企業三櫻工業東証プライム:6584】「輸送用機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 以下の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等には将来に関する記述が含まれています。こうした記述は現時点で当社が入手している情報を踏まえた仮定に基づくものであり、3「事業等のリスク」などに記載された事項等によって、当社グループの実際の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況がこうした将来の記述と異なる可能性があります。

(1) 会社の経営方針、経営環境及び優先的に対処すべき課題等

 当社グループは2021年度に、2030年度に向けた「中期経営方針」を策定いたしましたが、発表直後しばらくの間はコロナ禍に加えて半導体不足の影響等もあり生産が回復せず、現業の立て直しに注力せざるを得なかったことから新事業の創出に充分なリソースを割くことが出来ませんでした。3年間の現業立て直しの結果、2023年度にようやく過去最高益を計上することが出来、新事業の創出に向けた前向きな投資を実施できる環境が整ったことから、2024年5月に中期経営方針を新たに改訂し公表することにいたしました。

 当社グループを取り巻く世界の自動車生産台数とパワートレインの構成予測については、バッテリーEV車の比率は各国の政策やグローバルサプライチェーンの制約による影響も大きく、この先数年間の予測販売台数にも一定程度の不確実性が織り込まれていると考えます。当社グループは、今後しばらくの間はバッテリーEV車、プラグインハイブリッド車、ハイブリッド車がバランスよく販売され、特定のパワートレインの車が市場を占有することはないと考えております。

 世界各国の政策や消費者の嗜好が異なる以上、今後起こり得るあらゆる事態に備えておくために、当社グループにおきましては従来のブレーキや燃料の配管はもちろん、バッテリーEV車やプラグインハイブリッド車、ハイブリッド車向けのサーマル・ソリューション製品にも積極的に投資をし、市場シェアを拡大していく計画です。

 自動車市場においてますます市場シェアを高め、現業のキャッシュカウ化を進めていくのと並行して、自動車以外の市場におけるサーマル・ソリューション事業やその他新事業の拡大も、新たに改訂した中期経営方針の重要な軸の一つです。具体的にはデータセンター用水冷配管や、インド等グローバルサウス市場における冷蔵庫等の家電用水冷配管、また設備の外販事業等、当社グループが自動車配管事業で培った技術を新たな市場へ転用する形で新事業を創出して参ります。

 内外環境分析(3C分析)と戦略の大要

(2) 経営戦略等

 上述した中期経営方針のもと、不確実な事業環境下にあっても利益を生み続け、サステナブルに成長し続けられるレジリエントなマルチポートフォリオの構築を実現させるべく、以下の2つの事業毎に経営戦略をまとめ、実行スピードを上げて取り組んで参ります
 

①自動車部品事業

 当社グループは、競合企業が内燃機関車向けの製品からは撤退していく中、ユーザーやお客様である自動車メーカーが従来の自動車配管製品を必要とされている限り最後まで撤退はしないという「サンオー・ラストマン・スタンディング戦略」を2020年から掲げております。既に南米のブラジルや、イギリス等、局地的には当社グループが独占的に供給できる体制が整っており、競合企業が既存市場から撤退またはバッテリーEV製品へ注力する中、当社グループは顧客から求め続けられる限り、既存市場に踏み止まり続ける考えです。残存者利益を獲得するという戦略によって2つの大きな成果が生まれてきております。

 一つは市場占有率の上昇です。当社グループが属する自動車配管市場は寡占市場であり、新規参入も限定的です。取り扱う製品のサイズは大きく、輸送するには非効率なことから、顧客である自動車メーカーの工場の近くに拠点を構えたり、場合によっては自動車メーカーの工場の中で加工作業を行い、製品を納入するケースもあります。現在お客様である自動車メーカーから見ると、自社工場に近接して配管製品を納入できるのが当社グループしかいないという地域が世界に多く存在します。従って、近年、かつては取引量の少なかった欧米系の自動車メーカーやメガサプライヤー等から、新しいお取引をいただく機会が急増しております。グローバルシェアNo.1に向けて、当社グループのグローバル市場占有率は着実に上昇しております。

 もう一つは価格決定権の向上です。世界各地域でオンリーワンの存在になっているために、その地域特有のインフレや為替等の金融リスク或いは事業リスクに関して、お客様に一部リスクを引き受けていただき、製品価格に転嫁していただける機会が増えています。当社グループでは中期経営方針において現業の売上高営業利益率10%以上を目標にしておりますが、事業の高収益化についても順調に進んでおります。

