リネットジャパングループ 【東証グロース:3556】「小売業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処する課題等は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、収益と社会性の両立を目指し「ビジネスを通じて『偉大な作品』を創る」を経営理念に掲げ、国内では「国内Re事業」として、実店舗を有しないインターネット特化型の「リユース事業」と、インターネットと宅配便を活用した都市鉱山リサイクル(小型家電リサイクル)の「小型家電リサイクル事業」、知的障がいのある方を対象に就労継続支援B型事業所とグループホームを運営する「ソーシャルケア事業」、企業理念にもあるとおり、国際協力及びカンボジアの社会課題を解決しながらカンボジア経済の発展に資する「海外金融・HR事業」を複合的に展開しております。
この事業活動を通じて、今後も収益を稼ぐ本業のビジネスの中に、社会貢献を組み込んだ志の高い仕組みで、後世に永く受け継がれていくことが、すべてのステークホルダーが当社グループに期待する社会的役割であると考えております。
(2)経営戦略等
当社グループでは、「ビジネスの力で社会課題を解決する」ことを目指し、小型家電リサイクル事業、ソーシャルケア事業、海外金融・HR事業など、社会性のある事業テーマに取り組んでおります。
小型家電リサイクル事業につきましては、民間の知恵と工夫で、自治体の税金を使わない形で回収サービスを実現し、都市鉱山リサイクルの拡大を目指しております。また、そのサービス工程において知的障がい者雇用(一般就労)を拡大するとともに、障がいを持った方との関わりの中で、障がい福祉の領域に参入し、就労継続支援B型事業所の開設と自立のための生活支援を目的としたソーシャルケア事業でグループホームを展開しています。小型家電リサイクル事業とソーシャルケア事業において、環境と福祉が互いに作用し合いグループ全体の事業相互シナジーを最大化させる「ESモデル(Environmunt/環境、Society/社会)」の展開を加速させてまいります。
海外金融・HR事業につきましては、自動車整備士を中心にカンボジア技能実習生を日本へ送り出し、日本で技術を習得することにより、日本からカンボジアへの技術移転の実現を目指しております。また、例えば、技能実習生がカンボジアで独立開業を希望する際に、当社グループが資金を無担保融資することで、独立開業の支援を目指しております。さらに、金融の力でカンボジア貧困問題の解決を目指し、Social Emergency Loan、Wash Loanに取り組んでまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、企業規模の観点から成長途上の段階であると認識しており、事業活動の成果を示す営業収益、経常利益を重視しております。とりわけ、経営資源を有効活用し高付加価値の測定値である経常利益の向上を目指しております。
(4)経営環境
当社グループの事業は大きく2つのセグメントに集約され、当社グループを取り巻く経営環境もセグメント毎に異なることから、以下にそれぞれの特徴を記述しております。
(国内Re事業)
リユース事業では、マーケティング戦略投資を継続して強化することで認知度の更なる拡大を目指すとともに、循環型経済の進行、シェアリングエコノミーの拡大ニーズ等により、モノの再利用、所有から使用へと価値観のシフトが更に進行することに鑑み、従来の「リユースの促進」に加え、新たなサービスとして「ネットオフ プレミアム会員」制度と、その特典の一つとして「スーパー買取80」サービスを2022年11月1日より開始しました。当サービスでは450万人を超える規模に達したネットオフ会員を基盤に、購入と売却を循環的に利用することでメリッが拡大するサブスクリプション型の新たなリユーススタイルを提供し、顧客基盤の更なる拡大とともに、メンバーロイヤリティの向上による当社サービスへの顧客LTV(Life Time Value)を高めてまいります。
小型家電リサイクル事業では既に600以上の自治体、カバー地域人口では8千万人に達した連携を更に拡大するとともに、自治体との基盤を深化させ連携サービスメニューを拡大することで、回収とリサイクルによるエコサイクルへの貢献を拡げて行きます。具体的には、従来の個人中心だったパソコン回収から、宅配便という小口回収の利便性を活かし、法人(中堅中小企業)向けサービスの充実の拡充を目指し、東京都と連携した法人向けパソコン回収事業採択に取り組んだほか、回収品目においては、SGホールディングスグループ・各自治体の3者連携により、当社の回収申込プラットフォームを活用した大型家電の回収にも取り組みを開始する等、廃家電を中心とした総合回収プラットフォームの構築へ取り組んでまいります。
また、小型家電リサイクル事業やリユース事業と、知的障がいのある方への福祉事業(ソーシャルケア事業)は、「環境(リユース・リサイクル)と福祉(障がい支援)」の連携モデル(環福連携モデル)の構築という形で、当社の経営理念である「収益と社会性の両立」にも則し、パソコンの解体作業やネットオフでのセンター内作業を障がいのある方への更なる雇用創出につなげる就労支援と、知的障がいのある方へのグループホーム事業の一体化を加速させることを重要な目標に掲げ、障がいのある方の雇用数増や入居者数の拡大に取り組んで行きます。
(海外金融・HR事業)
海外事業については、海外人材の送り出し事業を軸に展開を強化していきます。新型コロナ感染症対策として行われてきました入国制限が順次解除され入国が再開されたことから、日本での技能獲得やキャリアアップを目指し実習希望を有する候補者が拡大しています。一方で、日本国内も新型コロナ後の経済活動の再拡大により、企業側での受入ニーズは急拡大しており、当社では現地協力機関、国内受入機関との協力によりカンボジア技能実習生の送り出しを強化するとともに、これまで注力してきた自動車整備士分野に加え、より需要規模が大きい新たな職種への取り組みにと、人口や日本での就労希望者の規模が大きい東南アジア他地域への展開にも取り組んでいきます。金融事業については、貧困層の生活改善に取り組み社会包摂(ソーシャルインクルージョン)事業として社会的意義の高いマイクロファイナンス事業について、今後のカンボジアや更には世界的なマイクロファイナンスの意義と成長性を認識し、それに対する当社としての貢献のあり方をより大きな戦略的課題と捉え、当該事業の成長戦略を図ってまいります。
