中本パックス 【東証スタンダード:7811】「その他製品」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは「クリーン&セイフティ」を合言葉に、自然環境や労働環境に配慮した製品、技術の開発、素材の改良など、社会が必要とするものづくりに努め、常に顧客に満足いただけるものを供給し続けてまいります。
そして、当社グループが引き続き成長していくためには、①主力部門である食品関連における自社開発品の販売強化と顧客ニーズへの迅速な対応、②IT・工業材関連における技術力と開発力の強化、③食品関連、建材関連、生活資材関連における連結子会社との連携による同業他社に負けない競争力の強化が重要であります。また、当社グループ事業の基盤となる従業員の成長を促す教育制度の継続とコンプライアンス遵守の体制を築き、社会に信用される企業にしてまいります。
当社グループでは目指す企業像として、「全天候型グローバル企業」を掲げ、その実現に向け対応しております。これは単に経済的な企業価値を追求するだけでなく、「人にやさしい、地球にやさしい」という社会的な企業価値を高めて、あらゆるステークホルダーから信頼される企業像を実現していこうというものです。
当社グループとしては継続的に事業ポートフォリオを見直すことで、収益構造を改善するとともに、従来とは異なる成長領域を生み出し、多彩な領域と新陳代謝のあるバランスのとれた事業構造を目指しております。
そのために、常に新しい技術に取り組み、顧客に密着したマーケティング活動を行い、グローバル規模で顧客や社会のニーズを先取りしていくことを強力に推進してまいります。
(2)経営戦略等
2025年2月期におけるわが国経済は、物価高による個人消費の低迷がみられるものの、賃上げによって実質賃金の改善が進むことによる内需の持ち直しやインバウンド需要増加、企業の設備投資意欲の高まりなどから緩やかに回復すると思われます。一方で、人手不足による供給制約、金融引き締めによる海外経済の減速や国際情勢の緊張の高まりといったリスクも考えられ、依然として先行きは不透明な状況にあります。
当社グループは、2025年2月期の経営課題を「環境経営と改善活動の推進、原点回帰でお客様満足度を最大化する」といたしました。環境対応製品の開発と拡販、環境対応インキ・接着剤への切り替えをはじめとした環境経営を進めるとともに、材料使用量削減や生産効率向上など改善活動による原価低減を推進いたします。また、顧客のニーズ・環境対応・省力化に貢献できる製品の提供と、品質管理に注力して顧客満足度の向上に努めると共に、企業としての社会的責任を果たし、ステークホルダーとの信頼関係を築き、持続的な企業価値の向上に努めていく所存であります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するため、収益性の改善、資本効率の向上に取り組んでまいります。具体的には、経営指標として連結ROE(自己資本当期純利益率)13.0%以上を中期経営計画における経営目標としております。
(4)経営環境及び対処すべき課題
① 全天候型経営
当社グループを取り巻く状況は刻々と変化しており、現在のような経済環境の激変期には、企業の永続的な発展を重要課題として認識しております。国際情勢の変化、金融不安、IT・半導体不況や資源・食料価格の高騰等による経済悪化の影響を最小限にとどめるためにも、特定分野に偏らない事業ポートフォリオの構築が課題であると考えております。また、少子高齢化が進む日本においては、長期的には食品関連や生活資材関連等の需要減少が見込まれます。
このような課題に対処するために、創業以来積み上げた印刷、ラミネート及びコーティング技術を活用して、食品包装材を主力に、IT・工業材、医療・医薬、日用雑貨、自動車、建材分野に製品を展開するほか、日本だけでなくグローバルに事業を展開する全天候型経営を行っております。各分野にバランス良く投資をすることで、顧客、取引先、社会、従業員、株主に安心していただける強固な基盤を作ってまいります。
