企業兼大株主リケンテクノス東証プライム:4220】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

4月から中期経営計画の最終年となります。当社の基盤技術は「処方設計技術」「コンパウンド生産技術」「フィルム製膜・加工技術」です。中期経営計画では、もう一度基本に立ち返り、ものづくりに徹していくことが重要と考え技術本部方針としてこの「基盤技術を強化しイノベーションを創出する」「カスタマーディライト商品のスピード開発」「DXを活用した、開発スタイルに転換」を掲げるとともに、それに対応した組織体制を見直しました。

 研究テーマは「既存事業から手を伸ばせば届く範囲」で良いこと。それは、既存事業の半歩先、1歩先の領域には、まだ、未来を拓く可能性を秘めた数多くのテーマがあります。そこから更に歩を進め、未来に向けた新たな領域へ向かうことを目指していきます。

 中期経営計画で策定している研究拠点である研究開発センターの環境整備などハード面の充実を図ってきました。コンパウンド、フィルム技術の更なる深化のため、研究開発センター(東京)1号館、2号館、3号館の本格運用を開始しました。3号館にフィルム試作機を導入し、コンパウンドで開発した材料をフィルム、シート化にしてサンプルワークが出来る体制となります。

 今期は、2号館に加硫ゴム代替TPVコンパウンド開発のための混練機を含めた新しいTPV生産のためのセミコマーシャルプラントが完成しました。あらゆる加硫ゴムをTPV化していきます。また、開発した加硫ゴム代替コンパウンドをゴムシート代替としてサンプルワークを開始したいと考えています。このセミコマーシャルプラントでしっかり生産技術を磨き将来実機導入ラインの研究に努めたいと考えています。

 知財戦略強化、オープンイノベーションの実行については、サステナビリティやESG(環境、社会、ガバナンス)の推進など、昨今の社会変化に対応していくためには、多面的な視点から経営戦略を策定することが不可欠です。そこには、知財情報を活用するIPランドスケープが有効であり、当社の経営課題に対して知財が提言を実践しています。

 統合報告書で掲げたマテリアリティのKPI、特許出願件数現中経累計45件の達成に向けて活動し、2023年度は19件の特許出願をしました。

 オープンイノベーションについては、統合報告書で掲げたマテリアリティのKPI、外部機関との協業件数を現中経累計10件の達成に向けて活動しています。来期はフィルム案件に注力し、3大学とのテーマ選定も終わり共同開発の準備を進めています。

 環境対応製品の開発については、省エネルギー素材、CO2排出量が圧倒的に削減できる熱可塑性エラストマーを加硫ゴム代替として普及させることがバイオマス材料RIKEBIOの拡販と共にこれからの大きな課題となります。また、この環境問題は当社にとって単なる「制約条件」だけでなく、攻めに転じることができる「挑戦機会」にもなります。ただ、いくら素材が環境に良くても、選ばれなければ環境負荷を抑えることはできません。多くのひとに選ばれるためには、お客様にとって有用で手が届くものを意識して開発を進めています。

 加硫ゴム代替については、完成したセミコマーシャルプラントを使用して、加硫ゴム代替TPVのサンプルワーク、少量生産が可能となりました。この加硫ゴム代替TPVは、当社のエラストマー事業の核となるとの認識で研究・開発を進めています。

 現在まで加硫ゴム代替TPVについては、MI(マテリアルインフォマティックス)を使って処方の最適化を実施して基本形は完成しました。このコンパウンドを使ったTPVシートなども上市していきたいと考えています。

① コストと性能のバランスを重視した当社として新しいゴム素材を使ったゴム代替TPV

 自動車、建材用途に開発した当社材オレフレックスN、マルチユースレオストマーの後継材料

② ガスバリア性、制振特性に優れるブチルゴム代替材料TPV

 医療、食品、建材、自動車用途に開発し、上記機能を生かした新しいTPV

③ 耐油性、耐薬品性など優れるNBR、HNBR代替TPV

 当社材アクティマーKの後継材料(性能向上)

④ 汎用ゴムEPDM代替TPV

 当社材 オレフレックスN、アクティマーGの後継材料(性能向上)