 もうひとつの戦略はグローバルに展開する生産体制の現地生産機能や生産性の向上です。当社グループは既に存在するグローバルな現地生産ネットワークへの投資を行うことで、参入障壁のひとつにもなっている製品供給の現地化、近接化、そして生産性を向上して参ります。主に成長ポテンシャルが見込まれるインドを含むアジアの能力増強、および米国市場への供給を見据えた中米地域を起点とする生産性の向上、ならびにマザー工場としての日本を中心に投資を行って参ります。

 成長著しいアジアではタイやインドを中心に、当社グループの主力製品である車輌配管製品の能力増強や、インドでは新事業の有力な柱の一つである冷蔵庫用の水冷ワイヤーコンデンサー事業の強化を行って参ります。また、北南米セグメントでは、メキシコ拠点も含めた米国ビジネスの生産性の向上や、アメリカのBig3※1やメガTier1サプライヤー※2との取引拡大に注力して参ります。さらに日本では、原価や生産管理、調達データベース等のシステム基盤の高度化や生成AI導入による自働化、チューブの生産性向上、新事業の創出に力を注いで参る考えです。

 サーマル自動車部品はバッテリーEV車をはじめとする電動車市場に対して、航続距離延長をサポートする観点から発熱効率の最適化に貢献する部品群です。サーマル自動車部品は従来の取引慣行である自動車メーカー様への直接納入のみならず、実質的に製品の仕様決定権を有する、所謂CASE※3機能を担ってメガサプライヤー化するシステム・モジュールサプライヤーへの供給も狙った“Tier1.5戦略”を遂行して参ります。

※1: General Motors、Ford、Stellantisの米系自動車メーカー3社

※2: グローバルに拠点を展開して部品を生産・供給し、多様な領域で技術開発を行っているサプライヤーの

 総称

※3: CASE = Connected (つながる), Autonomous (自律走行), Shared (共有), Electric (電動) の略語

②新事業

 一つ目はデータセンター向け冷却装置事業です。当社グループは数年前に、スーパーコンピューター「富岳」に製品が採用されました。そこで獲得した高い評価と実績を基に、足元はデータセンター用の冷却商材の開発やマーケティング活動に注力しております。

 現に2024年1月にはその専業部隊として新事業開発本部を新設し、予算や人財を独立させました。データセンターの世界市場が今後拡大する中、サーバーの主要な冷却手法である空冷および水冷の別を問わず、自社開発製品に加えて他社との協業やM&A等のインオーガニックな取り組みも積極的に駆使しながら事業領域を拡大して参ります。

 また2024年2月14日にはデータセンター向けの水冷冷却装置を開発いたしました。樹脂チューブと配管全体は当社グループが携わっており、当社グループの自動車部品事業の主力製品であるフューエルインジェクションレールと同じ構造な上に、曲がりくねった配管も冷蔵庫用のワイヤーコンデンサーの技術をそのまま転用しています。当社グループは既存事業の技術を基に、データセンター市場への拡販を目指して参ります。

 二つ目は生産ソリューション事業です。当社グループは自動車配管製品だけでなく、その配管製品を曲げるための加工設備の開発や設計、製作も、これまで自社で行ってまいりました。その設備や装置の内製ノウハウを基に、自働化ニーズの高まりを受けて市場の拡大が見込まれる設備の外販にも取り組み、当社グループと外部顧客双方の生産性向上に貢献しながら、幾つかのステップを経て、生産ソリューションの事業化を目指して参ります。

 最終的なゴールとしましては世界の製造業を活性化させるために中小企業の在庫削減や、生産リードタイムの向上に貢献していきたいと考えています。そのファーストステップとして、まずは自社の加工設備や搬送設備の販売を始めております。

 三つ目は冷蔵庫向けワイヤーコンデンサー事業です。これまでも当社グループのインド拠点で手掛けてきた事業ではありますが、足元のポテンシャルの高さを踏まえてこれまで以上に注力していきます。冷蔵庫向けのワイヤーコンデンサー事業はかつての当社グループの海外事業でもあり、現地の冷却手法のメインストリームは当社グループが得意とする水冷方式であることからも、配管製品の需要はもちろんのこと、その製造設備ニーズも見込まれる有望な事業のひとつと考えております。

 今後バリューチェーンの強化や能力増強投資等を通じて現地競争力をさらに高め、ひとつのまとまった事業として育てていきます。

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、安定的な収益力の確保とグループ全体の業績向上のため、連結ベースの売上高及び自己資本利益率等の経営指標の拡充を目標としております。

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