三井E&S 【東証プライム:7003】「機械」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「2023年度中期経営計画(以下、「2023中計」)」において、持続可能社会への急速な移行、環境変化や当社自体の変革をふまえ、グループの企業理念・ビジョン・経営姿勢を再定義しております。
■企業理念
エンジニアリングとサービスを通じて、人に信頼され、社会に貢献する。
■ビジョン
2030年までに、マリンの領域を軸に、脱炭素社会の実現と、人口縮小社会の課題解決を目指す。
■経営姿勢
新しい価値の創造を顧客と共に実現
健全な財務体質と堅実な利益を追求
サステナビリティの課題解決を推進
また、当社は2023年4月に事業持株会社体制への移行に伴い、社名を見直し「E&S」に込める意味を、今後の当社の目指していく姿勢や事業ドメインに沿って再定義しました。
「E&S」には、「Engineering & Services for Evolution & Sustainability」の意味合いがあり、当社が社会の進化と持続を目指しエンジニアリングとサービスに注力することで、当社グループの企業価値の持続的向上を図る企業姿勢を込めております。
(2)経営戦略等
2023中計のビジョンは「2030年までに、マリンの領域を軸に、脱炭素社会の実現と、人口縮小社会の課題解決」を目指す姿として、当社グループの中核事業である舶用推進事業(舶用推進システムセグメント)、港湾物流事業(物流システムセグメント)の強みをさらに強化し、サービスやソリューション提供へと収益モデルの変革を進めます。
舶用推進事業では、株式会社IHI原動機の舶用大型エンジン事業を譲り受け、2023年4月に「株式会社三井E&S DU」として営業を開始しました。当社グループはMAN-Energy Solutions 及びWinterthur Gas & Dieselのダブルライセンス体制の構築により製品ラインアップを拡充し、グループ内リソースの効率的な活用や生産性の向上、アフターサービスの強化を通じて競争力の向上に繋げてまいります。
港湾物流事業では、米国において港湾クレーンの最終組立を行うための検討を進めており、今後米国の港湾インフラの安全確保への貢献と当社グループ製品の競争力の強化に繋げてまいります。
(3)経営環境等
当社グループを取り巻く事業環境は、世界経済の先行きに不透明感が増す中、新造船市場は回復基調にあるものの、競合企業との価格競争や持続可能社会への急速な移行等、既存のビジネスモデルからの変革が求められる環境になっております。一方、これまで新型コロナウイルスの影響により抑制されていた経済活動が徐々に回復し、新興国を中心としたエネルギー需要の増加や環境・省エネ志向の高まり、さらには国内外のインフラ更新需要の増大等、事業拡大の機会も再び大きくなるものと想定されます。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2023中計では、2025年度に、連結売上高:2,800億円、連結営業利益率:6.0%、自己資本比率:26%、及びNET有利子負債EBITDA倍率:5倍、を経営数値目標として掲げております。
また、当社グループは、サステナビリティ課題に対し、以下のマテリアリティ及び2030年度目標を設定しております。各社会課題の解決及び人材育成・多様性の確保に注力してまいります。
マテリアリティ | 2030年度目標※2 |
脱炭素社会の実現 | ・環境対応製品市場投入によるCO2削減量 従来比66%削減(2019年度比) ・グループ会社の生産活動によるCO2削減量 従来比17%削減(2019年度比) |
人口縮小社会の課題解決 | ・港湾関連製品における自動化・システム化率: 40%(年間売上高比) |
多様化確保への取り組み※1 | ・管理職 女性比率: 5%、外国人比率: 3% ・従業員全体 〃 :10%、 〃 : 5% ・技術職新卒 〃 :10%、 〃 :20% |
※1:提出会社単体として目標を設定しております。
※2:数値目標に関しては、より事業の実態に即した指標・目標を精査、検討中。