 他にACM(アクリルゴム)代替TPV、BR(ブタジエンゴム)代替TPVなど開発を進めています。

 研究開発のDXについては100年企業を目指し「持続的成長」のため新技術開発、新事業創造をしていく必要があります。それには環境整備が重要でそのなかでもデジタル環境は今後ますます重要となります。

 目標(ありたい姿)は、従来の業務を効率化省力化し、人は新しいこと、人にしかできないことに特化したい。しかし、現状は目の前の顧客の対応に追われて、人や組織が変わると技術が途絶える(情報の属人化、新人など情報格差による非効率)暗黙知を形式知化することが重要になってきます。まずは、当社技術の業務フローの見直しを進めていきます。

① 試験業務を包括的にデジタルで管理

 試験業務、試験機器、試験データを包括的にデジタルで管理、試験に関するあらゆることをシステム化。試験業務を個人作業から、衆知による価値創造プロセスに転換します。

② MI(マテリアルインフォマティックス)と連動させて得られたデータを活用し実験精度が向上します。

 新たな試験に取り組む際にも過去の試験は参考になります。過去データの活用は、試験のダブりを防止し作業を効率化するとともに、試験精度の向上にも役立ちます。

③ 試験データを分析し新たな知見を獲得

 試験データを分析することで、新たな知見獲得の可能性があります。そのためにも、試験データの蓄積は重要です。データサイエンスを活用し製品開発力を向上させます。

④ エクセルからの脱却

 エクセルで管理している様々なデータを統合し、未来に活かせる情報としてストックします。エクセルライクな操作性はそのままに、コンカレントな業務遂行(相乗効果をもちながら作用する)を促進します。同時編集、リアルタイム集計、バージョン管理などを実現して生産性の向上を図りたいと考えています。

⑤ デジタル人材の育成

 プログラミング経験がなくても、直感的な操作でアプリケーションをスピーディーに構築できるようにしてシステムの内製化の取り組みを通じてデータ活用術を習得。業務部門自らが能動的にデジタル変革を実行する組織に転換します。

 当連結会計年度の成果として、

 コンパウンド関係

 1.「リケガード」の拡充(抗菌・抗ウイルス・防虫)に新シリーズ消臭、アレル物質低減コンパウンドの上市

 2.完全架橋エラストマーである「アクティマーG」の自動車部品への販売拡大

 3.高耐熱・柔軟EV車用充電ケーブルの販売拡大

 4.バイオマス材料である「RIKEBIO」、「Natural RIKEBIO」上市

 5.自動車用グラスランチャンネル部材の全日系車への採用拡大

 6.人肌に馴染む柔軟素材「LEOSTOMER FT」の上市

 7.非Pb非Sn系射出用硬質PVC材料の上市

 8.ACSの脱Sn材料の上市

 9.医療用TPE材の採用拡大

 10.加硫ゴム代替TPVセミコマーシャルプラント完成

 11.リサイクル硬質塩ビ用マスターバッチの上市

 等で開発が進み、一部流動することができました。研究開発費は、1,196百万円であります。

 フィルム関係

 1.「リケガード」(抗菌・抗ウイルス・防虫)フィルムの採用拡大

 2.各種塗装代替フィルムの開発

 3.建装材用意匠性フィルムの流動

 4.高耐湿・高耐熱性FFC用フィルムの流動

 5.遮熱ウィンドウ用フィルム「ICE-μ」の採用拡大

 6.バイオマスフィルムである「RIKEBIO」フィルムの開発

 等で開発が進み、一部の製品を流動できました。研究開発費は、565百万円であります。

 食品包材関係

 1.自動包装機メーカー向け純正ノンストレッチPVCラップフィルムの販売拡大

 2.食品包材の海外拡販検討

 3.食品スーパーマーケット・バックヤード向け小型包装機用PVCラップフィルムの開発と採用

 4.業界団体とのコラボレーションによるPVCラップフィルムの広報活動

 5.製膜加工機における混練技術の基礎研究

 6.バイオマスラップ ボタニカルラップ販売開始

 7.鮮度保持フィルムの開発

 等の活動に要した研究開発費は、131百万円であります。

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