三和油化工業 【東証スタンダード:4125】「化学」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、お客様(あらゆるステークホルダー)の信用を得ることを第一目的とし、社会からより信頼される会社になるよう、日々努力してまいります。そして、会社の成長と安定を目指し、与えられた役割が何であるかを常に考え、誠実に、確実にやり遂げる集団を目指しております。1970年6月の会社設立以来、「誠実に」「確実に」を社是とし、「責任」「挑戦」「創造」を経営理念に掲げ、「環境ニーズを創造する」をコンセプトとして事業を展開しております。廃棄物のリユース・リサイクルを通じた環境負荷低減と資源循環への取組みや環境にやさしい製品づくりを常に実践し、微力ながら社会に貢献してまいりました。近年の世界的な社会環境の変化、ESG(注1)やSDGs(注2)に代表される地球規模の持続可能性(サステナビリティ)に対する意識の高まりもあり、当社グループは環境事業を中心とする事業活動を通じて、企業としての社会的責任を果たしていくことで、株主の皆様、取引先の皆様からの期待に応えていく方針です。
(2) 経営環境及び経営戦略
当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症の影響は薄れた一方、依然として緊張状態にある米中関係及びウクライナ・ロシア情勢の長期化等の地政学リスク、資源・エネルギー価格の高騰や調達リスクには十分に留意する必要があります。また、ESG/SDGsへの関心が広く浸透しつつあり、企業は経済的価値を追求するだけでなく、社会的価値の向上にも配慮したサステナビリティ経営が求められる傾向が強くなっております。
このような状況下において、当社グループは環境を軸とした事業活動を展開し、サステナブルな社会の実現に貢献するとともに、社会から必要とされる環境リーディングカンパニーとなることを目指し、更なる成長を図ってまいります。中部エリアの当社本社工場(愛知県刈谷市)、東日本エリアの当社茨城事業所(茨城県稲敷市)及び西日本エリアのサンワ南海リサイクル株式会社(連結子会社:和歌山県和歌山市)の国内3拠点を中心に設備投資を段階的に実施することに加え、アライアンス体制も拡充することにより、新規顧客開拓と取扱数量の増加に注力するとともに、物流の効率化により輸送時のCO2排出量削減にも取り組んでまいります。
(3) 経営上の目標を達成するための客観的な指標等
当社グループでは主な経営指標として、企業の事業活動の成果を示す営業利益を注視し、収益性判断の指標に売上高営業利益率及び取扱数量(産業廃棄物の引取数量と商品・製品の販売数量の合計であり、商品・材料の仕入数量等は含まない。)を掲げております。
(4) 優先的に対処すべき事業上の課題
当社グループの対処すべき課題は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
① コンプライアンス体制の整備、充実
当社グループは産業廃棄物のリユース・リサイクルを始めとした環境関連事業を中心に事業を展開しております。「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」を始めとする環境関連法令の遵守は経営上の重要課題と位置づけ、リユース・リサイクルのプロとしての意識向上、教育訓練、情報発信などの施策を継続的に実施し、お客様に信頼していただける事業を継続して実践してまいります。
② 重大事故及び労働災害発生防止の取り組み
当社グループは、多くの生産設備や運搬用車両を使用していることに加え、消防法上の危険物や酸・アルカリなど多種多様な化学物質を取り扱っております。当社グループにおいては、重大事故及び労働災害発生防止の取り組みとして、リスクアセスメントや定期的な安全講習会、教育確認テスト等を実施しておりますが、過去に当社工場で爆発事故や火災等が発生しております。特に、2017年3月には当社茨城事業所にて従業員1名が亡くなる重大な爆発・火災事故が発生しました。過去に当社工場で発生した爆発事故や火災等の原因を特定し、再発防止を目的とした対策を定め、全社展開しております。二度と事故が起こらないようにハード面・ソフト面それぞれの側面から安全対策を実施していくとともに、風化防止と安全に対する意識を高めるための継続的な教育・訓練を実施し、安全を最優先する文化を社内に根付かせてまいります。
③ 事業所体制の整備
中部地区にある本社(愛知県刈谷市)、東日本の拠点となる茨城事業所(茨城県稲敷市)、西日本の拠点となるサンワ南海リサイクル株式会社(和歌山県和歌山市)のグループ3拠点体制による事業の広域化と連携による効率化をさらに推進していく考えであります。茨城事業所においては、本社に次ぐ東日本エリアの拠点として、電子材料向け製品の製造から産業廃棄物の再資源化・有効利用まで幅広く手掛け、スマートデジタル社会・環境負荷低減・資源有効利用の実現に貢献してまいります。西日本エリアのサンワ南海リサイクル株式会社においては、西日本エリアの拠点として、2020年11月より稼働開始した廃酸・廃アルカリの中和施設の他、2022年11月より汚泥や廃プラスチック類等の混練施設も稼働開始しており、更なるリサイクル事業の推進と事業を通じた社会貢献をしてまいります。また、九州地方では半導体関連企業の工場建設や設備投資が急速に行われており、多量の産業廃棄物が発生すると予測されております。発生する有機溶剤等の産業廃棄物を再資源化し、循環型社会の形成に貢献していくことを目的として、連結子会社サンワマテリアルソリューションズ株式会社を2024年6月に設立しております。
