三菱UFJフィナンシャル・グループ 【東証プライム:8306】「銀行業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
わが国は少子高齢化や人口減少等の構造的課題を抱え、世界的にも低成長が常態化しつつあります。また、約3年間にわたるコロナ禍を経て、AIを始めとしたデジタル技術の発展と日常への浸透、クリーンエネルギーを中心とした社会・経済構造への転換、人々の働き方や価値観の多様化といったメガトレンドは加速しています。加えて、地政学リスクやグローバル化の揺り戻しといった「分断」も顕在化する等、当社を取り巻く経営環境は大きく変化しています。
当社は、こうした変化を正しく読み解いたうえで、当社の広範なネットワークや多様なソリューションが持つ「つなぐ」機能を最大限発揮し、新しい時代において社会をリードする存在でありたいと考えています。今年度からの3年間を対象とした新中期経営計画を、当社を取り巻く経営環境が大きく変わる機会を捉えて「成長」を取りにいく3年間と位置付け、その結果として収益力向上やROEの改善、そして当社のパーパスである「世界が進むチカラになる。」を実現することを通じて、お客さま・株主・社員を始めとする全てのステークホルダーの期待に応えてまいります。
新中期経営計画では、昨年度までの中期経営計画における取り組みを発展させ、成長戦略を進化させながら、社会課題解決への貢献にも取り組むとともに、それらを支える企業変革を加速させてまいります。
地政学リスクやグローバル化の揺り戻しといった分断が顕在化する時代において、当社の広範なネットワークや多様なソリューションが持つ「つなぐ」機能を最大限発揮することで、経済的価値のみならず社会的価値も追求し、パーパス(世界が進むチカラになる。)の実現をめざします。
(2) 経営環境
当連結会計年度の金融経済環境でありますが、世界経済は、各国の金融引き締めによる累積的な影響が景気を下押ししたものの、コロナ禍以降の財政支援や堅調な労働市場等にも支えられ、全体としては緩やかな回復を続けました。もっとも、コロナ禍で生じた繰り越し需要の一巡や財政支援の漸進的な縮小等、各国が平時モードへ回帰していく中での反動に加え、中国の不動産問題の顕在化や長期化するウクライナ紛争、ガザ情勢といった実体経済への影響を見定めることの難しい出来事も多く、不確実性の高い状況が続きました。わが国では、物価高が消費の重石となったものの、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う経済活動の正常化や、インバウンド需要の拡大、円安等による企業業績の改善にも支えられ、景気は緩やかな回復を続けました。
金融市場に目を転じますと、株価は、地政学リスクを巡る緊張が高まり、さらに各国中銀が金融引き締め姿勢を続ける中で調整する局面もありましたが、2023年度を通じ上昇基調で推移しました。金利については、欧米では、急速な利上げに伴い、2023年度前半に市中金利は上昇しましたが、金融引き締め局面の終了等が意識される中で後半にかけて低下しました。わが国では、短期金利は日銀が2024年3月にマイナス金利を解除した後に小幅に上昇しましたが、総じて低位で推移しました。長期金利は、日銀による2023年7・10月の長短金利操作の柔軟化により、2023年度半ばにかけてやや上昇しましたが、その後は概ね横ばい圏内で推移しました。ドル円相場は、日米の金融政策の方向性の違い等が意識され、2023年11月には151円台まで円安が進行しました。その後は米国の利下げ転換時期の模索や日銀のマイナス金利解除等により、円安進行には一定の歯止めが掛かり、振れを伴いながらも横ばい圏で推移しました。
(3) 対処すべき課題
新中期経営計画を「成長」を取りにいく3年間とするために、中期経営計画の3本柱のうち、「成長戦略の進化」と「企業変革の加速」において、7+4の主要戦略を策定いたしました。
「成長戦略の進化」は、国内ではリテール顧客基盤の強化によりLife Time Valueの最大化を図るとともに、法人×WMビジネスモデルを通じて承継ビジネスを強化いたします。海外では、GCIB・市場一体ビジネスモデルの進化による収益力向上、Partner Bankとの連携強化によるアジア成長の取り込みに取り組んでまいります。加えて、資産運用立国実現への貢献に向けた取り組みやGX起点でのバリューチェーン支援を通じて経済的価値・社会的価値の双方を追求するとともに、中長期的な成長に向けて新たな事業ポートフォリオ構築にも挑戦してまいります。