その他の金融事業については、カンボジアでの経済状況に鑑み、加えて当社のグループ全体の戦略的な経営資源投入に鑑み、リスク軽減とシナジー効果を基準に事業検討を行って参ります。
なお、カンボジアで展開し2020年から新規販売・与信を凍結してきました車両販売及び割賦金融事業については2023年9月期以降の正式撤退を決定し、今後は残債権の回収を更に促進してまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 当社グループに共通した課題
a. コーポレートガバナンスの強化と内部管理体制の強化
当社グループの継続的な成長と拡大に向けて企業基盤の強化と企業集団全体における、コーポレートガバナンスと内部管理体制のさらなる強化が対処すべき課題と認識しております。さらなるグループ全体でのコーポレートガバナンスおよび内部統制の強化に取り組んでまいります。
b. 人材の確保及び育成
リユース事業、小型家電リサイクル事業、ソーシャルケア事業、海外HR事業のいずれにおきましても、事業の専門性の高い分野であることから、高いノウハウや経験を持つ人材の育成と獲得に継続的に取り組んで行く必要があります。また、当社ではインターネットを介した事業が主力であることに鑑み、デジタルマーケティングを含むIT人材の育成と獲得は重要な経営課題と認識しております。
また、グループ事業の更なる拡大に向けて、今後の集団経営を支える秀でた経験と執行能力を有する高度経営人材の育成と獲得についても重要な課題として取り組んでおります。
加えて、海外事業の展開のみならず、国籍・年齢・性別を問わず優秀な人材の確保・育成に努めるとともに、特に障がい福祉事業の更なる拡大の観点から一般就労・就労継続支援B型等を含めて、障がいのある方の積極的な雇用の拡大や就労訓練機会の拡大に努めてまいります。
c. 安全なサービスの提供
プライバシーマークに準拠したセキュリティ管理体制の強化等の対策を継続的に実施しております。また、定期的に第三者外部専門会社のアドバイスを受けながら、顧客情報等についてはカード情報の不所持の徹底、外部からの攻撃に対するデータサーバーの防御機能の強化等の対策を継続的に実施し適切な情報管理の徹底を行っております。今後も引き続き、不正アクセス防止と一層の情報セキュリティ強化に取り組み、安全なサービス提供に注力してまいります。
d. 代表者への依存
当社の代表取締役社長黒田武志は、当社の創業者であり当社の経営及び事業戦略の策定や決定において重要な役割を果たしております。当社は、取締役会及びその他の会議体において取締役及び各事業部の責任者間の情報の共有を図り組織運営の強化と、同氏に過度に依存しない経営基盤の構築に努めてまいります。
② リユース事業の課題
リユース事業では、自社サイトの機能改善により、集客力を高め、販売及び買取の拡大を図るとともに、外部依存コストの削減を行ってまいります。一方、商品センターのオペレーションについては、生産性の向上や配送手段の見直しによりコストの圧縮を進めてまいります。また、全社的な固定費の見直しについては、管理部門を中心に適宜実施し、これらを総じて、収益体質の強化を目指してまいります。
また、同業他社との中古商品買取に係る競合は年々厳しさを増してきており、商材調達の安定化は恒久的な課題であると認識しております。このような中で、既存顧客のリピート増加に向けた施策は勿論のこと、新規顧客の獲得についても、従来の買取広告内容の見直しや、大手提携先との業務提携による買取流入強化などを行い、商材調達の手段やルートを更に増やしていくことで、より強固な買取基盤を構築し、今後の収益安定化につなげてまいります。
③ 小型家電リサイクル事業の課題
携帯電話やデジタルカメラなど小型電子機器に素材として含まれる有用金属(レアメタル)は、その殆どが埋立て処分されているのが現状であります。今後この廃棄物の適正な処理及び資源の有効活用を図り、使用済小型電子機器の再資源化を促進することが課題であります。
当社グループはこれまで培ってきた「宅配事業者による回収サービス」モデルを提供しております。今後、消費者サービスとしてオプションサービスなどの収益機会を拡大し、インターネットプラットフォーム型のビジネスモデルとして確立させることで、当社の企業ブランド力向上と収益力を更に高めてまいります。
④ ソーシャルケア事業の課題
日本国内で障がいのある方の総数は人口の7%を超える900万人以上にのぼり、そのうち知的障がいのある方の89%・精神障がいのある方の92%が在宅での生活を送っており、障がいのある方が支援を受けながら自立して生活できる住まいの不足が課題であります。
当社グループはリユース事業及び小型家電リサイクル事業と連携した就労継続支援B型事業所と、共同生活援助を行うグループホームの運営を行うことで、障がいのある方の雇用と住まいに関する課題を同時に解決することを目指しております。今後の事業の拡大に向け、専門的な知識や指導技術を持つ人材の確保と育成を進めてまいります。
⑤ 海外展開の課題
海外金融・HR事業では、許認可に基づく事業を運営していることを含め、高い事業管理水準が求められており、直近では子会社の管理部門の強化が課題となっております。引き続き、管理統括機能を更に強化し、カンボジア子会社の管理を横断的に管轄できる体制にするほか、各社に現地で経験豊富な財務経理、人事、法務、内部監査、リスク管理などの管理人材の採用を進め、管理体制の強化を図ってまいります。
(6)その他、会社の経営上重要な事項
該当事項はありません。
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