2023年度の達成・進捗状況は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④経営計画の達成・進捗状況」に記載のとおりです。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、エンジニアリング事業の海外大型EPC(設計・調達・建設)プロジェクトの損失によって毀損した財務基盤を回復するため、「三井E&Sグループ 事業再生計画」を推進し、計画を完遂することができました。そして、事業と経営との距離を縮め、一体となることで戦略の立案・実行スピードを上げることを目的に、2023年4月1日に純粋持株会社体制を解消し、商号を「株式会社三井E&S」に変更しました。さらに、今後の成長戦略推進及び経営効率化による三井E&Sグループの企業価値の持続的向上を図るために、以下を目的として監査等委員会設置会社へ移行しております。
①組織集約・再編に沿ったコンパクトな経営体制への移行を図る。
②事業戦略及びリスクのある案件に関し、より深い議論を行う環境を整える。
一方で、当社グループを取り巻く事業環境が大きく変化していることから、2023中計を1年前倒しで2022年度よりスタートさせ、企業価値の向上に向けて取り組んでおります。具体的には以下のとおりです。
(財務体質及び収益体質の強化)
事業再生計画に基づく、事業や資産売却の実行に加え、財務体質の健全化及び成長資金確保のため、昨年度、資本対策を実施いたしました。2023中計では、「事業再生計画の仕上げ」、「成長戦略」、「機能戦略」を基本方針とした戦略を掲げ、成長戦略による売上規模拡大と収益安定化を図り、財務体質のさらなる改善に努めます。なお、資本対策として実施した第1回行使価額修正条項付新株予約権は、当初計画より大幅な前倒しで2023年11月をもって全ての新株予約権の行使が完了し、約85億円の資金を調達し、財務健全性を向上することができました。
(成長戦略の推進)
2023中計では、「マリン領域を軸に、当社グループの中核事業である舶用推進事業、港湾物流事業を『グリーン』と『デジタル』の切り口で発展させる」ことを成長戦略の柱としております。具体的な施策は次のとおりです。
①中核事業の強化
中核事業を「舶用推進」「港湾物流」と明確にし、中核事業を軸に収益力強化を進めてまいります。
「舶用推進」の分野では、株式会社IHI原動機の舶用大型エンジン事業を譲り受け、2023年4月に「株式会社三井E&S DU」として営業を開始しました。当社グループはMAN-Energy Solutions 及びWinterthur Gas & Diesel のダブルライセンス体制の構築により製品ラインアップを拡充し、グループ内リソースの効率的な活用や生産性の向上、アフターサービスの強化を通じて競争力の向上に繋げてまいります。
「港湾物流」の分野では、米国において港湾クレーンの最終組立を行うための検討を進めており、今後米国の港湾インフラの安全確保への貢献と当社グループ製品の競争力の強化に繋げてまいります。
②収益モデルの変革
中核事業である「舶用推進」「港湾物流」の各事業を、「グリーン戦略」と「デジタル戦略」により、さらなる強化を進めてまいります。
グリーン戦略では、環境対応製品のエンジニアリングに注力し、新燃料エンジン、ゼロエミッション型港湾クレーンなど脱炭素関連製品の開発・提供を進めてまいります。また、デジタル戦略では、当社グループのサービス網とデジタル技術の掛け合わせにより、海上輸送と港湾荷役の連携など強みを持つ分野で、デジタル技術・ドローン技術を活用した高度予防保全・遠隔保守サービスなどを開発・提供してまいります。
(サステナビリティ課題の取り組み)
気候変動や人口縮小社会の到来は、当社グループの事業運営における重要な経営課題であると同時に事業機会と捉え、その対応として、戦略マテリアリティを、「脱炭素社会の実現」と「人口縮小社会の課題解決」と設定いたしました。当社グループは舶用エンジン、港湾クレーンの国内シェアトップのリーディングカンパニーの責務として、この戦略マテリアリティに向け、環境対応、遠隔・自動化の開発等、中長期の目標を掲げ、取り組みを推進してまいります。
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