ワンダープラネット 【東証グロース:4199】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針・経営戦略等
当社は、「楽しいね!を、世界中の日常へ。」というミッションの実現に向け、当社の原点に立ち戻り「誰でも遊べて、奥が深い。」スマホゲーム開発を追求、すなわち、国内市場及びグローバル市場をターゲットにしたスマートデバイス向けアプリ・ゲームの企画・開発・運営・販売を行うエンターテインメントサービス事業に今後も注力していく方針であります。これまで「開発実績」、「長期運営実績」、「世界配信実績」、「IP活用実績」を積み上げてきた当社の強みを活かし、『カジュアル』×『長期運営』×『グローバル』×『IP活用』を軸とした新規タイトルに取り組み、国内外で成長が見込まれるハイブリッドカジュアルでの市場シェア拡大を目指してまいります。将来的には、当社オリジナルのハイブリッドカジュアル及び、IPを活用したハイブリッドカジュアル両面でのヒットを確立していきたいと考えております。
このような方針に基づき、既存タイトル・サービスについては中長期にわたる安定運営による収益の維持、新規タイトル・サービスについては、世界中の人々へさまざまな楽しさや感動、新しい体験を届けるため、ユーザーニーズの的確な把握や、ニーズに合ったプロダクトの開発・提供、効果的なプロモーション、多種多様なパートナーとの協業による事業機会の拡大を積極的に推進するとともに、開発スケジュールや費用の管理を徹底します。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、成長フェーズにある企業であるため、短期的な経営指標の変動ではなく、中長期的な成長を図るため、既存タイトル・サービスの維持・拡大と、新規タイトル・サービスや成長領域への戦略的な投資を両立したうえで、売上・利益ともに拡大し企業価値の向上を図ることを重視しております。また、経営上の指標として、タイトル・サービス毎のユーザー数を重視しており、多くのユーザーに長期的に楽しんでいただける運営に努めております。
(3)経営環境
2022年のPCやコンソール、スマートフォンも含めたゲーム市場全体は全世界で約23.8兆円の市場と言われております。また、ゲーム市場のうち最も大きな割合を占めるモバイル向けゲーム市場は全世界で約8.9兆円(2022年)、日本は約1.2兆円となり、インフレ加速による可処分所得の減少や巣ごもり需要からの反動で2022年は成長後の調整局面に入るも、世界のゲームプレイヤー数は低下しておらず、2023年以降は再び成長軌道に戻る予測がされております。また、モバイルゲーム市場は、ハイブリッドマネタイズの『ハイブリッドカジュアル』と、高スペック化が進む『コアなAAA(注)』への二極化が進んでおり、直近動向では開発費が数十億円以上のコアなAAAタイトルが台頭し、開発費が10億円前後のミッドコアゲームのヒットが困難な市場環境に変化してきております。一方で、アプリ内課金とアプリ内広告のハイブリッドマネタイズによる長期運営型カジュアルゲームの『ハイブリッドカジュアル』と呼ばれる市場が、モバイルスマホゲーム市場内で新たに立ち上がっております。今後もグローバルでの拡大成長が期待される市場となっており、今後の新規開発方針として当社はこの分野へフォーカスしてまいりたいと考えております。
(出典:日本モバイルゲーム市場、世界モバイルゲーム市場:角川アスキー総合研究所「ファミ通モバイルゲーム白書2022」、「ファミ通モバイルゲーム白書2023」をもとに当社作成。世界ゲーム市場全体:newzoo「Global Games Market Report 2018」〜「Global Games Market Report 2023」から各年の市場規模を2022年年間TTB平均1$=130.43円を使用して当社作成。)
(注)トリプルエータイトル。高額な開発費用及びマーケティング費用を投じて制作されたゲーム。クオリティの高いゲームや、大ヒットゲーム、大ヒットが見込まれるゲームを指すこともある。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、スマートデバイス向けのアプリ・ゲームの企画・開発・運営・販売を行うエンターテインメントサービス事業を推進しており、以下の主要課題に取り組んでまいります。
① 魅力的なプロダクト・サービスの提供
当社では、ミッションである「楽しいね!を、世界中の日常へ。」を念頭に、国・言語・文化・年齢・性別などあらゆる壁を越えて誰もが楽しめるプロダクト・サービスを提供し続け、コミュニケーションを通じた「笑顔」を世界の隅々まで広げることで、収益基盤の拡大と安定化を図ることが重要な課題だと考えております。
② 海外市場展開の強化