④ リサイクルによる付加価値向上
当社グループは廃棄物を「燃やす、埋める」といった旧来の産業廃棄物処理の手法とは一線を画し、廃棄物を資源と捉え、入荷する廃棄物の性状を細かく分析し、再生製品として利用できるか確認し、可能な限り多くのリサイクル製品を製造することを事業の特長としております。循環型社会の形成に向けて、関連法令も含めて様々な制度により適正処理、3R推進が図られている中、リニアエコノミー(直線経済)からサーキュラーエコノミー(循環経済)への転換のためには、再資源化技術とその品質確保が重要となります。当社グループは、「製品の製造・販売」から「使用済み廃棄物の再資源化・有効利用」の流れを「物流」や「品質保証」までも含めた一連の対応により、サーキュラーエコノミー形成に貢献することを目指しております。それらを推進していくためには、旧来の処理方法よりもコストが多くかかるという課題がありますが、より効率的な処理技術、付加価値の高いモノへ再資源化する手法を開発していくこと、収集運搬の効率化、幅広い業種を顧客に持つ当社グループの特長を活かしたリサイクル製品の活用推進を図ることが課題と考えます。
⑤ 技術力の向上と社内組織体制
当社グループは、廃棄物を「資源」と捉え、そのリユース・リサイクルを行うことを事業の根幹としております。近年の環境に対するニーズの多様化、高度化といったお客様の期待に応えるためには、より付加価値の高い、かつCO2排出の少ないリユース・リサイクル技術が求められております。特に、半導体や電池に代表される電子材料分野や次世代自動車に係る業界は今後も飛躍的な成長が見込まれております。そのような分野では、より厳格な品質管理が要求される高純度化学品の供給や希少金属及びCFRP等の新素材の再資源化、廃電解液等の安全な処理と有効利用が求められております。当社グループでは、積極的な技術開発、設備投資、同業他社とのアライアンスなどを通じ、技術力を向上し続けることで収益の拡大と企業価値の向上に努めてまいります。そのためにも、営業部門・製造部門・研究開発部門が密に連携し、品質・付加価値の高い製品・サービスを提供できる組織体制を構築しております。
⑥ 社会的認知や協力体制の構築
当社グループはリユース・リサイクルを事業の中心として活動しておりますが、その社会的な認知が十分でないと考えております。「静脈産業(注3)」とも呼ばれる当社グループの事業ですが、上場を契機に当社グループの事業内容を広くPRすることなどにより、行政や地域住民の方々、教育・研究機関や企業等との協力体制の構築をさらに推進することが課題と考えております。
⑦ 人材の確保と育成
当社グループ顧客の環境に対するニーズ、各種環境法令及び化学物質等の取扱いに係る規制や社会の意識などはより高度化し、細分化されていくものと考えております。顧客や社会の要求を踏まえ、当社グループが事業を継続し、発展させていくためには、これらのニーズや要求に的確に応え続けていくことが重要であり、必要な人材確保、育成を継続的に行っていくことが課題であると考えます。
⑧ 業務改善の推進
新型コロナウイルス感染症への対応により急激に進行した働き方改革の推進に関連して、企業活動における情報システムの活用は今後も増えていくものと認識しており、スピード感をもって適切な施策を実行することは経営上の重要な課題と認識しております。当社グループにおきましても適切なガバナンス体制を確保したうえで、投資も含めたITの効果的な利用、情報セキュリティの強化を重点的に実施し、業務の質の改善を図ります。
(注1)ESG
Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の3つの頭文字からなる企業活動の社会持続性に関する指標をいいます。
(注2)SDGs
2015年9月に国連で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で発展途上国のみならず先進国自身が取り組むべき事項として掲げられた国際社会共通の目標であり、エネルギー、経済成長と雇用、気候変動等に対する取り組みをはじめとして計17の目標にて構成されております。
(注3)静脈産業
自然から採取した資源を加工して有用な財を生産する諸産業を、動物の循環系になぞらえて動脈産業ということに対して、それらの産業が排出した不要物や使い捨てられた製品を集めて、それを社会や自然の物質循環過程に再投入するための事業を行っている産業は静脈産業と呼ばれております。
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