② 技術及び製品開発
自社開発品(NAK-A-PET、NC-PET、NS-PET)は、薄肉化、高剛性による省資源、耐熱、耐寒性付与によるスペックアップ、安全性、環境負荷低減(CO2排出量の低減)、リサイクルを可能にする単一素材化を実現した素材であるため、海洋プラスチックの問題による環境意識の高まりなど潜在的な需要は大きく、更なる販売強化を行う必要があると考えております。
このような課題に対処するために、最新鋭の生産設備の導入、技術部門の拡充、生産拠点への開発部門付設等により総合的な技術革新を推し進め、お客様のニーズに対応した製品開発のスピードを速めてまいります。
③ 課題解決型企業の実現
単身世帯、高齢者及び働く女性の増加やライフスタイルの変化による外食からのシフトにより、総菜を中心とした中食市場やデリバリーの需要が底堅い食品関連市場、AI時代の到来や、クルマの電装化等により新たなニーズが見込まれるIT・工業材関連市場など、時代や環境の変化に伴う課題の解決が必要であると認識しております。
このような課題に対処するために、潜在する市場ニーズ(環境・安全・個食化等)を的確につかみ、これまで培ってきた技術を駆使するほか、顧客ニーズに応じて設備改良を行うことで新製品及び新素材の開発につなげ新たな価値を提供し、社会や顧客の課題を解決してまいります。
④ 環境経営
循環型社会の実現による持続可能な社会の構築を目指し、紙への印刷や紙容器、当社独自の開発品であるNAK-A-PET、NC-PET、NS-PETや、石化由来材料の削減や食品の賞味期限延長によるフードロス削減が可能な機能性包材の販売を強化しております。また、リサイクル原料使用による省資源化とCO2削減、水性インキや植物由来成分等を含有したバイオマスインキを使用した印刷、水性接着剤を使用したラミネート、紙への生分解性樹脂ラミネート等の環境対応製品により環境負荷低減に取り組んでまいります。
加えて工場のLED化、省エネ設備の導入、太陽光発電設備の導入によるCO2削減、材料の再資源化を行うリペレット事業の拡大により、生産活動に伴う廃棄物の発生抑制及び再資源化の取組みなど、各種施策を実施してまいります。
⑤ グローバル戦略
海外連結子会社(中国5社、米国1社、ベトナム1社)における事業は、各国の通商政策、人件費の高騰、環境基準の変化、地政学リスク、販売価格競争の激化や為替変動により不透明な環境にあります。
このような課題に対処するために、当社グループは引き続き圧縮袋や生活資材製造の合理化を図るとともに、当社グループが得意とするシートグラビア印刷、クリーンコーティング、熱ラミネート等の付加価値の高い製品の販売増加を目指し、新規顧客の開拓を推進いたします。また、複数国に生産拠点を持つことで、チャイナリスクへの対策、グローバルなサプライチェーンの構築と顧客ニーズへの対応を進めてまいります。
⑥ 社会的責任を重視した経営
地域社会からの信頼を得ることも企業価値の向上を目指した経営の一つと考え、事業活動や雇用を通して地域の社会経済活動に貢献しております。また、環境負荷の低減、障がい者雇用をはじめとしたダイバーシティの推進、取引先の事業活動の継続に寄与するため、全国主要都市周辺に16工場を配置し、BCP対応、供給責任を果たしております。この他、顧客、取引先、社会、従業員、株主など各ステークホルダーとの対話や協働が持続的成長に不可欠と考えており、コミュニケーションの機会を大切にし、企業経営に生かしております。
⑦ 内部管理体制の強化
当社グループは、金融商品取引法における内部統制に係る報告を実施するため内部管理体制の強化に努め、コンプライアンス機能の強化、業務マニュアルの整備等を行ってまいりました。
今後もこの内部管理体制を有効に機能させることが、企業価値を高め、効率的かつ健全な企業経営を実現するものと認識し、より一層透明性の高い経営を目指し、相互牽制の効いた内部管理体制の強化に取り組んでまいります。
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