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企業概要

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1)経営方針

 当社は、「マッチングで世界を変える」というミッションを掲げ、従来の企業同士の出会いのあり方を見直し、最適な出会いを提供することにより、多くのイノベーションを生み出す「別次元の産業構造」を築いていくため、当社独自のビジネスマッチングプラットフォームを提供することで国内産業の生産性の改善、更には国力の発展に寄与することを経営方針としております。

 また、当社は、ものづくり産業におけるニーズ(発注企業)とシーズ(受注候補企業)を結びつけることを活動の中心としており、これまで「ものづくり」に強みを活かしたビジネスマッチングサービスとして、企業間のマッチングプロセスの課題解決のためのサービスを提供し、収益を得ることを事業の根幹としております。

 今後は、経営方針・理念の実現に向けて、産業横断でより広範囲にマッチングプラットフォームをSaaS型として提供し、商流構築までサービスに取り込むことで、新しい企業間の組合せによる商流発生を促進し、生産性の高い新しい産業構造の創出に取り組んでまいります。具体的には下図の①から④の4つの戦略指標をバランス良く制御しながらマッチングプラットフォームの拡大を目指してまいります。

 また、上記ミッションのもと、当社の役員及び従業員全員の共通価値観として「Linkers Quality」を定めて、以下5つの指針を基に日々の活動を行っております。

①三方良し ―業界を変えるプラットフォーマーであり続けたい

②悩んだらブレスト ―組織として最高のアウトプットを更新し続ける

③強固な信頼インフラ ―摩擦を恐れずにオープンで本質的な議論を

④ボトルネックとキードライバー ―費用対効果の最大化

⑤トライ&エラーの高速回転 ―スピード感をもって課題解決と組織学習を実現する

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための指標

 当社は、持続的な事業拡大と企業価値の向上を図っていくために、売上高、営業利益及び経常利益の中長期的な成長を重要指標としております。また、当社の主力サービスである「Linkers Sourcing」及び「Linkers Marketing」における探索案件数、「Linkers Research」における調査案件数、及び「LFB」における導入機関数等については、各サービスの先行指標として今後のシステム投資や営業施策の決定における判断材料となるため、重要な指標として経営判断に利用しております。各サービスの指標の推移については、「第1 企業の概況 3 事業の内容」の各サービスの説明に記載しております。

(3)経営環境及び中長期的な経営戦略

 当社が提供する「Linkers Sourcing」を中心としたビジネスマッチング事業は、企業の新規取引先探索を支援する事業であります。従来は、商社、銀行、コンサルティング会社及び展示会支援業者等が、自社のサービスの一部として実施してきたサービスでしたが、2000年代以降、EC(注1)をはじめとするWebサービスの発展に伴い、Webを介した企業間でのマッチングサービスが、それらを代替してきております。

 特に、製造業においては消費者ニーズが多様化し、製品ライフサイクルが短縮化する中で、自社内部のリソースだけでなく、自社のネットワーク外にある人材、技術を活用した新しい製品、サービス及びビジネスを素早く開発し、市場に出していく「オープンイノベーション」が企業経営戦略のひとつとして、2010年代後半にかけて、日本国内においても普及し始め(注2)、Webを介した企業間マッチングサービスの需要拡大を後押ししていると考えております。更に、IoT(注3)の普及に伴い製造業だけでなく、今後は、あらゆる業種においてインターネットを介した企業間連携の増加が見込まれるため、新規取引先探索サービスの需要は拡大していくと当社は想定しております。

 我が国の科学技術等に関する研究活動における科学技術研究費の総額は、2021年度は19兆7,408億円に達しており、その内訳は、企業が14兆2,242億円、大学等が3兆7,839億円、非営利団体・公的機関が1兆7,324億円となっております。(注4)

 そして、企業の科学技術研究費を産業別にみると、「製造業」が12兆2,108億円と最も多く、中でも「輸送用機械器具製造業」の占める割合は30.2%(3兆6,852億円)、次いで「医薬品製造業」の占める割合が11.5%(1兆3,986億円)となっており、引き続き製造業における新たな技術の創出や、他社との差別化に向けた科学技術研究費の投資は継続しております。よって、製品ライフサイクルの短縮化、業界を超えた有業領域の拡大、新興国の技術的な追い上げなどの諸要因による産業構造や社会構造の変化などに対応するため、今後もオープンイノベーションに対する投資がなされると推測しております。

 また、『2023年版ものづくり白書(ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告)』(注5)では、2022年の製造業を取り巻く事業環境について、ウクライナ情勢に伴う調達先や生産拠点の変更・拡充、企業の枠を超えたサプライチェーン構築への取り組みが必要であると示されております。

 当社は、技術的な目利きのできる産業コーディネーターや、当社が独自に開拓したものづくりの技術を保有する中堅・中小企業のネットワークを活用し、技術探索のプロセスを効率化した独自のマッチングプラットフォームを介して製造業を中心に国内の最適な技術やリソースを紹介することによって、主に製造業における技術課題を解消するマッチングサービスを提供しており、サプライチェーンの強靭化に向けた活動という観点で、当社のビジネスマッチングサービスの需要は高まっていると判断しております。

 このような経営環境のもと、当社は以下の施策を中心に事業展開を進めてまいります。

① ビジネスマッチング業務をワンストップで支援する体制の構築と業務ノウハウの蓄積

「Linkers Research」は、研究段階における技術ニーズ・シーズの調査を手掛け、その企業が取り組むべき技術テーマや技術課題の顕在化を行います。「Linkers Sourcing」にて開発段階におけるニーズ起点のマッチングを手掛ける技術探索サービスを提供し、「Linkers Marketing」にてシーズ起点のマッチングを手掛ける用途開拓サービスを提供することで多様なマッチング機会を創出いたします。