「企業変革の加速」は、スピード改革を始めとするカルチャー改革の加速や、人的資本の拡充、システム開発リソースの増強、AI・データ基盤の強化といった経営基盤の強化に取り組んでまいります。
なお、中期経営計画の3本柱の残る「社会課題の解決」については、本有価証券報告書の「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)戦略」をご参照下さい。
当社グループは、お客さま、社員、株主等、ステークホルダーの安全確保を最優先とし、社会機能の維持に不可欠な金融インフラとして、事業者の資金繰り支援等の施策を通じ、お客さま・社員・株主をはじめとする全てのステークホルダーの皆さまの期待に応えてまいります。
(A) 成長戦略の進化
主要戦略 | 主な取組内容 |
国内リテール顧客基盤の強化 | ・ カスタマーエクスペリエンスの進化を通じて、お客さま満足度を改善。長きにわたる関係を構築し、Life Time Valueの最大化をめざす |
法人×WMビジネス強化 | ・ 法人起点・個人起点の双方からのアプローチにより、多様なソリューションを提供していく |
GCIB・市場一体ビジネスモデルの強化 | ・ プライマリー機能とセールス&トレーディング機能の相互連携、クロスセル、ディストリビューションの強化を通じて、GCIB・市場一体で資本効率の高いビジネスモデルを推進する |
アジアプラットフォームの強靭化 | ・ Partner Bankとの連携強化、「アジア×デジタル」の取り組み拡大等を通じて、第2のマザーマーケットであるアジアに強靭なプラットフォームを構築する |
資産運用立国実現への貢献 | ・ インベストメントチェーン全体でお客さまの資産形成支援に取り組み、資産運用立国の実現に貢献する |
GX起点でのバリューチェーン支援 | ・ GXプロジェクトの共創やトランジション支援等、ファイナンスに留まらない経営課題解決型ソリューションを提供し、お客さまのGX投資を促進していく |
新たな事業ポートへの挑戦 | ・ お客さま・社会の課題や新技術の進展を踏まえた新規ビジネス開発により、新事業セグメント、次世代ビジネスモデルに取り組み、高成長・高採算ポートフォリオを創出する |
(B) 企業変革の加速
主要戦略 | 主な取組内容 |
スピード改革の加速 | ・ 変化をリードするために自ら考え、決断し、直ちに行動に移していくカルチャーの浸透・定着をめざす |
人的資本の拡充 | ・ 事業戦略との同期を加速し、社員一人ひとりがプロ度を高め、活き活きと活躍し、お客さま・社会に貢献するグローバル金融グループをめざす |
システム開発リソースの増強 | ・ システム投資額の引き上げに向けたリソース増強に取り組むとともに、戦略的な案件への投資金額・比率の上昇を図る |
AI・データ基盤の強化 | ・ AI推進機能やBusiness Intelligenceの強化等を通じて、データ利活用を推進する ・ 生成AI等の新技術活用やインテリジェンスの向上により、技術探索を強化していく |
(組織改編)
2024年4月1日付けで現在のデジタルサービス事業本部と法人・リテール事業本部を、個人のお客さま(WMを除く)を所管するリテール・デジタル事業本部、事業法人とWMのお客さまを所管する法人・ウェルスマネジメント事業本部に再編いたしました。これらの事業本部に、コーポレートバンキング事業本部、受託財産事業本部、グローバルCIB事業本部、グローバルコマーシャルバンキング事業本部、市場事業本部を加えた7事業本部体制にて、新中期経営計画を着実に推進してまいります。
(4) 目標とする経営指標
本中期経営計画では、中期経営計画の最終年度である2026年度の財務目標の水準を以下のとおり設定しております(2024年5月公表)。
〔ROE目標・資本運営ターゲット〕
〔ROE目標達成に向けた3つのドライバー〕
*1 Morgan Stanleyの持分法適用決算期の変更影響額除き
*2 バーゼルⅢ規制最終化(完全実施)により2029年3月末に適用される規制に基づく試算値。その他有価証券評価差額金を除く
*3 親会社株主に帰属する当期純利益
*4 リスク・アセット
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