当社が事業展開するエンターテインメントサービス関連の市場においては、趣味嗜好の多様化やグローバル化がより一層進行し、近年、日本並びに世界のモバイル向けゲーム市場を取り巻く競合環境の変化が以前にも増して著しくなってきております。その市場環境において当社が事業成長を進めていくためには、国内だけでなく、今後より一層の成長が見込まれる海外市場に当社のプロダクト・サービスを提供していく必要があると考えております。具体的には、各地域の国民性や言語、デバイスの普及状況などに鑑みて、今後もプロダクト・サービスの企画、開発、運営に取り組んでいく方針であります。また、当社単独での展開のみでなく、国内外の有力なパートナーとの協業による展開も積極的に推進し、リスクの低減を図ります。
③ ゲームの安全性及び健全性の強化
スマートデバイス向けアプリ・ゲームにおいては、ゲーム内アイテム等をオークションサイト等において売買するリアル・マネー・トレードや、不適切な水準での有料アイテム出現確率に関する問題、未成年による高額課金問題等が社会的な問題となっております。当社は、こうした状況を踏まえ、ソーシャルゲーム業界の健全性や成長性を損なうことのないように対応していくことが、重要な課題であると認識しており、各種法的規制や業界団体のガイドラインを遵守しております。
④ ユーザー獲得及びエンゲージメントの強化
当社が提供するタイトル・サービスのユーザー数の増加及び維持が、業績拡大のための重要な要素であると考えております。そのため、既存プロダクト・サービスについてはユーザーからの継続的な愛着を醸成することを意識し、中長期にわたる安定運営による利益の維持を図っていく方針であります。新規タイトル・サービスについては、ユーザーニーズの的確な把握や、ニーズに合った企画、開発、運営、並びに効果的なプロモーションを積極的に推進するとともに、開発スケジュールや費用の管理を徹底し、収益力の向上を図ります。
⑤ 組織体制強化のための人材採用と教育
当社は、今後更なる事業拡大を推進するにあたっては、優秀な人材や成長ポテンシャルの高い人材の採用を幅広く継続的に行っていくこと及び従業員の更なる育成・維持に努める必要性を強く認識しております。開発部門・管理部門ともに高度な専門性を有する人材が必要であり、一定以上の水準を満たす優秀な人材を継続的に採用できるよう取り組んでまいります。従業員の育成・維持につきましては、早期離職を防ぎ、早期の定着・戦力化をスムーズに進めるための1on1ミーティングの推進や、従業員のモチベーションを引き出す人事評価制度や福利厚生等の人事制度構築や各種研修の実施、管理職の育成に努めることで、業務遂行能力、人格、当社の企業文化及び経営方針への共感を兼ね備え、様々な分野で活躍できる優秀な人材の育成に取り組んでまいります。
⑥ 内部統制及びコンプライアンス体制、リスクマネジメントの強化
当社は、公正で透明な事業推進のため、内部統制及びコンプライアンス体制の整備が必須であると考えております。急速な事業の展開や拡大、外部環境やユーザーの嗜好の変化、技術革新等に迅速に対応するため、内部統制及びコンプライアンスの整備・運用に関する課題や状況に応じた対策に取り組む必要があります。
当事業年度においては、2022年8月期において予算外費用に関する内部統制上の不備があったことを踏まえ、適正な費用利用や事前審議・申請の徹底を図るべく、決裁プロセス・権限の厳格化を目的とした職務権限規程の改訂や、社内会議体の見直しなどを進めました。
今後も引き続き、コンプライアンス意識の向上と周知徹底を推進し、管理体制や牽制機能の強化、潜在的なリスクの識別・評価・対策に取り組んでまいります。
⑦ システム基盤の強化
当社は、アプリ・ゲームをスマートデバイス向けに展開していることから、サービス提供に係るシステム稼働の安定性を確保することが経営上重要な課題であると認識しております。そのため、ユーザー数増加に伴うシステムの負荷分散や稼働状況の監視等の取り組みが必要となります。当社は、その重要性に鑑み、今後においてもシステム基盤の強化への取り組みを継続していく方針であります。
⑧ 技術革新への対応
当社が事業展開するエンターテインメントサービス関連の市場においては、技術革新が常に行われており、先端的なテクノロジーを基盤にした新たなサービスやデバイス等の普及に伴う技術革新への対応を適時かつ適切に進めることが、事業展開上の重要な要素であると認識しており、継続的な対応を図っていく方針であります。
⑨ 財務基盤の安定化
当社は、収益基盤の維持・拡大とともに、費用対効果を慎重に検討し、各種コストの見直し及び必要な資金の確保を継続的に行うことで財務基盤の強化を図ります。そのためには、当社事業における業績の営業黒字化が最も重要であると認識しております。2024年8月期の業績見通しは営業黒字化を想定しており、直近の資金繰りにおいて大きな支障はないものと考えております。
しかしながら、既存タイトルの売上、利益進捗が想定を下回った場合には、新規開発投資の金額の一部抑制等による一層の経費コントロールを図ることも視野に入れております。これらの施策により資金や純資産の減少を止めることができない場合や、新たに手元資金を上回る資金需要が発生した場合には、資本・負債両面での資金調達や純資産の拡充を検討、実施してまいりたいと考えております。
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