「Linkers Trading」は、量産段階におけるサプライヤー探索等の調達支援サービスを通じて発注企業及び受注企業の新たな商流構築を行っております。

 これら一連のサービス提供を通じて、ものづくり企業の研究から開発、そして量産に至るまでの各プロセスにおける課題解決をワンストップで支援することで、ものづくり企業のイノベーションを促進する価値創出を行います。

 さらに、マッチングプラットフォームを活用した新たなマッチング領域の拡大を図り、ニーズ、シーズのマッチングプラットフォームへの流入量を確保するとともに、案件運用によるマッチング業務のノウハウを蓄積し、SaaS型ビジネスマッチングシステム「LFB」と連携することで収益の最大化を図ってまいります。

② SaaS型サービスの拡大並びに水平展開とマッチング収益の機会拡大

 現在、地域金融機関を中心にサービスを提供している「Linkers for BANK」においては、導入機関数の拡大はもとより、導入機関の取引先企業のニーズを吸い上げ、当社で探索したシーズとマッチングさせる機能を実装することで、ビジネスマッチングの機会を創出し収益化機会のより一層の拡大を目指します。

 さらに、収益の多様化を目的にマッチングビジネスへの参入を企図している地域金融機関以外の事業会社向けに提供を行っている「Linkers for Business」においても、導入機関の拡大とともに、地域金融機関との情報共有や協業スキームの構築が出来つつあることから、「LFB」の最大のメリットである他機関及び業種間の垣根を越えた広域連携の促進を進めてまいります。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 収益基盤の拡充

 当社の事業拡大のためには、サービスポートフォリオの拡充も課題の一つであると考えております。既存サービスにおいては、新たな機能の追加や利用企業層の開拓、提供エリアの拡大により収益機会の増加を図るとともに、構築したマッチングプラットフォームを活用した新たな周辺サービスを開発していくことが必要であると考えております。

② 技術力の拡充

 当社は、ウェブサイトによるサービス運営を中心に事業展開しており、そのシステム開発を自社で内製化しているため、常に外部環境におけるITの進化に注視しながら技術力の進歩に努めてまいります。

 また、優秀なエンジニアの確保など技術部門の強化を推進し、持続可能な付加価値の高いサービスの実現を図ってまいります。

③ 優秀な人材の確保

 当社は、今後の事業拡大に伴い、当社のミッションに共感し高い意欲を持った優秀な人材を継続的に採用していく必要があると考えております。労働市場における知名度の向上を図り採用力の向上に努めるとともに、業務環境や福利厚生の改善により採用した人材の離職率の低減も図ってまいります。

④ 内部管理体制の強化

 当社が継続的な成長を続けるために、拡大する事業規模及び組織規模に合わせた組織的な管理体制を構築するとともに、経営の公正性や透明性を確保するために、当社事業に精通した事業部門と、会計や法令に知見のあるコーポレート部門が協働して内部統制システムの整備・強化を図り、レピュテーションリスクの排除やコーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでまいります。

⑤ 当社サービスの認知度向上

 当社が今後も高い成長率を維持していくためには、提供するサービスのユーザビリティ、品質の向上等に加えて各サービスの認知度向上による新規顧客の拡大が不可欠であると考えております。当社では、これまで新聞・テレビ・雑誌等のマスメディア広告等には注力しておらず、ものづくり系の展示会やセミナー活動等を通じて顧客開拓を行ってまいりました。しかしながら、各種サービスのさらなる拡大を図るにあたり、今後は費用対効果を十分に見極めながら広告宣伝活動、及び企業認知度向上のためのブランディングにも取り組んでまいります。

⑥ マッチング精度の向上

 当社のビジネスマッチング事業は、精度の高いマッチング技術の構築が必要不可欠となります。連携する産業コーディネーターの確保と、有力な技術を保有する受注候補企業のさらなる獲得を進めるとともに、これまで培ったマッチングノウハウをベースにAIを活用したマッチングシステムの機能向上等を図り、より精度の高いマッチングを提供できるよう努めてまいります。

⑦ システムの安定性の確保

 当社の主要事業においては、インターネット上にてサービスを提供しており、安定した事業運営を行うにあたっては、ウェブサイトに係るシステムのセキュリティ、開発・運営保守体制の構築が極めて重要であると認識しております。今後も、システムの安定性確保に取り組み、市場環境の変化に対応した運用体制整備を継続的に行ってまいります。

⑧ 情報管理体制の強化

 当社は、公開前の事業戦略や製品企画など多くの機密情報や個人情報等を保有しており、その重要性については十分に認識しております。それらの保護体制構築に向けて、社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育の実施、情報セキュリティマネジメントシステムの構築・維持向上に努めることで、今後も引き続き情報管理体制の強化を図ってまいります。

⑨ 新型コロナウイルス感染症拡大による外部環境への対応

 当社は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済活動の停滞は当面続くと考えておりますが、高水準で推移する企業研究費の投下による新技術創出への動向や新様態進出への動きは活発化してきているものと推測し、市場環境の変化を適切に捉え、収益向上に向けた商談機会創出の取組みを引き続き進めてまいります。

(注)1.Electronic Commerceの略であり、電子商取引、インターネット上で商品やサービスの売買を行うことを指しております。

2.2016年 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構『オープンイノベーション白書(初版)』

3.Internet of Thingsの略であり、あらゆる「モノ(物)」がインターネットに接続され、モノ同士が相互に通信することにより実現するサービスや仕組みのことを指しております。

4.総務省統計局『2022年(令和4年)科学技術研究調査結果』

5.令和5年6月2日 経済産業省、厚生労働省、文部科学省

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