上、2026年3月までに育児休業取得率を男女ともに100%とする目標を設定し、取り組みを進めております。
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